恋に破れた転生王女はツアコンを目指します

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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乗馬が苦手なのに、帝国皇子が私を無理矢理乗せてツアーの馬車を追いかけてくれました。

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 しまった。スクモに王女って事がバレてしまった?
 何でだろう?
 見た目は全然違うのに!

「私はリーゼです」
 と誤魔化したけれど、全く誤魔化し切れていないみたいだ。

「殿下は私達から逃げ出す時によく強化魔術を使われましたけれど、髪の色が違うといえどもお姿がそっくりでございました」
 スクモの言葉に私は頭を抱えたくなった。

「スクモ男爵」
 モーリスがスクモ男爵を傍に呼んで話してくれた。
 二、三話してくれたみたいだ。適当に誤魔化してくれた?
 いや、違う。絶対に黙っているようにと釘を刺してくれたに違いない。
 スクモが私を見る目が全然違うし。
 最悪だ。
 スクモには再度お父様やお兄様に話さないように釘を刺さないと!

「そうだ。ロン様を下に置いてきてしまいました」
 私が思い出して慌てて叫んでいた。
「彼ならば問題ないでしょう。すぐに来るはずです」
 モーリスが太鼓判を押してくれたが、本当だろうか?

「オオカミ型の魔物がいましたけれど、大丈夫ですか?」
「な、何ですと。この鍾乳洞には魔物はいないはずですが」
 私の言葉にスクモ男爵は驚くが、
「どこかから入り込んだのではないですか?」
「そのようなことは……」
「ないとは断言できまい。早速調べればどうだ」
 モーリスが助言してくれた。
「そうですな」
 スクモが部下の騎士達に二三指示を下す。

「やっと着いた」
 そこに疲れ切ったロンバウトが戻ってきた。
「リーゼ、いきなり叫んで俺をおいていくなんて酷いぞ!」
 早速私に文句を言ってきた。

「お陰でオオカミ型の魔物に襲われるし最悪だった」
「ロン、下にはやはり魔物もいたのか?」
 モーリスが慌てて聞いていた。
「大半は始末したと思うが全ては始末していない」
「判りました。すぐに騎士達を連れて討伐します」
 スクモがそう宣言して騎士達に指示する。

「そうだ。モーリス様。他のツアー客はどうしました?」
 私が思い出してモーリスに確認すると、
「ここは私がなんとかするとヨハン君には伝えました。リーゼさんと争った形になっているエーディット嬢はとても動揺していましたが、リーゼさんはロンもついているから大丈夫だからと先に鍾乳洞を出しました。ここにいてもあれなので、彼が率いて今日の宿泊地に向かってくれたはずです」
モーリスの説明に私はほっとした。
「色々とご迷惑をおかけして申し訳ありません」
 私がモースりに謝ると、
「リーゼさんは相変わらずのお転婆ぶりですな」
 モーリスに笑われてしまったんだけど……。ロンバウトの手前あまりそういう話はして欲しくない。彼はまだ気付いていないはずだ。

「ありがとうございます。チーフ添乗員がいないと大変ですし、すぐに彼らと合流しないと。
スクモ男爵様。後はお任せしていいですか?」
「大丈夫でございます。何でしたら馬車を使われますか」
 スクモ男爵の私への扱いはもう完全に王女モードなんだけど……
「急ぐのならば馬を借りられるか?」
 モーリスが聞いてくれた。
「えっ、馬なのですか?」
 私は思わず口に出してしまった。
「ロンが乗せてくれますよ」
 モーリスがニコリと笑ってくれるんだけど……

「リーゼ、俺は乗馬は普通に出来る。急いで追いつかないといけないのならば、行こうか?」
 ロンバウトが提案してくれた。いつの間にか私の事が呼び捨てになっているし……まあ、私は平民設定でロンバウトは子爵扱いだから良いと言えばいいんだけど……

 でも、乗馬は嫌なのだ。

 そう、私は何でも挑戦したんだけど、乗馬だけはうまく出来なかった。前世で乗馬体験で突然馬が暴れ出して落馬した事があったのがトラウマになっていたのかもしれない。だから移動は基本的にいつも馬車だったのだ。馬が使えればもっとうまく移動出来て、護衛から逃げ出せたと思うんだけど……


 スクモ男爵が出口まで案内してくれた。
 そして、2頭の馬を貸してくれた。
「では、リーゼ様。お健やかに」
 スクモはロンバウトの手前、誤魔化してくれたつもりかもしれないけれど、平民を様付けで呼ぶなと私は叫びたかった。

「えっ」
 そんな動揺した私の腰を掴んで後ろからいきなりロンバウトが馬の上に持ち上げてくれたのだ。

 ちょっといきなりは止めてよ!
 心の準備が出来ていない!
 私は叫びたかった。馬の背はぐらぐらしてこの不安定な状態が嫌のなのだ。
 でも、その後ろにあっという間にロンバウトが乗ってくれた。

「では行くぞ」
「きゃあ!」
 そして、私の了解も取らずにあっという間に馬を走らせ始めたのだ。
 私は悲鳴を上げるしか出来なかった。
 馬は嫌だって言っているのに!

「口を閉じていないと噛むぞ」
 容赦なくロンバウトは馬を走らせてくれたのだ。
 キャーーーーー
 私は心の底から悲鳴を上げつつ、私の両脇に伸ばして手綱を掴んだロンバウトの腕を思わず掴んでいた。
馬は飛ぶように走って私はただただロンバウトの腕にしがみつくしか出来なかったのだ。
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