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05 高松さん(清掃員/45歳) 紅茶、おしっこ我慢、お漏らし寸前
しおりを挟むトージョーブランドの建物は超高層ビルであり、各階に様々な部署がある。
ブランド名に傷が付くことのないように、とにかく清潔感が肝心だ。
なので清掃員は欠かせない。
トージョービルでは、リストラや倒産など、昨今の雇用問題にも積極的に取り組んでおり、アルバイトや日雇い労働者の雇い入れに、即日勤務OK、期間雇用などの融通が効く。
つい最近、アルバイト清掃員として働き始めた高松もその中の一人である。
最近までは職があったのだが数日前、何と働いていた会社が倒産してしまったのだ。
世の中何が起こるかわからないものだ、と真っ青な顔でフラフラと家に帰ったのを思い出す。
「はあ…、急すぎるだろ…」
何の知らせもなく突然のことだったため、次の就職先などあるはずもなく途方に暮れていた。
一人暮らしで貯金もあまりなかったし、45歳という微妙な年齢の男の自分を正社員で雇ってくれる会社もないし、とにかく生活費が必要だった。
この際贅沢など言っていられない、と求人雑誌を見ながら歩いていた時、ふと通り過ぎたこのトージョービルが目に入り、何となく募集を探してみた。
すると、アルバイトや日雇い労働者を募集しているのを見つけた。しかも賃金がかなりいい。
仕事内容は建物の規模からして少し大変そうだとは思ったが、前職が土木作業員だったために体力だけは自信があった。
すぐに電話をしてみれば、数時間後には面接を受けることになった。
特に準備するものなどないし、いつでも面接が受けられるように履歴書は書いてある。
身なりを確認し、服装もまあ大丈夫そうだったので、近くの公園で面接の時間になるのを待ち、しばらくすれば言われた時間が近付いたのでトージョービルに入った。
面接を受けに来たと受付に伝え、すぐに高松は案内されて面接場所へ向かった。
ビルの中を見渡し、その広さに驚きながら歩いてゆく。
部屋の前まで案内され、高松は少し緊張しながら扉をノックした。
部屋の中には面接官らしき人物が待機しており、高松はドキドキしながら挨拶をした。
数十分後、面接が終わった。
面接結果は即採用というものだった。求人に応募した動機を聞かれたり、仕事内容の確認や賃金について、その他諸々の話をしただけだったが。
最後に、明日から働きますかと問われたことで採用だと気づき、高松は首を縦に振った。
思っていたよりもあっさりと面接が終わり、かなり拍子抜けだったが職が決まったことで安心し、気持ちに余裕ができた気がした。
「まあ、日雇い労働者も募集してたし、アルバイトだからこんなもんか?」
少しだけ軽くなった足で家に帰りながら、高松は明日からの仕事のことを考えていた。
作業服は支給されるということだし、昼食は嬉しいことに、社食が格安で利用できるらしく問題ない。
つまり、特に準備する物は一つもないということだ。
初日は先輩従業員の説明を受けて一緒に作業し、清掃の仕事を覚えるようになっている。数日間で覚えられるだろうという話なので、特に心配事もない。
「どうにか当面の仕事も見つかったし、とりあえず早く寝て明日に備えるか…」
最近は無職であったためか気が張り詰めていたため、不眠気味だったこともあり、今日は早めに寝ることにした。
目覚まし時計をしっかり確認し、目を閉じればすぐに睡魔が押し寄せてくる。
明日は出勤一日目、気を引き締めて頑張ろう、そう考えながら高松は次第に眠ってゆく。
朝になった。
清掃員の朝は早い。
目覚まし時計の音が鳴り、高松は目を覚ます。
「…朝、か。…んーっ、…よし」
思っていたよりも寝つきがよく、スッキリした朝だった。
今日はいい一日になりそうだ、と何気に思いながら朝食の準備を始める。
朝食は毎日決まっており、コーヒーとトーストにレタスと目玉焼きを乗せるだけの簡単なものだ。
それが終われば身支度を始める。
髭を剃りサッパリさせれば次は髪の毛だ。少し長めの前髪を後ろに撫で上げ、軽くスプレーで整えて完成。
服は更衣室で着替えるようになっているので、Tシャツとジーパンという軽装で良いだろう。
持ち物は少なく、財布と着替えを入れる袋くらいのもの。
「こんなもんか、じゃあ、出るか~」
そう呟き、朝の身支度が終わった。
準備という準備など何もなく、高松は軽い足取りで家を出たのだった。
家から徒歩で通える職場は楽だな、とぼんやりと考えながら歩いていく。
今までは職場までは電車に乗り、土木作業のため現場まではトラックなどで向かっていたため、家に帰るのはかなり遅い時間になっていたりもした。
しかし、今回の職場はビルの中であり、アルバイト清掃員という仕事だ。
前職よりは少ないが、アルバイトなのに給料も結構良い。
不安も無くはないが、まあ、働いてみてから考えることにする。
今はとにかく働いて生活費を稼ぐことだけに集中しなければ。
「…長く続けばいいけどな」
そう呟きながら、気が付けば目的地に着いていた。
高松はトージョービルを見上げ、ほうと息を吐く。
「見れば見るほどデカいビルだよなぁ…」
アルバイト清掃員とはいえ、ここが今日から自分の職場になるのだ。
トージョーブランドを背負っている社長がこの最上階におり、自分はそこの従業員。それを考えるとアルバイトとはいえ、少し嬉しかった。
勤務時間は朝の早い時間から始まるため、従業員専用の裏口から入るように言われている。
高松は裏口に視線を送り、足を進めた。
そして扉を開いた瞬間、突然目の前に何者かが現れ、高松はぶつかった拍子に後ろに倒れて尻もちをついてしまった。相手は無事だったようだ。
「…いててて、すみませんっ、怪我なかったッスか?」
「こちらこそ失礼、手をどうぞ」
「あ、どうも。よっと」
「いえいえ…」
手を差し出され、高松はその手を取って立ち上がった。
礼を言って顔を上げると、そこにはニコッと人好きのする笑顔でこちらを見る青年の姿がある。
チラリと顔を見てみれば、スラリとした高身長に爽やかな笑顔をしたイケメンだった。
スーツを着ているため、ここの従業員だと思い、高松はペコリと頭を下げて謝った。
「本当にすんませんでした」
「お互い怪我もなかったようだし、急いでいるので僕はこれで失礼するよ」
「どうも」
「ふふっ」
青年はクスッと笑い、そのまま去ってしまった。
若そうだったが何やら上流階級的なオーラもあったし、きっと重役の人間だろうと思い、高松はまたペコッと頭を下げた。
トージョーブランドでは年齢関係なく能力のある者は重役につけると聞いているし、あの青年もきっとそういう人物なのだろうと頷き、高松はそのまま扉を潜った。
専用通路を歩いてゆき、少しすれば清掃員専用の更衣室へと辿り着く。
扉に軽くノックをし、ドアノブを回した。
コンコンッ、ガチャッ
「おはようございまーす、今日からお世話になりまーす」
「おう、おはようさん!!」
「あらあら、お兄さんが今日から入るっていう人?体力ありそうで嬉しいわあ。お名前は?」
「あ、高松です。体力だけなら結構あるんで、ガンガン使ってください」
「頼もしいねえ!!」
更衣室には数人の従業員がいた。
高松よりも少し年配の男性や高齢の女性、中には若い人も数人いる。学生のアルバイトだろうか。
清掃員も年齢は様々いるという話を聞いているし、こういうものだろうと心の中で頷いた。
今日から数日間、仕事を教えてもらい、シフト制なのでそのうち一人で清掃作業をするように聞いている。
