母に叩かれ家出して魔術学園に入学したら何故か王子様と親しくなりました 平民少女のシンデレラストーリー

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
40 / 106

剣術大会は最後の決勝戦で騎士団長の息子と対決しました

しおりを挟む
 私の頬にはいつまで経っても衝撃は襲ってこなかった。
 クッツァー嬢の私を張ろうとした手を止めてくれたのは……

 えっ、ええええ!

 なんと止めてくれたのは私が雷撃したヨーク公爵家のフランツだった。

「フランツ様! 何故お止めになるんですか?」
 クッツァーが早速食ってかかっていたけれど、
「クッツァー嬢、今からこいつとゲッツが戦うんだ。その前に余計な事をすればゲッツが実力で勝っても余計な噂を立てられるぞ。それで良いのか?」
「いえ、それは困ります」
「ならばゲッツを信じろ」
「判りました」
 クッツァーは不承不承頷くと、
「後で覚えていなさいよ」
 そう捨て台詞を残して取り巻き達を引き連れて去って行った。
 皆は去り際に私を睨んでくれたんだけど……

「助けてくれてありがとう」
 私はフランツに一応お礼を伝えた。

「ふんっ、別に貴様を助けたわけではない。ゲッツが卑怯者呼ばわりされるのを防いだだけだ」
 フランツは顎をつんと逸らしてくれた。
「ゲッツにはここまで自分の実力で戦って来たからな。余計な噂を流されるのは奴のためにもならない」
 フランツは胸を張って話してくれたが、代理人を使ったフランツがどの口で言うのかと私は疑問に思ったけれど、懸命にも黙っていた。

「それと、これは本来貴様に言うべきでは無いと思うが、ゲッツの身体能力は素晴らしいものがある。貴様のただ一撃のみでは勝つのは難しいのではないのか?」
 何故か今まで私を目の敵にしてくれたフランツが私の心配までしてくれたんだけど……
 どうしたんだろう? 
 明日、雪が降らないと良いけれど……

「ふんっ、俺は貴様など負けてくれた方が良いのだ。我がAクラスの為になるしな。ただ父上が煩くてだな」
「えっ、父上って公爵様が?」
 何故お貴族様の頂点の公爵様が私を気にするんだろう?

「公爵様も学園長みたいに学園時代に私の母に迷惑を被られたんですか?」
 私は思わず聞いていた。
「さあ、俺は知らん。しかし、何故か『ヨーク公爵家の名を辱めるな』っと呟いておられた」
 うん? 私はヨーク公爵家の総領のフランツを倒したから、その私が無様に負けたらフランツが更に無様になるから、なんとしても勝てということなんだろうか?

「お言葉の意味がよく判りませんが、決勝は全力でやりますからと公爵様にはお伝え下さい」
「そう伝える」
 そう言うとフランツは去って行った。

「うーん、お貴族様の頭の中がよく判らないんだけど」
 普通は自分の息子を倒した女を応援するようなことを言うか?
 それも息子に伝えさせるなんて何か変だけど……
 私はよく判らないままにクラスの席に戻った。

「どうしたの、アミ? あまりにも遅いから見に行こうかと今皆で相談していたところなのよ」
 ビアン達が私の周りに寄ってきた。
「クッツァー伯爵令嬢らに囲まれていたのよ」
「えっ、あのゲッツ様の婚約者と噂されている令嬢に」
「俺が先生に抗議して来ようか?」
 アーベルが申し出てくれたが、
「ううん、フランツが助けてくれた」
「フランツってヨーク公爵家の?」
 私が話すとエッダが驚いて前のめりになって尋ねてきた。

「何故なの? ひょっとして公爵令息様とロマンスが生まれたの?」
「なわけないでしょ。なんでも、お父様が『ヨーク公爵家の名を汚すな』っておっしゃられたみたいで」
「凄いじゃない。親公認なんだ」
 エッタが全然見当違いなことを言い出してくれたんだけど……
「違うって。私がフランツを倒したから変な奴に負けたらフランツのメンツが更に地に落ちるからだと思うわよ」
「ええええ! そうかな」
「それは違うと思うけれど」
 何故かエーレンまで思うところがあるように言い出してくれたんだけど……


