憧れの異世界で極楽至上のハーレムを

ゆのや@1作品書籍化!!(予定)

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第1章――5 【 VS殺人鬼/吸血鬼の憤怒 】

第39話 連続殺人事件発生

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「被害者は衛兵二名。犯行現場は南区噴水広場付近だ。衛兵二名は昨夜、警備のために南区を巡回していた。犯人の特定はまだできていないが、遺体の状態からおそらく数日前に起きた殺人事件と同一犯と我々は捉えている」

 現在、ギルド内では二人の衛兵とギルドマスターによる緊急会議が開かれていた。

「魔物と人間、どちらの犯行か目ぼしはついてるのか?」

 スキンヘッドの冒険者が質問を投げ。それをギルドマスターの横にいる衛兵が答えた。

「遺体から推測して、おそらく人間の仕業だと思われる」
「いずれの遺体も鋭利なもので裂かれたって話だしな」
「あぁ。犯行に使われた凶器は剣類で間違いないだろう」
「……となると犯人は人間説が濃厚か。殺された人たちの関連性とかあるのか?」

 次の質問にはギルドマスターが答える。

「いや、被害者たちの関連性はない」
「つまり無差別ってことか。質が悪ぃな」

 アイゼンさんの呟きに周囲の冒険者たちが揃って顔をしかめた。

「今彼が言った通り、今回の連続殺人は無差別に行われている可能性が非常に高い。現在、他の衛兵らが被害者たちの経歴を確認してくれているが、我々シエルレント支部と衛兵団はこれ以上の被害を拡大する防ぐために警備を強化することに決定した」

 ギルドマスターの言葉にこの場にいる全員が「異論はない」と厳かに顎を引く。

「ついてはこれから警備体制のミーティングを行う。尚、今回の犯行から犯人の危険度をB級以上と仮定。ついては警備にはBランク以上の冒険者たちに着いてもらう」
「……え」
「Cランク以下の冒険者たちは夜間は住民と同じく不用意な外出を避けるようにしてくれ。警備に参加したいものも中にはいるだろうが、どうか理解し協力してくれ」

 ギルドマスターの言葉に動揺している僕の肩に、リリスの手が添えて、

「センリは参加できないわよ」
「……やっぱり」

 僕の胸中を見透かしたようにリリスが言った。

 冒険者になったばかりの僕の現在のランクは最下位のDランク。つまりギルドマスターの求めている条件に達していないということだ。

 何かしたい。けれどそれができる資格を得ていない。その悔しさに拳を握りしめていると、不意にリリスが手を挙げた。

「一つ、質問いいかしら」
「キミは……たしかリリスだったか」
「あら。私のこと知ってたのね」
「キミはAランクだからな。この町でその階級の者は少ないから、自然と覚えていた」

 リリスは「なら話が早い」と継ぎ、

「私は貴方たちが警備対象にしたランク側なんだけど、その警備って参加しなくてもいいのかしら」
「無論強制ではないが……参加したくない理由を聞いてもいいかな?」
「単純に面倒だからよ」
「……リリス」

 その回答には流石の僕も呆れてしまった。

 リリスの回答に周囲にざわつきが広がっていく。見れば元々厳つい形相のギルドマスターの顔がさらに厳つさを増していた。

 しかし、リリスはそんなことなど気にもせずに言った。

「私は旅人で、正確にはこの町の住人じゃない」
「しかしこの町で冒険者として活動はしているだろう」
「ライセンス登録さえしていれば、冒険者がどの町で活動していようがそれは自由よ」
「郷に入っては郷に従え、ということわざを知っているかな。シエルレントの住人ではなくともこの町のギルドで現在活動しているならば、是非とも協力を仰ぎたいものだが」
「どうして旅人が自由気ままって言われているか知ってるかしら? それは好き放題に生きているからではなく、厄介ごとに巻き込まれそうになればそそくさと逃げるからよ」
「つまり、厄介ごとが起きたこの町から去ると?」
「少なくともこの町に留まる理由はなくなったわね」

 ギルドマスターとリリスの睨み合いが続く。リリスに向けられる周囲の視線がどこか冷ややかなものへと変わり始めたその時だった。僕がリリスの袖を引っ張ったのは。

「センリ?」
「リリス。僕からもお願い。この町の人たちを守って欲しい」
「……貴方はそれでいいの? 危険に巻き込まれるのかもしれないのよ?」
「僕は参加できないから心配要らないよ。それよりも大事なのはこの町の人たちだよ。何の罪もない人が殺されなきゃいけないのはおかしいでしょ?」
「…………」
「今いる所が危険だから僕らだけが安全な所に逃げて見なかったことにするだなんて、そんなのは僕がしたい旅じゃない。そんな旅は胸に罪悪感を募らせるだけだ」

 さっきのリリスの言葉。もしかしたら彼女はそんな旅を続けてきたのかもしれない。そしてそれは旅人なら合理的な考えだ。

 リリスの考えは何も間違ってない。彼女がこの町の住人ではなく放浪を続ける旅人であること。その事を理解しているからこそ、ギルドの人たちも冷ややかな視線を浴びせるだけで糾弾はしないのだろう。ある意味、それは初めから期待していないことの顕れなのかもしれない。

「僕は何もできないから、最終的に判断するのはリリスだ。でも、できることならキミの力を使って、皆を守って欲しい」
「私が力を振るうのは私のためよ。私は自由気ままに生きるの」
「そんなことは分かってるよ」
「分かっていて他人の為に動けって貴方は言うのね」
「リリスが力を貸してくれるなら、僕はなんでもキミの言うことを聞くよ」
「ふぅん。じゃあ私の奴隷どれいになれ、と私が言ったら、センリは私の奴隷になるんだ?」
「いいよ。それでリリスが動いてくれるなら」
「…………」

 僕如きがリリスにしてあげられることなんてたかが知れている。それでも、今この場で彼女を説得できるのは僕だけしかいないと思うから。

 ただひたすらに懇願こんがんする僕。やがて、リリスは一つ諦観したような吐息を吐くと、

「――はぁ。貴方は本当に甘いわ」
「……ごめん」
「謝らなくていい。それが貴方の長所なんだから」 

 リリスは徐に僕のことをギュッと抱きしめきた。柔らかで豊満な二つの果実に僕の顔を埋めたあと、頭上から柔和な微笑みが聞こえて。

「センリに感謝することね。面倒ごとに巻き込まれるのは勘弁だけど、センリがここまで言うから協力してあげるわ」
「協力感謝する。センリ、と言ったか。彼女を説得してくれてありがとう」
「ほほいたひらいて」

 辛うじて聞こえたギルドマスターの声に、僕は顔をリリスの胸に埋め尽くされながらもどうにか返答する。

「り、リリス……息が、できない……」
「なんでもやるんでしょう? 貴方はしばらく私の胸に埋もれてなさい」
「し、死ぬぅ⁉」

 ばたばたと胸の中で苦しみ藻掻く僕を、ギルドの男性陣が羨望と殺意の入り混じった目で見つめていた。

 かくして、このシエルレントに緊急警備隊が編成されることとなった。

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