作業内容は階によって違うが、持ち場は大体決まっており、自分は体力があるため最上階付近を任される予定らしい。
最上階には社長室があり、その数階下まではかなり広く、体力勝負だと高齢の女性清掃員が教えてくれた。
最近までは学生アルバイト数名で清掃していたらしいのだが、学業との兼業になるためシフトが固定できないため清掃が時々行き届かなくなり、社長室などの清掃が気になるという指摘を受け、出来れば毎回同じ人に清掃してもらいたいという上からの要望らしい。
高齢の人間では広い場所を隅々まで毎日清掃するのは大変であり、次に若い者も男性ではあるが高齢である。
なので、体力のありそうな高松が任されることになったようだ。
「清掃内容自体はそこまで難しくないのよ。でもねえ、広すぎて毎日しろと言われたら、私たちみたいな年寄りじゃぁどうしても体力が続かなくてねえ…」
「あー、そうなんスか。まあ、俺、体力だけならあるんで、頭は悪いけど」
「何言ってるのよ、頼りにしてるわ~」
「ははっ、頑張ります」
先輩清掃員の指導を受け、高松はその日から数日間、自分が担当するというフロアの清掃を習っていった。
言われたように清掃内容は特に難しいものではなく、体力があればなんとかなりそうだった。
つまり、高松にはもってこいの作業内容だったということだ。
数日もあれば高松は清掃作業もしっかりと覚え、何とか一人で作業出来るまでになった。
明日からはシフトがしっかりと組まれ、一人で清掃するようになるらしい。
思っていたよりも続けられそうで、高松は胸を撫で下ろしていた。
「これが明日からのシフトだ。皆さん、よろしくお願いします」
「わかりました」
「はいよ」
「了解です」
更衣室で皆で会話をしていると、清掃員たちを管理している担当者がシフト表を持ってやってきた。
その者は見覚えがあった。高松の面接をした人物であり、聞けば皆のシフトの管理をしているらしい。
各自に持ち帰り用のシフト用紙を渡され、高松もそれを受け取った。
明日からは一人で作業をする。
特に心配事もなく、今日の作業を終えて着替えをして帰る準備をした。
高松の勤務時間は朝の早い時間から始まるため、帰りの時間は夕方より早目だ。もともと早起きタイプの高松には丁度良い時間帯であり、意外と働きやすかった。
従業員専用の裏口から帰ろうと歩いていると、目の前からあの青年が歩いてくるのが見える。
高松は顔を上げ、挨拶をした。
「あ、お疲れ様です」
「お疲れ様。もしかして今から帰るのかな?」
「はい、そうです。俺、清掃員なもんで」
「そうなの?どこの階の担当?」
「あー、最上階付近の担当になりました」
「そうなんだ。じゃあ、出会うこともありそうだね」
「ってことは、やっぱ重役さんだったんすね」
「うん、きっとそのうち同じ階で顔を合わせることもあるだろうね」
「まじっすか、そん時は邪魔しないように気を付けますんで」
「あははっ、お茶くらいしようよ」
「いやいや…」
「あ、それじゃあこれで」
「お疲れ様でーす」
やはり青年は重役だったようだ。
堂々とした立ち振る舞いに、年上の高松の方が自然と敬語になってしまうほどには。
出来る人は出来るということか、と高松は凄いなと思いながら去っていった青年の後ろ姿を眺めていた。
その青年がまさか、社長である明寿だとは知らずに。
明寿は久しぶりに楽しい人物が面接にやって来たことを知り、自ら拝見することにした。
勤務初日ということを聞き、彼が通るであろう裏口で待ち伏せをしていたのだ。
扉が開き、目的の人物である高松が目の前に現れた。
しかし、高松は明寿に気が付かずに思い切り体当たりするように向かって来たため、その様子を超能力を使って透視していた明寿は別の能力を使って高松の体を反射させて尻もちをつかせたのだ。
