憧れの異世界で極楽至上のハーレムを

ゆのや@1作品書籍化!!(予定)

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第1章――4 【 連続殺人事件/吸血鬼の警鐘 】

第35話 不穏な気配

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ブラッディ・ポーラとの激戦を経て、ようやく本格的に冒険者と依頼を受けられるようになった。

「ふぅ。リリスの言ってた通り、あのブラッディ・ポーラって特別強かったんだ」

 今日はシエルレント郊外にある農家さんの果樹園に出没しているというブラッディ・ポーラの討伐依頼を受けていた。そして、その件のブラッディ・ポーラは既に僕の足元に倒れている。

 僕は構えた剣を鞘に納めると、後方でこの戦闘を見届けていたリリスに振り返った。

「今の戦い。どうだったかな?」
「上出来よ。よく一人で倒せたわね」
「後ろにリリスがいるって分かってるから臆せず戦えるからね。それに、あの時のブラッディ・ポーラに比べたら弱かったから」
「あれは特殊個体だったからね。普通のブラッディ・ポーラなら、もう貴方の敵にならないわね」

 実戦を重ねる度に強くなっている。その自覚はあるけれど、それを確固たる確信にさせてくれるのはいつだってリリスからの称賛だ。

 じんわりと、胸が熱くなる。それを感じるように僕は服の上からぎゅっと握りしめて、

「さ、スイセンさんに報告しにいこっか」
「そうね。ちゃっちゃと報告して帰りましょ。……しかし、センリが強くなるのは嬉しいけど、私もそろそろ戦いたくなってきたわね。とはいってもこの近辺の魔物は手応えないんだけど」
「ほんと、頼りになるパートナーだよ」

 リリスの背中に追い付けるのは、まだまだ遠い先のようだ。

 *****

「あれ? カルラ?」
「あっ、二人とも」

 依頼完了の報告をしにギルドに戻ると、この場所には珍しい少女がいた。その隣には彼女が働いている定食屋の常連のアイゼンさんの姿も見られた。

 僕とリリスは顔を見合わせて揃って小首を傾げつつ、とりあえずカルラの元へ足を進めた。

「カルラがギルドにいるなんて珍しいね。何かあったの?」
「うん。昨日のことでちょっとね」
「昨日?」

 いつも明るいカルラの表情に陰りを見て、僕とリリスは怪訝に眉をしかめた。

「ねぇ、アイゼン。二人にも話しておいた方がいいよね」
「どうせ遅かれ早かれギルドの方でこの一件は告知されるんだ。問題ねぇだろ」

 カルラはアイゼンさんに何か相談を終えると、僕たちに振り返って「座って話しましょ」と席への移動を提案してきた。

 そうして僕たち四人は近くの席に移動すると、それぞれのペアで対面する形で椅子に腰を降ろした。

「そういえば、どうして貴方がこの子と一緒にいるの?」
「護衛だよ」
「「護衛?」」
「……お前ら、ひょっとして何も知らないのか。ラ・ルルで宿泊してんのに?」

 はて、と小首を傾げる僕とリリスにアイゼンは呆れた風に肩を落とした。

「カルラ。昨日のこと、二人に教えてやれ」

カルラ、こくりと頷くと、

「実はね。昨日、この町で殺人が起きたんだ」
「あー。それ、今朝聞いた気がするな」
「え? 誰から?」
「僕たちと一緒でビールで朝食を取ってた人たちだよ。リリスはまだ寝ぼけてたから気付かなかったかもね。僕も部分的な会話しか聞き取れなかったら、すっかり忘れてたな」
「なんだ。リリス嬢はともかく、センリは知ってたのか」
「うん。けど、その事件とカルラが何の関係が?」

 カルラとアイゼンさんは一つ目配せすると、 

「カルラはその事件の情報提供者だ」
「え⁉ それってつまり……」

 咄嗟に嫌な予感がしたけど、それを察知したのかカルラが慌てて首を横に振った。

「私は現場になんていなかったよ」
「ほっ。なんだ、てっきりカルラも危ない目に遭ったのかもって思っちゃったよ」
「現場にはいなかったんだけど、でもね、私悲鳴を聞いたの」
「……悲鳴、ね」

 それまではどこか他人行儀だった、どうでもよさそうな態度を取っていたリリスの雰囲気が変わった。

「つまり、カルラは悲鳴を聞いた時の時間と方角をギルドここに報告しに来たって訳ね」
「流石理解が早いなリリス嬢」
「長く旅をしてればそれだけ事件にも遭遇するからね」
「嫌な慣れだな」
「慣れるものよ。百年も生きていれば」

 うんざりした口調でそう言って、それからリリスはため息を吐く。

「それにしてもカルラ。アナタ、その声を聴いた時どこに居たの?」
「お店だよ。お店が終わって外の看板を片そうとした時に急に聞こえて。慌ててお父さんに言ったら朝まで絶対に家から出るなって」
「まぁ常識ね」
「それで夜はもうすぐに寝て、朝起きたら殺人が起きたってお父さんたちから聞いて」
「そして今に至る、と」
「うん」

 つまりカルラは昨晩起きたであろう殺人の犯行時刻をギルドに報告しに来たってことか。

 僕も状況を理解し、恐ろしい体験をしたカルラを労うように「大変だったね」と言葉を掛けた。

「それで、その犯人は?」
「まだ捕まってないみたい」
「だから俺が念の為カルラをここまで送り届けたって訳。夜間に比べれば日中はまだ人目も多くて安全だろうが、カルラの親父さんに頼まれたから断れなくてな」
「私は一人でも行けるってお父さんに言ったんだけどね。でも「何があるか分からん」って押し切られて」
「この町で殺人なんて珍しいからな。しかも犯人が捕まってないときたもんだ。カルラの親父さんが神経質になるも分からなくもない」

 可愛い愛娘を持つ父親としては不安で仕方がないのだろう。普段は鉄面みたいにフライパンを振るっているマルダンさんもやっぱり一人の子の親なんだな。

「とにかく、だ。お前たちも気をつけろよ。しばらくは衛兵が目を光らせてるだろうが、それでも何が起こるか分かないからな」
「うん。忠告ありがと」
「えぇ。注意しておくわ」

 アイゼンさんからの忠告を受け取って、僕とリリスはこくりと頷いた。

「それじゃあ、俺はカルラを送ってくかな」
「じゃあまた夜ね、二人とも。それとも今夜は別のお店?」
「ううん。いつも通りビールだよ。それじゃあ気を付けてね」
「うん。ばいばーい」

 席を立ったアイゼンさんに倣うように腰を上げたカルラ。ひらひらと手を振っていたん別れようとした時だった。

「そういや、カルラが聞こえた声、なんでお前ら聞こえなかったんだ?」
「あ、あはは。ええと、その時はたぶん、シャワー浴びてたんだと思います」
「? ……そうか」

 ――言えない。リリスとえっちする頻度が多いから、部屋は基本的に防音魔法を掛けてるなんて!

 アイゼンさんの疑問に、僕は内心の動揺を隠しながら必死に誤魔化すのだった。

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