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お兄様は皇女殿下との婚約話はないと言われました
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お兄様が責任を取って私を娶るってどういう事よ?
私は頭の中が完全に真っ白になってしまった。
でも、それはツェツィーリア様も同じみたいで、完全に固まっているんだけど……
それはフローラも同じだ。
「悪役令嬢がアルトマイアー様とくっつくなんてあり得ないわ」
唯一動じていなかったピンク頭はそう呟くと
「冗談ですよね」
「ゴキブリは近付くな」
お兄様に話しかけて全く無視されていた。
動揺しまくった私は、その後ほとんど何も出来ずに、
「約束の1時間が来たぞ」
と言ってお兄様に抱き上げられて馬車に連れ去られた。
私とお兄様の仲は長い。3歳の時からだから今は13になる年でもう10年だ。
基本、お兄様の膝の上にすることも多かったし、抱き上げられて動くことも普通にあったから、いつものことだと言われたらそうだとしか思えなかったけれど……
それにお兄様の腕の中は落ち着くのだ。
だからつい安心しちゃうんだけど、でも、それで責任取って娶ると言われても、何かが違うと思う。
まあ、お兄様に訓練されて戦闘特化型の令嬢になってしまったから、まともな嫁ぎ先は話を持ってこないような気もするけれど……それで責任を取ってくれると言ってくれているんだろうか?
確かに高齢者の貴族の後妻とかは嫌だ。それならお兄様の元にいた方がいいけれど……
でも、お兄様に責任を取ってもらってお兄様に娶ってもらうのはまた違うと思うのだ。
まあ、お兄様はいつもお父様から婚約話を聞くととても嫌な顔をしていた。
お母様を早くに亡くしたお兄様は結婚というものが嫌なのかもしれない。
そうだ。お兄様は結婚するのが嫌だから、最悪私を娶ると言ったんじゃないだろうか?
私はまだ13だし、学園卒業するまでまだ5年以上ある。その間の時間稼ぎのためにお兄様はそう言ったんだと思う。私はそう思うことにしたのだ。
帰りの馬車は、何故かエックお兄様達も残っていたんだけど。
当然お兄様の膝から降りようとした私は降ろしてもらえなかった。
エックお兄様達は相も変わらず、お兄様の膝の上にいる私を見ても何も言わなかった。というか、これが普通の光景になっている段階で絶対に変だ!
その日の夜もお兄様はお父様に呼ばれていた。
その後私を見るお父様の顔はなんか私をとても可哀相な者をみるような目で見てくれたんだけど、何でだろう?
「どうかしたの、お父様?」
「いや、ユリアも大きくなったなと感動していたんだ」
全然感動したように見えないお父様が誤魔化してくれたんだけど、絶対に変だ。
そうか、どこからか婚約の話でも来ているんだろうか?
私はエックお兄様に聞いてみた。
「えっ、ユリアの婚約話か」
お兄様は驚いて私を見た。
「今までは我が家の庇護下にあったからな。お茶会なんかには我が家が母がいないから出ていなかったし」
「そうよね。私は貴族の方々にはまだまだ名前は知られていないわよね。養子だし」
私が頷くと
「何言っているんだよ。ユリアは王宮でフリッツ先生を弾き飛ばしたりと昔から名前は知られているぞ。それに公爵家の中では公爵家の試練を乗り越えた女傑として昔から有名だからな。公爵家の傘下の伯爵家くらいからは結構打診があったと思うが」
「えっ、そうなの?」
私は初耳だった。
「剣術競技で準優勝したからな。更に増えているんじゃないか」
エックお兄様が話してくれた。
「えっ、そうなの? お転婆すぎて皆引くかと思ったのに」
「まあ、そういう家もあるが、魔力も大きくて剣術の腕もあり公爵家の令嬢で養子と来れば伯爵家でも可能性があると思って皆申し込んでくるんじゃないか?」
エックお兄様が推論してくれた。
「そうか、お転婆でも嫁ぎ先はあるんだ」
私は高位貴族の後妻とかにされるのかと思ったから、それがなくなってほっとした。
「でも、そういう話は兄上の前でするなよ」
「何で?」
エックお兄様の言葉に理由を尋ねたら、
「兄上はとても面倒になるからな」
「どうして?」
「俺がどうかしたのか?」
そこに晴れ晴れとしたお兄様が現れた。
「いえ、何でも無いですよ」
そう言うと慌ててエックお兄様は去って行ったのだ。
「どうしたんだ、ユリア?」
お兄様は私に尋ねてきた。
ちょっとエックお兄様、逃げないでよ!
