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第13話
リジューレ伯爵夫妻とロサは叫びます。
「だ、断罪だとおおおッ!?」
「どうしてそんなことをッ!?」
「私達はむしろ被害者なのにッ!?」
しかし衛兵は伯爵家の者達の肩を掴むと、王族席の前まで引き摺っていきました。国王陛下も王妃陛下も冷たい表情で、三人を見下ろしています。
「被害者だと? よくもそのようなことを言えたな?」
「自分達の所業を暴かれるといいわ」
「ぐッ……ううッ……」
やがて国王陛下は前へ歩み出ました。そしてわたくしへ向けて深々と頭を下げます。
「断罪の前に、妖精姫リリウム様に心からのお詫びを申し上げます。儂を含めた王族は、妖精王様の全能力を受け継いだリリウム様を恐れ、彼女を保護する役目を怠ってきました。しかしリリウム様は寛大な心で、それを許して下さいました。だからこそ儂と王妃は今ここでリジューレ伯爵家を断罪する役目を務めさせて頂きます」
その言葉を受けて、わたくしは国王夫妻へお辞儀をします。すると貴族達も納得したように頭を下げました。
そして断罪が始まりました。
まず、国王陛下は恭しく手紙を取り出し、目の前に掲げます。それはわたくしがリジューレ伯爵家での酷い扱いを余すことなく記した手紙です。そして国王陛下は貴族達に自由な発言を認めると、語り始めました。
「これはリリウム様が儂に宛てた手紙だ。ここには、“三年前から食事は毎日もらえず、もらえたとしてもカビたパンと水だけ”と書かれてある。さらに“自室は鼠と蜘蛛だらけの屋根裏部屋で、掃除することも禁じられていた”そうで、“毎日のように暴言を吐かれて、暴力まで振るわれた”とある」
その内容に、集まった貴族達は怒りの声を漏らします。
「妖精姫様に何てことをするんだ……!」
「リジューレ伯爵家は最低だ……!」
「そんなことして被害者だなんて……!」
するとリジューレ伯爵が声を上げました。
「その手紙は嘘だッ! リリウムを見てみろ! あいつは痩せ細ってもいないし、病気にもなっていない! さらには怪我の跡もないだろう! 妖精姫は大嘘吐きだ!」
それは部分的に本当でした。確かに、わたくしは深刻なまでには痩せていないし、病気もしていないし、体に傷跡もありません。しかし王妃殿下が厳しい表情で言い返します。
「そんなの当たり前です。相手は妖精姫様ですよ。妖精に食料を分けてもらい、病気や怪我を自らの治癒力で治していたのです。しかし自力でどうにかできるからと言って、彼女を苦しめていい訳ではありません」
“その通りだ!”と貴族から声が上がり、伯爵はばつが悪そうに口を噤みました。
「さらに、リジューレ伯爵家はリリウム様を悪徳業者に売ったらしいな? 従業員の女性を低賃金で働かせ、娼婦として扱う……そんな親戚に売りさばいたと」
「ち、違います! 働き口を見つけてやっただけです!」
伯爵の反論に、広間が騒然とします。しかし国王陛下は冷静に返しました。
「働き口だと? 妖精姫様を屋敷から追い出すことを失礼だとは思わなかったのか?」
「しかし……私達は相手が妖精姫だと忘れていたのです……」
「忘れていた? そんなことは言い訳にはならん。相手が人間の養女だったとしても問題ありだ。それに貴様は罪を否定し続けておるが、王家の調査により証拠はすでに挙がっておる。観念するがいい」
「う、うう……」
そして国王陛下と王妃殿下が告げました。
「妖精姫様への虐待と身売り。そして王族となる彼女への傷害未遂と殺害計画。さらには王家へ身代金を要求し、国外に逃亡する計画まで立てた……死刑確定だな」
「しかもその計画を実行に移そうとしたわ。死刑だけでは済まないわね」
その途端、伯爵夫妻とロサはびくりと震え――わたくしを見て泣き出しました。
「リ、リリウムッ! 助けてくれえッ!」
「お願い! 無罪にしてえええぇ!」
「死にたくない、死にたくないよぉ!」
その姿は必死で、可哀想なくらいでした。
わたくしは息を飲むと、心に決めた答えを語り始めました――
「だ、断罪だとおおおッ!?」
「どうしてそんなことをッ!?」
「私達はむしろ被害者なのにッ!?」
しかし衛兵は伯爵家の者達の肩を掴むと、王族席の前まで引き摺っていきました。国王陛下も王妃陛下も冷たい表情で、三人を見下ろしています。
「被害者だと? よくもそのようなことを言えたな?」
「自分達の所業を暴かれるといいわ」
「ぐッ……ううッ……」
やがて国王陛下は前へ歩み出ました。そしてわたくしへ向けて深々と頭を下げます。
「断罪の前に、妖精姫リリウム様に心からのお詫びを申し上げます。儂を含めた王族は、妖精王様の全能力を受け継いだリリウム様を恐れ、彼女を保護する役目を怠ってきました。しかしリリウム様は寛大な心で、それを許して下さいました。だからこそ儂と王妃は今ここでリジューレ伯爵家を断罪する役目を務めさせて頂きます」
その言葉を受けて、わたくしは国王夫妻へお辞儀をします。すると貴族達も納得したように頭を下げました。
そして断罪が始まりました。
まず、国王陛下は恭しく手紙を取り出し、目の前に掲げます。それはわたくしがリジューレ伯爵家での酷い扱いを余すことなく記した手紙です。そして国王陛下は貴族達に自由な発言を認めると、語り始めました。
「これはリリウム様が儂に宛てた手紙だ。ここには、“三年前から食事は毎日もらえず、もらえたとしてもカビたパンと水だけ”と書かれてある。さらに“自室は鼠と蜘蛛だらけの屋根裏部屋で、掃除することも禁じられていた”そうで、“毎日のように暴言を吐かれて、暴力まで振るわれた”とある」
その内容に、集まった貴族達は怒りの声を漏らします。
「妖精姫様に何てことをするんだ……!」
「リジューレ伯爵家は最低だ……!」
「そんなことして被害者だなんて……!」
するとリジューレ伯爵が声を上げました。
「その手紙は嘘だッ! リリウムを見てみろ! あいつは痩せ細ってもいないし、病気にもなっていない! さらには怪我の跡もないだろう! 妖精姫は大嘘吐きだ!」
それは部分的に本当でした。確かに、わたくしは深刻なまでには痩せていないし、病気もしていないし、体に傷跡もありません。しかし王妃殿下が厳しい表情で言い返します。
「そんなの当たり前です。相手は妖精姫様ですよ。妖精に食料を分けてもらい、病気や怪我を自らの治癒力で治していたのです。しかし自力でどうにかできるからと言って、彼女を苦しめていい訳ではありません」
“その通りだ!”と貴族から声が上がり、伯爵はばつが悪そうに口を噤みました。
「さらに、リジューレ伯爵家はリリウム様を悪徳業者に売ったらしいな? 従業員の女性を低賃金で働かせ、娼婦として扱う……そんな親戚に売りさばいたと」
「ち、違います! 働き口を見つけてやっただけです!」
伯爵の反論に、広間が騒然とします。しかし国王陛下は冷静に返しました。
「働き口だと? 妖精姫様を屋敷から追い出すことを失礼だとは思わなかったのか?」
「しかし……私達は相手が妖精姫だと忘れていたのです……」
「忘れていた? そんなことは言い訳にはならん。相手が人間の養女だったとしても問題ありだ。それに貴様は罪を否定し続けておるが、王家の調査により証拠はすでに挙がっておる。観念するがいい」
「う、うう……」
そして国王陛下と王妃殿下が告げました。
「妖精姫様への虐待と身売り。そして王族となる彼女への傷害未遂と殺害計画。さらには王家へ身代金を要求し、国外に逃亡する計画まで立てた……死刑確定だな」
「しかもその計画を実行に移そうとしたわ。死刑だけでは済まないわね」
その途端、伯爵夫妻とロサはびくりと震え――わたくしを見て泣き出しました。
「リ、リリウムッ! 助けてくれえッ!」
「お願い! 無罪にしてえええぇ!」
「死にたくない、死にたくないよぉ!」
その姿は必死で、可哀想なくらいでした。
わたくしは息を飲むと、心に決めた答えを語り始めました――
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