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20.ただ愛されたかっただけなのに、思ってたんと違う
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写真の中で笑う両親の写真を前に、小学生の俺はただ呆然とするしかなかった。
二人は笑顔で買い物に出て行った後、二度と帰ってこなかった。
それからずっと、愛情に飢えて射た気がする。
愛されたいと、ずっと思って生きてきた。
誰か一人でもいい。
自分のことを自分だけを見てくれる人を、ずっと求めていた。
そう考えると、今俺を取り巻く環境は愛で溢れているといえるのだろうが・・・なんか・・・ちょっと・・・
というか、けっこう・・・
思ったのと違う!!!
*
お手振り道中をなんとか終えたが、途中からもう頭をカラッポにするようにしていたので、途中から記憶が曖昧である。
「クロエお疲れさま。もうすぐ付くから、そうしたら部屋に戻って休んでていいよ」
城門を潜り、ようやく人波が視界にはいらなくなったので俺は力を抜いて座席に寄りかかった。
主に精神的にぐったりしてしまっていた。
噴水まわりをぐるりと回り、馬車は城のエントランスにつこうとした。
そのときに金色の何かが視界の端をかすめた気がした。
「―――あっ」
「ハリーがちょうど着いたようだ」
俺が気がつくと同時にユーシスのほうも気づいたようだった。
金髪の騎士が折しも騎馬から降りているところだった。
降りたばかりの黒い馬の手綱を馬丁にわたし、それからこちらをまっすぐに見た。
風が走り抜けると、騎士らしく短く刈った金色が揺れた。
青く鋭い目に射抜かれると、全てを見透かされるような気がして、俺は思わず怯んだ。
こちらでは2年しかたっていないからあまり変わってないはず、なのだが最後に会ったときに精悍さを増している気がした。
馬車が止まりユーシスが下りると、彼は流れるような仕草でその足元にひざまずいた。
ガシャリと、身につけた鎧と剣が床の石畳にぶつかるいかつい音がした。
「ハリー・ラクシス、参りました」
「来てくれてありがとう。ハリー、もっと気楽にしてくれ」
ユーシスは軽く声をかけると肩をたたいてハリーを立たせた。
異母兄弟だけあってこうやって並ぶと体格差はあれ本当によく似てる。けど、やはりハリーはかっこいい…そんなことを考えながらぼーっと見ていると、ハリーの視線が再び俺のほうに向けられた。
それから俺の後ろからよちよちと降りてきた蓮の姿を捉えた瞬間、ハリーの表情が明らかにこわばった。
――あっ、もしかして、まずい…?
じっと見る眉間に皺がよるのがわかった。
「先日話した通り、クロエを再召喚してこちらに来てもらったよ。また帰ってしまうと言っているけど、しばらく滞在予定だから、クロエが過ごしやすいようにしてあげて欲しい」
「…王命とあらば」
ハリーは感情のこもらない声で答えた。
王命でなければどうでもよいのだろうか…と思うと、心がズキンと傷んだ。
「…ところで、早速ですがクロエと二人で親交を深めたく思うのですが…二人きりで」
ハリーの申し出に、ユーシスは喜んで頷いた。
多分、ユーシスの目論んでいるようなことにならないのは、すでに俺は察知していた。
「いやその、俺は疲れているから部屋に…」
「それはそれは、是非二人きりでしっぽり話すといい。ハリーの部屋がよいだろうか。ちゃんと整えてあるはずだから、ゆっくり放すといい。息子さんは預かるから」
逃げたい。
だが、ハリーはがしっと俺の手を掴んだ。
これは嬉しいですがやつ!ではない…ピリピリした怒りにも似た気配を感じた。
全く空気が読めない…というか、読まないユーシスが明らかにるんるんしている気配を感じたが、残念ながらこの後は多分しっぽりじゃない。
俺は観念しながら黙ったままのハリーに引っ張られて彼の部屋に連れて行かれる。
庶子で臣下に降ったとはいえ腐っても王弟だから城内にハリーの部屋がある。
昔、何回か行ったことのあるそこに、俺は引きずりこまれた。
「再会したばかりでこんな話をしたいわけでないが…何のつもりだ!?」
鍵を締めて、ハリーは何か呪文を呟いて魔法を展開させた。
周りの音がしなくなったので、音の遮断魔法だとわかった。
低い声で言うハリーに、俺は一縷ののぞみをかけてしらばっくれた。
「――なんの…ことかな…?」
「しらばっくれるな。お前に無理やり話させようとするなんて簡単なんだ。穏やかに聞いているうちに答えたほうが得策ではないか」
ヘラヘラと笑ってごまかそうとしたら、なんだか怖いことを言われて、俺はビクッとした。
何度も言うが、俺はひ弱で痛みにも苦しみにも弱い現代の日本人である。
怯えをみせた俺に、ハリーは畳かけるように言った。
「魔王の魂をなんでお前が持っているのか、説明してもらおうか」
二人は笑顔で買い物に出て行った後、二度と帰ってこなかった。
それからずっと、愛情に飢えて射た気がする。
愛されたいと、ずっと思って生きてきた。
誰か一人でもいい。
自分のことを自分だけを見てくれる人を、ずっと求めていた。
そう考えると、今俺を取り巻く環境は愛で溢れているといえるのだろうが・・・なんか・・・ちょっと・・・
というか、けっこう・・・
思ったのと違う!!!
