15 / 49
14.プレイバー
しおりを挟む
「では、お言葉に甘えて」
男はスマートな動作で桐原の横に座った。
そういえば第一声は英語でなまりのない美しい発音をしていたが、さらに男の日本語のは発音も完璧だった。
「日系人?」
「そう。よくわかったね。見た目ではあまりわからないと思うけれども祖父が日本人」
「仕事柄海外の方とよく会うので」
何故わかったのかというと確信したわけではなく、カンみたいなものもある。
容姿だけなら西洋系なのだが、肌の色ときめ細やかさが純粋の白人の白さとはちょっと違うといったとこだろうか。
男は名刺入れから名刺を取り出すと、桐原に渡した。
アメリカの有名なコンサル会社の本社のCOOと日本支社のGMの肩書がある。かなりの立場の人間であることに、さすがに桐原も驚いた。
「アレクシス·カズイ·ライズです。アレクと呼んでください。あなたのことは何と呼べば?」
「…ケイ」
「ケイ、ね」
キリハラもケイジも外国人にとっては発音しずらい。
そのため、桐原は仕事上海外の人と呼びあう必要があるときはケイと名乗っている。
フルネームをいきなり名乗るのははばかられたので、慣れたその呼称を使うのはちょうどよかった。
「日本で仕事を?」
「今はアメリカと日本を行ったりきたりという感じかな。ケイは商社?外資系かな?」
「どうでしょう」
とりあえず無難な会話から始めたものの聞き返され曖昧に誤魔化す。
このような場で自分というものをどれだけさらす必要があるのかわからなかったからだが、アレクシスは桐原の警戒に気を悪くした様子はなかった。
実力に裏打ちされた自信に満ちた態度、強い光を宿す双眸からは理知と威厳が感じられた。
「そんなに警戒しないで。別に私はパートナーには困ってない。落ち着いて飲みたい時にここに来るんだ」
「パートナー探しでなく来る人もいるんですか?」
「普通に交流のために来る人もけっこういるかな。我々みたいなマイノリティにとっては横のつながりも重要だろう?…情報も色々入るし、ビジネスにも役にたつ時もある」
なるほど、と桐原は思った。
プレイバーはただの出会いとかプレイする場というわけでなく、思ったより社交的な場所のようだ。
「来たのは今日始めてなんですが、そんな風に利用されてんですね」
「文字通りプレイしに来る人もいるけどね。でもやはりパートナーは価値観や信頼度ないといいプレイできないから、簡単にパッとくっついたりはしない人のほうが多いかな」
最も私は来るものは拒まずだけどねと言うが、それが嫌味ではないのはさすがの貫禄だった。
確かに、カリスマとでもいうべき雰囲気があり、この男に従いたくなる気持ちはわかるような気がした。
ぽつぽつとプレイバーのあれこれを聞いていると、アレクシスの知り合いらしいSUBの青年が声をかかけてきた。
「アレク、今日はずいぶん美人さん連れてるね」
「連れじゃないよ。今日の初見さんだって。君と同じSUB」
「あ!そうなんですか。はじめまして、ミズキです」
どうやら資産家の息子らしく、今は仕事をしていない高等遊民なのだとうそぶいていたがミズキと名乗った彼は丁寧に色々なことを教えてくれ、途切れがちになる桐原の会話に適度に話題を投げかけたりしてくれ、かなり親切な印象を受けた。
はじめはアレクシスのプレイ相手の一人なのかと思ったのだが、常連になってるうちに知り合いになっただけらしく、桐原と同様にパートナーを探しているらしかった。
「何箇所かプレイバー行ってみたんですが、ここは雰囲気もよいし、変な人は少ないからよく来るんですよ」
偉そうなDOMって最悪ですよね、と、ミズキは笑った。
長期的なバートナーが欲しい人は大体、ぶらっときているうちになんとなく意気投合したり、人ずてに紹介しあうということもよくある流れらしいかった。
「ミズキさんはパートナーは?」
「なかなか見つからないんですよね。前のパートナーが忙しくなってなんとなく自然消滅してしまって。優しくてよい人募集中です」
「アレクは?」
「ああ、アレクは好みが煩いみたいですよ。モテるからプレイ自体は気軽に応じるみたいですが、僕は一人とじっくりプレイしたい派だから」
ミズキは明るく笑い、身を乗り出してきた。
「ケイさん、また来てくださいよ。僕は結構ここでうろついてるんですが、SUBの知りあいが少ないので、嬉しいです。SUB同士でしかわからないこととか話しましょうよし」
「そうですね。また顔を出せたら、来ますよ」
ミズキにねだられて連絡先を交換する。
この夜の成果はそれと、パートナー探しにはどうやら時間がかかるらしいということだった。
男はスマートな動作で桐原の横に座った。
そういえば第一声は英語でなまりのない美しい発音をしていたが、さらに男の日本語のは発音も完璧だった。
「日系人?」
「そう。よくわかったね。見た目ではあまりわからないと思うけれども祖父が日本人」
「仕事柄海外の方とよく会うので」
何故わかったのかというと確信したわけではなく、カンみたいなものもある。
容姿だけなら西洋系なのだが、肌の色ときめ細やかさが純粋の白人の白さとはちょっと違うといったとこだろうか。
男は名刺入れから名刺を取り出すと、桐原に渡した。
アメリカの有名なコンサル会社の本社のCOOと日本支社のGMの肩書がある。かなりの立場の人間であることに、さすがに桐原も驚いた。
「アレクシス·カズイ·ライズです。アレクと呼んでください。あなたのことは何と呼べば?」
「…ケイ」
「ケイ、ね」
キリハラもケイジも外国人にとっては発音しずらい。
そのため、桐原は仕事上海外の人と呼びあう必要があるときはケイと名乗っている。
フルネームをいきなり名乗るのははばかられたので、慣れたその呼称を使うのはちょうどよかった。
