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第1章――3 【 修業の日々/吸血鬼の悦楽 】
第26話 修行の反動
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「おはよう二人とも……ってあれ? どうしたの、センリ。なんか動きがカクカクしてるけど?」
「お、おはよう、カルラ。ちょっとね……あだだ⁉ リリス! 背中突かないでよ!」
「くふふっ。だって、朝起きたらずっとこんな感じなんだもの」
隣で笑うリリスにぷりぷりと怒りを露にしながら、僕は不思議そうに見つめてくるカルラに答えた。
「どうやら昨日張り切り過ぎちゃったみたいで、朝起きたら全身筋肉痛だったんだよ」
「筋肉痛。あぁ、そういえば、昨日から冒険者になる為に修行始めたんだっけ?」
なるほど、と相槌を打ったカルラは、改めて動き方がぎこちない僕を見るとなんとも言えない表情を浮かべた。
「二日目でいきなり全身筋肉痛って、センリ、これまでどんだけ運動してこなかったのよ」
「心外だ。運動はちゃんとしてたよ。ただ、昨日は初日から張り気過ぎて久々にあんなに身体動かしたせいか、僕の想定以上に身体に反動が出ちゃったみたい」
「昨日寝る前にしっかり治癒魔法を掛けたのにねぇ。ま、治癒魔法も自然回復力を高めるだけで、筋肉痛みたいな痛みには和らぐ程度の効果しかないんだけど」
「それでもリリスが朝も治癒魔法掛けてくれたおかげでだいぶ動きやすくなったよ」
朝目を醒ました時は動こうとしただけで身体が軋むような痛みに襲われて悲鳴を上げたくらいだ。ぎこちないが動けるだけでも、リリスが僕に掛けてくれた治癒魔法はかなり効果がある。
「とりあえず、席に座っていい? 立ってるのしんどくて」
「おんぶしてあげよっか?」
「そこまで介抱されるほど動けなくありませ……あだだ! だから背中突くのやめてってば!」
「ぷはは! 本当にちょっと触っただけ面白いリアクションしてくれるわね!」
「くぅ! この悪魔吸血鬼めっ!」
「……あはは。リリス。もうちょっとセンリのこと労わってあげなよ」
*****
「もぐもぐ……でも、そんな調子じゃ、今日は修行できないんじゃない?」
「そうなんだよ。だから今日は大人しく部屋で勉強するつもり」
食事中。早速崩れてしまった予定に落ち込んでいると、カルラが僕に感心したような目を向けていることに気付いた。
「はぐはぐ……どうしたの、カルラ。僕の顔に何か付いてる?」
「ううん。何も付いてない。センリってすごく真面目だなって」
「真面目っていうか、やらなきゃいけないことだから」
「そういう所を真面目って言うのよ」
カルラの指摘にリリスが追い打ちをかけるように言って、そんな二人からの評価に思わず照れくさくなってしまって朱に染まった顔を俯かせた。
「ふふ。照れてる。可愛い」
「やめてよぉ」
つんつん、と僕の頬を突いてくるリリスの指を煩わしそうに払って、僕は何かを紛らわせるようにサラダを頬張った。
「ということは、リリスも今日は部屋でゆっくりするの?」
「いいえ。私は朝食を済ませたらギルドに行くわ。そこで日帰りで終わりそうなクエストでも見つけてこなすつもり」
「それじゃあ、これから二人は別行動になるんだ」
意外、とでも言いたげな表情のカルラ。
「二人っていつでも一緒に行動してる印象だったから、別行動もするんだ」
「僕もリリスと一緒に旅をしてから別行動取るのは初めてだよ」
「外を一人で歩かせるにはまだ少し不安要素があるけど、部屋で一人くつろいでる分には問題ないと判断したのよ」
「ぶぅ。僕はリリスが思ってるほど子どもじゃないよ?」
「まだろくに字と金貨の扱い方も理解できてない坊やがよく言うわね」
手痛い指摘に僕は思わず「うぐっ」と呻いた。
「じゃあ、今日は私がセンリに勉強教えてあげるよ」
「え? カルラが?」
「うん。とはいっても仕事までになるけどね。センリが読み書きの練習中なのは知ってるし、それくらいなら私でも教えられるから」
「いいの! ありがとう!」
カルラの有難い申し出に、僕は二つ返事で快諾。
部屋で一人で勉強するとなるとリリスから習った部分を復習するしかなかったが、カルラが教えてくれるならまだ理解できていない文字も習得できそうだ。それに、カルラならリリスと違って飽きて勉強を放棄せず最後まで付き合ってくれそうだ。
「それじゃあご飯を食べ終えたら早速……ってアダダ⁉ いきなりなにするの、リリス⁉」
「べつにぃ。何でもないけど」
「何でもないなら背中突かないでよ。しかも強めに突いたでしょ」
「ふんっ。この浮気者」
「えぇ。僕、浮気なんかした覚え一度もないんだけど……」
急にご機嫌斜めになったリリスに、僕は訳も分からずただ困惑するばかり。
そんな僕とリリスを見ていたカルラは、ぷっくりと頬を膨らませる吸血鬼に向かって申し訳なさそうに両手を合わせながら、
「……ごめんねリリス。愛しのパートナーを取っちゃって」
「ふんっ」
謝りながらも、けれどカルラの口角は愉快そうに上がっていた。
「お、おはよう、カルラ。ちょっとね……あだだ⁉ リリス! 背中突かないでよ!」
「くふふっ。だって、朝起きたらずっとこんな感じなんだもの」
隣で笑うリリスにぷりぷりと怒りを露にしながら、僕は不思議そうに見つめてくるカルラに答えた。
「どうやら昨日張り切り過ぎちゃったみたいで、朝起きたら全身筋肉痛だったんだよ」
「筋肉痛。あぁ、そういえば、昨日から冒険者になる為に修行始めたんだっけ?」
なるほど、と相槌を打ったカルラは、改めて動き方がぎこちない僕を見るとなんとも言えない表情を浮かべた。
「二日目でいきなり全身筋肉痛って、センリ、これまでどんだけ運動してこなかったのよ」
「心外だ。運動はちゃんとしてたよ。ただ、昨日は初日から張り気過ぎて久々にあんなに身体動かしたせいか、僕の想定以上に身体に反動が出ちゃったみたい」
「昨日寝る前にしっかり治癒魔法を掛けたのにねぇ。ま、治癒魔法も自然回復力を高めるだけで、筋肉痛みたいな痛みには和らぐ程度の効果しかないんだけど」
「それでもリリスが朝も治癒魔法掛けてくれたおかげでだいぶ動きやすくなったよ」
朝目を醒ました時は動こうとしただけで身体が軋むような痛みに襲われて悲鳴を上げたくらいだ。ぎこちないが動けるだけでも、リリスが僕に掛けてくれた治癒魔法はかなり効果がある。
「とりあえず、席に座っていい? 立ってるのしんどくて」
「おんぶしてあげよっか?」
「そこまで介抱されるほど動けなくありませ……あだだ! だから背中突くのやめてってば!」
「ぷはは! 本当にちょっと触っただけ面白いリアクションしてくれるわね!」
「くぅ! この悪魔吸血鬼めっ!」
「……あはは。リリス。もうちょっとセンリのこと労わってあげなよ」
*****
「もぐもぐ……でも、そんな調子じゃ、今日は修行できないんじゃない?」
「そうなんだよ。だから今日は大人しく部屋で勉強するつもり」
食事中。早速崩れてしまった予定に落ち込んでいると、カルラが僕に感心したような目を向けていることに気付いた。
「はぐはぐ……どうしたの、カルラ。僕の顔に何か付いてる?」
「ううん。何も付いてない。センリってすごく真面目だなって」
「真面目っていうか、やらなきゃいけないことだから」
「そういう所を真面目って言うのよ」
カルラの指摘にリリスが追い打ちをかけるように言って、そんな二人からの評価に思わず照れくさくなってしまって朱に染まった顔を俯かせた。
「ふふ。照れてる。可愛い」
「やめてよぉ」
つんつん、と僕の頬を突いてくるリリスの指を煩わしそうに払って、僕は何かを紛らわせるようにサラダを頬張った。
「ということは、リリスも今日は部屋でゆっくりするの?」
「いいえ。私は朝食を済ませたらギルドに行くわ。そこで日帰りで終わりそうなクエストでも見つけてこなすつもり」
「それじゃあ、これから二人は別行動になるんだ」
意外、とでも言いたげな表情のカルラ。
「二人っていつでも一緒に行動してる印象だったから、別行動もするんだ」
「僕もリリスと一緒に旅をしてから別行動取るのは初めてだよ」
「外を一人で歩かせるにはまだ少し不安要素があるけど、部屋で一人くつろいでる分には問題ないと判断したのよ」
「ぶぅ。僕はリリスが思ってるほど子どもじゃないよ?」
「まだろくに字と金貨の扱い方も理解できてない坊やがよく言うわね」
手痛い指摘に僕は思わず「うぐっ」と呻いた。
「じゃあ、今日は私がセンリに勉強教えてあげるよ」
「え? カルラが?」
「うん。とはいっても仕事までになるけどね。センリが読み書きの練習中なのは知ってるし、それくらいなら私でも教えられるから」
「いいの! ありがとう!」
カルラの有難い申し出に、僕は二つ返事で快諾。
部屋で一人で勉強するとなるとリリスから習った部分を復習するしかなかったが、カルラが教えてくれるならまだ理解できていない文字も習得できそうだ。それに、カルラならリリスと違って飽きて勉強を放棄せず最後まで付き合ってくれそうだ。
「それじゃあご飯を食べ終えたら早速……ってアダダ⁉ いきなりなにするの、リリス⁉」
「べつにぃ。何でもないけど」
「何でもないなら背中突かないでよ。しかも強めに突いたでしょ」
「ふんっ。この浮気者」
「えぇ。僕、浮気なんかした覚え一度もないんだけど……」
急にご機嫌斜めになったリリスに、僕は訳も分からずただ困惑するばかり。
そんな僕とリリスを見ていたカルラは、ぷっくりと頬を膨らませる吸血鬼に向かって申し訳なさそうに両手を合わせながら、
「……ごめんねリリス。愛しのパートナーを取っちゃって」
「ふんっ」
謝りながらも、けれどカルラの口角は愉快そうに上がっていた。
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