憧れの異世界で極楽至上のハーレムを

ゆのや@1作品書籍化!!(予定)

文字の大きさ
7 / 89
第1章――1 【 自由奔放なパートナー/吸血鬼との旅 】

第5・5話 吸血鬼の羽と尻尾事情

しおりを挟む
「そういえばさ、リリスは自分のこと吸血鬼だって言ってたけど、見た感じ羽とか尻尾ないよね?」
「ん? あぁ、羽と尻尾は普段、身体の中に仕舞ってるのよ。邪魔だから」
「仕舞えるの⁉ どうやって⁉」
「魔法の力でよ」
「本当に便利だねぇ、魔法は」
「羽と尻尾を生やして人間社会で生活するのなんて、自分から魔族だって周りに言いふらしてるようなものよ。だから、隠してる方が色々と都合がいいの」
「……もしかして、この世界だと魔族は危険視されてる感じ?」
「そんなことはない、とも言い切れないわね。私たちを友好的な存在だと認識している者いればその反対も当然いる。ちなみに、私は人間族ヒューマンがそんなに好きじゃないわ」
「え、それじゃあ僕のことはそんなに好きじゃないってこと?」
「なーに言ってるのよ。センリは例外。私のことを無条件で助けてくれたし、それに貴方の血はとても美味だったからね」
「やっぱりリリスって吸血鬼なんだねぇ」
「まだ疑ってるの?」
「さすがに今は信じてるよ」

 しばらく行動を共にするパートナーとなった僕とリリスは、現在は数キロ先に見える町を目指して補装された道を歩いていた。

 そして、今は二人、親睦しんぼくを深める為に会話を重ねている最中だった。

「ところでセンリ。貴方、異世界から転移して来たってわりにすごく落ち着いてない? 私がセンリと同じ立場だったら何も出来ず途方とほうに暮れてる所よ?」
「まぁ、慌てても状況が好転する訳じゃないから。名残惜しく感じるものも罪悪感も確かにあるけど、戻れないんだから仕方ない、って割り切ることにしたよ」

 日本とこっちの世界の時間軸がどうなっているのかは不明だけど、おそらく数日後に僕は行方不明者となって警察の捜索対象になるだろう。

 ちなみにスマホはというとあの裏路地に置いてきてしまった。なので、仮に知人から連絡が来ても絶対に返事を返すことはできない。そもそも異世界で地球産のスマホが使えるとは到底思えない。

 皆には要らない心配をさせてしまった。それだけが唯一の気掛かりで、この胸に罪悪感を募らせる。けれど、どれだけ憂いても、日本にいる修練くんたちとはもう連絡の取りようがない。

「それに、まだ絶対に故郷に帰れないとも決まった訳じゃないからね」
「――そうね。なら、旅の目的にセンリが故郷に帰れる方法も追加しましょうか」
「うん。その方法を模索もさくしながら、せっかく来れた異世界を満喫まんきつするよ」
「そう。いい考えね。なら、一緒に旅を楽しみましょうか」
「うん」

 ふいっ、と一瞬だけリリスから視線を外して、そしてすぐに戻すとこくりと頷いた。

 ――仮に、もし本当に日本に帰れる方法が見つかったとして、その時僕は日本に帰りたいと思うだろうか。

 今はやはり、日本に帰りたいという気持ちが強い。

 けれどこの世界で過ごしていくうちに。

 隣で並んで歩いているリリスと一緒にいるうちに。

 これからこの世界で出会う人と過ごしていくうちに。

 この世界に染まっていくうちに、いつしか考えが変わってしまいそうで。

 漠然とした不安が胸裏にまとわり付く。

「(それも全部。これからの旅が決めることだ)」

 いずれ来る選択は、未来の僕に委ねることにした。少なくとも、答えはまだ出せないから。
 
 それに、

「あ、そういえばセンリが持ってるそのかばんには何が入っているのかしら?」
「ん? 特にリリスが興味をくようなものは入ってないと思うけど」
「そんなことないわ。異世界の物。すごく気になるわ!」
「ふふ。なら、後でリリスに見せてあげるよ」
「やった!」

 まだ僕と彼女は出会ったばかりで、お互いのことを何も知らないのだから。
  
 心の天秤はわずかに、水平ではなく片方に傾いていた。
 

 ***


「……あら。あそこに見える町、シエルレントなのね」
「リリス、知ってるの?」
「えぇ。訪れたことはまだないけれど、名前は知ってるわ。私が前にいたクゥエスって街からもそう遠くない所よ。丁度、次の目的地にしようと思っていた町だわ」
「そうなんだ。偶然なんだろうけど、行先ランダムな空間転移テレポートがリリスが行きたかった所でよかったね」
「くすっ。そうね。これも日頃の行いってやつかしら」
「…………」
「なによその目は。まるで私が善行なんかこれっぽちもやってないだろって言いたそうね?」
「別に、そんなこと思ってないよ」
「目が泳いでるじゃない。ま、センリの思ってる通り、あまり褒められたことはしてないけど」
「やっぱ合ってるんじゃん」
「ふんっ。好き勝手自由に生きるのが私のポリシーなのよ」
「あはは。リリスらしい生き方だね」
「……何故かしら。全く褒められてる気がしないわっ」

 道中。僕とリリスは親睦を深めながら、旅のパートナーとなって初めての町へ辿り着く――。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

処理中です...