20 / 25
19.皆の偶像
しおりを挟む
鳥の囀りで目覚めた。
爽やかな朝である。
回復魔法だけはたっぷりかけられたので身体だけは異常に元気なのに、気分的にはしんどいという状態で俺は目覚めた。
――――俺の尻の貞操は守られた。
というのも蓮がいきなり起きて夜泣きし始めたからである。
さすがに子供が泣くのには勝てず、あわや3Pの宴は速攻解散となった。本当に助かった。
貞操とかいっても指は何本も入れられているわけで、ち・・・が入るのとどう違うといえば、もうあってなきがごとしなのかもしれないが、とにかく後ろの処女(?)を守るためにはを子供ベッドを使うのはやめて、なるべく蓮とくっついて寝ようと俺は学習した。
そして、この朝も部屋に朝食が運ばれてきて食べ終わるやいなや、わーっと女性達がむらがってきて、身支度をさせられた。
「自分でやるから!」といっても「だめです」の一点張り。
またかっちりした衣装を着せられるが、またしても着方も脱ぎ方も依然として謎である。
上げ膳据え膳になりたいと思っていたのに、実際そうなるとなんだかしんどい現代日本人である。
俺と平行して蓮もちゃんとした服を着せてもらっていたため、親バカだが俺はデレデレになってしまった。
馬子にも衣装とはいうが、小さな王子様みたいでめちゃくちゃ可愛い。
今日は何をさせられるのかわからないまま呼ばれてついていくと、王城のエントランスのところに案内される。
そこにあったのは外国とかでよく王様がお手ふりをしながら乗っているような、上がぽっかりあいたような形のやつである。
「おうまさーん、かわいいねー」
「・・・だね・・・」
ーーなんかやな予感。
というか、こっちにきていい予感したことないけども、蓮と手をつないだまま手持ち無沙汰に立ち尽くしていると、本日もにこやかにユーシスがやってきた。
「あのー・・・」
「立ちつくしてないで馬車に乗って乗って」
「乗ってどうするんですか?どこ行くんですか?」
「とりあえず乗って」
思わず警戒心あらわに言うが、背中を押されてのせられてしまう。すぐに下りようとタイミングを狙っていたのに、ユーシスが後から乗り込んで出入り口が塞がれてしまい、すぐに馬車が動き出してしまった。
何でこの国の人は話を聞かないし強引なんだろうか。
前回もこんな感じで流されて、気づいたら勇者として旅立たされた気がする…
「ほらほら、周り見て」
ユーシスが俺の頭を持ってグイっとまっすぐ前を向かせた。
馬車が走る沿道を沢山の人だかりが取り囲んでいた。
「クロエさまー!おかえりなさーい」
「勇者さまー、こっち向いて~」
「………」
様々な声があちこちから投げられ、たくさんの視線が突き刺ってくる。思わず俺はびびってしまい蓮を抱き寄せて下を向いた。
「これって…」
「勇者様の帰還のパレードだよ。皆、君のことを待ちわびてたんだ。手を降ってこたえてあげたら」
「えっ!あっ…」
そう言われて周りを見渡すと「勇者様がこっちを見た!」とか「絵姿よりきれい~」とか、極めつけは「勇者様バンザーイ」という合唱がかかった。
ユーシスは王様だけに堂々としたもので、手を降りかえしたりしている。
「ほらほら、クロエも手を降って」
いきなりの思わぬ事態に、思考がストップしてしまい、ユーシスの声に導かれるように俺は手あげ、人々に向かって降った。
歓声が響く。
「ほら、笑って」
言われた通りに笑う自分の笑顔が引きつっているのがわかる。
「見て、みんな喜んでるよ。皆、君のことが好きでこの国にいて欲しがってる」
「……」
たくさんの人たちが俺の名前を呼び、称えるけど、彼らが知っていて求める俺は「勇者」という殻であって、俺そのものじゃない。
多分本当の俺なんて見たらがっかりされてしまうんだろうなと思う。
勇者という記号の偶像
どこまで計算なんだろ。
これで俺は市井の人々に今の顔を知られてしまった。
一人ではおちおち町中をあるきまわれなくなってしまうし、逃げ出すなんてもっての他だろう。
どんどん囲いこまれてる気がして俺は怖くなる。
爽やかな朝である。
回復魔法だけはたっぷりかけられたので身体だけは異常に元気なのに、気分的にはしんどいという状態で俺は目覚めた。
――――俺の尻の貞操は守られた。
というのも蓮がいきなり起きて夜泣きし始めたからである。
さすがに子供が泣くのには勝てず、あわや3Pの宴は速攻解散となった。本当に助かった。
貞操とかいっても指は何本も入れられているわけで、ち・・・が入るのとどう違うといえば、もうあってなきがごとしなのかもしれないが、とにかく後ろの処女(?)を守るためにはを子供ベッドを使うのはやめて、なるべく蓮とくっついて寝ようと俺は学習した。
そして、この朝も部屋に朝食が運ばれてきて食べ終わるやいなや、わーっと女性達がむらがってきて、身支度をさせられた。
「自分でやるから!」といっても「だめです」の一点張り。
またかっちりした衣装を着せられるが、またしても着方も脱ぎ方も依然として謎である。
上げ膳据え膳になりたいと思っていたのに、実際そうなるとなんだかしんどい現代日本人である。
俺と平行して蓮もちゃんとした服を着せてもらっていたため、親バカだが俺はデレデレになってしまった。
馬子にも衣装とはいうが、小さな王子様みたいでめちゃくちゃ可愛い。
今日は何をさせられるのかわからないまま呼ばれてついていくと、王城のエントランスのところに案内される。
そこにあったのは外国とかでよく王様がお手ふりをしながら乗っているような、上がぽっかりあいたような形のやつである。
「おうまさーん、かわいいねー」
「・・・だね・・・」
ーーなんかやな予感。
というか、こっちにきていい予感したことないけども、蓮と手をつないだまま手持ち無沙汰に立ち尽くしていると、本日もにこやかにユーシスがやってきた。
「あのー・・・」
「立ちつくしてないで馬車に乗って乗って」
「乗ってどうするんですか?どこ行くんですか?」
「とりあえず乗って」
思わず警戒心あらわに言うが、背中を押されてのせられてしまう。すぐに下りようとタイミングを狙っていたのに、ユーシスが後から乗り込んで出入り口が塞がれてしまい、すぐに馬車が動き出してしまった。
何でこの国の人は話を聞かないし強引なんだろうか。
前回もこんな感じで流されて、気づいたら勇者として旅立たされた気がする…
「ほらほら、周り見て」
ユーシスが俺の頭を持ってグイっとまっすぐ前を向かせた。
馬車が走る沿道を沢山の人だかりが取り囲んでいた。
「クロエさまー!おかえりなさーい」
「勇者さまー、こっち向いて~」
「………」
様々な声があちこちから投げられ、たくさんの視線が突き刺ってくる。思わず俺はびびってしまい蓮を抱き寄せて下を向いた。
「これって…」
「勇者様の帰還のパレードだよ。皆、君のことを待ちわびてたんだ。手を降ってこたえてあげたら」
「えっ!あっ…」
そう言われて周りを見渡すと「勇者様がこっちを見た!」とか「絵姿よりきれい~」とか、極めつけは「勇者様バンザーイ」という合唱がかかった。
ユーシスは王様だけに堂々としたもので、手を降りかえしたりしている。
「ほらほら、クロエも手を降って」
いきなりの思わぬ事態に、思考がストップしてしまい、ユーシスの声に導かれるように俺は手あげ、人々に向かって降った。
歓声が響く。
「ほら、笑って」
言われた通りに笑う自分の笑顔が引きつっているのがわかる。
「見て、みんな喜んでるよ。皆、君のことが好きでこの国にいて欲しがってる」
「……」
たくさんの人たちが俺の名前を呼び、称えるけど、彼らが知っていて求める俺は「勇者」という殻であって、俺そのものじゃない。
多分本当の俺なんて見たらがっかりされてしまうんだろうなと思う。
勇者という記号の偶像
どこまで計算なんだろ。
これで俺は市井の人々に今の顔を知られてしまった。
一人ではおちおち町中をあるきまわれなくなってしまうし、逃げ出すなんてもっての他だろう。
どんどん囲いこまれてる気がして俺は怖くなる。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています
柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。
酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。
性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。
そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。
離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。
姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。
冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟
今度こそ、本当の恋をしよう。
喪女なのに狼さんたちに溺愛されています
和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です!
聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。
ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。
森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ?
ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる