狼と山猫 〜囚われの男装麗人は倒錯王に溺愛される〜

灯台守

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結婚初夜の褥

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その夜も、また次の夜も。
婚姻の儀が行われるその日まで、夜が訪れるたびにクロードはロイの寝室を訪れた。
彼は当然のように彼女に触れ、望もうと望むまいと、その身を支配した。

それはロイにとって、紛れもない屈辱だった。
けれど皮肉なことに、触れられるたび感覚は鋭くなり、彼女の内側には、否応なく女としての艶が積み重なっていった。

* * *

とうとう、結婚式の当日がやってきた。

奇妙なことに、クロードが用意した純白のウエディングドレスは、ロイの身体に驚くほどぴたりと合っていた。
寸分の狂いもなく、裾も、身頃も、どこ一つ手直しの必要がない。

「この日のために、僕はずっと前から準備していたのです」

クロードはそう言って、満足げに微笑んだ。

その言葉を聞いた瞬間、ロイの背筋に冷たいものが走る。
自分の知らぬところで、いつから――どこまで見据えて、この男は動いていたのか。

祝福されるべき婚礼衣装は、いつの間にか、彼の異常な執着の証のように思えてならなかった。
ロイは、言い知れぬ怖気を胸の奥に押し込めたまま、純白のドレスに身を委ねるしかなかった。

* * *

式は滞りなく遂行された。

そしてその夜、新郎新婦は二人の寝所に足を踏み入れた。

「緊張していますか?大丈夫です、僕に身を任せてください」

クロードは、風呂上がりで頬を上気させた花嫁の手をとり、仄かな灯りに照らされたベッドに導いた。ロイは始終無言だった。

骨ばった男の手が、彼女のローブの合わせ目を解く。

またいつものように、この男に体を貪られるのだーーロイは、ほんの少し期待していることに気づき、そんな自分に嫌悪を覚えた。

このいかれた男のことを完全には好きになれないが、美しい容貌と熟練した手業は、まあ悪くないのかもしれないーー。ロイは自分を正当化するために、そう思うように努めた。

蕩けるようなキスから始まり、胸の蕾へのタッチ、湿り気を帯びてきた下腹部の愛撫と、流れるように行為が進んでいく。

ただいつもと違うのは、クロード自身も肌を露わにした点だった。彼はガウンを脱ぐと、生まれたままの姿になった。程よく厚い胸板と、割れ目の浮かび上がった腹、筋肉のついた腕ー。彫刻のように均整のとれた男の肉体は、初心なロイにとって、悔しいことに眩しかった。

さらに、下腹部には力強く屹立した陽根が鎮座している。こんな剣呑なものが入るとは、到底思えない……。ロイは不意に怖くなった。

「怖いですか?……実は、僕も初めてなんです」

クロードの言葉は、ロイには到底信じられないものだった。女の体を知り尽くしているような彼が、童貞であるはずがないではないか。

「そりゃあ、愛撫の仕方は、たくさん教わりましたよ。貴女との本番で困らないように。でも、挿入だけはどんな美しい女性が相手でも、きっぱり拒んできたんです……僕の初めては、ロイ殿下にもらって欲しかったのですから」

クロードの告白は、ロイを戸惑わせた。そこまでして自分に懸想する彼が気持ち悪くもあり、またどこか健気でもあった。

「さあ、参りましょうか。力を抜いて……」

クロードはロイの上に覆い被さり、まだ女の味を知らない陽根の先を彼女の花弁に押し当てた。少しずつ、ロイの中へと歩を進める。

そして、彼はぐっと槌を押し込み、ロイの花筒の最奥まで届いた。

「……痛っ」

ロイは貫かれたことのない部分を突かれ、ビリッとした痛みで声を上げた。

「さあ、もう少しで気持ちよくなりますよ」

クロードはロイの髪を撫で、優しく声をかけた。しばらく挿入したまま、動かずにいた。

「痛くないですか?」

「……いいからとっとと終わらせろ」

ロイの中で、いつの間にか痛みは消えていた。

「それでは、動きますね」

クロードはゆっくりと腰を左右に動かした。少しずつテンポを上げていくと、ロイの愛液が撹拌され、音が漏れた。

「いかがですか、気持ち良いですか?」

「んっ…」

ロイは感じやすい部分に硬いものを擦り付けられ、言葉を発することができない。

クロードは、唇を噛み快楽に抗うロイの顔を、じっと眺めている。

「ああっ、貴女の可愛いお顔を見ながら致していると、すぐに果ててしまいそうです……体位を変えてみましょう。四つん這いになって、お尻を上げて」

獣のようなポーズを取らされ、ロイは屈辱で顔を真っ赤にした。

「真っ白で綺麗なお尻ですね」

「下衆野郎が、触るな!」

クロードは、意外にもむっちりした彼女の臀部を、うっとりした面持ちで撫で回した。

「それでは、後ろから入れますね」

彼は再び、陽根を彼女の中へ挿入した。今まで散々貫かれ潤っていたその部分は、クロードの剣を容易に呑み込んでしまう。

「んっ……?!」

ロイは目を白黒させた。先ほどの体位とは違った部分が圧迫され、悔しいことにじんわりと心地よい。

「すっかり僕のものを咥え込んでしまいましたね。素晴らしい器です」

耳元で囁くクロードの熱い吐息が、ロイの花筒を震わせる。

「動きますよ」

クロードはロイの奥深くを徐に突き出していく。最初はスローテンポで、段々激しく。

「んんあっ…んんんぐっ…」

感度の高まっていたロイは、すぐに強い快楽に絡め取られる。

しかし、もうすぐ絶頂に上り詰めるかという瞬間、クロードは動きを止め、突然指を鳴らした。

「?!」

すると、寝所の扉が開き、人影が現れた。

「……スノウ?!」

そこには、ロイの臣下が一人、呆然と佇んでいた。
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