私は思ったが遅かった。
「お兄様、ツェツィーリア様と婚約の話でているの」
私は聞いてみた。
「エックがお前に言ったのか」
お兄様の機嫌が急に悪くなったけれど、
「ううん、ツェツィーリア様がそう話していたから」
私が正直に言うと
「ツェッツイか。あいつは良い幼なじみだが、それ以上ではない。婚約するなんてあり得ないだろう」
「そうなんだ」
私はお兄様にそう言われて少し嬉しくなった。
「何だ、気にしていたのか」
「ううん、そういう訳ではないけれど……」
「気にしなくても、俺はお前が卒業するまでは誰も娶らないからな。思う存分甘えていいぞ」
お兄様はそう言ってくれるんだけど、それはおかしいと思う。放課後のお兄様の発言はそういう意味なのかな?
「それに、お前の横には俺以外は絶対にいさせないからな」
「えっ、何か言ったお兄様?」
私は考え事をしていて、お兄様の言うことをよくきいていなかったのだ。
「いや、何でも無い。明日からは俺も遅くなるからな。お前の訓練が終わってから一緒に帰ろう」
「うん、判った」
明日はきちんと訓練しようと私は思ったのだ。
私を見ているお兄様の視線がやたらと甘い気がしたけれど、無視することにしたのだ。
私は頭の中が完全に真っ白になってしまった。
でも、それはツェツィーリア様も同じみたいで、完全に固まっているんだけど……
それはフローラも同じだ。
「悪役令嬢がアルトマイアー様とくっつくなんてあり得ないわ」
唯一動じていなかったピンク頭はそう呟くと
「冗談ですよね」
「ゴキブリは近付くな」
お兄様に話しかけて全く無視されていた。
動揺しまくった私は、その後ほとんど何も出来ずに、
「約束の1時間が来たぞ」
と言ってお兄様に抱き上げられて馬車に連れ去られた。
私とお兄様の仲は長い。3歳の時からだから今は13になる年でもう10年だ。
基本、お兄様の膝の上にすることも多かったし、抱き上げられて動くことも普通にあったから、いつものことだと言われたらそうだとしか思えなかったけれど……
それにお兄様の腕の中は落ち着くのだ。
だからつい安心しちゃうんだけど、でも、それで責任取って娶ると言われても、何かが違うと思う。
まあ、お兄様に訓練されて戦闘特化型の令嬢になってしまったから、まともな嫁ぎ先は話を持ってこないような気もするけれど……それで責任を取ってくれると言ってくれているんだろうか?
確かに高齢者の貴族の後妻とかは嫌だ。それならお兄様の元にいた方がいいけれど……
でも、お兄様に責任を取ってもらってお兄様に娶ってもらうのはまた違うと思うのだ。
まあ、お兄様はいつもお父様から婚約話を聞くととても嫌な顔をしていた。
お母様を早くに亡くしたお兄様は結婚というものが嫌なのかもしれない。
そうだ。お兄様は結婚するのが嫌だから、最悪私を娶ると言ったんじゃないだろうか?
