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閑話 蒸気機関車は出来ませんでしたが、魔力トレインが完成しました

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建国式典の私のお話が一言の宣言だけだったので、後で皆に色々言われた。

「まあ、元々平民でのお方ですからな、お言葉も話せなかったのでしょう」
とある伯爵には陰で言われたし、

「だから、アン、言ったじゃない! アンチョビはちゃんと持っておかないとって! 忘れてしまったのよね。あんな長い文章全部覚えるのなんて無理だって言ったのに」
イングリッドに言われたんだけど、全部覚えていたわよ! 前の日半徹夜して! あなたのイェルド様のせいよ!

「アン判るぞ。式典なんて、長々と言うのは面倒だよな。私もこれからはアンのことを見習わせてもらうよ」
クリスティーン様に同情されたんだけど。一応私は長々と言うつもりだったんだけど・・・・

一番酷いのはイェルド様だ。
「あれだけ短かったのに、自分の姓を間違えるなんてどういうことなのですか?」
私の姓はサウザン帝国の皇帝になった時に、スカンディーナからサウザンに変わっていたのだ。でも、もともとこの戦いを始めた時はスカンディーナだったし、両親もスカンディーナだったから、それでいいやと私は独断と偏見でわざと言ったのに・・・・。でもそれをイェルド様に言うと何を勝手なことしてくれるんですかと、10倍くらい嫌味を言われそうなので黙っていたけれど。

まあ、言うことは人それぞれだ。

もっとも私の3人後の建設卿が長々と30分も話してくれたので、皆辟易としたのは事実だ。

でも、私もせっかく準備したのだから、10分くらい話したかったのに・・・・

私の悪口を言っていた伯爵は私がイェルド様に告げ口と嫌味を言ったら、次の瞬間、子爵に降爵されていたんだけど。不正が見つかったらしい。私の悪口を言うからよ。

しかし、皆は、私の悪口を言って私から顰蹙をかったからだと、真しなやかに噂されたんだけど。それから私におもねる貴族たちがとても増えたんだけど。皆私のところに来ては、私に対しておべんちゃらを話していくんだけど。私も忙しいのよ。邪魔しないで! と思わないでもなかった。


そう言った不満はあったが、それから1年、国造りは本当にうまく行ったと思う。

主に優秀な文官とイェルド様のお陰で。

私のぶち上げた、国民の小学校義務教育化は、資金難で日の目をまだ見なかった。

資金稼ぎはリーナと色々考えてメリーも混ぜてやっているんだけど、帯に長し襷に短しでうまくいっていなかった。

「線路の上を乗り物が走れば摩擦が少なくて済むのでは」
と言う案だけは、何故かさっさと通って、新王都、サウザンからスカンディーナとエスカール、オースティンの王都へは鉄路が引かれたのだ。

今はその線路の上を車輪を付けた馬車が馬に引かれて走っている。

これによって、1日に最大200キロの移動が可能になり、スカンディーナやオースティンの王都までは3日で、遠回りしていかねばならないエスカールの王都までも5日で行けるようになった。

それだけでも、アイデア料をくれと言ったら「まあ、陛下はアイデアだけですからね。もう少し具体的だったらアイデア料をお支払いしましたが、鉄の線路だけというのではダメですな」
とイェルド様に冷たく言われたんだけど、なんで?

次からはもっともったいぶって言おうと心に決めたのだが・・・・。

次に蒸気機関車を作ろうとしたのだが、仕組みが二人ともよく分からなくて、「蒸気で動くのよ」
と言ったら

「あんな湯気で進む訳無いでしょ」
とイェルド様らに即座に否定されたんだけど。

ムカついたので、ガーブリエル様とヴィルマル様とミニアンちゃんを呼んで、知恵を出し合ったのだ。

「空をシュワッチュと飛べば良いんじゃない」
ミニアンちゃんの言う事は全く使えなかった。

彼女は魔力量が多いから飛ぼうと思えば飛べるのだが、そんな事できるのはここにいる5人くらいだ。

「アン、それはどうやって動くのだ?」
ガーブリエル様に具体的に聞かれたが、よく覚えていないというか、興味がなかったから全く判らない。それは聖女も同じだ。

「こうやってシュッポシュッポと動くのです」
私は手をぐるぐる動かすしか無かった。

「それでは全くわからないぞ」
ガーブリエル様に呆れられてしまった。

「それよりも魔道具を使って車輪を魔術師が動かせばどうでしょうか」
ヴィルマル様が言われるんだけど。

それはそれで大変じゃないだろうか?
私は思ったのだが、
「学生の訓練兼ねてやるのもよいかもしれないな」
それからガーブリエル様とヴィルマル様が色々試行錯誤されて魔力トレインなるものが完成したのは1ヶ月後だった。

2両編成で100名の客を乗せたそれは、時速50キロを出して、新王都とスカンディーナの王都の間を10時間で結んだのだった。魔術師二人が交代で魔力を魔道具を通して車輪を動かすのだ。
これが動いた時は流石に感動した。

「これはほんとにすごいわ」
私はその初号機に乗れて感激していたのだが、でも、それによって、私に報奨金が支払われることはなかったんだけど。

なんだかなあと私は思った。
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