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ゴミ女の深夜バイト
4-22
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「待ってくれ!」
二人は私の声で足を止め、こちらに顔を向けてきた。二人の容姿が明らかになる。
高い方は中高生ぐらいの男の子、金髪で目つきが悪く、普通なら近寄りがたい感じがある。低い方は小中学生ぐらいの女の子、金髪で頭にリボンつけている、占い師と別れた後に私が河川敷で出会った子であった。
私は占い師と出会った後、午前中と同じで女の子の幽霊を撮るために町をぶらつき、ついでに町の不思議や噂について他にはないかの聞き込みをしていた。その時に、河川敷でゴミ拾いをしていた女の子が目に入って話を聞いたのだ。
なんでこの子がここに? という疑問がまず出たが、それが口に出る前に男の子の方から質問された。
「なんか用? おじさん」
「あ、ああ。私は『月刊オカル』という雑誌記者をやっている者なんだが、今この町の不思議や噂について調べているんだ」
私はいつもの癖でまず自分の素性を明かして、自分が何者なのか、何をしているのかを話した。自分が雑誌記者だという証明として、内ポケットから名刺を取り出し、男の子の方に渡す。
名刺を見て、「はあ」と気の無い返事を見せる男の子。女の子の方は、特に反応も見せずに立っている。
「……君達はこんな時間にこんな所で何をやってるんだい?」
「……あんたに関係ある?」
「いや、関係はないが……、こんな危ない時間に子供が出歩いていたら、気になるのは当たり前だろう」
「まあ、確かにね」
「それで、君達は一体何をしているんだい?」
「別に、ただこれを運んでいるだけだよ」
男の子は手を乗せて、私に運んでいた物を見せてくる。男の子にとっては腰上ぐらいまである高さなのに対し、小さい女の子にとっては肩下ぐらいまである高さのそれは、大人一人が入れそうなほどの幅があるデッカい物体。彼らが運んでいたそれは、大学生の男性が言っていた通りの『デッカいゴミ箱』だった。
それが男の子の方に一つ、女の子の方に一つ、計二つある。
「何故?」
「俺達の兄に頼まれたんだよ。自分じゃ暇がないからって。お小遣いくれるんで不承不承でやってんの。悪い?」
「悪くはないが、なんでまたこんな時間に。もっと明るい時間にやればいいじゃないか?」
「ごもっとも。俺も言ったけど、これを受け取る人が夜中じゃないと時間を取れないんだって。まったくどんだけ多忙な人達なんですかね。こんな学生に面倒ごとを頼みつけるなんて」
やれやれ、といった感じで肩を竦める男の子。私は男の子の気苦労を感じながら、男の子と女の子の二人を見比べるように見て、二人が兄妹という話に納得の顔を見せる。
同じ髪色であるということもあるが、二人の纏う独特の雰囲気が、彼らが兄妹という信憑性を高めているから。私は二人が兄妹ということに、毛ほども疑うことがなかった。
「それを運ぶのは、今日が初めてのことなのかい?」
「これで五、六回目だよ」
「いつも二人で?」
「いんや、たまぁにこいつが一人で運んだり、俺だけで運んだりした時もあったけど」
「女の子を一人でこんな時間に出歩かせたのかい? もっと危ないじゃないか」
「……そうすねぇ、危ないすねぇ」
男の子はまるで、自分には関係ない、どうでもいい、めんどくさい、といった感じで応えた。
私は男の子の態度に、なんて無責任な兄なのだろうと思い、彼のことを蔑む。
こんな甲斐性のない兄で可哀想にと思いながら女の子の方を見るが、彼女は自分の兄の態度に何も感じていないかのように変わらずに立っている。それを見て、変わった兄妹だなと私は思った。
「…………君達は何を運んでるんだい?」
二人の奥にあるゴミ箱を見て、私はおそるおそる聞いてみた。
「何って、ゴミ箱ですけど」
「それは分かっている、見れば分かる。……私が知りたいのは、その箱に何が入っているかなんだ」
「……」
私は指をさしてