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迷宮の青の間に皆で圧倒されました
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さて、ついに今日は今回のツアーのメインイベント迷宮探索だ。
私は馬車の御者台から遠くに見える迷宮について拡声の魔道具を使って説明を始めた。
迷宮は外からは白亜の巨大な城のような形をしていた。
「皆様。これから向かう迷宮はとても古いものです。我が国の学者も何百年と研究しておりますが、未だに多くのことは謎に包まれております。迷宮は古くは先史時代から存在が確認されており、前文明のものであると言われております……」
私は迷宮の研究の歴史を簡単にお話した。
そして、その後は大切な注意事項だ。
「迷宮の管理は国王陛下の名の下に行なわれております。余計な事をすると陛下から叱責ないし罰が与えられる可能性があります。中での行動には十分にご注意ください。迷宮は10年前に道迷い事件が起こってからしばらくは一般には完全に非公開とされておりました。此度弊社の社長がしかるべきお方と長年交渉してきた結果、やっとこのツアーが催行されることになりました。王国側からは、注意事項として壁には絶対に触れないように言われております。触れた場合は何が起こるか王国としても保証いたしかねるとのことでございます。くれぐれもお気をつけ下さい。それと迷宮内は研究者の先生がガイドとしてついていただきますが、先生の言うことは必ず聞いていただきますようによろしくお願いします」
私が案内を終えた丁度その時に馬車は迷宮の入り口に到着したのだ。
迷宮の入り口には王国の騎士の詰め所があり、数人の騎士が警備していた。
近くで見ると巨大な城だ。我が王宮よりも遙かに大きかった。
まだ、朝早いので土産物屋も観光客もまばらだった。
普通はこの前までしか来れないのだ。
中に入れるのは研究者だけだった。
私達は馬車を降りた。
「凄いわね」
目を見開いてステファニーが呟いた。
「本当に大きいわ」
「ここまでデカイとは思ってもいなかったな」
皆目を丸くしていた。
「ようこそ迷宮へお越し頂きました。今日案内させていただきますボンゴレと申します」
そこに現れたのは私が想像していた年いった博士ではなくて、とても若い中肉中背の黒髪の男だった。
「よろしくお願いします。このツアーのチーフツアーコンダクターをしておりますリーゼと申します」
私が挨拶をする。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
如才なくボンゴレは返してくれた。
「こちらで全員ですか?」
全員を見回して、少し眉をしかめてボンゴレは聞いてきた。
「そうですが、何かございますか?」
「いえ、人数が申請頂いた人数よりも一人少ないかと」
「申し訳ありません。一人体調不良で宿で休んでおりまして」
私は言い訳していた。
本当に護衛が時間に間に合わないなんてどういう事なのよ!
帰ったらきつく叱責しないと。
「さようでございますか。では皆様揃われたということで、参りましょう」
ボンゴレは騎士に合図すると騎士が迷宮の前に巡らされた柵の中に設けられた門を開けてくれた。
そこから100メートル迷宮の入り口まで我々は歩いた。
「この迷宮はまだまだわからない事が多いのです。不用意に壁に触って落とし穴に落ちたものや別の地点に飛ばされた者、行方不明になった者など枚挙にいとまはございません。壁には絶対に触れないようにくれぐれもご注意ください」
歩きながらボンゴレは私が注意したことを再度説明してくれた。
近づくにつれて迷宮がどんどん大きくなってくる。
高さは100メートルくらい、幅は1キロを超える巨大な建物だ。
更に地下まであって実際の大きさは未だに判っていなかった。
たまに冒険者が中に入って探索させることもあるのだが、生きて帰って来る者が1割にも満たないとのことで、今は禁じていた。今回歩けるのは安全を確認された7区画だけだ。
話しているうちに、巨大な10メートルくらいある扉の前に我々は案内された。
「開門!」
ボンゴレが詠唱すると魔術具なのだろう、巨大な扉がゆっくりと開いたのだ。
今回も私が先頭で後ろはヨハンに任せた。
中に入った瞬間だ。
「うわーーーー」
思わずステファニーが声を上げていた。
皆絶句していた。
そこには広大な青空と足下には海が広がっていたのだ。
「どうなっているの? これは」
足下をトントンやって落ちないのを確認してステファニーが歩いてみる。
完全に海の上を落ちないで歩いていたのだ。
「こちらは青の間です」
ボンゴレが説明してくれた。
辺り一面真っ青だ。
見渡す限りの海原と水平線から上は青空だった。
「凄いな! 久しぶりに来たけれど、こんなだったか?」
いつの間にか私の横に来たロンバウトが感無量で呟いてくれた。
「ここまで青かったなんて!」
私も久方ぶりの迷宮に感動していた。ここはいつ来ても心が洗われる。
そういって顔を上げると私は私をぶしつけに見るロンバウトの視線に気付いた。
「ガイドブックの挿絵よりもきれいですね」
そう言って誤魔化したのだ。何しろ私は初めてこの地に来た設定なのだ。
「まあ、ロン様。あまり、その女に近付いてはいけませんわ」
そう言って横からエーディットが入ってきてくれた。このタイミングは良かった。
「リーゼさんはこの迷宮は何回目なの?」
ほっとした私にファルハーレン伯爵夫人が更に尋ねてくれた。
「何をおっしゃっていらっしゃるのですか? ファルハーレン様。当然初めてですよ」
私は笑って誤魔化したのだ。
「そうなの? いえね、昔この地であなたを見かけたような気がしたから」
「ファルハーレン様は昔いらしたことがおありなのですね」
「そうね。10年前に夫と来たことがあるわ」
「そうなのですね。じゃあこの地は想い出の地なんですね」
「ええ、夫はここが好きで1時間くらいここで過ごしたことがあったのよ」
私はその言葉がよく判った。
私も迷宮探検をしていた時はここに来るのが本当に楽しみだったのだ。
「ここは前国王陛下がお好きだった場所でよくお越しでした」
ボンゴレが前で説明していた。
そう、ここには祖父によく連れてきてもらっていたところだ。
私はその時の事を思い出していた。
私は感傷に浸っていたのでロンバウトがこちらを熱い視線で見つめていたのも、ボンゴレが鋭い視線でそのロンバウトを睨んでいたのも気づかなかったのだ
私は馬車の御者台から遠くに見える迷宮について拡声の魔道具を使って説明を始めた。
迷宮は外からは白亜の巨大な城のような形をしていた。
「皆様。これから向かう迷宮はとても古いものです。我が国の学者も何百年と研究しておりますが、未だに多くのことは謎に包まれております。迷宮は古くは先史時代から存在が確認されており、前文明のものであると言われております……」
私は迷宮の研究の歴史を簡単にお話した。
そして、その後は大切な注意事項だ。
「迷宮の管理は国王陛下の名の下に行なわれております。余計な事をすると陛下から叱責ないし罰が与えられる可能性があります。中での行動には十分にご注意ください。迷宮は10年前に道迷い事件が起こってからしばらくは一般には完全に非公開とされておりました。此度弊社の社長がしかるべきお方と長年交渉してきた結果、やっとこのツアーが催行されることになりました。王国側からは、注意事項として壁には絶対に触れないように言われております。触れた場合は何が起こるか王国としても保証いたしかねるとのことでございます。くれぐれもお気をつけ下さい。それと迷宮内は研究者の先生がガイドとしてついていただきますが、先生の言うことは必ず聞いていただきますようによろしくお願いします」
私が案内を終えた丁度その時に馬車は迷宮の入り口に到着したのだ。
迷宮の入り口には王国の騎士の詰め所があり、数人の騎士が警備していた。
近くで見ると巨大な城だ。我が王宮よりも遙かに大きかった。
まだ、朝早いので土産物屋も観光客もまばらだった。
普通はこの前までしか来れないのだ。
中に入れるのは研究者だけだった。
私達は馬車を降りた。
「凄いわね」
目を見開いてステファニーが呟いた。
「本当に大きいわ」
「ここまでデカイとは思ってもいなかったな」
皆目を丸くしていた。
「ようこそ迷宮へお越し頂きました。今日案内させていただきますボンゴレと申します」
そこに現れたのは私が想像していた年いった博士ではなくて、とても若い中肉中背の黒髪の男だった。
「よろしくお願いします。このツアーのチーフツアーコンダクターをしておりますリーゼと申します」
私が挨拶をする。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
如才なくボンゴレは返してくれた。
「こちらで全員ですか?」
全員を見回して、少し眉をしかめてボンゴレは聞いてきた。
「そうですが、何かございますか?」
「いえ、人数が申請頂いた人数よりも一人少ないかと」
「申し訳ありません。一人体調不良で宿で休んでおりまして」
私は言い訳していた。
本当に護衛が時間に間に合わないなんてどういう事なのよ!
