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祖父母は私を見るなり抱きしめてくれました
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「キャーーーー」
私は両手をルヴィの首に巻き付けて、両目を必死に閉じてルヴィにしがみついたのだ。
ルヴィが片手で私を抱いてくれたから、落ちることはないと安心していた……いや、あんしんしていない。だって、何が起こるかわからないから……安心なんて出来るわけないじゃない!
風が前からビュービュー吹いてくる中、私はもう必死にルヴィにしがみついていたのだ。
「リナ、大丈夫だから」
「いや!」
ルヴィはそう言ってくれるけれど、そんなのわからないじゃない!
私はただひたすらルヴィにしがみついたのだ。
「リナ、ちょっとだけ、目を開けて」
「えっ、ヤダ!」
私はルヴィの要望を瞬時に拒否した。
「そう言わずに、本当に夕日が綺麗だから」
「えっ、夕日?」
私はその言葉に少し心が揺れた。
「ほら、とてもきれいだよ」
ルヴィが言ってくれるので、仕方無しに少し目を開けた。
眼の前にルヴィの鍛えた厚い胸が見える。そして、その向こうに赤いものが見えた。
夕日だ。
「本当だ」
私は目を見開いた。
地平線が広がっていて、そこに今まさに真っ赤に光り輝く夕日が沈もうとしていた。
その光が周りの森林を照らして真っ赤になっていたのだ。
「すごく綺麗」
私が言うと
「だろ!」
ルヴィが私の顔を覗き込んできた。
そのあまりの近さに私は驚いて顔をルヴィの胸に伏せた。
「リナ」
ルヴィが声をかけてくるが、恥ずかしくなって私は顔を上げられなかった。
「ちょっただけ顔を上げて」
「やだ」
私は首を振った。
「もう、仕方がないな」
そう言うとルヴィは私を抱いていない手綱を持ったもう片一方の手で私のおとがいを上げてくれた。
私の目の前にルヴィの端正な顔がドアップになって私は真っ赤になった。
その私の唇にルヴィの唇が合わさったんだけど……
私は驚きで固まってしまった。
「ごめん、リナ、危険な目に合わせてしまって。二度とこんな目には合わせないから」
唇を離して私を再度抱きしてめくれた後にルヴィは言ってくれた。
「ううん、私を助けに来てくれて有難う」
私はそう言うとルヴィに再度しがみついたのだ。
「遅くになってごめん」
ルヴィはそう言うと私をガシッと抱きしめてくれた。
私はその瞬間、怖いのも忘れてルヴィの大きな胸に顔を埋めたのだ。
この時間が長く続いてくれれば良いのにまでは流石に思えなかったけれど……
暗くなりかけた時にやっと祖父母の領地が目に入ったのだ。
「ほら、リナ、下に街の光が見えるよ」
流石に暗くなってくると下を見ても怖くなくなってきた。
「本当だ。めちゃくちゃきれい!」
私の目には街の灯りがとてもきれいに見えた。
ルヴィはその街の一角にシロを向けてくれた。
グングン街が大きくなってきた。
その中の町の真ん中にある大きな館にグングンシロは降りて行った。
もともと皇后様は私をこの領地に囚人として送ろうとしていた。そんな私を祖父母はどんなふうに迎えてくれるんだろう。私はとても心配だった。
不安に思う私をルヴィはしっかり抱きしめてくれた。
そして、
「何を心配そうにしている?」
「私は歓迎されるかなって心配になって」
私が心の中の不安を吐露すると
「大丈夫だ。君の祖父母はとても君のことを心配していたから」
ルヴィは私に大きく頷いてくれたんだけど……
「あれは天馬、ペガサスだ。殿下だ。殿下がいらっしゃったぞ」
「直ちにお館様に連絡だ」
私達を見た兵士たちが叫ぶ。一部の兵士が館の中に入っていった。
ルヴィはシロを館の正面玄関に降ろしたのだ。
「エルヴィン殿下」
執事らしきものが慌てて向かえに来た。
その中、まずエルヴィンが降りてくれて、その後に私を降ろしてくれたのだ。
「か。カリーナ様」
執事らしき人が私を見て驚いて母の名前を出してくれた。
「クルト、彼女はカリーナ王妃の娘のアデリナだ」
ルヴィが紹介してくれた。
「アデリナ様でございますか。お初にお目にかかります。当家の執事をしておりますクルトと申します」
執事は私に礼をしてくれた。
私が挨拶を返そうとした時だ。
「か、カリーナ!」
館の扉が開いて年配の母に似た人がこちらに向かってきた。
「お祖母様?」
私がその人物に聞くと
「お、お前はアデリナかい?」
祖母と思しき人が改めて聞いてきた。
「はい」
私は頷いた。
「アデリナ、良かった! 生きていてくれて本当に良かった」
お祖母様は私を抱きしめてくれた。
「お祖母様!」
私も祖母を抱きしめ返した。
来るまではどんな扱いになるかとても心配だったけれど、祖母は暖かく私を抱きしめてくれたのだ。
「殿下。わざわざ孫を連れて来て頂き感謝の言葉もありません」
後ろからやってきた祖父と思しき人が、ルヴィにに頭を下げていた。
「お祖父様?」
「そうだよ。アデリナ、お祖父様だ」
私は祖父にも抱きしめられていた。
久々の肉親の胸の中で私は涙が出た。
祖父母も私をだきながら泣いてくれた。
私はその温かさにくるまれて涙が止まらなくなってしまった。
「今まで一人で大変だったろう。迎えに行けずに悪かったね」
「ううん、ルヴィが助けてくれたから大丈夫だったの」
「そうか。殿下、本当に有難うございました」
祖父母は何度もルヴィに頭を下げていた。
私達は玄関でひとしきりお互いに抱き合って抱擁を繰り返したのだった。
私は両手をルヴィの首に巻き付けて、両目を必死に閉じてルヴィにしがみついたのだ。
ルヴィが片手で私を抱いてくれたから、落ちることはないと安心していた……いや、あんしんしていない。だって、何が起こるかわからないから……安心なんて出来るわけないじゃない!