「日本で仕事を?」
「今はアメリカと日本を行ったりきたりという感じかな。ケイは商社?外資系かな?」
「どうでしょう」
とりあえず無難な会話から始めたものの聞き返され曖昧に誤魔化す。
このような場で自分というものをどれだけさらす必要があるのかわからなかったからだが、アレクシスは桐原の警戒に気を悪くした様子はなかった。
実力に裏打ちされた自信に満ちた態度、強い光を宿す双眸からは理知と威厳が感じられた。
「そんなに警戒しないで。別に私はパートナーには困ってない。落ち着いて飲みたい時にここに来るんだ」
「パートナー探しでなく来る人もいるんですか?」
「普通に交流のために来る人もけっこういるかな。我々みたいなマイノリティにとっては横のつながりも重要だろう?…情報も色々入るし、ビジネスにも役にたつ時もある」
なるほど、と桐原は思った。
プレイバーはただの出会いとかプレイする場というわけでなく、思ったより社交的な場所のようだ。
「来たのは今日始めてなんですが、そんな風に利用されてんですね」
「文字通りプレイしに来る人もいるけどね。でもやはりパートナーは価値観や信頼度ないといいプレイできないから、簡単にパッとくっついたりはしない人のほうが多いかな」
最も私は来るものは拒まずだけどねと言うが、それが嫌味ではないのはさすがの貫禄だった。
確かに、カリスマとでもいうべき雰囲気があり、この男に従いたくなる気持ちはわかるような気がした。
ぽつぽつとプレイバーのあれこれを聞いていると、アレクシスの知り合いらしいSUBの青年が声をかかけてきた。
「アレク、今日はずいぶん美人さん連れてるね」
「連れじゃないよ。今日の初見さんだって。君と同じSUB」
「あ!そうなんですか。はじめまして、ミズキです」
どうやら資産家の息子らしく、今は仕事をしていない高等遊民なのだとうそぶいていたがミズキと名乗った彼は丁寧に色々なことを教えてくれ、途切れがちになる桐原の会話に適度に話題を投げかけたりしてくれ、かなり親切な印象を受けた。
はじめはアレクシスのプレイ相手の一人なのかと思ったのだが、常連になってるうちに知り合いになっただけらしく、桐原と同様にパートナーを探しているらしかった。
「何箇所かプレイバー行ってみたんですが、ここは雰囲気もよいし、変な人は少ないからよく来るんですよ」
偉そうなDOMって最悪ですよね、と、ミズキは笑った。
長期的なバートナーが欲しい人は大体、ぶらっときているうちになんとなく意気投合したり、人ずてに紹介しあうということもよくある流れらしいかった。
「ミズキさんはパートナーは?」
「なかなか見つからないんですよね。前のパートナーが忙しくなってなんとなく自然消滅してしまって。優しくてよい人募集中です」
「アレクは?」
「ああ、アレクは好みが煩いみたいですよ。モテるからプレイ自体は気軽に応じるみたいですが、僕は一人とじっくりプレイしたい派だから」
ミズキは明るく笑い、身を乗り出してきた。
「ケイさん、また来てくださいよ。僕は結構ここでうろついてるんですが、SUBの知りあいが少ないので、嬉しいです。SUB同士でしかわからないこととか話しましょうよし」
「そうですね。また顔を出せたら、来ますよ」
ミズキにねだられて連絡先を交換する。
この夜の成果はそれと、パートナー探しにはどうやら時間がかかるらしいということだった。
10
あなたにおすすめの小説
おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件
ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。
せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。
クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom ×
(自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。
『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。
(全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます)
https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390
サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。
同人誌版と同じ表紙に差し替えました。
表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
隠れSubは大好きなDomに跪きたい
みー
BL
ある日ハイランクDomの榊千鶴に告白してきたのは、Subを怖がらせているという噂のあの子でー。
更新がずいぶん遅れてしまいました。全話加筆修正いたしましたので、また読んでいただけると嬉しいです。
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
待てって言われたから…
ゆあ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。
//今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて…
がっつり小スカです。
投稿不定期です🙇表紙は自筆です。
華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる