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第2章――1 『 輪舞祭/吸血鬼と変わらぬ日常 』
第70話 魔族と人間
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「おじゃまし……あれ、センリは?」
「昼は部外者以外立ち入り禁止よ」
昼は準備中の店内で一人酒を呷っていると、金髪ツイテが目立つ少女、マーガレットがきょろきょろと周囲を窺いながらに店に入って来た。
どうやら私の愛しのパートナーに用があるらしいが、私は彼女の問いかけには答えずにカウンター席でちびちび酒を飲みながら軽く注意すると、マーガレットは私を睨みながらこう返した。
「アナタだって部外者でしょう」
「私はいいのよ。ここの常連だから」
「常連だからって準備中の店に堂々と居座っていい理由にはならないと思うんだけど?」
全くの正論は酒と共に飲み込んで、しれっと隣に座ってきたマーガレットが「それで」と訊ねてくる。
「アナタの愛しのパートナーは?」
「アナタの気になる相手ならお生憎様、今は外出中よ」
挑発的な物言いに皮肉交じりにそう答えると、マーガレットは一瞬を頬を赤らめたのちにあわあわし始め、反論したげに私を睨むも俯き、やがて悟ったような諦観したようなため息を盛大に吐くと、
「べつに好きじゃないわよ」
「誰も『好き』なんて一言も言ってないわよ」
「~~~~っ! こんのっ性悪吸血鬼め」
「今のは完全にアナタの自業自得でしょう」
真っ赤な顔で睨みつけられるも私に非はないので気にせず酒を呷る。
マーガレットはしばらく一人で悶えたあと、深呼吸を繰り返して無理矢理気味に感情を切り替えて再度訊ねてきた。
「センリはどこに行ったの?」
「……あの子ならこの店の看板娘とデートに行ったわよ」
「デッ……!」
全くつくづく面白い反応を見せてくれるわね。
顔面蒼白と化しているマーガレットに私はぷっと鼻で笑って、
「嘘よ」
「なんなのよさっきからアンタは!」
いよいよ弄ばれていることに耐え切れず、マーガレットが憤慨する。そんな地団太を踏むマーガレットを見て私はカラカラと愉快げに笑う。
そうしてひとしきり笑い終え、わずかに乾いた喉を潤すように酒をぐいっと飲み込んでからようやくマーガレットに真相を告げた。
「デートは嘘。けれど二人で買い出しに行ったのは事実よ」
「いやそれってデートじゃない?」
「それを定義するのは私ではないもの」
と返すと、マーガレットは眉間に皺を寄せた。
「男女が二人きりで掛けてるんでしょ? それなら客観的に見てもデートと呼べるんじゃ……」
「ならアナタがアイゼンと二人で出掛けている場面を私たちが目撃したとして、その時アナタはどう答えるのかしら?」
「変な勘違いしないでもらえる。こんなヤツとデートなんてする訳ないでしょ! と答えるわ」
「ね?」
「うぐぐ」
自分の発言でいくらかこちらの自論を理解できたのか、マーガレットが悔しそうに口を尖らせる。
彼女はいつの間にか手元に置かれていたグラスを乱暴に掴むと、そのまま一気に中に注がれていた水を飲み干して、
「それで、なんで二人だけで買い出しに行ったの?」
「これから店の限定メニューを開発するために行ったの」
「ふーん。それにアナタは付いて行かなかったわけ?」
「面倒だもの」
だからこうして一人酒を呷りながら二人の帰りを待っているってわけ。
ようやく状況を理解したマーガレットが「なるほどね」と呟き、水を注ぎ直されたグラスに唇を付けながら私にこう言った。
「……嫉妬とかさ、ないわけ」
「私がカルラに? あるわけないでしょう」
マーガレットの言葉を鼻で笑って一蹴。
彼女は意味深に「ふぅん」と私を横目で見ながら、
「……なら、私がセンリと二人きりの状況になっても同じこと言える?」
「えぇ」
