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25.プレイルーム

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プレイルームがあるという話は説明を受けてはいたが、足を踏み入れたのは初めてだった。
ソファーとテーブルが置かれた部屋である。インテリアはバーと統一されているから小洒落た小部屋という感じで、プレイする場所という生々しい感じではない。
毛足が長めの絨毯に靴裏が沈む。床に座ったり、横になるということを想定しているからだろうか、と思う。
個室ではあるがDOMとSUBの性質上何かあったときのことを避けるため、モニターされていると説明を受けた。

「かなり緊張してるね。不安?リラックスして」

似たようなやりとりを犬飼としたなと思いながら、桐原は頷いた。
そうしてあの時初めてのプレイをしたことを思い返す。
DOMとSUBの関係は首輪の儀式をしていない限り恒久的なものではなく、時に限定的な関係である。
他のDOMとプレイしようが別に操建てする必要はないのだが、犬飼の告白を受けたせいもありなんとなく落ち着かない気持ちがした。
プレイの経験が少ないからそう感じるのかもしれなかったが。

「じゃあ今日は基本的なコマンドをしようか。セーフワードはREDでよいね」

アレクシスはソファーに座った。
堂々とした様子はまるで王者のようで、他のSUBが彼とプレイしたいと熱望するのも分かる気がした。

COMEおいで

コマンドが耳に入った瞬間ーーその力強い言葉に吸引されるように、桐原の身体は動いていた。
アレクシスの言葉はゆるぎない力があった。逆らうことを考えさせないような、強引で圧倒的なコマンド。
ひきよせらるように近づく。

「Strip…」

ざわっとして顔をこわばらせかける桐原を安心させるように、アレクシスの手がとん、と肘を叩いた。

「安心して。私の上着をStrip脱がせて

催眠術にかかったように、桐原の手は背を向けたアレクシスのジャケットを肩から滑り落とすように脱がせた。
シルクウールの生地が指にさらりと滑る。
手触りが気持ち良いからかなり高級な市内なのだろうと頭のどこかで感じる。

pass渡して

渡したそれは、大雑把に投げ出された。

「まず、ソファーの、ここにsit座って

誘導されるように、アレクシスの隣に座る。まるで彼の口から紡ぎ出された言葉がぴんと張った強靱な糸のようで巻き付き、それに操られるようだ。
誘導されるように、アレクシスの隣に座る。まるで彼の口から紡ぎ出された言葉がぴんと張った糸のように巻き付き、それに操られるようだ。'

goodよし

次の瞬間、ぐっと顎を掴まれて目を合わされる。 
火を噴くような熱量が一気に流れ込んできて、頭の芯がじんと痺れたようになる。
一瞬おいてそれがアレクシスのグレアだと理解する。
コマンドと同じように強引で、確信に満ちたグレアだった。
犬飼の寄り添うようなコマンドや、引いたり満ちたりするようなグレアとは全く違うと桐原は感じた。
そして相手が変わっても当たり前にコマンドに反応するのだと思った。
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