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憧れの王太子と結婚しました
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ついに今日は、待ちに待った? 結婚式だ。
何か前世の高2の終わりに結婚するというのもどうかとは思うけど、皆の圧力に負けてしまった。とりあえず、魔力トレインでも報奨金はもらえなかったけれど、私が結婚すると言うと、やっとイェルド様が、実験と称して王都の周りに10校の小学校を作ってくれることになったのだ。
やっとだ。たかだか10校かよ、と思わないでもなかったけれど。まあ、何事も最初が肝心だ。まずは1年コースで読み書き算数が出来るようにするのだとか。
最初は各校400名でスタート。徐々に増やしていく計画だとか。
皆が読み書き算数が出来るようになれば就ける職業も幅が広がり、国力も上がるはずだ。
まあ、それによって平民が台頭し、貴族社会が早く終わろうが、その時は私の知ったことではないだろう。でも、できるだけ多くの人が幸せになってほしい。それが私の願いだ。
それはおいておいて、私の挙式だ。
式は新たに作られた大聖堂で厳かに行われることになっていた。
私の純白の衣装はなんと育ての母が縫ってくれたのだ。
是非とも縫いたいと言う並み居るオートクチュールを弾き飛ばして私が決定した。
しかし、こんな事をするから後で響くのだ。
何故か衣装は母が作るのが流行になって、私は自分の娘の時にウエディングドレスを涙ながらに作らされる羽目に陥るなんて思ってもいなかったのだ。それも私の娘は1人だけではなかったのだ! 何人も・・・・下手な物は出来ないし、母の特訓のもと一人目は1年がかりで縫わされたのだ。大切な皇帝の仕事もあるのに・・・・その後でだ。二人目三人目になるとさすがに要領を掴めてもう少し短くなったけれど・・・・疲れ切ってしまった。
まあ、今は純粋に母の作ってくれた衣装で嫁げる? のを喜んでいた。
まあ、嫁ぐというよりは今は婿に迎えるという感じだろうか。
何しろ私はそう見えなくても、このサウザン帝国2500万人を治める皇帝なのだから。隣国の王太子にすぎないフィル様はまだ、単なる王配でしか無い。
もっとも行政の多くは既にフィル様が行っていたけれど。
私も決裁は行っていた。大切なことはフィル様とイェルド様の説明を聞きながら。
貴族の刑罰を定めるのも3人で行ったが、イェルド様は厳し目に、私は甘すぎだと皆にいつも叱られていたが、フィル様は真ん中ということで、だいたいフィル様の言う通りになっていくんだけど。いるだけ皇帝とか一部貴族たちに馬鹿にされていた。
もっとも誰が言っているか判れば即座にイェルド様にチクって降爵してもらっていたが・・・・。私の悪口を言うと爵位が下がるので、最近は皆ほめだしたんだけど。でも褒められていても本当に褒めているんだろうかと疑心暗鬼にもなっていたが・・・・
そんな事は置いておいて、私は今、やっとフィル様とバージンロードの前で寄り添っていた。
『オースティンの聖女』のゲームで、最後のエンディングに載っていたスティルだ。もっともその時のお相手はオースティンの聖女のピンク頭だったんだけど。
フィル様は私をエスコートしてゆっくりとバージンロードを歩き出した。
パイプオルガンの演奏が荘厳に鳴り響き、私達は王侯貴族たちが見つめる中をゆっくりと歩いていく。私は感無量だった。夢にまで見た、憧れのフィル様とヴァージンロードを歩いているのだ。前世の夢が叶う時が来たのだ。
私たちは祭壇の前に立った。
このサウザン帝国の大司教が話しだした。
「新郎フィリップ、あなたはアンネローゼを妻とし、病めるときも健やかなるときも、愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」
「はい、誓います」
フィル様はそう言うと私に微笑みかけた。
私も笑みで答えて、
「はい、誓います」
神に誓った。
そして、キスだ。
フィル様はベールを横によけて、私の唇にその唇を触れさせたのだ。
私は幸せだった。
思えば死ぬ時にこの『オースティンの聖女』の世界に生まれ変わりたいと神に望み、悪役令嬢のアンネローゼに転生したが、ゲームの結果を覆して憧れのフィル様と今一緒になれたのだ。最初は平民だった私は元王女になって、そして、今は皇帝だ。でも、いつもフィル様は変わらずに私に優しく接してくれた。平民の時からそれは変わらない。私はゲームの中のフィル様よりも何倍も今の現実のフィル様が好きになった。そして、やっと私達は結ばれたのだ。
私は幸せだった。
私が隣のフィル様を見るとフィル様がほほえみ返してくれた。
「アン、綺麗だよ」
フィル様にそう言われて、そのまま抱き寄せられて・・・・
「オホン! オホン!」
後ろからイェルド様のわざとらしい咳が聞こえた。
そう言えば・・・・。後ろを振り返ると群臣一同が私たちを見ていた。
皆、生暖かい目をしている。
「何だ、イェルド、無粋だな」
フィル様が嫌味を言うんだけど、
「そう言う事は夜にお二人になられてから好きにして下さい」
そうイェルド様に言われて私は真っ赤になった。
「それよりも、予定が立て込んでおります。まず、テラスから、国民に手を振って下さい」
イェルド様たちに急かされるように促される。
私達二人はそのまま王宮のテラスに出た。
「皇帝陛下おめでとうございます!」
「王太子殿下おめでとうございます!」
「フィル様!」
「ご結婚おめでとうございます!」
そこでは待ち構えていた観衆の大歓声が私たちを迎えてくれた。
「凄いな」「本当に」
私達はあまりの観客の多さに、熱狂ぶりに驚いた。
絶対にイェルド様の記事が影響している。
二人がいかに今まで苦難の道を歩んできたか、これでもかという記事を流してくれたのだ。私が平民として学園に入って王太子のフィル様の横の席になったのに、私が関心がなくてフィル様なんて見ずに外の桜ばかり見ていて、逆にフィル様に気に入られたのだとか、聖女に私が虐められたのをフィル様が助けたのだとか、ブルーノの攻撃でフィル様が助けようとしていつも逆に私に助けられていたとか、面白おかしく有る事無い事書いた記事を連日にわたって流してくれたのだ。
私達は二人で寄り添うとその前の広場に集まっていた観衆に手を振ったのだった。
熱狂が更にヒートアップする。
私は隣のフィル様を見た。
フィル様もこちらを向いてくれた。
そして、あろう事かフィル様はそのまま私を抱き寄せて唇を合わせてくれたのだ。
え、ええええ!
それを見て起こった大歓声はいつまでも止まずに王都の空に響き渡ったのだった。
完
********************************************************************
ここまで読んで頂いて本当にありがとうございました。
これにて完全に完結です。
この後も話書いていければと思います。
今後とも宜しくお願いします。
何か前世の高2の終わりに結婚するというのもどうかとは思うけど、皆の圧力に負けてしまった。とりあえず、魔力トレインでも報奨金はもらえなかったけれど、私が結婚すると言うと、やっとイェルド様が、実験と称して王都の周りに10校の小学校を作ってくれることになったのだ。
やっとだ。たかだか10校かよ、と思わないでもなかったけれど。まあ、何事も最初が肝心だ。まずは1年コースで読み書き算数が出来るようにするのだとか。
最初は各校400名でスタート。徐々に増やしていく計画だとか。
皆が読み書き算数が出来るようになれば就ける職業も幅が広がり、国力も上がるはずだ。
まあ、それによって平民が台頭し、貴族社会が早く終わろうが、その時は私の知ったことではないだろう。でも、できるだけ多くの人が幸せになってほしい。それが私の願いだ。
それはおいておいて、私の挙式だ。
式は新たに作られた大聖堂で厳かに行われることになっていた。
私の純白の衣装はなんと育ての母が縫ってくれたのだ。
是非とも縫いたいと言う並み居るオートクチュールを弾き飛ばして私が決定した。
しかし、こんな事をするから後で響くのだ。
何故か衣装は母が作るのが流行になって、私は自分の娘の時にウエディングドレスを涙ながらに作らされる羽目に陥るなんて思ってもいなかったのだ。それも私の娘は1人だけではなかったのだ! 何人も・・・・下手な物は出来ないし、母の特訓のもと一人目は1年がかりで縫わされたのだ。大切な皇帝の仕事もあるのに・・・・その後でだ。二人目三人目になるとさすがに要領を掴めてもう少し短くなったけれど・・・・疲れ切ってしまった。
まあ、今は純粋に母の作ってくれた衣装で嫁げる? のを喜んでいた。
まあ、嫁ぐというよりは今は婿に迎えるという感じだろうか。
何しろ私はそう見えなくても、このサウザン帝国2500万人を治める皇帝なのだから。隣国の王太子にすぎないフィル様はまだ、単なる王配でしか無い。
もっとも行政の多くは既にフィル様が行っていたけれど。
私も決裁は行っていた。大切なことはフィル様とイェルド様の説明を聞きながら。
貴族の刑罰を定めるのも3人で行ったが、イェルド様は厳し目に、私は甘すぎだと皆にいつも叱られていたが、フィル様は真ん中ということで、だいたいフィル様の言う通りになっていくんだけど。いるだけ皇帝とか一部貴族たちに馬鹿にされていた。
もっとも誰が言っているか判れば即座にイェルド様にチクって降爵してもらっていたが・・・・。私の悪口を言うと爵位が下がるので、最近は皆ほめだしたんだけど。でも褒められていても本当に褒めているんだろうかと疑心暗鬼にもなっていたが・・・・
そんな事は置いておいて、私は今、やっとフィル様とバージンロードの前で寄り添っていた。
『オースティンの聖女』のゲームで、最後のエンディングに載っていたスティルだ。もっともその時のお相手はオースティンの聖女のピンク頭だったんだけど。
フィル様は私をエスコートしてゆっくりとバージンロードを歩き出した。
パイプオルガンの演奏が荘厳に鳴り響き、私達は王侯貴族たちが見つめる中をゆっくりと歩いていく。私は感無量だった。夢にまで見た、憧れのフィル様とヴァージンロードを歩いているのだ。前世の夢が叶う時が来たのだ。
私たちは祭壇の前に立った。
このサウザン帝国の大司教が話しだした。
「新郎フィリップ、あなたはアンネローゼを妻とし、病めるときも健やかなるときも、愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」
「はい、誓います」
フィル様はそう言うと私に微笑みかけた。
私も笑みで答えて、
「はい、誓います」
神に誓った。
そして、キスだ。
フィル様はベールを横によけて、私の唇にその唇を触れさせたのだ。
私は幸せだった。
思えば死ぬ時にこの『オースティンの聖女』の世界に生まれ変わりたいと神に望み、悪役令嬢のアンネローゼに転生したが、ゲームの結果を覆して憧れのフィル様と今一緒になれたのだ。最初は平民だった私は元王女になって、そして、今は皇帝だ。でも、いつもフィル様は変わらずに私に優しく接してくれた。平民の時からそれは変わらない。私はゲームの中のフィル様よりも何倍も今の現実のフィル様が好きになった。そして、やっと私達は結ばれたのだ。
私は幸せだった。
私が隣のフィル様を見るとフィル様がほほえみ返してくれた。
「アン、綺麗だよ」
フィル様にそう言われて、そのまま抱き寄せられて・・・・
「オホン! オホン!」
後ろからイェルド様のわざとらしい咳が聞こえた。
そう言えば・・・・。後ろを振り返ると群臣一同が私たちを見ていた。
皆、生暖かい目をしている。
「何だ、イェルド、無粋だな」
フィル様が嫌味を言うんだけど、
「そう言う事は夜にお二人になられてから好きにして下さい」
そうイェルド様に言われて私は真っ赤になった。
「それよりも、予定が立て込んでおります。まず、テラスから、国民に手を振って下さい」
イェルド様たちに急かされるように促される。
私達二人はそのまま王宮のテラスに出た。
「皇帝陛下おめでとうございます!」
「王太子殿下おめでとうございます!」
「フィル様!」
「ご結婚おめでとうございます!」
そこでは待ち構えていた観衆の大歓声が私たちを迎えてくれた。
「凄いな」「本当に」
私達はあまりの観客の多さに、熱狂ぶりに驚いた。
絶対にイェルド様の記事が影響している。
二人がいかに今まで苦難の道を歩んできたか、これでもかという記事を流してくれたのだ。私が平民として学園に入って王太子のフィル様の横の席になったのに、私が関心がなくてフィル様なんて見ずに外の桜ばかり見ていて、逆にフィル様に気に入られたのだとか、聖女に私が虐められたのをフィル様が助けたのだとか、ブルーノの攻撃でフィル様が助けようとしていつも逆に私に助けられていたとか、面白おかしく有る事無い事書いた記事を連日にわたって流してくれたのだ。
私達は二人で寄り添うとその前の広場に集まっていた観衆に手を振ったのだった。
熱狂が更にヒートアップする。
私は隣のフィル様を見た。
フィル様もこちらを向いてくれた。
そして、あろう事かフィル様はそのまま私を抱き寄せて唇を合わせてくれたのだ。
え、ええええ!
それを見て起こった大歓声はいつまでも止まずに王都の空に響き渡ったのだった。
完
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ここまで読んで頂いて本当にありがとうございました。
これにて完全に完結です。
この後も話書いていければと思います。
今後とも宜しくお願いします。
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前作から楽しませて読ませて頂いております。
昭和生まれの娘持ちなので、ミニアンちゃん最推しです。彼女がM62星雲から帰ってくるのをまっています☺️
前作とジャンルが変わっていますが、『ヒーローがヘタレ過ぎてジャンルが恋愛からファンタジーに変わりました。』なのでしょうか?フィル頑張れ❣️です。
感想有り難うございます‼️
戦闘シーンが多いのでこちらに変更させて頂きました。まあヘタレなのもありますが。最後までお読み頂けたら嬉しいです‼️