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19.皆の偶像
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鳥の囀りで目覚めた。
爽やかな朝である。
回復魔法だけはたっぷりかけられたので身体だけは異常に元気なのに、気分的にはしんどいという状態で俺は目覚めた。
――――俺の尻の貞操は守られた。
というのも蓮がいきなり起きて夜泣きし始めたからである。
さすがに子供が泣くのには勝てず、あわや3Pの宴は速攻解散となった。本当に助かった。
貞操とかいっても指は何本も入れられているわけで、ち・・・が入るのとどう違うといえば、もうあってなきがごとしなのかもしれないが、とにかく後ろの処女(?)を守るためにはを子供ベッドを使うのはやめて、なるべく蓮とくっついて寝ようと俺は学習した。
そして、この朝も部屋に朝食が運ばれてきて食べ終わるやいなや、わーっと女性達がむらがってきて、身支度をさせられた。
「自分でやるから!」といっても「だめです」の一点張り。
またかっちりした衣装を着せられるが、またしても着方も脱ぎ方も依然として謎である。
上げ膳据え膳になりたいと思っていたのに、実際そうなるとなんだかしんどい現代日本人である。
俺と平行して蓮もちゃんとした服を着せてもらっていたため、親バカだが俺はデレデレになってしまった。
馬子にも衣装とはいうが、小さな王子様みたいでめちゃくちゃ可愛い。
今日は何をさせられるのかわからないまま呼ばれてついていくと、王城のエントランスのところに案内される。
そこにあったのは外国とかでよく王様がお手ふりをしながら乗っているような、上がぽっかりあいたような形のやつである。
「おうまさーん、かわいいねー」
「・・・だね・・・」
ーーなんかやな予感。
というか、こっちにきていい予感したことないけども、蓮と手をつないだまま手持ち無沙汰に立ち尽くしていると、本日もにこやかにユーシスがやってきた。
「あのー・・・」
「立ちつくしてないで馬車に乗って乗って」
「乗ってどうするんですか?どこ行くんですか?」
「とりあえず乗って」
思わず警戒心あらわに言うが、背中を押されてのせられてしまう。すぐに下りようとタイミングを狙っていたのに、ユーシスが後から乗り込んで出入り口が塞がれてしまい、すぐに馬車が動き出してしまった。
何でこの国の人は話を聞かないし強引なんだろうか。
前回もこんな感じで流されて、気づいたら勇者として旅立たされた気がする…
「ほらほら、周り見て」
ユーシスが俺の頭を持ってグイっとまっすぐ前を向かせた。
馬車が走る沿道を沢山の人だかりが取り囲んでいた。
「クロエさまー!おかえりなさーい」
「勇者さまー、こっち向いて~」
「………」
様々な声があちこちから投げられ、たくさんの視線が突き刺ってくる。思わず俺はびびってしまい蓮を抱き寄せて下を向いた。
「これって…」
「勇者様の帰還のパレードだよ。皆、君のことを待ちわびてたんだ。手を降ってこたえてあげたら」
「えっ!あっ…」
そう言われて周りを見渡すと「勇者様がこっちを見た!」とか「絵姿よりきれい~」とか、極めつけは「勇者様バンザーイ」という合唱がかかった。
ユーシスは王様だけに堂々としたもので、手を降りかえしたりしている。
「ほらほら、クロエも手を降って」
いきなりの思わぬ事態に、思考がストップしてしまい、ユーシスの声に導かれるように俺は手あげ、人々に向かって降った。
歓声が響く。
「ほら、笑って」
言われた通りに笑う自分の笑顔が引きつっているのがわかる。
「見て、みんな喜んでるよ。皆、君のことが好きでこの国にいて欲しがってる」
「……」
たくさんの人たちが俺の名前を呼び、称えるけど、彼らが知っていて求める俺は「勇者」という殻であって、俺そのものじゃない。
多分本当の俺なんて見たらがっかりされてしまうんだろうなと思う。
勇者という記号の偶像
どこまで計算なんだろ。
これで俺は市井の人々に今の顔を知られてしまった。
一人ではおちおち町中をあるきまわれなくなってしまうし、逃げ出すなんてもっての他だろう。
どんどん囲いこまれてる気がして俺は怖くなる。
爽やかな朝である。
回復魔法だけはたっぷりかけられたので身体だけは異常に元気なのに、気分的にはしんどいという状態で俺は目覚めた。
――――俺の尻の貞操は守られた。
というのも蓮がいきなり起きて夜泣きし始めたからである。
さすがに子供が泣くのには勝てず、あわや3Pの宴は速攻解散となった。本当に助かった。
貞操とかいっても指は何本も入れられているわけで、ち・・・が入るのとどう違うといえば、もうあってなきがごとしなのかもしれないが、とにかく後ろの処女(?)を守るためにはを子供ベッドを使うのはやめて、なるべく蓮とくっついて寝ようと俺は学習した。
そして、この朝も部屋に朝食が運ばれてきて食べ終わるやいなや、わーっと女性達がむらがってきて、身支度をさせられた。
「自分でやるから!」といっても「だめです」の一点張り。
またかっちりした衣装を着せられるが、またしても着方も脱ぎ方も依然として謎である。
上げ膳据え膳になりたいと思っていたのに、実際そうなるとなんだかしんどい現代日本人である。
俺と平行して蓮もちゃんとした服を着せてもらっていたため、親バカだが俺はデレデレになってしまった。
馬子にも衣装とはいうが、小さな王子様みたいでめちゃくちゃ可愛い。
今日は何をさせられるのかわからないまま呼ばれてついていくと、王城のエントランスのところに案内される。
そこにあったのは外国とかでよく王様がお手ふりをしながら乗っているような、上がぽっかりあいたような形のやつである。
「おうまさーん、かわいいねー」
「・・・だね・・・」
ーーなんかやな予感。
というか、こっちにきていい予感したことないけども、蓮と手をつないだまま手持ち無沙汰に立ち尽くしていると、本日もにこやかにユーシスがやってきた。
「あのー・・・」
「立ちつくしてないで馬車に乗って乗って」
「乗ってどうするんですか?どこ行くんですか?」
「とりあえず乗って」
思わず警戒心あらわに言うが、背中を押されてのせられてしまう。すぐに下りようとタイミングを狙っていたのに、ユーシスが後から乗り込んで出入り口が塞がれてしまい、すぐに馬車が動き出してしまった。
何でこの国の人は話を聞かないし強引なんだろうか。
前回もこんな感じで流されて、気づいたら勇者として旅立たされた気がする…
「ほらほら、周り見て」
ユーシスが俺の頭を持ってグイっとまっすぐ前を向かせた。
馬車が走る沿道を沢山の人だかりが取り囲んでいた。
「クロエさまー!おかえりなさーい」
「勇者さまー、こっち向いて~」
「………」
様々な声があちこちから投げられ、たくさんの視線が突き刺ってくる。思わず俺はびびってしまい蓮を抱き寄せて下を向いた。
「これって…」
「勇者様の帰還のパレードだよ。皆、君のことを待ちわびてたんだ。手を降ってこたえてあげたら」
「えっ!あっ…」
そう言われて周りを見渡すと「勇者様がこっちを見た!」とか「絵姿よりきれい~」とか、極めつけは「勇者様バンザーイ」という合唱がかかった。
ユーシスは王様だけに堂々としたもので、手を降りかえしたりしている。
「ほらほら、クロエも手を降って」
いきなりの思わぬ事態に、思考がストップしてしまい、ユーシスの声に導かれるように俺は手あげ、人々に向かって降った。
歓声が響く。
「ほら、笑って」
言われた通りに笑う自分の笑顔が引きつっているのがわかる。
「見て、みんな喜んでるよ。皆、君のことが好きでこの国にいて欲しがってる」
「……」
たくさんの人たちが俺の名前を呼び、称えるけど、彼らが知っていて求める俺は「勇者」という殻であって、俺そのものじゃない。
多分本当の俺なんて見たらがっかりされてしまうんだろうなと思う。
勇者という記号の偶像
どこまで計算なんだろ。
これで俺は市井の人々に今の顔を知られてしまった。
一人ではおちおち町中をあるきまわれなくなってしまうし、逃げ出すなんてもっての他だろう。
どんどん囲いこまれてる気がして俺は怖くなる。
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