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スケスケの寝間着を着て白馬の騎士にしがみついて眠りました
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私はその日は祖父母の家に泊まったのだ。
祖父母は私にとてもやさしくしてくれた。
私は初めて祖父母の愛に接したのだ。
ハウゼンでは私が物心ついた時には父方の祖父母はもういなかったのだ。
両親を失ってから、久し振りの肉親の温かさに私は癒やされた。
そして、祖父母は夕食の時に母の昔の話を色々してくれた。
母は結構お転婆だったみたいで、私は面白おかしく聞くことが出来た。
でも、その母がもういないと考えるととても悲しかったが……
そして、寝る時だ。
ルヴィが絶対に同じ部屋で寝ると主張してきた。
「しかし、殿下。婚約されたとお伺いしても、まだ婚姻の儀も済んでおりませんし」
お祖父様もお祖母様も難色を示した。
それは家族だったらそうなるよね。
私もそう思った。
「伯爵夫妻。私は何もリナに手を出すとかは言っておりません」
ルヴィ、一体何言い出すのよ!
私はプッツン切れそうになったが……
「この帝都でもリナはエンゲルに襲われそうになりました。この館は安全だとは思いますが、帝国の宮廷にさえにも多くの影を入れているのがエンゲルです。リナの安全を考えて是非とも同じ部屋で眠りたいのです」
「さ、左様でございますか?」
「そこまでおっしゃるのでしたら」
祖父母はルヴィの言葉に頷いてくれたんだけど……
ちょっと待ってよ。私の意見も聞いてよ!
と私は思ったが、まあ、でも、私の安全のためと言われると何も言えないし……
旅の間はルヴィと一緒の部屋で寝ていたからというのもあって、私は頷くしか無かった。
まあ、ルヴィは私の婚約者だと言ってくれたし。
私は皇后様が反対しているのに、そんな事が通用するのかとても心配だったが……
「アデリナ様。これなんか良いと思います」
私についてくれた元母付きの侍女さんが、私に示してくれたのはスケスケの寝間着だった。
「えっ」
私は固まってしまったが、
「絶対に殿下の前ではこれがよろしいかと」
ちょっとニコニコしながら言うのはやめてほしいんだけど……
だってこれ絶対に透けているって!
私とルヴィはまだ清い関係だと言うと、
「なら、なおのことこれが宜しいかと。皇后様がいくら反対されても、現実問題殿下が手を出されれば、もう抜き差しならぬ関係になります。この服で今日こそ殿下がアデリナ様に手を出されることは確実です」
とか、理由のわからないことを言ってくれるんだけど……
私は必死に反対したんだけど、残りのはおばさん臭いのしかないとか流行に遅れているとか色々言われて、結局、その寝間着を着せられたのだ。
私は部屋に入るとすでにルヴィは着替えて待っていた。
ベッドは流石にツインベッドになっていて、ベッドの間は開いていた。
「リナ、結構時間がかかったんだな」
そう言うとルヴィは私を抱きしめてくれたんだけど……
私はガウンの下に着ている寝間着が恥ずかしくてもう真っ赤だった。
ルヴィは私にキスしてくれて、
「さ、ガウンは俺が掛けるよ」
そう言ってくれるんだけど……これをルヴィの前で脱ぐの?
「有難う。でも、私が自分でやるわ」
私はそう言ったのに……
「いや、俺はリナの婚約者なんだから、俺がやるよ」
そう言ってガウンに手をかけようとしてくれるんだけど……
「でも……」
「えっ、何、そんなに際どい寝間着を着てくれたのか?」
私の困惑にルヴィがおそらく冗談で返してくれたんだと思う。
でも、そんなのに頷くわけにはいかないじゃない。
私は仕方無しにガウンの紐をほどいて渡したんだけど、度はルヴィがなんか変だ。
前を見るとルヴィが真っ赤になって完全に固まっているんだけど……
目を見開いて私のスケスケ寝間着を見てくれている。
「ああん、だから嫌だって言ったのに」
そう言うと私は慌てて布団に潜り込んだ。
そのまま真っ赤で固まっているとルヴィはガウンをクローゼットにしまってくれて
「お休み」
と言ってキスをして、何もせずにそのまま自分の布団に入ってくれた。
そして、そのまま、私に背を向ける気配がした。
私はドキドキしていたが、ルヴィは襲っては来なかった。
「ルヴィ!」
しばらくして、私は思い切ってルヴィに声を掛けると
「グーーーー」
ルヴィのいびきが聞こえてきたのだ。
期待と不安で震えていたのになんかばかみたいだ。
私は少しムッとした。
そして、起き上がるとトコトコとルヴィが本当に寝ているかどうか見に行ったのだ。
ルヴィはベッドに上がって覗き込むと疲れていたみたいで、熟睡していた。
なんか寝顔が可愛い。
昔は子供だったけれど、今は大人だ。凛々しいし顔貌がしっかりしている。
でも、ゲームで処刑されるはずが、帝国の第一皇子の婚約者になってしまったんだけど……
本当に良かったんだろうか?
それにルヴィはすやすや眠っているし、私はせっかくドキドキして損した気分だったので、
そのままルヴィのベッドに潜り込むと後ろからルヴィにしがみついたのだ。
ルヴィはとても暖かかった。
その暖かさで私は眠りについたのだった。
祖父母は私にとてもやさしくしてくれた。
私は初めて祖父母の愛に接したのだ。
ハウゼンでは私が物心ついた時には父方の祖父母はもういなかったのだ。
両親を失ってから、久し振りの肉親の温かさに私は癒やされた。
そして、祖父母は夕食の時に母の昔の話を色々してくれた。
母は結構お転婆だったみたいで、私は面白おかしく聞くことが出来た。
でも、その母がもういないと考えるととても悲しかったが……
そして、寝る時だ。
ルヴィが絶対に同じ部屋で寝ると主張してきた。
「しかし、殿下。婚約されたとお伺いしても、まだ婚姻の儀も済んでおりませんし」
お祖父様もお祖母様も難色を示した。
それは家族だったらそうなるよね。
私もそう思った。
「伯爵夫妻。私は何もリナに手を出すとかは言っておりません」
ルヴィ、一体何言い出すのよ!
私はプッツン切れそうになったが……
「この帝都でもリナはエンゲルに襲われそうになりました。この館は安全だとは思いますが、帝国の宮廷にさえにも多くの影を入れているのがエンゲルです。リナの安全を考えて是非とも同じ部屋で眠りたいのです」
「さ、左様でございますか?」
「そこまでおっしゃるのでしたら」
祖父母はルヴィの言葉に頷いてくれたんだけど……
ちょっと待ってよ。私の意見も聞いてよ!
と私は思ったが、まあ、でも、私の安全のためと言われると何も言えないし……
旅の間はルヴィと一緒の部屋で寝ていたからというのもあって、私は頷くしか無かった。
まあ、ルヴィは私の婚約者だと言ってくれたし。
私は皇后様が反対しているのに、そんな事が通用するのかとても心配だったが……
「アデリナ様。これなんか良いと思います」
私についてくれた元母付きの侍女さんが、私に示してくれたのはスケスケの寝間着だった。
「えっ」
私は固まってしまったが、
「絶対に殿下の前ではこれがよろしいかと」
ちょっとニコニコしながら言うのはやめてほしいんだけど……
だってこれ絶対に透けているって!
私とルヴィはまだ清い関係だと言うと、
「なら、なおのことこれが宜しいかと。皇后様がいくら反対されても、現実問題殿下が手を出されれば、もう抜き差しならぬ関係になります。この服で今日こそ殿下がアデリナ様に手を出されることは確実です」
とか、理由のわからないことを言ってくれるんだけど……
私は必死に反対したんだけど、残りのはおばさん臭いのしかないとか流行に遅れているとか色々言われて、結局、その寝間着を着せられたのだ。
私は部屋に入るとすでにルヴィは着替えて待っていた。
ベッドは流石にツインベッドになっていて、ベッドの間は開いていた。
「リナ、結構時間がかかったんだな」
そう言うとルヴィは私を抱きしめてくれたんだけど……
私はガウンの下に着ている寝間着が恥ずかしくてもう真っ赤だった。
ルヴィは私にキスしてくれて、
「さ、ガウンは俺が掛けるよ」
そう言ってくれるんだけど……これをルヴィの前で脱ぐの?
「有難う。でも、私が自分でやるわ」
私はそう言ったのに……
「いや、俺はリナの婚約者なんだから、俺がやるよ」
そう言ってガウンに手をかけようとしてくれるんだけど……
「でも……」
「えっ、何、そんなに際どい寝間着を着てくれたのか?」
私の困惑にルヴィがおそらく冗談で返してくれたんだと思う。
でも、そんなのに頷くわけにはいかないじゃない。
私は仕方無しにガウンの紐をほどいて渡したんだけど、度はルヴィがなんか変だ。
前を見るとルヴィが真っ赤になって完全に固まっているんだけど……
目を見開いて私のスケスケ寝間着を見てくれている。
「ああん、だから嫌だって言ったのに」
そう言うと私は慌てて布団に潜り込んだ。
そのまま真っ赤で固まっているとルヴィはガウンをクローゼットにしまってくれて
「お休み」
と言ってキスをして、何もせずにそのまま自分の布団に入ってくれた。
そして、そのまま、私に背を向ける気配がした。
私はドキドキしていたが、ルヴィは襲っては来なかった。
「ルヴィ!」
しばらくして、私は思い切ってルヴィに声を掛けると
「グーーーー」
ルヴィのいびきが聞こえてきたのだ。
期待と不安で震えていたのになんかばかみたいだ。
私は少しムッとした。
そして、起き上がるとトコトコとルヴィが本当に寝ているかどうか見に行ったのだ。
ルヴィはベッドに上がって覗き込むと疲れていたみたいで、熟睡していた。
なんか寝顔が可愛い。
昔は子供だったけれど、今は大人だ。凛々しいし顔貌がしっかりしている。
でも、ゲームで処刑されるはずが、帝国の第一皇子の婚約者になってしまったんだけど……
本当に良かったんだろうか?
それにルヴィはすやすや眠っているし、私はせっかくドキドキして損した気分だったので、
そのままルヴィのベッドに潜り込むと後ろからルヴィにしがみついたのだ。
ルヴィはとても暖かかった。
その暖かさで私は眠りについたのだった。
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