恋に破れた転生王女はツアコンを目指します

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
13 / 31

古都の大聖堂で帝国皇子が聖女像を光らせてくれて大騒ぎになりました

しおりを挟む
 私はデ・ボックがギャーギャー騒ぎ出した時はどうなるかと思ったが、モーリスが出てきてくれてほっとした。なんとかやっかいごとが収まったと思った。これで煩いデ・ボックとエーディットが静かになればと期待したのだ。

 でも、そこで解散した後に私はファルハーレン伯爵夫人に捕まったのだ。
「リーゼさん。私が言うことではないかもしれないけれど、基本的にツアーに参加している方々は皆平等のはずでしょう。払っている値段は同じなんですから。それを身分の一番高い者を優遇するというのはどうなのかしら」
 私はファルハーレン伯爵夫人から言われるまでそうは考えなかった。
 確かに夫人の言うその通りだ。公爵家だから値段が二倍で平民だからツアー代金が半額と言うことはないのだ。
「申し訳ありません。私の考え不足でした」
 私は一応謝ったのだ。
 でも、どうしたら良かったんだろう?
 私はそれを夫人に尋ねようとしたが、
「まあ、終わったことは今更かもしれないけれど、今後はきちんと考えてね」
 夫人はそう言ってニコリと笑って去って行ったのだ。
 後は自分で考えなさい。その背中がそう言っていたんだけど……

 でも、どうしたら良かったんだろう?
 あの時は時間もなかったし……
 私は回答を教えてくれなかった夫人に少しむっとしてしまったのだ。


「リーゼさん、どうしたんだい。そろそろ集合時間だよ」
 ロンバウトが声をかけてくれるまで私はその場で悩んでいたのだ。
「あっ、申し訳ありません。すぐに行きます」

 私が馬車に行った時は既に大半の方が揃っていた。
 点呼をすると、まだ、ステファニーが来ていなかった。
 何しているのよ!
 私を夜遅くまで人を散々愚痴に付き合わせるからだ。

 でも、朝食をギリギリで食べたのは確認したので、起きてはいるはずだ。
 私が馬車の前でイライラして待っていたら、
「申し訳ありません!」
 ステファニーが慌ててやってきた。
 私はほっとした。
 馭者の手を借りて、ステファニーが一号車にやっと乗り込んでくれた。

 最後部のヨハンを見ると手を挙げてくれた。
「では、皆様お揃いになられましたので、これより出発いたします」
 私がメイベルさんに合図するとメイベルさんが馬車を出してくれた。

「皆様。どうもありがとうございました」
「「「ありがとうございました」」」
 ホテルの従業員一同が頭を下げて見送ってくれた。
 その先頭には支配人のアーモンドがいたんだけど、ステファニーが何を言ったのか、あの後アーモンドはとても私に慇懃になったのだ。
 と言うかとても恐れていた。
 何でだろう?
 私には後でステファニーから聞き出そうと心に決めたのだ。


 馬車は今日は20分走って、大聖堂の前で止まった。今日は観光が盛りだくさんで、最初はこの大聖堂なのだ。

「はい、皆様、こちらの大聖堂は今から500年前に我が国の始祖が立てられた物でございます。我が王国は元々この地タカヤマから始まりました。しかし、建国から30年後に手狭になったという事で二代目国王陛下アレクサ1世の時に今の王都フェルムに遷都されたのです。この地タカヤマには今でもその当時の面影が残っております。このタカヤマ大聖堂もその時の名残で大きさは王都の大聖堂に次いで2番目に大きく、古さはヒルフェルスム王国の前の王朝の古都バーミアンの大聖堂の次に古いものになっております」

 私は建物の中に進んだのだ。
「添乗員さん、私達はここで良いわ」
 案内の途中でエーディットとデ・ボックが何回も来たのでもう案内はいらないと言って、馬車に帰って行った。
 さすがにこの王都から馬車で一日のこの古都タカヤマに来たことのある人も多くて、この大聖堂も既に何回も来ている人も多い。
私の案内を聞く人は途中からどんどん減っていった。

「そう、こちらの聖女像は今から100年前に帝国から送られた物で……」
 私が青銅色の聖女像を見て説明した時はロンバウト含めて10名もいなかった。

「そうか、これが賢帝コーバス二世が送られた聖女像か」
 ロンバウトが一番前でふんふんと頷いていた。自分の国から送られたということで興味があるんだろうか? 私が見ていると、
「確か、目に光を当てると像が金色に光るはずだぞ」
 そう言ってロンバウトが、
「光よ!」
 と聖女像の目に光を当ててくれたのだ。
「えっ?」
 私が慌てて止める間もなかった。

 ロンバウトの発した光が目に当たると聖女像の目が金色に光り、それがあっという間に、像全体を覆ったのだ。
 像が金ぴかに光り輝いていた。
「おおおお」
「奇跡だ!」
「神の奇跡だぞ」
 あっという間に周りから人が一杯集まってきて、私は唖然とした。

 その後慌てて飛んで来た司祭に根掘り葉掘り聞かれて大変だった。


「ロンバウト様、今後は何かされる時は前もってお教えくださいね」
 私はまだまだ引き留めようとした司祭に時間がないからと強引に振り切って出てきた。
 本当に大変だったのだ。時間は遅くなるし私は気が気ではなかった。
「いやあ、悪い悪い」
 軽い口調でロンバウトは謝ってくれたんだけど。全然反省が足りない。
 私はむっとした。
「いや、昔、赤髪の女の子に『この大聖堂にあるマリア像の目に光を当てると金色に光り輝くんだ』と言ったのに、信じてくれなくてさ。君の赤髪見たら思いだしてしまったんだ」
 ロンバウトは言い訳してくれたんだけど……
 いや、待って、その話、どこかで聞いた記憶がある。それも遙か昔に……

「リーゼさん大丈夫でしたか?」
 そこに私を見つけて慌ててヨハンが駆けつけてくれた。

「なんとかね」
 私が頷くと
「ロンバウト様。勝手な行動はツアーのスケジュールを乱す行為になりますから、今後はご遠慮ください」
 ヨハンがきつい口調で注意していた。
「いやあ、悪い悪い、今モリーゼさんに注意されていたところだよ」
 笑ってロンバウトが謝っていたけれど、

「ちょっと、添乗員さん、何やっているのよ!」
「何分待たせたら気が済むんだ?」
 エーディットとデ・ボックが文句を言ってきた。
「申し訳ありません」
 私は取りあえず謝った。
「いやあ、エーディット嬢、リーゼさんは悪くないよ。俺が余計な事をしたからなんだ」
 ロンバウトが横から謝ってくれた。

「まあ、ロン様は問題ありませんわ。スケジュールを管理するのはツアーコンダクターの仕事ですから、責任はリーゼさんにありますわ」
 エーディットがそう言って私を睨み付けてきた。
「まあまあ、スケジュールが遅れたものは仕方がありませんから、さっさと出発しましょうか」
 横からモーリスがそう言い出してくれて、私は30分遅れで、馬車を出せたのだ。
 最初の観光地から30分遅れのツアーの先行きに私は不吉なものを感じたのだった。

************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
果たして今日の行程はきちんこなして迷宮都市に着けるのか?
続きは明日です
お楽しみに



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

悪役令嬢、第四王子と結婚します!

水魔沙希
恋愛
私・フローディア・フランソワーズには前世の記憶があります。定番の乙女ゲームの悪役転生というものです。私に残された道はただ一つ。破滅フラグを立てない事!それには、手っ取り早く同じく悪役キャラになってしまう第四王子を何とかして、私の手中にして、シナリオブレイクします! 小説家になろう様にも、書き起こしております。

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!

ぽんちゃん
恋愛
 ――仕事で疲れて会えない。  十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。  記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。  そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

処理中です...