高松は何かにぶつかったように感じせいか驚いたように目を丸くさせ、勢いよく地面に転んでしまった。
明寿は偶然を装い手を差し出し、彼の体をサッと立たせた。
真面目な性格らしく、高松は明寿が年下であることに気付くが、すぐに自分から謝り頭を下げた。
そんな高松を気に入った明寿は、ニコリと愛想良く笑って少しだけ会話をし、自然な動作で立ち去った。
「…うん、イイ体してたね。清掃しにきた時に遊んであげよう」
明寿は社長室へ向かいながらそう呟き、クスリと笑う。
エレベーターに乗ろうとした時、ベテラン清掃員の女性が掃除をしていることに気付き、明寿は人懐こい顔で声をかけた。
「やあ、おばちゃん、いつもご苦労様」
「あら社長っ、お疲れ様です」
「最近新人さんが入ったよね。どう?」
「真面目でよく動くわよ~。体力もあるし、良かったわぁ」
「そうなんだ、それはそれは」
彼は仲間に気に入られているようだ。
明寿は高松の人柄を知るため、女性と何気ない会話をしばらくしていた。
エレベーターに乗り最上階まで着くと、いつものように社長室へと入った。秘書の青木には用があるまで待機するように伝えてあるためここにはいない。
今日の予定は特に無いが、暇を持て余していたため、誰かで少し遊ぼうかと考えていた。
すると、丁度良いタイミングで彼がやってきた。
扉の向こうからコンコンッとノックする音が聞こえ、明寿はニッと笑って返事をする。
「はい、どうぞ」
「失礼しまーす、清掃しますのでー…、ん?…あっ!!」
「ふふふっ、やあ、いらっしゃい」
「ええっと~…、え?あれ?んあ?ここって社長室だよな…、…おおっ?………あの、まさか…、そういうこと、…っす…か…ね…?」
戸惑いながらも今の状況に気づいた様子の高松は、口篭もりながら目の前にいる明寿に尋ねた。
明寿がニコッと笑う。
その笑顔で高松は確信した。
まさか、役員の一人だと思っていたこの若い男が社長だったとは。
高松は申し訳なさそうに勢いよく頭を下げた。
「す、すみませんでした。まさか社長だったとは知らなくて、失礼な態度を…」
「構わないよ。この通り、僕は社長ではあるけど君よりずっと年下だからね。むしろ社会人の先輩として僕の方が君を敬うべきだ」
「いやいやいや、とんでもない!!社長は社長だし、年齢なんて関係ないんで!!」
「あははっ、そんなに慌てなくていいのに」
高松は焦った様子で何度も頭を下げ、体を縮こませた。
そんな彼の様子に明寿は笑い、ニコニコと嬉しそうにしている。
明寿の今日の予定が決まったらしい。
「さっき清掃のおばちゃんと話をしていたんだ。君が高松さんだよね。今日からこの部屋を清掃してくれるって聞いてるけど」
「あ、はい。何か気になるところがあれば言ってください」
「う~ん、今日は特に無いかな」
「そうッスか。…えっと、それじゃあ、さっそく取り掛かかりますね」
「うん、よろしく」
若干ぎこちない動きで高松は清掃に取り掛かった。
社長室はとても広く、高級そうな飾りもある。少し緊張しながらも高松は真剣な表情で清掃をしてゆく。
そんな様子を眺めながら、明寿は高松をどのように遊ぼうかと考えていた。
いつものように体の動きを止めて直立状態で全身を開発してあげようか、それとも、意識操作をして痴態を晒させてやるのも楽しそうだ。
考えているうちに高松はどんどん清掃を済ませてゆく。
見た目の割に結構要領がイイらしい。
程よくムチッとした体がもだえる姿はきっと面白いだろう。
「ふふふ、とにかく何かして遊んでみよう」
明寿はクスッと笑いながら高松を見て、向こうで真剣な表情でガラスを磨いている彼を呼んだ。
「高松さーん、ちょっといいかな」
「あ、はい…」
名前を呼ばれた高松はすぐに明寿の前にやってきた。
少し緊張した様子の高松に、明寿はニッコリと笑顔で言う。
