長く白い道が続くこの場所で

りっこ

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第一章

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「…いちゃん!!お兄ちゃん!!!」

「んだよ櫻…ってなんでいんのお前!!」

「帰ってくるんでしょ?梅さんから聞いたから来たの」

「いや、お前なんでこっちにいんの?馬鹿なの?」

「プチ旅行的な?そうそう、そういうこと」

俺の家族はどうしてこんなに自由なんだ?

こんな朝っぱらから…

眠い…

えっ、9時?

やばいやばいやばい!!!!









「やばい!!!!」

え…?6時…?

「…夢?」

は?櫻…は?

あ、やっぱり…夢?

“兄貴!明後日帰ってくるんだよね!待ってる!早く帰ってきてね!”

なんだ良かったそうだよな、来ないよな…

「兄貴?」

「ぶぃやぁ!?櫻!?」

本当に来てやがる…マジでかよ…

「俺今日仕事だからな?仕事…だぞ?てかなんで俺帰るって知ってんの?梅村さんから聞いたの?」

「そう、昨日梅さんの子供の咲菜と遊んでたの」

なんで俺の上司の子供と仲良くなってて、俺の上司をあだ名で呼ぶんだよ…理解ができない…

本当に自由人だったんだな…俺の家族…

「櫻朝ごはん作る!パンでいい?」

「お、おう…ところで櫻今日行くとこあんの?」

「兄貴の家泊まっていい?明日帰るんでしょ?一緒に帰ろうかなって」

「おっけ~、なら鍵渡しとくわ、6時までに帰ってこねぇと俺家は入れねぇからそこんとこ宜しくな」

「はーい!」

自分の妹ながら本当に可愛い妹だと思っている。

シスコンとかじゃなくて真面目に。





「桔平~!!!!おっはよう!!」

「あっ梅村さん…うちの妹が…」

「あ~櫻ね~、ほんとかわいい顔してるよね~、あなたが帰ったあとすぐ帰ってきたのよ~、ほんともう少し足止めしておけばよかったって思ってさ~、ほんとに可愛いのよね~、うちの子になってほしい」

梅村さんは自分の子かのように話すが、どこまでこの人は人がいいんだ。

あっ、やばい、仕事に使う資料を忘れてきた気がする。

結局昨日から地元の事しか頭になくて、ろくに準備もせず家を出てきたもんだから忘れ物が山のようにあった。

「辻野~、ネクタイは?」

「えっ」

終いにはネクタイも忘れる始末。

とにかく今日は早く仕事を終わらせて帰らなければならない。

忘れてきた資料をまた1からかき集めて、今日する予定だった仕事に取り掛かった。

…ん?ここって…

『ちょうど北海道に知ってるところがあるんだけど、そこの木の近くに行ってごらん。とっても落ち着くらしいから。』

木だけで…俺の地元…ここじゃん…

絶対誰もいないじゃん…

てかなんでこれ…?

「これ、桔平が地元だからやりますって言ったんでしょ?なんなら一週間後に仕上げてもいいし」

「あっじゃあ僕今日帰っても大丈夫ですかね…妹…来てて……」

「おっそうだったか、いいぞ、いっつも頑張ってくれてるからな!気をつけてな!」



そんなこんなで早退したけど、ケーキのひとつでも買ってってやるか…

あいつ、モンブラン好きだったもんなぁ。

あっ、チョコでもいいのかな。

なんなら昼飯作ってやるか。

カルボナーラ…にするか!よし、買って帰ろっと。






「ただいま~」

「おかえんなさい!兄貴早かったね!お昼作ってくれるの?やった!!」

「これでもくって待ってれ~、モンブラン買ってきた」

「やった!さすが兄貴!」

櫻は5離れている妹、素直な性格でとても可愛い。

母親に似たのか行動力があっていつもどこかしらに旅行している。

20歳近くなった今でも毎日電話がかかってきて1時間くらい喋る兄貴大好きっ子だ。

そんな話しているのに俺の恋愛事情については全く話していなかった。

話す暇がなかった。

櫻の話を聞くだけで精一杯だった。

ベーコンを炒めていると隣に櫻がひょこっと顔を出した。

「あー、美味しそうな匂い…兄貴!後で兄貴のこと聞かせてよ!だから戻ってくるんでしょ?こっちに」

「お?あぁ、うんわかった」

話さなくてもわかる妹でよかった気がする。

飲み物は~…やべぇミルクティしかねぇ…

「櫻、飲み物ミルク…」

「ミルクティでしょ?いいよ」

櫻が…大人になった…!!

しばらく会ってなかったもんな、そりゃそうか。

ブーッブーッ

…?あ、メールか。

“桔平!櫻そっち行ってるんだってね~、私今日気がついたよ。帰ってくる時一緒に連れてきてね~。”

なんで母さんまで俺が帰ること知ってんだよ!!!

なんでだy「梅さん昨日ママと話してたよ」

「なんで梅村さんと関わりが深いんだよお前らは!!!」

「兄貴焦げる!!!!」

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!

焦がすなあああああああ!!!!

「てのは嘘なんだけどさ、火、止めてるの忘れたの?」

「えっ」

こんなんだから彼女ができないのか、彼女が寄ってこないのか、寄せ付けてないのか、俺には全然わからない。



この時は全く分からなかった。





「いただきまー!!!!」

ご飯を食べながら俺は終わらせられる仕事は終わらせた。

櫻は美味しい美味しいと言いながら口いっぱいに頬張って食べていた。

「そう言えば、兄貴彼女作りに戻ってくるんでしょ?」

「グゴッそうじゃねぇよ!!俺は馬鹿かよ!!ちょっとした休暇だよ、休暇!!」

まあ、間違いではないけど…

そんなことで仕事は休まねぇよ…

「まっ、とりあえず戻るなら遥ちゃんに会いに行けば?」

「なんで遥なんだよ」

俺が1番長く続いた彼女ではあったが正直会いたくはない。

遥の浮気が原因で別れることになったのだが、その浮気癖は直っていないみたいで、あわよくば俺とよりを戻したいと櫻に言っていたらしい。

勘弁して欲しいものだ。

「あっ櫻、俺のチャリ残ってる?ちょっと行きたいところがあってよ」

「もちろん残ってるよ、どこ行くの?」

「ちょっとな」

あえて櫻には場所を言わず一人で行くことにした。

「俺仕事片付けないといけないから、夜ご飯悪いけど食べてきてくれるか?」

「なら兄貴のなんか買ってくるね!あ!梅さんのところ行ってくる!!」

また梅村さんと…

ほんとに俺の家族は自由だ。

それを言ったら俺もなのだろうか…

さて、仕事終わらせて明日の準備して…

寝なきゃな…
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