恋に破れた転生王女はツアコンを目指します

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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帝国皇子に過去がばれそうになって、慌てて強化魔術を使って壁を走り登りました

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 私はいきなり後ろの壁がなくなって落ちたのだ。
「リーゼ!」
 その瞬間ロンバウトが飛び込んできて私を抱きかかえてくれた。
 いや、一体何してるのよ! 帝国の皇子が!
 そんなことはその時は思う暇なくて、私は申し訳ないけれど、私は怖くて必死にロンバウトにしがみついた。

 穴は絶壁ではなくて斜面になっていた。
「ギャッ」
 最初はロンバウトがクッションになってくれて、後はゴロゴロ転がったんだけど、
 ロンバウトは背中とかを結構打ち付けていた。私は庇われて殆んど無傷だった。

 ダシン!
「ギャッ!」
 途中の出っ張りでロンバウトがクッションになってなんとか止まってくれた。

 辺りは真っ暗だ。
「ライト!」
 そう言ってロンバウトが光魔術で照らしてくれた。

「大丈夫か?」
 ロンバウトが私の顔を覗き込んでくれて尋ねてきた。
「えっ?」
 私の目の前に整ったきれいな顔立ちがあった。
 ちょっと尊い顔が近すぎるって!
 驚いた私は慌てて立上がろうとして
「ギャッ!」
 私の足がロンバウトの足の間を直撃したらしい。
「ご、ご免なさい!」
 足の間を抑えて悶絶するロンバウトに、更に謝る羽目になってしまった。



「ありがとうございます。私を庇ってくれて飛び込んで頂いて!」
 なんとか痛みを抑えて立ち上ったロンバウトに私はお礼を言った。
「いや、君は私が連れだって戻ったせいで、エーディットに詰められていただろう。俺が考えなしだったようだ。すまなかった」
 ロンバウトは頭を下げてくれた。
「いえ、私こそ当然想定していなければいけないことだったのに、下がってしまって、壁があんなに脆いとは思ってもいませんでした」
 私が言い訳した。

「本当だな。腐ってもいたのか?」
 おそらく、そうだろう。でも、スクモ男爵は結構鍾乳洞内のメンテナンスにも気を使っているようだった。多くの貴族や金持ちが訪れるのだ。農地もそんなに広くないスクモ男爵領の唯一無二の収入源だ。いい加減にスクモ男爵がやるわけはないと思うのだけど……
 たまたま不運だったのだろうか?
 まあ、そう思うしかないだろう。

 落ちてきた壁を見上げると壁穴は見えなかった。
 大分転がったみたいだ。
「ロン様こそ、大丈夫ですか。私の代わりにクッションになって頂いて」
「いや、俺は強化魔術を使ったから問題はない」
 私の質問にロンバウトは首を振って言い切った。

「それよりこの壁を登れるのか?」
 斜面は45度もないと思うけれど、濡れていてとても滑りやすい。
 一応靴は洞窟の中に入るので運動靴のような靴だから問題はないが、普通の私では登るのは大変そうだ。
「少し、難しいですね」
 私は首を振った。

「そうだな。スクモ達が探してくれるのを待つしかないか」
「すぐ来れるでしょうか?」
 私は聞かずもがなのことをロンバウトに聞いてしまった。
「さあ、どうかな」
 ロンバウトも判らないだろう。
「まあ、なんとかなるでしょう」
 私は首を振って笑ったのだ。

 その時だ。いきなりロンバウトが軽く笑いだしたんだけど。
「えっ?」
 私は驚いてロンバウトを見上げた。
「いや、すまない。昔の事を思い出しただけだ」
 ロンバウトが笑いながら言ってくれた。
「昔の事?」
 私が不審そうに訪ねると、
「昔、俺が小さいときだ。俺はとあるところで護衛を振り払って一人で探検と洒落混んだんだ。でも、よく知らないところだから、迷ってしまったんだ」
 それはよく判る。私もよく護衛を撒いては迷子になっていた。その度に護衛が必死に探してくれた。

「そうしたら、赤髪の女の子に出会ったんだ。良かった。これで道がわかると思ったのも束の間で、その子も迷子だと聞いた時はがっかりしたよ」
 どこかで聞いたことがある話だ。
「俺は腹も減っていたし、歩き疲れていたんだ。思わずがっかりしてしまって、涙目になってしまったんだ。そうしたらその子が、『なに泣いてるのよ、みっともない! 私が何とかするから』
 って言い出したんだ。
 こんな女の子に何が出きるんだ?と思って見ていたら
『まあ、何とかなるわよ』
 そう言って豪快に笑ってくれたんだ。今の君みたいに!
 俺よりも五つくらい小さい女の子に慰められて、俺は本当に情けなかったよ。その時の事を思い出したんだ」
 笑ってロンバウトが教えてくれたけど、それは絶対に私の事だ。そう言えば迷宮で迷っていた時に青髪の男の子に出会ったことが会ったのを思い出したのだ。
 あの時の情けない青髪の男の子が帝国の皇子だったとはじめて知った。
「その子は本当に君にそっくりなんだけど」
 ロンバウトが改めてそう言うと私の顔を覗き込んでくれた。

 だから近いって言うの!
 私は何故か赤くなった。
 ここは誤魔化した方が良いだろう。それに、早く戻らないと、そう思った時、私は思い出したのだ。

「ああああ!」
 私は大声をあげていた。
「どうした?」
「ヤバい! そう言えばスケジュールがおしているんだった」
 私はそう言って叫ぶと立ち上がった。


「ちょっと、リーゼ!」
「ロン様、時間がありません。行きますよ!」
 私はそう叫ぶと、身体強化するや否や、全力で壁を駆け上がったのだ。帝国皇子ならついて来れるはずだ。
 王宮から逃げ出すのに身体強化は必須だったのだ。
 なんか途中で狼みたいなものを弾き飛ばしたように思ったけど、人間でなければ、良いだろう。なんでこんなところに魔物がいるんだろう?
「退いて!」
 上がったところで、覗いていた、スクモ男爵を弾き飛ばしそうになって、私は叫んでいた。
「ひ、姫様!」
 スクモ男爵は私を見て、叫んでいた。
 その横で私達が落ちたと聞いて、慌てて動員されただろう、スクモの騎士達が驚いて私を見た。
「私はリーゼよ!」
 スクモ男爵を強引に黙らせたんだけど。
 横でモーリスが頭を抱えていた。


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