「今日はもう清掃は終わりにして、僕のティータイムに付き合ってくれないかな。この前約束したし」
「ええっと、…えっ?」
「ふふふ、一方的な口約束みたいなものだけど」
「あれ、本気だったんすか」
「うん」
ポカンとした様子の高松に、明寿は部屋に用意してあるティーセットを手に、勝手に準備を始めた。
高松は少し戸惑うように視線を彷徨わせたが、明寿がお茶の準備を始めたことで冗談ではなかったのだと確信し、掃除道具を片付けることにした。
数分後、明寿と高松は来客用のソファに向かい合うように座り、ティータイムが始まった。
何処から持ってきたのか、カップの隣にはクッキーが添えられている。
不思議な光景だと思った。
「さあどうぞ」
「あ、どうも…」
「ふふっ、高松さん、あまり緊張しないでよ。僕の方が年下なのに」
「いや、そういう問題じゃあないですって。俺、ただのアルバイト清掃員なのに、社長室で社長と向かい合わせでティータイムとか、何か凄い状況…」
「まあいいじゃない、楽しく会話しようよ」
「は、はい…、楽しく…」
高松は視線をキョロキョロと彷徨わせながら何とも言えない表情でカップに口をつけた。
中身は紅茶だった。
高級そうな甘い香りのする紅茶。
明寿はクスッと笑いながら口を開いた。
「ふふふ、この紅茶美味しいでしょ?」
「確かに…、こんなに良い香りのする紅茶は初めてです。…値段高そう」
「値段は知らないけど、僕のお気に入りの紅茶だよ」
「絶対高級品だ…」
高松はまじまじとカップの中の紅茶を眺めている。
目の前で紅茶の中身に気を取られている高松に、明寿の目が光った。
「ふふふっ、中身が無くなったね。ほら、もう一杯どうぞ」
「えっ、い、いや、これ以上お邪魔するのも…」
「今日は特にもう予定がないから邪魔にはならないよ。ほら、せっかくだし…」
明寿がスーッと高松と視線を合わせ、静かに囁いた。
『ほら、飲んで』
すると、高松の体がビクッと一度痙攣し、一瞬だけ表情が消えた。
明寿の暗示が始まったようだ。
高松は数秒間ぼんやりとした後、明寿を見てハッとしたような表情になり慌ててカップを差し出した。
「あ、そ、それじゃあ、もう一杯いただきます、社長」
「うん、どうぞどうぞ」
「どうも」
カップの中に再び紅茶が注がれ、高松はそろりとカップに口をつけ、中身を飲み込んだ。
グビグビグビッ
ゴクンッ
高松は紅茶を一気に飲み干した。
明寿はニコニコ笑顔でその様子を見つめている。
すると、明寿が目を細め、再び高松に言った。
『はい、もう一杯どうぞ、高松さん』
静かに、そっと囁くような明寿の声に、高松が自然な動作で持っていたカップを目の前に差し出す。
「いやあ、この紅茶本当に美味いッスね。それじゃあ、お言葉に甘えて」
「どうぞどうぞ。たくさんあるから好きなだけ飲んでね」
「ありがとうございます」
「ふふふ」
先程の遠慮が嘘のように、高松は明寿に勧められるがまま、何杯も紅茶を飲み干してゆく。
既に十杯は飲んだのではないだろうか、それでも高松は嬉しそうに追加された紅茶を思い切りグビグビと飲み込んでゆく。
気が付けばもう、トータルすれば2リットル程にはなるのではないだろうか。
普通、それだけの量の水分を飲んでしまえば腹がいっぱいになり、膀胱もかなり膨らんでしまうだろうが、明寿の暗示が効いている高松は平気な顔をして更に紅茶を貰い、嬉しそうに一気飲みしている。
それから更に何杯も紅茶を追加され、高松の腹は水分でぽっこりと膨らんでいる。
いくら紅茶を追加して飲み込もうとも、暗示によって高松の表情は変化しない。
しかし、膀胱はかなり限界に近付いているようで、無意識に高松の下半身がカタカタと痙攣し、呼吸も荒くなっているようだ。
「ふふふふふっ、おや、高松さん、もう紅茶はいいのかな?まだまだおかわりしたかったらあるけど」
