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24.決意
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「もしかして、あれから飼い犬に手を噛まれた?」
プレイバーで顔をあわせるなりアレクシスが言ったので、桐原は思わず睨んだ。
平日なので、今日はそれほど混んではいない。
乱暴に足で椅子を引き、桐原はどかりと座った。
「どういう意味ですか」
「この前の君に付き従っていたDOMの彼…ついちょっと挑発しちゃったから、もしかしてあとで一波乱あったんじゃないかと」
アレクシスは人の悪い笑いを浮かべ、桐原の向かいに座った。
「…実はひっかきまわして面白がってませんか?」
「最近は面白いことが少ないんだ」
「ご想像におまかせします」
先日の邂逅でわざと犬飼を煽ったのだということがわかり、桐原はイラッとした。
アレクシスを楽しませたいわけではないし、個人的な話を提供したいわけではない。
「私は嫉妬深いんだ」
「嫉妬?あなたが?」
「そう。気づかない?あの青年----」
「アレク、ケイさん、久しぶり」
すでに来ていたらしいミズキが、グラスを持って移動してきて声をかけてきた。
「何の話し?」
「ケイのパートナーについて色々と。名のりをあげてるんだけど、この姫はつれなくて」
「そう言う言い方はやめてくれませんか」
「そうはいうけど、簡単に落ちるのもつまらないんでしょう、あなたは」
悪びれないアレクシスと、固い表情をする桐原の二者二様見てミズキ苦笑し軽口をたたいた。
「そういえば、桐原さんは犬飼くんは今日は一緒じゃないの?」
「・・・まあな」
あの後から犬飼とはなんとなくギグシャグしている。
SUB DROPでなし崩しにパートナーの話は途中で終わったが、その後プレイをする話になっていない。
というか、幸か不幸か互いに忙しく社内にいたりいなかったりと出入りが多いので、意図しなくてもなかなか顔をあわせない日が多いのだ。
「そういえば確かにいつもより疲れてるみたい。いつもはもっとツヤツヤしてるのに。いいプレイできてない?」
「先日、SUB DROPを起こしたからその影響かもしれない」
そうかー、とミズキは納得したようだった。
「あれはしんどいよね。僕も何回かある。犬飼くんに無理な命令でもされた?」
「そういうわけでなく、たまたまコマンドが・・・」
「やっぱり彼がいい?初めてのパートナーはやはり特別だからね」
アレクシスに揶揄され、つい庇い立てするような言い方になってしまっていることに桐原は気づいた。
初めてのパートナーというものはやはり特別なのだろうか。
・・・やはり一人のプレイしか知らないから、いけないのかもしれない。
「・・・そういうんじゃないですよ」
「ふーん、じゃあプレイに付き合ってもらうことはできるのかな?」
「いいですよ。何なら今からでも」
うまく乗せられた気もしたが、なにか勢いがないと状況を変えられない気もした。
元々、次にアレクシスに会ったらプレイしてみる覚悟を固めていたのだ。
びびってなどいるわけない。
桐原圭司は何事にも怯まない人間のはずだ。
「軽いプレイなら、ここのプレイルームでよいかな?」
「いいですよ」
ミズキが何かもの言いたげにしていたが、桐原は本当によいのだろうかと躊躇う自分を振り切り、アレクシスに笑みを向けた。
プレイバーで顔をあわせるなりアレクシスが言ったので、桐原は思わず睨んだ。
平日なので、今日はそれほど混んではいない。
乱暴に足で椅子を引き、桐原はどかりと座った。
「どういう意味ですか」
「この前の君に付き従っていたDOMの彼…ついちょっと挑発しちゃったから、もしかしてあとで一波乱あったんじゃないかと」
アレクシスは人の悪い笑いを浮かべ、桐原の向かいに座った。
「…実はひっかきまわして面白がってませんか?」
「最近は面白いことが少ないんだ」
「ご想像におまかせします」
先日の邂逅でわざと犬飼を煽ったのだということがわかり、桐原はイラッとした。
アレクシスを楽しませたいわけではないし、個人的な話を提供したいわけではない。
「私は嫉妬深いんだ」
「嫉妬?あなたが?」
「そう。気づかない?あの青年----」
「アレク、ケイさん、久しぶり」
すでに来ていたらしいミズキが、グラスを持って移動してきて声をかけてきた。
「何の話し?」
「ケイのパートナーについて色々と。名のりをあげてるんだけど、この姫はつれなくて」
「そう言う言い方はやめてくれませんか」
「そうはいうけど、簡単に落ちるのもつまらないんでしょう、あなたは」
悪びれないアレクシスと、固い表情をする桐原の二者二様見てミズキ苦笑し軽口をたたいた。
「そういえば、桐原さんは犬飼くんは今日は一緒じゃないの?」
「・・・まあな」
あの後から犬飼とはなんとなくギグシャグしている。
SUB DROPでなし崩しにパートナーの話は途中で終わったが、その後プレイをする話になっていない。
というか、幸か不幸か互いに忙しく社内にいたりいなかったりと出入りが多いので、意図しなくてもなかなか顔をあわせない日が多いのだ。
「そういえば確かにいつもより疲れてるみたい。いつもはもっとツヤツヤしてるのに。いいプレイできてない?」
「先日、SUB DROPを起こしたからその影響かもしれない」
そうかー、とミズキは納得したようだった。
「あれはしんどいよね。僕も何回かある。犬飼くんに無理な命令でもされた?」
「そういうわけでなく、たまたまコマンドが・・・」
「やっぱり彼がいい?初めてのパートナーはやはり特別だからね」
アレクシスに揶揄され、つい庇い立てするような言い方になってしまっていることに桐原は気づいた。
初めてのパートナーというものはやはり特別なのだろうか。
・・・やはり一人のプレイしか知らないから、いけないのかもしれない。
「・・・そういうんじゃないですよ」
「ふーん、じゃあプレイに付き合ってもらうことはできるのかな?」
「いいですよ。何なら今からでも」
うまく乗せられた気もしたが、なにか勢いがないと状況を変えられない気もした。
元々、次にアレクシスに会ったらプレイしてみる覚悟を固めていたのだ。
びびってなどいるわけない。
桐原圭司は何事にも怯まない人間のはずだ。
「軽いプレイなら、ここのプレイルームでよいかな?」
「いいですよ」
ミズキが何かもの言いたげにしていたが、桐原は本当によいのだろうかと躊躇う自分を振り切り、アレクシスに笑みを向けた。
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