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担任の罰ゲームの宿題を忘れてしまいました
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私はジルがいきなり私の目の前から消えて、庭に飛んで行ったのには驚嘆した!
「ジル!」
私は慌てて窓辺に駆け寄った。
外を見ると、ジル様は庭の植栽の中に頭からはまっていた。が、バタバタと体を動かしだした。大丈夫みたいだ。
「まあ、あんたの護衛凄いわね!」
呆れて、マチルダがぴーちゃんを見ているんだけど、何で?
「本当に我が帝国の守り神様だったのですね」
なんか、ジーニーがぴーちゃんを拝みだしそうなんですけど。
「えっ、ぴーちゃん、あなたがしたの?」
私の問いに
「ぴー」
胸を張ってぴーちゃんが鳴いてくれるんだけど、でも、一体こんな小さな体で何してくれたんだろう?
ひょっとしてぴーちゃんも魔法を使えるの?
不思議そうにぴーちゃんを見る。
「あんたたちも良く判ったでしょ。ピースケに逆らったり、パティに酷いことしたら、あんなふうになるわよ」
異変を聞いて中に飛び込んで来た騎士たちに、マチルダは遠くのジルを指さして言うんだけと。それを見てさっきの騎士がぴくぴく首を振っているんだけど……
なんだろう?
何か違和感しかないんだけど。
「おおい、いい加減誰か助けてくれ」
ジルが植栽の中で叫んでいる。
「パティに余計な事をするからじゃない」
マチルダはそういいつつも周りで見ていた騎士たちに声をかける。
騎士達が植栽の中に入ってジルを手伝って植栽から出していた。
でも、ぴーちゃんはそんなの全く無視して、自分のお皿を食べつくすと、今度は私のお皿の物まで喜んで食べだしたんだけど……
その図太さを私も見習いたい!
「さすがピースケ様。お嬢様の前でその態度はご主人様のパトリシア様と同じです」
私はそう呟いて感心するジーニーさんの声が聞こえていなかった。
結局、ジルは「また出直していらっしゃい」という、マチルダに頷いて帰って行ったんだけど、それでよかったんだろうか? 婚約者の二人の仲を邪魔したみたいで私はとても罪悪感を感じた。
「何言っているのよ。私とジルの件は本当に何でもないのよ。私はここに来て、あなたに会いたかっただけなのに、なかなかお父様たちが許してくれなかったから、適当な理由探していたら、ジルがこの国にいるのが判ったのよ。それで、ジルに会いに行きたいって言ったら父が嬉々として私の婚約者にジルをしただけよ」
何でもないようにマチルダが言うんだけど。
「えっ、嘘でしょ」
私に会いに来るためだけに自分の婚約者をジルにしたの?
「まあ、釣書が山のように来ていたから見るのも面倒だったというのもあるし、元々ゲームでは彼が婚約者だったというのもあるわよ」
マチルダがさも当然のように言うんだけど。
「便利だから彼の婚約者でいるだけなのよ。それに、いつまでも彼の婚約者でいるつもりもないし」
何か不穏な事をマチルダが言っているんだけど。
うーん、なんかマチルダのいう事が良く判らない。まあ、私もマチルダも二人とも前世から恋愛経験がないのだから、恋愛自体が判っていないのかもしれないが。少なくとも私は好きな相手とじゃないと結婚なんて嫌だ。
「あなた、お貴族様なのよ。自分の意志がいつまでも通用するわけないでしょ」
マチルダは馬鹿にして言ってくれるけど、
「だってうちはあなたの所と違って貧乏男爵家だし」
「何言っているのよ。貧乏男爵家だからこそ、政略結婚はあり得るのよ。ブラッドからあなたの家に申し込みがあってごらんなさい。あっという間にあなたはブラッドの婚約者になるから」
呆れたようにマチルダは言うけれど、
「はあああ? そんなのあり得ないわよ。ブラッドは私を護衛として使いたいだけなんだから」
そう言う私をマチルダは本当に残念なものを見るように見てくれるんだけど、何でだ?
結局いろんな事があったので、疲れきっていて、私は部屋に帰るとバタンキューと寝てしまったのだ。
そう、やらなければいけないことを完全に忘れていたのだ。
「ああああ!」
そして、翌朝。私はホームルームに入ってきたストラシー先生を見て思い出したのだ。
思わず、大声を上げた全員の視線をモロに浴びてしまった。
「どうしたのですか? パトリシアさん」
「い、いえ、すみません。なんでもありません」
私は必死に誤魔化そうとしたが、
「あなた、まさか宿題忘れてきたわけではありませんよね」
ニコリとストラシー先生は微笑んでくれたが、目が笑っていないんだけど……
私は真っ青になってしまった。
「ジル!」
私は慌てて窓辺に駆け寄った。
外を見ると、ジル様は庭の植栽の中に頭からはまっていた。が、バタバタと体を動かしだした。大丈夫みたいだ。
「まあ、あんたの護衛凄いわね!」
呆れて、マチルダがぴーちゃんを見ているんだけど、何で?