風が前からビュービュー吹いてくる中、私はもう必死にルヴィにしがみついていたのだ。
「リナ、大丈夫だから」
「いや!」
ルヴィはそう言ってくれるけれど、そんなのわからないじゃない!
私はただひたすらルヴィにしがみついたのだ。
「リナ、ちょっとだけ、目を開けて」
「えっ、ヤダ!」
私はルヴィの要望を瞬時に拒否した。
「そう言わずに、本当に夕日が綺麗だから」
「えっ、夕日?」
私はその言葉に少し心が揺れた。
「ほら、とてもきれいだよ」
ルヴィが言ってくれるので、仕方無しに少し目を開けた。
眼の前にルヴィの鍛えた厚い胸が見える。そして、その向こうに赤いものが見えた。
夕日だ。
「本当だ」
私は目を見開いた。
地平線が広がっていて、そこに今まさに真っ赤に光り輝く夕日が沈もうとしていた。
その光が周りの森林を照らして真っ赤になっていたのだ。
「すごく綺麗」
私が言うと
「だろ!」
ルヴィが私の顔を覗き込んできた。
そのあまりの近さに私は驚いて顔をルヴィの胸に伏せた。
「リナ」
ルヴィが声をかけてくるが、恥ずかしくなって私は顔を上げられなかった。
「ちょっただけ顔を上げて」
「やだ」
私は首を振った。
「もう、仕方がないな」
そう言うとルヴィは私を抱いていない手綱を持ったもう片一方の手で私のおとがいを上げてくれた。
私の目の前にルヴィの端正な顔がドアップになって私は真っ赤になった。
その私の唇にルヴィの唇が合わさったんだけど……
私は驚きで固まってしまった。
「ごめん、リナ、危険な目に合わせてしまって。二度とこんな目には合わせないから」
唇を離して私を再度抱きしてめくれた後にルヴィは言ってくれた。
「ううん、私を助けに来てくれて有難う」
私はそう言うとルヴィに再度しがみついたのだ。
「遅くになってごめん」
ルヴィはそう言うと私をガシッと抱きしめてくれた。
私はその瞬間、怖いのも忘れてルヴィの大きな胸に顔を埋めたのだ。
この時間が長く続いてくれれば良いのにまでは流石に思えなかったけれど……
暗くなりかけた時にやっと祖父母の領地が目に入ったのだ。
「ほら、リナ、下に街の光が見えるよ」
流石に暗くなってくると下を見ても怖くなくなってきた。
「本当だ。めちゃくちゃきれい!」
私の目には街の灯りがとてもきれいに見えた。
ルヴィはその街の一角にシロを向けてくれた。
グングン街が大きくなってきた。
その中の町の真ん中にある大きな館にグングンシロは降りて行った。
もともと皇后様は私をこの領地に囚人として送ろうとしていた。そんな私を祖父母はどんなふうに迎えてくれるんだろう。私はとても心配だった。
不安に思う私をルヴィはしっかり抱きしめてくれた。
そして、
「何を心配そうにしている?」
「私は歓迎されるかなって心配になって」
私が心の中の不安を吐露すると
「大丈夫だ。君の祖父母はとても君のことを心配していたから」
ルヴィは私に大きく頷いてくれたんだけど……
「あれは天馬、ペガサスだ。殿下だ。殿下がいらっしゃったぞ」
「直ちにお館様に連絡だ」
私達を見た兵士たちが叫ぶ。一部の兵士が館の中に入っていった。
ルヴィはシロを館の正面玄関に降ろしたのだ。
「エルヴィン殿下」
執事らしきものが慌てて向かえに来た。
その中、まずエルヴィンが降りてくれて、その後に私を降ろしてくれたのだ。
「か。カリーナ様」
執事らしき人が私を見て驚いて母の名前を出してくれた。
「クルト、彼女はカリーナ王妃の娘のアデリナだ」
ルヴィが紹介してくれた。
「アデリナ様でございますか。お初にお目にかかります。当家の執事をしておりますクルトと申します」
執事は私に礼をしてくれた。
私が挨拶を返そうとした時だ。
「か、カリーナ!」
館の扉が開いて年配の母に似た人がこちらに向かってきた。
「お祖母様?」
私がその人物に聞くと
「お、お前はアデリナかい?」
祖母と思しき人が改めて聞いてきた。
「はい」
私は頷いた。
「アデリナ、良かった! 生きていてくれて本当に良かった」
お祖母様は私を抱きしめてくれた。
「お祖母様!」
私も祖母を抱きしめ返した。
来るまではどんな扱いになるかとても心配だったけれど、祖母は暖かく私を抱きしめてくれたのだ。
「殿下。わざわざ孫を連れて来て頂き感謝の言葉もありません」
後ろからやってきた祖父と思しき人が、ルヴィにに頭を下げていた。
「お祖父様?」
「そうだよ。アデリナ、お祖父様だ」
私は祖父にも抱きしめられていた。
久々の肉親の胸の中で私は涙が出た。
祖父母も私をだきながら泣いてくれた。
私はその温かさにくるまれて涙が止まらなくなってしまった。
「今まで一人で大変だったろう。迎えに行けずに悪かったね」
「ううん、ルヴィが助けてくれたから大丈夫だったの」
「そうか。殿下、本当に有難うございました」
祖父母は何度もルヴィに頭を下げていた。
私達は玄関でひとしきりお互いに抱き合って抱擁を繰り返したのだった。
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