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第6話 偽聖女システィア視点 祈りの力と聖魔法
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システィアは苛々していた。
あのお茶会から、王妃は自分を呼び出さなくなった。
王妃から一番金を巻き上げていたのに――彼女は歯噛みする。
まさかあのお茶会での言動に怒っている訳ではあるまいか。
しかしあんなのはごく普通の振る舞いだ、怒るはずがない。
ではなぜ呼ばれないのか。
きっとあの色ボケババアはお金が無くなったのだ。
王妃に見切りをつけた彼女は二番目の金づるである公爵夫人を訪ねた。
「こんにちは、公爵夫人! 聖魔法はいかが?」
「え、ええ……システィア様……。どうぞ中へお入り下さい……」
いつもと様子が違うシスティアに公爵夫人は戸惑った。
しかし丁度困っているところだったのでシスティアを屋敷へ入れた。
システィアは礼儀作法を無視してお茶を飲むと、こう言った。
「公爵夫人は恋の聖魔法を使いたいのよね?」
「はい……! 夫を浮気相手から、引き離して下さい……!」
「お安い御用よ! さあ、手を出して!」
そしてシスティアは公爵夫人の手を握った。
いつもならその手が光り輝き、聖魔法が相手に宿るはずである。
しかしいくら念じても、聖魔法は発動しなかったのだ。
「シ、システィア様……? どうしたのです……?」
「チッ! 今日は上手くいかないわ! でも代金はいただくわよ!」
狼狽える公爵夫人から無理矢理金を奪うと、システィアは屋敷を去った。
それから何度かそんなことがあり、彼女は信用を失っていった。
彼女はひとり祈った――聖魔法が戻りますようにと。
いつも困った時は祈ることがほどんどである。
そうすると天啓が浮かび、物事がうまく進むのだ。
しかし今回はどんなに祈っても何も思い浮かばなかった。
「どういうことなの……?」
そんな時、システィアの元へ一通の手紙が届いた。
それは王宮からの手紙で、こう綴られていた。
“偽聖女システィア
この国の聖女の任を解きます。
二度と聖女の名を語らぬように。”
手紙には王家の紋章が刻印してあり、それが国王の意志であると知る。
システィアは怒りのあまり震えていた――聖魔法で復讐してやる。
しかしどんなにあがいても聖魔法は使えなかったのである。
あのお茶会から、王妃は自分を呼び出さなくなった。
王妃から一番金を巻き上げていたのに――彼女は歯噛みする。
まさかあのお茶会での言動に怒っている訳ではあるまいか。
しかしあんなのはごく普通の振る舞いだ、怒るはずがない。
ではなぜ呼ばれないのか。
きっとあの色ボケババアはお金が無くなったのだ。
王妃に見切りをつけた彼女は二番目の金づるである公爵夫人を訪ねた。
「こんにちは、公爵夫人! 聖魔法はいかが?」
「え、ええ……システィア様……。どうぞ中へお入り下さい……」
いつもと様子が違うシスティアに公爵夫人は戸惑った。
しかし丁度困っているところだったのでシスティアを屋敷へ入れた。
システィアは礼儀作法を無視してお茶を飲むと、こう言った。
「公爵夫人は恋の聖魔法を使いたいのよね?」
「はい……! 夫を浮気相手から、引き離して下さい……!」
「お安い御用よ! さあ、手を出して!」
そしてシスティアは公爵夫人の手を握った。
いつもならその手が光り輝き、聖魔法が相手に宿るはずである。
しかしいくら念じても、聖魔法は発動しなかったのだ。
「シ、システィア様……? どうしたのです……?」
「チッ! 今日は上手くいかないわ! でも代金はいただくわよ!」
狼狽える公爵夫人から無理矢理金を奪うと、システィアは屋敷を去った。
それから何度かそんなことがあり、彼女は信用を失っていった。
彼女はひとり祈った――聖魔法が戻りますようにと。
いつも困った時は祈ることがほどんどである。
そうすると天啓が浮かび、物事がうまく進むのだ。
しかし今回はどんなに祈っても何も思い浮かばなかった。
「どういうことなの……?」
そんな時、システィアの元へ一通の手紙が届いた。
それは王宮からの手紙で、こう綴られていた。
“偽聖女システィア
この国の聖女の任を解きます。
二度と聖女の名を語らぬように。”
手紙には王家の紋章が刻印してあり、それが国王の意志であると知る。
システィアは怒りのあまり震えていた――聖魔法で復讐してやる。
しかしどんなにあがいても聖魔法は使えなかったのである。
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