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第1章――4 【 連続殺人事件/吸血鬼の警鐘 】
第38話 出会い
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「はっ、はっ、はっ……」
昨夜はリリスが泥酔してくれたおかげで、僕も久しぶりにぐっすり眠ることができた。おかげで明朝から気分は爽快、身体の調子もすこぶる良好だ。
日課にしているランニングも足が軽く快調に飛ばしていく。朝霧を掻き分けるように街道を突き進む。折り返し地点にしている広場まで来ると、僕は珍しい光景を目にした。
「……あれって」
この時間に広場にいるのは朝早起きしたご老人たちか飼い犬の散歩をしている人、そして僕と同じくランニングのコースにしている人たちくらい。数は10にも満たないから、余計にその光景が目立った。
「この時間帯に素振りしてる人、初めてみたな」
木剣を振るっているのは青年で、その振り下ろしは一糸乱れずまるで精密機械のようだ。それでいて一振り一振りに力強さを感じる。
圧巻されるような素振りに思わず走る足が止まり、そして吸い寄せられるように勝手に足が動いた。そんな僕の視線に気付いたのか、青年が素振りを止める。
それから青年は額から流れる汗を袖で拭いながら僕に振り向いた。
「……なにか?」
「す、すいません! じろじろ見ちゃって。その、あまりにも剣筋が綺麗だったから、つい見惚れちゃって」
頭を下げつつ正直な感想を告げると、青年は複雑そうに眉間に皺を寄せた。
「……見世物ではないんだが」
「あ、邪魔だったらすぐに消えます」
「いや。ここは公共の場だ。キミが俺に配慮して退くことはない。それよりこちらこそすまない。少し威圧的な態度を取ってしまった」
そう言って青年は淡い笑みを浮かべると、先ほどまで感じた剣呑な空気が霧散されたのを感じた。
僕の方も張っていた緊張感がゆっくりと弛緩していくのを感じながら、青年の元へ寄って行く。
「ええと、素振りをしているってことは、もしかしてこの町のギルドの方ですか?」
「……いや。俺はただの旅人だよ」
「奇遇ですね! 僕も旅をしてるんです! とはいっても、旅はこの町が初めてなんですけど」
「はは。これは驚いたな。久々に身体の調子がいいと思って外に出てみれば、こんな偶然に遭うとは」
何か気になるワードが聞こえたが、それは青年の柔和な微笑みによってすぐに記憶の片隅へと追いやれた。
「あの、もしよかったら、お名前を聞いてもいいですか?」
「ん? あぁ、もちろんだ。俺の名は――ベルクトだ。キミは?」
「アカツキ・センリです!」
「よろしく。センリ」
「こちらこそ。ベルクトさん」
この瞬間、強く風が吹いた意味を、この時の僕たちはまだ知る由もなくて――。
昨夜はリリスが泥酔してくれたおかげで、僕も久しぶりにぐっすり眠ることができた。おかげで明朝から気分は爽快、身体の調子もすこぶる良好だ。
日課にしているランニングも足が軽く快調に飛ばしていく。朝霧を掻き分けるように街道を突き進む。折り返し地点にしている広場まで来ると、僕は珍しい光景を目にした。
「……あれって」
この時間に広場にいるのは朝早起きしたご老人たちか飼い犬の散歩をしている人、そして僕と同じくランニングのコースにしている人たちくらい。数は10にも満たないから、余計にその光景が目立った。
「この時間帯に素振りしてる人、初めてみたな」
木剣を振るっているのは青年で、その振り下ろしは一糸乱れずまるで精密機械のようだ。それでいて一振り一振りに力強さを感じる。
圧巻されるような素振りに思わず走る足が止まり、そして吸い寄せられるように勝手に足が動いた。そんな僕の視線に気付いたのか、青年が素振りを止める。
それから青年は額から流れる汗を袖で拭いながら僕に振り向いた。
「……なにか?」
「す、すいません! じろじろ見ちゃって。その、あまりにも剣筋が綺麗だったから、つい見惚れちゃって」
頭を下げつつ正直な感想を告げると、青年は複雑そうに眉間に皺を寄せた。
「……見世物ではないんだが」
「あ、邪魔だったらすぐに消えます」
「いや。ここは公共の場だ。キミが俺に配慮して退くことはない。それよりこちらこそすまない。少し威圧的な態度を取ってしまった」
そう言って青年は淡い笑みを浮かべると、先ほどまで感じた剣呑な空気が霧散されたのを感じた。
僕の方も張っていた緊張感がゆっくりと弛緩していくのを感じながら、青年の元へ寄って行く。
「ええと、素振りをしているってことは、もしかしてこの町のギルドの方ですか?」
「……いや。俺はただの旅人だよ」
「奇遇ですね! 僕も旅をしてるんです! とはいっても、旅はこの町が初めてなんですけど」
「はは。これは驚いたな。久々に身体の調子がいいと思って外に出てみれば、こんな偶然に遭うとは」
何か気になるワードが聞こえたが、それは青年の柔和な微笑みによってすぐに記憶の片隅へと追いやれた。
「あの、もしよかったら、お名前を聞いてもいいですか?」
「ん? あぁ、もちろんだ。俺の名は――ベルクトだ。キミは?」
「アカツキ・センリです!」
「よろしく。センリ」
「こちらこそ。ベルクトさん」
この瞬間、強く風が吹いた意味を、この時の僕たちはまだ知る由もなくて――。
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