「少しくらいは悩みなさいよ」
私はやれやれと呆れた風にため息を落とす。
「言っておくけどそれ愚問よ。私にとってセンリがお気に入りであることは認めてあげるけど、だからといってあの子の自由を縛る気はない。あの子が誰とどこで何をしていようが――あぁもう面倒だから端的に言うわ。私が知らない女とセックスしてようがそれはあの子の自由。私がこうしてここで酒を飲んでいるようにね」
「セッ……アナタたちって一体どういう関係なのよ」
「旅のパートナーよ」
私は懐疑的な視線で睨んでくるマーガレットに数センチほど顔の距離を詰めると、不敵な笑みを浮かべてこう言った。
「センリとセックスしたいなら正直にそう言いなさいよ」
「――なっ⁉」
瞬間、マーガレットの顔が真っ赤になる。
「ばっ、ばばばかなこと言ってんじゃないわよ! なんで私がセンリとセッ……そういうことしたいと思ってるわけ⁉」
「あら違うの? 私はてっきりアナタはセンリのことが好きなんだと認識していたのだけれど」
「だ、だから好きとかじゃないし! た、たしかにぱっと見は頼りない感じだけど、でも実際は凄く頼り甲斐があるし顔も好みだし、それに雑なギルドの男共と違って優しくて包容力があって素敵だとは思うけど……でも全然好きとかじゃないから⁉」
「いやもうそれは好きでしょ」
「だから違ぁぁぁう‼」
全身を余すことなく使って全力で否定するマーガレット。その姿は誰がどう見ても隠し切れない行為を必死に隠しているようにしか見えないのだけれど、羞恥が限界に近いのかいよいよ半泣きになっていたので追及は止めておくことにした。
「はいはい。そういうことにしておいてあげるわよ」
「本当に分かってるの!」
「分かってる分かってる。アナタはセンリが好きじゃなーい」
マーガレットの抗議は適当に流しつつ、
「でも、私が本気でセンリとセックスさせてあげるって言ったら、アナタどうする気?」
「……それはっ」
ほんのわずかだけ真剣さを孕んだ声でマーガレットに問えば、彼女は戸惑うように視線を彷徨わせる。
数秒。私たちの間に沈黙が降り、やがて葛藤をみせていたマーガレットが出した答えは、
「そんなのは、センリの気持ち次第でしょ」
「ハッ。つまらない答え」
彼女が出した答えは、相手の気持ちを尊重したという名の逃げだった。
そのあまりの意気地なさに私は思わず反吐を出してしまう。
「男なんて生き物は女が誘ったら口よりも先にちんこおっ立てて乗って来る野獣よ」
「ちんっ⁉ ……アンタはなんで恥じらいもなくそういうの言えるわけ?」
「何十年生きてると思ってるのよ。今更下の一つ程度で顔なんか赤くしないわ」
今はそんなことどうでもよく、
「真面目な話。センリにそういう気があるなら正直に白状しなさいな。あの子も相手が私だけっていうのは勿体ない……というよりもっと色んな果実を味わってもいいと思うし」
「アンタねぇ、それでセンリがアナタ以外に目移りしたらどうするの?」
「その時はその時よ」
あの子が私以外を選ぼうが選ばなかろうが、それはあの子の自由だ。私にあの子を束縛する権利はないし、私があの子を縛ることもない。
私はただあの子がお気に入りで今の所離れる予定がないだけで、このパートナー関係がいつまで続くかは私もあの子も分からない。
もしも、マーガレットが言うその日が訪れたら、おそらく私は何の抵抗もなくその選択を受け入れるだろう。ただほんの少し、胸に痛みを覚えるだろうけど。
「それはあれ? センリが自分以外に目移りすることはないっていう自信?」
「それも少しあるけどね。童貞を奪ったバフが継続中なのか、あの子も今は私の身体に夢中みたいだし」
「つまりそれが失われたらセンリが自分の元から居なくなるかもしれないって?」
「さぁね。そんなの私にも分からないわ」
あの子が私に抱く恋慕は知っている。とても純粋で真っ直ぐで、胸やけしそうなほどに甘い感情を私に注いでくれていることはこの身体がよく理解している。
けれど依然、この胸に彼の純真が響いたことはない。
あの子がどれだけ私に愛情というものを注ごうが、好意を伝えてくれようが、共に身体を重ねて快楽で満たされようが、人の温もりってやつを感じようが、この胸が満たされることはなかった。
どれほど身体が満たされても、心は渇くばかりで飢餓は収まらない。
そんな私だから、あの子にいつ愛想を尽かされて他の女の所に行ってしまっても文句など言えないのだ。
「100歳以上の歳の差で私とあの子は人間と魔族。今はまだ夢を見ているだけで、現実を見たらすぐに目を覚ますと思うわ」
それまでは、あの子は私のものにさせてもらうけれど。
そんな私の言葉を静かに聞いていたマーガレットは、私を見つめたまま、ぽつりと一言こぼした。
「可哀そう」
「――そうね。私が言うのもあれだけど、あの子がとても不憫だと思うわ。こんな女に捕まったばかりに」
「……違うわよ」
「え?」
マーガレットの否定に思わず素っ頓狂な声が出た。
そんな困惑する私に、マーガレットは憤りと、そしてどこか私を哀れむような視線を向けながら、こう言った。
「センリも可哀そうだと思ったけど、でもそれと同時にリリス。アナタも可哀そう」
「私が可哀そう? どこをどう見てそう思ったのよ」
「…………」
マーガレットの言葉に、私は甚だ理解できずに困惑するばかりだった。
マーガレットはそんな私を見つめたまま何も答えず、やがてゆっくりと席を立ち上がると、
「魔族にとって、人間は信用するに値しない存在なのかもしれない。でも、きっとセンリは違う」
「どういう意味?」
「教えないわよ。その意味が分からないなら、いつか本当にセンリはアナタの元を離れるかもしれないわね」
マーガレットはそれだけ言い残して、店から出て行った。
そしてまた一人になった私の胸には、彼女の残した言葉がずっと残り続けていて。
「……ほんと、人間ってくだらない」
魔族の私には、マーガレットの言葉の意味が何も解らなかった。
「昼は部外者以外立ち入り禁止よ」
昼は準備中の店内で一人酒を呷っていると、金髪ツイテが目立つ少女、マーガレットがきょろきょろと周囲を窺いながらに店に入って来た。
どうやら私の愛しのパートナーに用があるらしいが、私は彼女の問いかけには答えずにカウンター席でちびちび酒を飲みながら軽く注意すると、マーガレットは私を睨みながらこう返した。
「アナタだって部外者でしょう」
「私はいいのよ。ここの常連だから」
「常連だからって準備中の店に堂々と居座っていい理由にはならないと思うんだけど?」
全くの正論は酒と共に飲み込んで、しれっと隣に座ってきたマーガレットが「それで」と訊ねてくる。
「アナタの愛しのパートナーは?」
「アナタの気になる相手ならお生憎様、今は外出中よ」
挑発的な物言いに皮肉交じりにそう答えると、マーガレットは一瞬を頬を赤らめたのちにあわあわし始め、反論したげに私を睨むも俯き、やがて悟ったような諦観したようなため息を盛大に吐くと、
「べつに好きじゃないわよ」
「誰も『好き』なんて一言も言ってないわよ」
「~~~~っ! こんのっ性悪吸血鬼め」
「今のは完全にアナタの自業自得でしょう」
真っ赤な顔で睨みつけられるも私に非はないので気にせず酒を呷る。
マーガレットはしばらく一人で悶えたあと、深呼吸を繰り返して無理矢理気味に感情を切り替えて再度訊ねてきた。
「センリはどこに行ったの?」
「……あの子ならこの店の看板娘とデートに行ったわよ」
「デッ……!」
全くつくづく面白い反応を見せてくれるわね。
顔面蒼白と化しているマーガレットに私はぷっと鼻で笑って、
「嘘よ」
「なんなのよさっきからアンタは!」
いよいよ弄ばれていることに耐え切れず、マーガレットが憤慨する。そんな地団太を踏むマーガレットを見て私はカラカラと愉快げに笑う。
そうしてひとしきり笑い終え、わずかに乾いた喉を潤すように酒をぐいっと飲み込んでからようやくマーガレットに真相を告げた。
「デートは嘘。けれど二人で買い出しに行ったのは事実よ」
「いやそれってデートじゃない?」
「それを定義するのは私ではないもの」
と返すと、マーガレットは眉間に皺を寄せた。
「男女が二人きりで掛けてるんでしょ? それなら客観的に見てもデートと呼べるんじゃ……」
「ならアナタがアイゼンと二人で出掛けている場面を私たちが目撃したとして、その時アナタはどう答えるのかしら?」
「変な勘違いしないでもらえる。こんなヤツとデートなんてする訳ないでしょ! と答えるわ」
「ね?」
「うぐぐ」
自分の発言でいくらかこちらの自論を理解できたのか、マーガレットが悔しそうに口を尖らせる。
彼女はいつの間にか手元に置かれていたグラスを乱暴に掴むと、そのまま一気に中に注がれていた水を飲み干して、
「それで、なんで二人だけで買い出しに行ったの?」
「これから店の限定メニューを開発するために行ったの」
「ふーん。それにアナタは付いて行かなかったわけ?」
「面倒だもの」
だからこうして一人酒を呷りながら二人の帰りを待っているってわけ。
ようやく状況を理解したマーガレットが「なるほどね」と呟き、水を注ぎ直されたグラスに唇を付けながら私にこう言った。
「……嫉妬とかさ、ないわけ」
「私がカルラに? あるわけないでしょう」
マーガレットの言葉を鼻で笑って一蹴。
彼女は意味深に「ふぅん」と私を横目で見ながら、
「……なら、私がセンリと二人きりの状況になっても同じこと言える?」
「えぇ」
「少しくらいは悩みなさいよ」
私はやれやれと呆れた風にため息を落とす。
「言っておくけどそれ愚問よ。私にとってセンリがお気に入りであることは認めてあげるけど、だからといってあの子の自由を縛る気はない。あの子が誰とどこで何をしていようが――あぁもう面倒だから端的に言うわ。私が知らない女とセックスしてようがそれはあの子の自由。私がこうしてここで酒を飲んでいるようにね」
「セッ……アナタたちって一体どういう関係なのよ」
「旅のパートナーよ」
私は懐疑的な視線で睨んでくるマーガレットに数センチほど顔の距離を詰めると、不敵な笑みを浮かべてこう言った。
「センリとセックスしたいなら正直にそう言いなさいよ」
「――なっ⁉」
瞬間、マーガレットの顔が真っ赤になる。
「ばっ、ばばばかなこと言ってんじゃないわよ! なんで私がセンリとセッ……そういうことしたいと思ってるわけ⁉」
「あら違うの? 私はてっきりアナタはセンリのことが好きなんだと認識していたのだけれど」
「だ、だから好きとかじゃないし! た、たしかにぱっと見は頼りない感じだけど、でも実際は凄く頼り甲斐があるし顔も好みだし、それに雑なギルドの男共と違って優しくて包容力があって素敵だとは思うけど……でも全然好きとかじゃないから⁉」
「いやもうそれは好きでしょ」
「だから違ぁぁぁう‼」
全身を余すことなく使って全力で否定するマーガレット。その姿は誰がどう見ても隠し切れない行為を必死に隠しているようにしか見えないのだけれど、羞恥が限界に近いのかいよいよ半泣きになっていたので追及は止めておくことにした。
「はいはい。そういうことにしておいてあげるわよ」
「本当に分かってるの!」
「分かってる分かってる。アナタはセンリが好きじゃなーい」
マーガレットの抗議は適当に流しつつ、
「でも、私が本気でセンリとセックスさせてあげるって言ったら、アナタどうする気?」
「……それはっ」
ほんのわずかだけ真剣さを孕んだ声でマーガレットに問えば、彼女は戸惑うように視線を彷徨わせる。
数秒。私たちの間に沈黙が降り、やがて葛藤をみせていたマーガレットが出した答えは、
「そんなのは、センリの気持ち次第でしょ」
