モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
56 / 64

勝てたと思ったら苦情が出て聖女のレベル判定になりましたが、悪役令嬢を圧倒して勝ちました

しおりを挟む
 大鍋で上級ポーションを作り上げたその瞬間、私の勝ちは決定的になった。

 アレハンドラとエビータは私が作った二百本の上級ポーションを見て完全に戦意喪失していた。

「こ、このようなことが……」
「す、凄いですぞ!」
「こんな短時間に上級ポーションを二百本も作るなんて信じられません!」
 薬物関係の先生方が飛び出してきてポーションと私を見比べていたし、
「パウリーナさん、2年生のゼミでは是非とも我が薬物研究室に!」
「何を言うのじゃ。パウリーナ嬢、是非とも我がポーション研究室に!」
「我が女神の祈り研究室に!」
 2年生から始まるゼミの教授達がわれがちにと私の周りに群がって来たんだけど……

「パウリーナ、凄いじゃない! アレハンドラ様もエビータ様も全然敵じゃ無かったわね」
 隣で見守ってくれていたサラが私を抱き締めて褒めてくれた。

「リーナ!」
 そこにエドガルド様が駈けてきてくれた。
 サラがぎょっとして退いて、私を抱き締めてくれたんだけど……いや、ちょっと待って!
 アレハンドラの視線が怖いから、抱きしめないで!
 私の心の声は無視された。

 あれっ、それよりも色々助けてくれた、エドは?
 私がキョロキョロしたけど、エドは見つからなかった。

「誰を探しているんだ?」
 そう言うエドガルド様の声がとても低いんだけど……
「いえ」
 不穏なものを感じて、私は首を振った。
「エドガルド、まだ競技は終わってませんよ」
 そこに王妃様がやって来て注意してくれた。

「もうどう見ても競技はリーナの勝ちで決まりでしょう!」
 エドガルド様が呆然と突っ立っているアレハンドラの方を見て反論した。
 そして、司会に目を向ける。
「では、競技を終了すると言うことで」
 係の人が声を出そうとした時だ。

「少しお待ちください!」
 きれいな女の人が前に出てきた。
「お母様!」
 アレハンドラの声でそれがミラネス侯爵夫人だと判った。
「どうしたのです、ミラネス侯爵夫人?」
 王妃様とミラネス侯爵夫人の二人の間で火花が散るのを感じた。
 何か二人とも黒い笑みを浮かべているんだけど。
 後でサラに聞いたら二人は昔筆頭聖女の座をかけて争っていたらしい。僅差で現王妃様が筆頭聖女の座を掴んだのだとか。未だにその時の怨恨で王妃様とミラネス侯爵夫人は仲が悪いらしい。

「まだ聖女のレベルの測定が残っていますわ」
「何を言うのよ、アーレ! どう見てもパウリーナちゃんとあなたの娘を比べたら、パウリーナちゃんの方が能力は上じゃない!」
「先の筆頭聖女を決める時は最後は聖女のレベルで決められたはずですわ。今回も最後は聖女のレベルで決めるのが公平だと存じます」
 二人が再びバチバチと火花を散らした。
 しばらく二人で睨み合っていたが、

「判りました。レベルで判定すれば良いのね?」
 きっとした顔で王妃様はミラネス侯爵夫人を睨み付けられたなんだけど……
「しかし、母上、パウリーナはまだ上級ポーションを作り出したところなんですよ。レベルはまだ、低いままでは?」
「エドガルド、良いのです。女神様は全てお見通しです」
「ああら、カサンドラ、何をいうのやら。今度こそは女神様が私に微笑みますわ」
 二人は黒い笑みをして二人で笑い合ってくれたんだけど
 なんか怖い。
 二人の争いは二人だけでやってほしいんだけど……

「アレハンドラ様、レベル争いならばなんとかなりますわ」
「良かったわ。エビータ。聖女のレベルなら絶対にパウリーナには負けないわ」
 今まで絶望していたのが嘘のようにアレハンドラは俄然やる気を取り戻していた。

「おいおい、どう見てもちびっ子の勝ちだろう」
「更にやるのか?」
「おかしいんじゃないのか」
 外野が騒ぎ出したが、

「お黙りなさい! 筆頭聖女様が決められた事よ」
 アレハンドラの母がヒステリックに叫んでいた。

 王妃様にイネスが呼ばれて、直ちに学園の倉庫に先生達が向かった。
 何でも学園にも聖女のレベルの測定器はあるそうだ。
 さすが学生の1割が聖女な聖マリアンヌ王国の学園だ。

 測定器は中心に大きな水晶があり、その周りに複雑な魔法陣がいくつも記載された物だった。

「それでは聖女のレベル測定を行います」
 司会の人が宣言した。

「まず、アレハンドラ嬢、前に!」
 アレハンドラは喜々として前に出た。

「パウリーナ。あなたには絶対に負けませんわ」
 私に必勝宣言をしてくれると測定器の前に立った。

「では水晶に手をかざして下さい」
 アレハンドラが水晶に手をかざす。

 水晶が金色に輝いた。
 そして、目の前に赤い光の棒が目に見えてドンドン伸びていく。

 その光はとあるところで止まった。

「レベル二十七です」
 司会者が驚いたように読み上げてくれた。
「やったわ。お母様。始めてレベル二十七になったわ」
 アレハンドラが喜んでくれた。

 私は今まで初級ポーションしか作ったことがなかつたのでレベルは十以上取ったことがなかった。
 いくら上級ポーションを沢山作ったからって、そう簡単にレベルが上っているとは思えないんだけど……

