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第1章――5 【 VS殺人鬼/吸血鬼の憤怒 】
第40話 悔しさと励まし
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「はあぁぁぁ。めんどくさーい」
「僕たちが想像してる以上に、深刻な事態になってるみたいだね」
「本当よ全く。せっかく住み心地いい町だったのに」
あれからリリスを含めたBランク以上の冒険者たちは、ギルドマスターから町の警備についての追加の会議が行われていた。
本来ならば警備参加へのランク条件を満していない僕はその場に居合わせることできなかったが、リリスのパートナーであり不参加を表明しようとしていた彼女を説得したことをギルドマスターに評価されて特別に同席することを許可してもらえた。
臨機応変が冒険者に求められるスキル、そう笑いながら言ったギルドマスターのご厚意に甘えて参加した会議の内容はこんな感じ。
まずは警備の編成について。
基本的な編成はAランク一名とBランク二名、そして衛兵一人を含めた四人一組。冒険者のランクで最高位が『S』なんだけど、この町にSランクの冒険者はいないらしい。
Aランクの冒険者もこの町ではリリスを除いてたった四名ほどで。故にギルドマスターはリリスを是が非でも警備に参加させたかったのだろう。
衛兵すら殺してしまう凶悪な殺人犯。戦力は少しでも多い方がいい。魔族の中でも優秀な種族と評される吸血鬼のリリスは、この町では最高戦力の一角だ。
Aランクの冒険者を主軸にした合計5チームで町の警備に当たり、さらにそこから2チームでローテとして警備が行われる。
リリスがチームになった人たちと上手くやれるか不安だったんだけど、アイゼンさんが一緒のチームになってくれたのでひとまずその懸念は晴れた。
ギルドマスターからの警備についての説明は大体こんな感じ。あとは当面の間、住民たちの夜間外出は避けることと施設は営業の短縮命令がこれから町に広告されるくらい。
「ねぇ、リリス。この世界って、町で殺人が起きると大体こんな風になっちゃうの?」
「町によるわね。治安が悪い所なら殺人なんて日常茶飯事だし、大都なんかじゃ衛兵だけでなく騎士団もいるから、民間の生活にここまで影響が出ることはないは」
リリスはベッドで寝転がりながら続ける。
「そういう意味じゃシエルレントは他の町と比較しても治安はかなり良い方ね。ここ一ヵ月ほどこの町で過ごしても殺人の事件なんて今回の一件が起こるまで聞かなかったでしょう?」
「うん」
「この町の治安が良いのは温泉の観光地だからってのも理由に含まれてるんだけど、だからこそギルドや治安維持方面で働いてる連中はこの事件を重く捉えてるんでしょうね」
「悪いニュースが外に流れれば観光に来る人たちが減って、経済が落ちるからか」
「そういうこと。まぁ、そうでなくても町に殺人鬼がいるってだけで住民は安心して過ごせないだろうから、早急に犯人を捕まえたいんでしょうけど」
リリスの言葉は客観的に、しかしどこか他人事のようにも聞こえた。
以前にもリリスは言っていたけど、彼女は物や人に執着を抱かない性格だ。僕は何故かリリスに気に入られて特別に扱われていたからそれを全く感じなかったんだけど、今、少しだけそれを垣間見ている感じがする。
「ごめんね。自分ができないことをリリスに押し付けるような真似して」
「気にしなくていいわよべつに。最終的にやると決めたのは私なんだから」
リリスはベッドから身体を起こすと、縁に腰を降ろす僕を抱きしめながら言った。
「それに、警備をする間はなんでも私の言うことを聞いてくれるんでしょう?」
「約束したからね。それに、今の僕には頑張るリリスを支えることくらいしかできないから」
「べつに頑張ろうとは思ってないんだけど。まぁ、報酬が出る以上はきちんと働くわよ」
この事件で僕にできることは限られている。
リリスを全力でサポートすること。それが、今の僕にできる限界。
力不足で彼女の隣に立てないこと。その悔しさに奥歯を噛みしめる僕にリリスは、
「センリは私をサポートしてくれれば、それで十分よ」
優しい微笑みを浮かべ、労わるように僕の頭を撫でてくれた。
「僕たちが想像してる以上に、深刻な事態になってるみたいだね」
「本当よ全く。せっかく住み心地いい町だったのに」
あれからリリスを含めたBランク以上の冒険者たちは、ギルドマスターから町の警備についての追加の会議が行われていた。
本来ならば警備参加へのランク条件を満していない僕はその場に居合わせることできなかったが、リリスのパートナーであり不参加を表明しようとしていた彼女を説得したことをギルドマスターに評価されて特別に同席することを許可してもらえた。
臨機応変が冒険者に求められるスキル、そう笑いながら言ったギルドマスターのご厚意に甘えて参加した会議の内容はこんな感じ。
まずは警備の編成について。
基本的な編成はAランク一名とBランク二名、そして衛兵一人を含めた四人一組。冒険者のランクで最高位が『S』なんだけど、この町にSランクの冒険者はいないらしい。
Aランクの冒険者もこの町ではリリスを除いてたった四名ほどで。故にギルドマスターはリリスを是が非でも警備に参加させたかったのだろう。
衛兵すら殺してしまう凶悪な殺人犯。戦力は少しでも多い方がいい。魔族の中でも優秀な種族と評される吸血鬼のリリスは、この町では最高戦力の一角だ。
Aランクの冒険者を主軸にした合計5チームで町の警備に当たり、さらにそこから2チームでローテとして警備が行われる。
リリスがチームになった人たちと上手くやれるか不安だったんだけど、アイゼンさんが一緒のチームになってくれたのでひとまずその懸念は晴れた。
ギルドマスターからの警備についての説明は大体こんな感じ。あとは当面の間、住民たちの夜間外出は避けることと施設は営業の短縮命令がこれから町に広告されるくらい。
「ねぇ、リリス。この世界って、町で殺人が起きると大体こんな風になっちゃうの?」
「町によるわね。治安が悪い所なら殺人なんて日常茶飯事だし、大都なんかじゃ衛兵だけでなく騎士団もいるから、民間の生活にここまで影響が出ることはないは」
リリスはベッドで寝転がりながら続ける。
「そういう意味じゃシエルレントは他の町と比較しても治安はかなり良い方ね。ここ一ヵ月ほどこの町で過ごしても殺人の事件なんて今回の一件が起こるまで聞かなかったでしょう?」
「うん」
「この町の治安が良いのは温泉の観光地だからってのも理由に含まれてるんだけど、だからこそギルドや治安維持方面で働いてる連中はこの事件を重く捉えてるんでしょうね」
「悪いニュースが外に流れれば観光に来る人たちが減って、経済が落ちるからか」
「そういうこと。まぁ、そうでなくても町に殺人鬼がいるってだけで住民は安心して過ごせないだろうから、早急に犯人を捕まえたいんでしょうけど」
リリスの言葉は客観的に、しかしどこか他人事のようにも聞こえた。
以前にもリリスは言っていたけど、彼女は物や人に執着を抱かない性格だ。僕は何故かリリスに気に入られて特別に扱われていたからそれを全く感じなかったんだけど、今、少しだけそれを垣間見ている感じがする。
「ごめんね。自分ができないことをリリスに押し付けるような真似して」
「気にしなくていいわよべつに。最終的にやると決めたのは私なんだから」
リリスはベッドから身体を起こすと、縁に腰を降ろす僕を抱きしめながら言った。
「それに、警備をする間はなんでも私の言うことを聞いてくれるんでしょう?」
「約束したからね。それに、今の僕には頑張るリリスを支えることくらいしかできないから」
「べつに頑張ろうとは思ってないんだけど。まぁ、報酬が出る以上はきちんと働くわよ」
この事件で僕にできることは限られている。
リリスを全力でサポートすること。それが、今の僕にできる限界。
力不足で彼女の隣に立てないこと。その悔しさに奥歯を噛みしめる僕にリリスは、
「センリは私をサポートしてくれれば、それで十分よ」
優しい微笑みを浮かべ、労わるように僕の頭を撫でてくれた。
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