「ひぃっ、ひぃっ、ひぃっ、あああっ、おっ、おかわりっ、いいっ、しますっ」
「うん、じゃあはい、どうぞ~」
「おふぅーっ、おふぅーっ、あひっ、あひぃーっ」
「ふふっ、そんなに焦らなくても、いっぱいあるからね、はい、どうぞ」
「あひぃーっ、あひっ、ありがとぉっ、ご、ごじゃい、まひゅっ、ぐびっ、ぐびっ、ぐぶっ、んぐお゛ぉおっ」
無理やり紅茶を飲み込んだ高松は悲鳴を上げながらも全て飲み干し、カップを机に置いた。
ガクガクと腰を痙攣させ、気が付けば両手は股間をギュウッと握りしめている。
今にも失禁してしまいそうになり、無意識に自身のペニスを服の上から押さえているらしい。
明寿はクスクス笑いながらも気が付かないフリをして、のんびりとした動作で会話をする。
「いやあ、こんなに楽しいティータイムならまた今度もお願いしたいものだよ。また誘ってもいいかな?」
「はひぃーっ、はひぃーっ、はっ、はひっ、よ、よろこんでぇーっ」
「今日は紅茶だったけど、今度は僕のお気に入りのコーヒーにしようと思うんだ。最近仕入れたコーヒー豆で、結構海外のセレブ達に人気らしくてなかなか手に入らないんだけど、先日たまたま手に入ってね。そうだ、来週あたりにでもまたどうかな?」
「ひぎぃーっ、ひおおっ、うぐぅっ、は、はひっ、はひぃーっ」
「ふふふっ、じゃあ約束だね」
「んぐぅーっ」
言葉が聞こえているのかどうかも怪しい高松の様子に、明寿はお構いなしにどんどん会話を進めていく。
限界を超えた膀胱に、高松はもう立つことも歩くこともできないだろう。
ググッと強く足を閉じて股間を押さえながらも必死に会話をするために口を開き、言葉にならない声を出しながら頷いている。
真っ赤な顔をして涙目になりながら両手で股間を握りしめている高松の様子に、明寿は堪えきれずにクスッと笑ってしまった。
しかし、そんなことを気にしている余裕など今の高松にはない。
明寿の暗示によって尿を漏らしそうだという感覚がないため、高松にとって今の状況は正常であり、会話も普通にしているつもりになっているらしい。
現状は全く違うのだが。
そんな高松の状態に、明寿は非情な言葉をかけた。
『さて、もう一杯、紅茶をどうぞ、高松さん』
キイイイインッ
明寿の暗示が強くなり、高松はビクッと一度痙攣し、両手は握りしめていた股間から離れ、カップへと伸びていった。
内股になった膝をブルブルと震わせ、ガクガクと手でカップを掴み、明寿に差し出した。
「んぐぅーっ、ひぃっ、ひぃっ、ひぃーっ」
「おっと、注ぎすぎちゃった。はいどうぞ」
「あひっ、あひぃっ、ぐびぐびぐびっ、ぐぶっ、ぐぶぶっ、うぶぅっ」
「ふふ、ちょっと零れちゃったね」
高松は血走った目をしながら紅茶を飲み干した。
口の端から零しながらもカップの中身を一気に飲み干し、荒い呼吸をしながら両手で再び股間を握りしめる。
「ひぃーっ、ひぃーっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひぃーっ」
「喜んでもらえて嬉しいよ」
会話のキャッチボールは全く成立せず、しかし明寿は自然な流れで会話を進めてゆく。
高松は自分が股間を握りしめていることさえわからないまま、明寿の顔を見ながらただひたすら頷くだけだった。
自分は明寿を普通にティータイムを楽しみ、おしゃべりをしているという認識でいるのだ。
催眠状態は明寿が解除するまで永遠に続く。
それと同時に膀胱内から尿を排泄するという行動も催眠状態にある今、自分の意思ではすることができない。
全ては明寿の暗示によって制御され、また解放するのも明寿なのだ。
一滴たりとも膀胱内に貯蓄された尿を吐き出す行動は許されない。
高松の血走った目が明寿を見つめ、何かを言いたそうにしているが言葉が思いつかず、ただ口をパクパクとさせるしかできない様子。
