オークは人となり、人と生きる

araya

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プロローグ

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ただの偶然か、はたまた神の悪戯か、深い森の中で『それ』は目覚めた。

グチャグチャ

(……俺は何をしている?)

グチャグチャ……ゴクン

(何かを食べているのか?)

目覚めた『それ』はふと手元を見た。

(これは俺の手か?)

緑色の大きな手。そこで『それ』は自分が動かす体が自分の知る物ではないことに気づく。そして同時に自分が食べている物も理解した。
人の腕だ。

(凄く美味い、ずっと食べていたい)

そう思いつつも『それ』の中に疑念が浮かぶ。

(なぜ俺は食べているのだろう?)
──腹が減ったからだ
(なぜ人の腕を?)
──さっき殺したからだ
(なぜ殺した?)
──腹が減ったからだ

『それ』の思考はだんだんと明瞭になっていき、いろいろな記憶が頭を駆け巡る。
殺して、食べて、犯して、また殺した記憶。

(俺はなんだ?)

そして『それ』は思い出した。
自分がオークであることを。



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