帰ったらきつく叱責しないと。
「さようでございますか。では皆様揃われたということで、参りましょう」
ボンゴレは騎士に合図すると騎士が迷宮の前に巡らされた柵の中に設けられた門を開けてくれた。
そこから100メートル迷宮の入り口まで我々は歩いた。
「この迷宮はまだまだわからない事が多いのです。不用意に壁に触って落とし穴に落ちたものや別の地点に飛ばされた者、行方不明になった者など枚挙にいとまはございません。壁には絶対に触れないようにくれぐれもご注意ください」
歩きながらボンゴレは私が注意したことを再度説明してくれた。
近づくにつれて迷宮がどんどん大きくなってくる。
高さは100メートルくらい、幅は1キロを超える巨大な建物だ。
更に地下まであって実際の大きさは未だに判っていなかった。
たまに冒険者が中に入って探索させることもあるのだが、生きて帰って来る者が1割にも満たないとのことで、今は禁じていた。今回歩けるのは安全を確認された7区画だけだ。
話しているうちに、巨大な10メートルくらいある扉の前に我々は案内された。
「開門!」
ボンゴレが詠唱すると魔術具なのだろう、巨大な扉がゆっくりと開いたのだ。
今回も私が先頭で後ろはヨハンに任せた。
中に入った瞬間だ。
「うわーーーー」
思わずステファニーが声を上げていた。
皆絶句していた。
そこには広大な青空と足下には海が広がっていたのだ。
「どうなっているの? これは」
足下をトントンやって落ちないのを確認してステファニーが歩いてみる。
完全に海の上を落ちないで歩いていたのだ。
「こちらは青の間です」
ボンゴレが説明してくれた。
辺り一面真っ青だ。
見渡す限りの海原と水平線から上は青空だった。
「凄いな! 久しぶりに来たけれど、こんなだったか?」
いつの間にか私の横に来たロンバウトが感無量で呟いてくれた。
「ここまで青かったなんて!」
私も久方ぶりの迷宮に感動していた。ここはいつ来ても心が洗われる。
そういって顔を上げると私は私をぶしつけに見るロンバウトの視線に気付いた。
「ガイドブックの挿絵よりもきれいですね」
そう言って誤魔化したのだ。何しろ私は初めてこの地に来た設定なのだ。
「まあ、ロン様。あまり、その女に近付いてはいけませんわ」
そう言って横からエーディットが入ってきてくれた。このタイミングは良かった。
「リーゼさんはこの迷宮は何回目なの?」
ほっとした私にファルハーレン伯爵夫人が更に尋ねてくれた。
「何をおっしゃっていらっしゃるのですか? ファルハーレン様。当然初めてですよ」
私は笑って誤魔化したのだ。
「そうなの? いえね、昔この地であなたを見かけたような気がしたから」
「ファルハーレン様は昔いらしたことがおありなのですね」
「そうね。10年前に夫と来たことがあるわ」
「そうなのですね。じゃあこの地は想い出の地なんですね」
「ええ、夫はここが好きで1時間くらいここで過ごしたことがあったのよ」
私はその言葉がよく判った。
私も迷宮探検をしていた時はここに来るのが本当に楽しみだったのだ。
「ここは前国王陛下がお好きだった場所でよくお越しでした」
ボンゴレが前で説明していた。
そう、ここには祖父によく連れてきてもらっていたところだ。
私はその時の事を思い出していた。
私は感傷に浸っていたのでロンバウトがこちらを熱い視線で見つめていたのも、ボンゴレが鋭い視線でそのロンバウトを睨んでいたのも気づかなかったのだ
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