「パウリーナ嬢、前に」
 私は司会の言葉に前に出た。

「「「ウォーーーーー」」」
「いよう、チビっこ頑張れよ」
「絶対に勝てよ」
「ずるを許すなよ」
 私に対しての大声援が沸き起こったんだけど……

「大丈夫よ。パウリーナちゃん。女神様があなたの活躍はきっと見ていらっしゃったから必ず良い結果が出るわ」
 王妃様が太鼓判を押してくれるんだけど。
 エドガルド様とサラは心配そうに私を見ていた。

「では水晶に手をかざして下さい」
 司会の言葉に私は水晶に手をかざす。

 皆固唾を飲んで私と測定器を見てくれた。

 水晶が金色に光る。

 赤い光が、ドンドンのびてレベル十で止まる。
 ここまでか、残念に思って手を引こうとしたら、更に水晶が金色に輝いた。

 そして、赤い光の棒がぐんぐん伸びてレベルが上って行く。

「嘘よ!」 
「そんなバカな」

 アレハンドラとエビータの悲鳴が聞こえる中で光の棒はレベル三十を越えてパリンと水晶が割れたのだ。


「ちょっと待ってよ。これはおかしいわ」
「あり得ない」
「信じられない」
 アレハンドラや母が叫ぶが
「「「ウワーーーーー」」」
「三十超えだ!」
「おちびちゃんやったな!」
 後から起こった大歓声にかき消されてしまった。

「レベル三十以上でパウリーナ嬢の勝ちです」
 司会の声に
「「「「ウワーーーーー」」」
「凄いぞおちびちゃん」
「完勝だぞ」
 私は大歓声に呆然とした。
「良かったわよね」
「やったぞリーナ!」
 サラとかエドガルド様が抱きついて祝福してくれた。

 今までチビとかのろまとか散々他の聖女に虐められながら、大半の時間をただひたすら初級ポーションのみを作っていた。そうしたら聖女レベルが三十になったなんて信じられなかった。
 私は今までの努力が報われた気になって、目が涙目になっていた。
 そして、気付いたら号泣していたのだ。
 そんな私を皆して祝福してくれたのだった。
  **************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございました
お気に入り登録、感想等をして頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

冷遇された聖女の結末

菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。 本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。 カクヨムにも同じ作品を投稿しています。

『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』

ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています この物語は完結しました。 前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。 「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」 そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。 そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?

【完結】人生2回目の少女は、年上騎士団長から逃げられない

櫻野くるみ
恋愛
伯爵家の長女、エミリアは前世の記憶を持つ転生者だった。  手のかからない赤ちゃんとして可愛がられたが、前世の記憶を活かし類稀なる才能を見せ、まわりを驚かせていた。 大人びた子供だと思われていた5歳の時、18歳の騎士ダニエルと出会う。 成り行きで、父の死を悔やんでいる彼を慰めてみたら、うっかり気に入られてしまったようで? 歳の差13歳、未来の騎士団長候補は執着と溺愛が凄かった! 出世するたびにアプローチを繰り返す一途なダニエルと、年齢差を理由に断り続けながらも離れられないエミリア。 騎士団副団長になり、団長までもう少しのところで訪れる愛の試練。乗り越えたダニエルは、いよいよエミリアと結ばれる? 5歳で出会ってからエミリアが年頃になり、逃げられないまま騎士団長のお嫁さんになるお話。 ハッピーエンドです。 完結しています。 小説家になろう様にも投稿していて、そちらでは少し修正しています。

異世界に行った、そのあとで。

神宮寺あおい@1/23先視の王女の謀発売
恋愛
新海なつめ三十五歳。 ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。 当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。 おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。 いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。 『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』 そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。 そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!

冷酷騎士団長に『出来損ない』と捨てられましたが、どうやら私の力が覚醒したらしく、ヤンデレ化した彼に執着されています

放浪人
恋愛
平凡な毎日を送っていたはずの私、橘 莉奈(たちばな りな)は、突然、眩い光に包まれ異世界『エルドラ』に召喚されてしまう。 伝説の『聖女』として迎えられたのも束の間、魔力測定で「魔力ゼロ」と判定され、『出来損ない』の烙印を押されてしまった。 希望を失った私を引き取ったのは、氷のように冷たい瞳を持つ、この国の騎士団長カイン・アシュフォード。 「お前はここで、俺の命令だけを聞いていればいい」 物置のような部屋に押し込められ、彼から向けられるのは侮蔑の視線と冷たい言葉だけ。 元の世界に帰ることもできず、絶望的な日々が続くと思っていた。 ──しかし、ある出来事をきっかけに、私の中に眠っていた〝本当の力〟が目覚め始める。 その瞬間から、私を見るカインの目が変わり始めた。 「リリア、お前は俺だけのものだ」 「どこへも行かせない。永遠に、俺のそばにいろ」 かつての冷酷さはどこへやら、彼は私に異常なまでの執着を見せ、甘く、そして狂気的な愛情で私を束縛しようとしてくる。 これは本当に愛情なの? それともただの執着? 優しい第二王子エリアスは私に手を差し伸べてくれるけれど、カインの嫉妬の炎は燃え盛るばかり。 逃げ場のない城の中、歪んだ愛の檻に、私は囚われていく──。

虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~

八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。 しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。 それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。 幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。 それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。 そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。 婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。 彼女の計画、それは自らが代理母となること。 だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。 こうして始まったフローラの代理母としての生活。 しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。 さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。 ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。 ※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります ※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)

処理中です...