「ハッ。つまらない答え」
彼女が出した答えは、相手の気持ちを尊重したという名の逃げだった。
そのあまりの意気地なさに私は思わず反吐を出してしまう。
「男なんて生き物は女が誘ったら口よりも先にちんこおっ立てて乗って来る野獣よ」
「ちんっ⁉ ……アンタはなんで恥じらいもなくそういうの言えるわけ?」
「何十年生きてると思ってるのよ。今更下の一つ程度で顔なんか赤くしないわ」
今はそんなことどうでもよく、
「真面目な話。センリにそういう気があるなら正直に白状しなさいな。あの子も相手が私だけっていうのは勿体ない……というよりもっと色んな果実を味わってもいいと思うし」
「アンタねぇ、それでセンリがアナタ以外に目移りしたらどうするの?」
「その時はその時よ」
あの子が私以外を選ぼうが選ばなかろうが、それはあの子の自由だ。私にあの子を束縛する権利はないし、私があの子を縛ることもない。
私はただあの子がお気に入りで今の所離れる予定がないだけで、このパートナー関係がいつまで続くかは私もあの子も分からない。
もしも、マーガレットが言うその日が訪れたら、おそらく私は何の抵抗もなくその選択を受け入れるだろう。ただほんの少し、胸に痛みを覚えるだろうけど。
「それはあれ? センリが自分以外に目移りすることはないっていう自信?」
「それも少しあるけどね。童貞を奪ったバフが継続中なのか、あの子も今は私の身体に夢中みたいだし」
「つまりそれが失われたらセンリが自分の元から居なくなるかもしれないって?」
「さぁね。そんなの私にも分からないわ」
あの子が私に抱く恋慕は知っている。とても純粋で真っ直ぐで、胸やけしそうなほどに甘い感情を私に注いでくれていることはこの身体がよく理解している。
けれど依然、この胸に彼の純真が響いたことはない。
あの子がどれだけ私に愛情というものを注ごうが、好意を伝えてくれようが、共に身体を重ねて快楽で満たされようが、人の温もりってやつを感じようが、この胸が満たされることはなかった。
どれほど身体が満たされても、心は渇くばかりで飢餓は収まらない。
そんな私だから、あの子にいつ愛想を尽かされて他の女の所に行ってしまっても文句など言えないのだ。
「100歳以上の歳の差で私とあの子は人間と魔族。今はまだ夢を見ているだけで、現実を見たらすぐに目を覚ますと思うわ」
それまでは、あの子は私のものにさせてもらうけれど。
そんな私の言葉を静かに聞いていたマーガレットは、私を見つめたまま、ぽつりと一言こぼした。
「可哀そう」
「――そうね。私が言うのもあれだけど、あの子がとても不憫だと思うわ。こんな女に捕まったばかりに」
「……違うわよ」
「え?」
マーガレットの否定に思わず素っ頓狂な声が出た。
そんな困惑する私に、マーガレットは憤りと、そしてどこか私を哀れむような視線を向けながら、こう言った。
「センリも可哀そうだと思ったけど、でもそれと同時にリリス。アナタも可哀そう」
「私が可哀そう? どこをどう見てそう思ったのよ」
「…………」
マーガレットの言葉に、私は甚だ理解できずに困惑するばかりだった。
マーガレットはそんな私を見つめたまま何も答えず、やがてゆっくりと席を立ち上がると、
「魔族にとって、人間は信用するに値しない存在なのかもしれない。でも、きっとセンリは違う」
「どういう意味?」
「教えないわよ。その意味が分からないなら、いつか本当にセンリはアナタの元を離れるかもしれないわね」
マーガレットはそれだけ言い残して、店から出て行った。
そしてまた一人になった私の胸には、彼女の残した言葉がずっと残り続けていて。
「……ほんと、人間ってくだらない」
魔族の私には、マーガレットの言葉の意味が何も解らなかった。
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