「一年C組 アマーリアさん」
 その時に私は先生に呼ばれたから、慌ててグランドの特設会場に向けて歩き出した。

「アミ!」
「頑張れよ!」
「皆の分も勝ってくれ!」
 クラスメートの声援が飛ぶ。
「一年生頑張れよ」
「平民の星、期待しているぞ」
 平民の上級生からも声援が飛んできた。

「一年A組 ゲッツ君」
「「「ウォーーーーー!」」」
 私以上の大声援が起こった。
 何しろこの学園の三分の二はお貴族様だ。
「ゲッツ様」
「頑張って!」
「平民なんて倒してしまえ」
「相手はただ一撃のみだぞ」
「絶対に躱せよ!」
「一撃さえ躱せれば勝てるぞ」
 皆余計なアドヴァイスをしてくれている。
 確かにその通りだ。私はただ一撃を躱されたら剣技でゲッツに勝てる気はしなかった。

「任して下さい。今回は私は負けませんよ」
 観客達にゲッツが宣言してくれた。

「おおおお!」
「ゲッツが勝利宣言をしたぞ」
「これで勝ったも同然だ」
 貴族達は大喜びしてくれた。

「アミ、頑張ってよ」
「そんな奴、ただ一撃で倒せよ!」
 アーベル達剣術部の奴らが叫んでいるけれど、良いのかな、そんなことを広言して。『そんな奴』は騎士団長の息子なんだけど……騎士志望が騎士団長に目をつけられたらまずいんじゃないのか? 私は危惧した。

「ゲッツ! 油断するなよ。その女は何するか判らんぞ!」
 がたいのでかいがっしりとした男が叫んでくれた。
「はい、父上。気をつけます」
 ゲッツはビシッと直立不動で頷くんだけど……
 どうやら騎士団長みたいだった。

 うーん、何するか判らないってとても心配されているんだけど、私はただ一撃するのみなんだけど、何故そこまで警戒されているんだろう? 騎士団長も昔、母に酷い目にあった事があるんだろうか?
 私はうんざりしてきた。
 私は私なんだけど……

「アミ、頑張るのよ!」
「気をそらせないで!」
 エーレンらの声援に私は頷いた。
 そうだ、私はただ一撃をやるのみだった。

「両者位置について」
 審判の先生が声をかけてくれた。
 私は剣を構えた。
 ゲッツも構える。

「始め」
 先生の合図で私は上段に構えた。
 そして、思いっきり振り下ろそうとした。

 その瞬間ゲッツはにやりとしてくれた。
 うん? 何かあるのか?

 しかし、ここまで来たらやるしかない。

 私は渾身の力を込めて剣を振り下ろした。

 その瞬間だ。さっとゲッツがその剣の前から消えたように見えた。
 横に瞬時にどうしてくれたのだ。そして、私に横殴りに剣を出そうとしてくれたときだ。

 私の剣が誰もいない空間を渾身の力で振り下ろしたから、剣の風圧で突風が巻き起こる。
 ソニックブレードだ。

「えっ?」
 ゲッツがぎょっとしたときだ。
 そのソニックブレードに巻き込まれてゲッツは吹っ飛んでいったのだ。

 そう、私のただ一撃を避けたら私の剣は更に加速するので、避けた者は皆その加速して起こったソニックブレードに巻き込まれて吹っ飛んでいくのだ。

 私のただ一撃が炸裂した瞬間だった。

 ドシーン! 
 特別に作られた障壁を突き破ってゲッツは貴賓席まで飛んで行った。

「勝者、一年C組アマーリアさん」
「「「ウォーーーー!」」」 
「やったわ、アミ!」
「優勝よ!」
 クラスのみんなの声援が聞こえた。
 私はほっとした。
 その私の視線の先にリックが見えたので、私はVサインをしたら、リックも返してくれた。

 次の瞬間には飛び出してきたクラスのみんなにもみくちゃにされていた。

 それを周りのお貴族様達は唖然として見ていたのだ。
********************************************
ただ一撃を避けても吹っ飛ばされるのは同じでした。
お気に入り登録、感想等をして頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾

リックとの仲は少しくらい進展するのか?
続きをお楽しみに!
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?

志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。 父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。 多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。 オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。 それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。 この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!