「本当に我が帝国の守り神様だったのですね」
なんか、ジーニーがぴーちゃんを拝みだしそうなんですけど。
「えっ、ぴーちゃん、あなたがしたの?」
私の問いに
「ぴー」
胸を張ってぴーちゃんが鳴いてくれるんだけど、でも、一体こんな小さな体で何してくれたんだろう?
ひょっとしてぴーちゃんも魔法を使えるの?
不思議そうにぴーちゃんを見る。
「あんたたちも良く判ったでしょ。ピースケに逆らったり、パティに酷いことしたら、あんなふうになるわよ」
異変を聞いて中に飛び込んで来た騎士たちに、マチルダは遠くのジルを指さして言うんだけと。それを見てさっきの騎士がぴくぴく首を振っているんだけど……
なんだろう?
何か違和感しかないんだけど。
「おおい、いい加減誰か助けてくれ」
ジルが植栽の中で叫んでいる。
「パティに余計な事をするからじゃない」
マチルダはそういいつつも周りで見ていた騎士たちに声をかける。
騎士達が植栽の中に入ってジルを手伝って植栽から出していた。
でも、ぴーちゃんはそんなの全く無視して、自分のお皿を食べつくすと、今度は私のお皿の物まで喜んで食べだしたんだけど……
その図太さを私も見習いたい!
「さすがピースケ様。お嬢様の前でその態度はご主人様のパトリシア様と同じです」
私はそう呟いて感心するジーニーさんの声が聞こえていなかった。
結局、ジルは「また出直していらっしゃい」という、マチルダに頷いて帰って行ったんだけど、それでよかったんだろうか? 婚約者の二人の仲を邪魔したみたいで私はとても罪悪感を感じた。
「何言っているのよ。私とジルの件は本当に何でもないのよ。私はここに来て、あなたに会いたかっただけなのに、なかなかお父様たちが許してくれなかったから、適当な理由探していたら、ジルがこの国にいるのが判ったのよ。それで、ジルに会いに行きたいって言ったら父が嬉々として私の婚約者にジルをしただけよ」
何でもないようにマチルダが言うんだけど。
「えっ、嘘でしょ」
私に会いに来るためだけに自分の婚約者をジルにしたの?
「まあ、釣書が山のように来ていたから見るのも面倒だったというのもあるし、元々ゲームでは彼が婚約者だったというのもあるわよ」
マチルダがさも当然のように言うんだけど。
「便利だから彼の婚約者でいるだけなのよ。それに、いつまでも彼の婚約者でいるつもりもないし」
何か不穏な事をマチルダが言っているんだけど。
うーん、なんかマチルダのいう事が良く判らない。まあ、私もマチルダも二人とも前世から恋愛経験がないのだから、恋愛自体が判っていないのかもしれないが。少なくとも私は好きな相手とじゃないと結婚なんて嫌だ。
「あなた、お貴族様なのよ。自分の意志がいつまでも通用するわけないでしょ」
マチルダは馬鹿にして言ってくれるけど、
「だってうちはあなたの所と違って貧乏男爵家だし」
「何言っているのよ。貧乏男爵家だからこそ、政略結婚はあり得るのよ。ブラッドからあなたの家に申し込みがあってごらんなさい。あっという間にあなたはブラッドの婚約者になるから」
呆れたようにマチルダは言うけれど、
「はあああ? そんなのあり得ないわよ。ブラッドは私を護衛として使いたいだけなんだから」
そう言う私をマチルダは本当に残念なものを見るように見てくれるんだけど、何でだ?
結局いろんな事があったので、疲れきっていて、私は部屋に帰るとバタンキューと寝てしまったのだ。
そう、やらなければいけないことを完全に忘れていたのだ。
「ああああ!」
そして、翌朝。私はホームルームに入ってきたストラシー先生を見て思い出したのだ。
思わず、大声を上げた全員の視線をモロに浴びてしまった。
「どうしたのですか? パトリシアさん」
「い、いえ、すみません。なんでもありません」
私は必死に誤魔化そうとしたが、
「あなた、まさか宿題忘れてきたわけではありませんよね」
ニコリとストラシー先生は微笑んでくれたが、目が笑っていないんだけど……
私は真っ青になってしまった。
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