顔が真っ赤に染まり、痙攣する全身から汗が噴き出している。
明寿がわざとらしく高松に言った。
「おや、高松さん、汗が出てるけど大丈夫かな?具合でも悪い?」
「ひぃーっ、ひぃーっ、んぐううううっ」
高松が悲鳴を上げながら首をブンブンッと左右に振った。
一応この悲鳴が返事であり、振った首は否定の意思表示をしているらしい。
しかし、いい加減そろそろ解放させてやらなければいけないだろう。
膀胱に溜まった尿を出さずに我慢させれば膀胱炎になるかもしれないし、下手をすれば伸びすぎた膀胱が破裂してしまうかもしれない。
最悪の場合、病気になってしまうこともある。
初日にしては楽しめた方かもしれない、と明寿は満足したように高松を見てニコッと笑った。
その笑顔に応えるため高松も笑顔になった、つもりだったが実際は全く違う表情だった。
今にも咆哮しそうなほどに呼吸を荒げ、噴火するのではないかというほど顔は真っ赤になっているし、血走った目からは時々涙がポロリと零れ、パクパクと開閉する口からはダラダラと涎が垂れ続けている。
鬼気迫る表情とはこのことだろうか、というくらい凄まじい形相だった。
明寿はそんな高松の様子にも特に何かを感じることもなく、優雅にソファで足を組んで紅茶を啜っている。
楽しい、面白い、ああ、そろそろ飽きたかな、程度の感情しかないらしい。
それでも、今日という日の、今という時間に満足したので、まあ、それでいいのだ。
さて、目の前では膀胱破裂寸前の高松が、全身から汗をビッショリと掻きながら痙攣しているわけだが、これをどうしてやるのが一番面白いだろうか、と明寿は考えていた。
暗示にかけたままの状態でお漏らしさせるのも楽しいだろうが、暗示が解けた状態の方がきっと面白いだろう。
それならば場所はどうするか。
皆のいる前で大量失禁をさせるのは流石にマナー違反というものだ。
そこまで明寿は人間としての尊厳を失わせるほどの非情さはなく、ただ自分が楽しみたいだけだったりする。
とにかく自分好みの調教をして、ゆくゆくは自分の傍で淫らな体にさせてやるのが目標だ。
久しぶりに理想的な逞しい体の男を手に入れたのだし、それなりの快楽を与えて観察もしたい。
「う~ん、久しぶりに楽しいんだけど、どうしようかなぁ」
何を呟こうとも今の高松には何も聞こえないだろうし、暗示にかかっているため言葉の認識もできないため、明寿は腕を組みながら楽しそうに考え事に浸っている。
その間も高松は真っ赤な顔でブルブルと震え、尿意に悶えているのだが。
そして明寿は顔を上げ、口を開いた。
「うん、ちょっと考えがまとまるまで紅茶でも飲んでてくれる?はい、どうぞもう一杯」
明寿は再び高松のカップに紅茶を注いだ。
チャプンッ
なみなみと注がれた紅茶のカップに、高松の体がガクガクと痙攣した。
しかし、手はスーッと吸い寄せられるようにカップに伸び、高松は震えながらも口を開いた。
グビグビグビッ
「ぐぶぅーっ、ぐぶっ、ぐぼぉーっ」
まるで紅茶の中で溺れているかのように悲鳴を上げ、淹れられた紅茶を一気に飲み込んでゆく。
とうに膀胱は限界を超えてしまっている。
そこから更にまた膀胱は限界を超え、高松は訳も分からずカップの中身を空にした。
「ごぶっ、ぐぷっ、ごぷぅっ」
「おやおや、半分は零しちゃってるよ」
明寿はそう呟き、目を細めて笑っていた。
まるで仕方のない人だと言うように。
そして明寿はソファから立ち上がり、高松を見下ろすように視線を下げ、静かに口を開いた。
「さあ、もうこんな時間だ。楽しいティータイムもお開きにしよう」
そう、楽しい時間は終わりだよ。
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