*
お手振り道中をなんとか終えたが、途中からもう頭をカラッポにするようにしていたので、途中から記憶が曖昧である。
「クロエお疲れさま。もうすぐ付くから、そうしたら部屋に戻って休んでていいよ」
城門を潜り、ようやく人波が視界にはいらなくなったので俺は力を抜いて座席に寄りかかった。
主に精神的にぐったりしてしまっていた。
噴水まわりをぐるりと回り、馬車は城のエントランスにつこうとした。
そのときに金色の何かが視界の端をかすめた気がした。
「―――あっ」
「ハリーがちょうど着いたようだ」
俺が気がつくと同時にユーシスのほうも気づいたようだった。
金髪の騎士が折しも騎馬から降りているところだった。
降りたばかりの黒い馬の手綱を馬丁にわたし、それからこちらをまっすぐに見た。
風が走り抜けると、騎士らしく短く刈った金色が揺れた。
青く鋭い目に射抜かれると、全てを見透かされるような気がして、俺は思わず怯んだ。
こちらでは2年しかたっていないからあまり変わってないはず、なのだが最後に会ったときに精悍さを増している気がした。
馬車が止まりユーシスが下りると、彼は流れるような仕草でその足元にひざまずいた。
ガシャリと、身につけた鎧と剣が床の石畳にぶつかるいかつい音がした。
「ハリー・ラクシス、参りました」
「来てくれてありがとう。ハリー、もっと気楽にしてくれ」
ユーシスは軽く声をかけると肩をたたいてハリーを立たせた。
異母兄弟だけあってこうやって並ぶと体格差はあれ本当によく似てる。けど、やはりハリーはかっこいい…そんなことを考えながらぼーっと見ていると、ハリーの視線が再び俺のほうに向けられた。
それから俺の後ろからよちよちと降りてきた蓮の姿を捉えた瞬間、ハリーの表情が明らかにこわばった。
――あっ、もしかして、まずい…?
じっと見る眉間に皺がよるのがわかった。
「先日話した通り、クロエを再召喚してこちらに来てもらったよ。また帰ってしまうと言っているけど、しばらく滞在予定だから、クロエが過ごしやすいようにしてあげて欲しい」
「…王命とあらば」
ハリーは感情のこもらない声で答えた。
王命でなければどうでもよいのだろうか…と思うと、心がズキンと傷んだ。
「…ところで、早速ですがクロエと二人で親交を深めたく思うのですが…二人きりで」
ハリーの申し出に、ユーシスは喜んで頷いた。
多分、ユーシスの目論んでいるようなことにならないのは、すでに俺は察知していた。
「いやその、俺は疲れているから部屋に…」
「それはそれは、是非二人きりでしっぽり話すといい。ハリーの部屋がよいだろうか。ちゃんと整えてあるはずだから、ゆっくり放すといい。息子さんは預かるから」
逃げたい。
だが、ハリーはがしっと俺の手を掴んだ。
これは嬉しいですがやつ!ではない…ピリピリした怒りにも似た気配を感じた。
全く空気が読めない…というか、読まないユーシスが明らかにるんるんしている気配を感じたが、残念ながらこの後は多分しっぽりじゃない。
俺は観念しながら黙ったままのハリーに引っ張られて彼の部屋に連れて行かれる。
庶子で臣下に降ったとはいえ腐っても王弟だから城内にハリーの部屋がある。
昔、何回か行ったことのあるそこに、俺は引きずりこまれた。
「再会したばかりでこんな話をしたいわけでないが…何のつもりだ!?」
鍵を締めて、ハリーは何か呪文を呟いて魔法を展開させた。
周りの音がしなくなったので、音の遮断魔法だとわかった。
低い声で言うハリーに、俺は一縷ののぞみをかけてしらばっくれた。
「――なんの…ことかな…?」
「しらばっくれるな。お前に無理やり話させようとするなんて簡単なんだ。穏やかに聞いているうちに答えたほうが得策ではないか」
ヘラヘラと笑ってごまかそうとしたら、なんだか怖いことを言われて、俺はビクッとした。
何度も言うが、俺はひ弱で痛みにも苦しみにも弱い現代の日本人である。
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