【完結】あなたが私を『番』にでっち上げた理由

冬馬亮
恋愛
ランバルディア王国では、王族から約100年ごとに『裁定者』なる者が誕生する。 国王の補佐を務め、時には王族さえも裁く至高の権威を持ち、裏の最高権力者とも称される裁定者。その今代は、先国王の末弟ユスターシュ。 そんな雲の上の存在であるユスターシュから、何故か彼の番だと名指しされたヘレナだったが。 え? どうして? 獣人でもないのに番とか聞いたことないんですけど。 ヒーローが、想像力豊かなヒロインを自分の番にでっち上げて溺愛するお話です。 ※ 同時に掲載した小説がシリアスだった反動で、こちらは非常にはっちゃけたお話になってます。 時々シリアスが入る予定ですが、基本コメディです。

【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。

BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。 父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した! メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!

【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!

山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」 夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

『婚約もしていないのに婚約破棄ですか? 〜岩塩で殴れば目が覚めます?〜』

しおしお
恋愛
「岩を売る田舎娘と婚約?そんなもの破棄だ!」 ――そう言い放ったのは、まだ婚約すら成立していないのに“婚約破棄”を宣言した内陸王国の王太子。 塩は海から来るもの。 白く精製された粉こそ本物。 岩塩など不純物の塊に過ぎない。 そう思い込んだ彼は、ハライト公国公爵令嬢ヴィエリチカを侮辱し、交易を軽んじた。 だが―― 王都に届くその“白い粉”は、すべてハライト産の岩塩から精製されたものだった。 供給が止まった瞬間、王国は気づく。 塩は保存であり、兵站であり、治療であり、冬越しの生命線であったことを。 謝罪の席で提示された条件はただ一つ。 民への販売価格は据え置き。 だが国家は十倍で買い取ること。 誇りを守るために契約を受け入れた王太子。 守られたのは民。 削られたのは国家。 やがて赤字は膨らみ、担保は差し出され、王国は静かに編入されていく。 処刑はない。 復讐もない。 あるのは――帰結。 「塩は、穢れを流すためのものです」 笑顔で告げるヴィエリチカと、 王宮衛生管理局へ配属された元王太子。 これは、岩塩を侮った物語の、静かな終着点。 --- もしアルファポリス向けにもう少し軽くする版も欲しければ、作ります。 それとも、 ・タグもまとめる? ・もっと煽る版にする? ・文学寄りにする? どの方向で仕上げますか?

婚約破棄されたので、前世の知識で無双しますね?

ほーみ
恋愛
「……よって、君との婚約は破棄させてもらう!」  華やかな舞踏会の最中、婚約者である王太子アルベルト様が高らかに宣言した。  目の前には、涙ぐみながら私を見つめる金髪碧眼の美しい令嬢。確か侯爵家の三女、リリア・フォン・クラウゼルだったかしら。  ──あら、デジャヴ? 「……なるほど」

『公爵家を乗っ取った男爵一家は、家系図から消えました』 ―偽令嬢は王太子妃を夢見て国外追放、私は公爵として責務を果たします―

ふわふわ
恋愛
両親を亡くし、幼くして公爵家の当主となったエレノア。 後見人を名乗って入り込んできたのは、男爵である叔父一家だった。 「公爵家は私たちが守ってあげる」 ――そう言いながら、彼らはいつしか公爵を名乗り、財産を使い込み、娘を“公爵令嬢”と偽って社交界へ。 やがて王太子との婚約話まで進み、公爵家は完全に乗っ取られたかに見えた。 だが―― 「その公爵令嬢、偽物ですわ」 静かに微笑んだ瞬間、全ては覆る。 血統の証、一族会議での断罪、王家への正式告発。 爵位僭称、王家欺瞞、財産横領。 男爵一家は次々と罪を暴かれ、家系図から名を消されていく。 救済はない。 情もない。 あるのは責務のみ。 「公爵は、情より責務です」 本物の公爵令嬢エレノアが、奪われた家と誇りを取り戻し、王家と対等に並び立つまでの徹底ざまぁ恋愛譚。 偽物は消え、本物だけが残る。 これは、乗っ取られた公爵家を完全に取り返す物語。

処理中です...