私はまだ13だし、学園卒業するまでまだ5年以上ある。その間の時間稼ぎのためにお兄様はそう言ったんだと思う。私はそう思うことにしたのだ。
帰りの馬車は、何故かエックお兄様達も残っていたんだけど。
当然お兄様の膝から降りようとした私は降ろしてもらえなかった。
エックお兄様達は相も変わらず、お兄様の膝の上にいる私を見ても何も言わなかった。というか、これが普通の光景になっている段階で絶対に変だ!
その日の夜もお兄様はお父様に呼ばれていた。
その後私を見るお父様の顔はなんか私をとても可哀相な者をみるような目で見てくれたんだけど、何でだろう?
「どうかしたの、お父様?」
「いや、ユリアも大きくなったなと感動していたんだ」
全然感動したように見えないお父様が誤魔化してくれたんだけど、絶対に変だ。
そうか、どこからか婚約の話でも来ているんだろうか?
私はエックお兄様に聞いてみた。
「えっ、ユリアの婚約話か」
お兄様は驚いて私を見た。
「今までは我が家の庇護下にあったからな。お茶会なんかには我が家が母がいないから出ていなかったし」
「そうよね。私は貴族の方々にはまだまだ名前は知られていないわよね。養子だし」
私が頷くと
「何言っているんだよ。ユリアは王宮でフリッツ先生を弾き飛ばしたりと昔から名前は知られているぞ。それに公爵家の中では公爵家の試練を乗り越えた女傑として昔から有名だからな。公爵家の傘下の伯爵家くらいからは結構打診があったと思うが」
「えっ、そうなの?」
私は初耳だった。
「剣術競技で準優勝したからな。更に増えているんじゃないか」
エックお兄様が話してくれた。
「えっ、そうなの? お転婆すぎて皆引くかと思ったのに」
「まあ、そういう家もあるが、魔力も大きくて剣術の腕もあり公爵家の令嬢で養子と来れば伯爵家でも可能性があると思って皆申し込んでくるんじゃないか?」
エックお兄様が推論してくれた。
「そうか、お転婆でも嫁ぎ先はあるんだ」
私は高位貴族の後妻とかにされるのかと思ったから、それがなくなってほっとした。
「でも、そういう話は兄上の前でするなよ」
「何で?」
エックお兄様の言葉に理由を尋ねたら、
「兄上はとても面倒になるからな」
「どうして?」
「俺がどうかしたのか?」
そこに晴れ晴れとしたお兄様が現れた。
「いえ、何でも無いですよ」
そう言うと慌ててエックお兄様は去って行ったのだ。
「どうしたんだ、ユリア?」
お兄様は私に尋ねてきた。
ちょっとエックお兄様、逃げないでよ!
私は思ったが遅かった。
「お兄様、ツェツィーリア様と婚約の話でているの」
私は聞いてみた。
「エックがお前に言ったのか」
お兄様の機嫌が急に悪くなったけれど、
「ううん、ツェツィーリア様がそう話していたから」
私が正直に言うと
「ツェッツイか。あいつは良い幼なじみだが、それ以上ではない。婚約するなんてあり得ないだろう」
「そうなんだ」
私はお兄様にそう言われて少し嬉しくなった。
「何だ、気にしていたのか」
「ううん、そういう訳ではないけれど……」
「気にしなくても、俺はお前が卒業するまでは誰も娶らないからな。思う存分甘えていいぞ」
お兄様はそう言ってくれるんだけど、それはおかしいと思う。放課後のお兄様の発言はそういう意味なのかな?
「それに、お前の横には俺以外は絶対にいさせないからな」
「えっ、何か言ったお兄様?」
私は考え事をしていて、お兄様の言うことをよくきいていなかったのだ。
「いや、何でも無い。明日からは俺も遅くなるからな。お前の訓練が終わってから一緒に帰ろう」
「うん、判った」
明日はきちんと訓練しようと私は思ったのだ。
私を見ているお兄様の視線がやたらと甘い気がしたけれど、無視することにしたのだ。
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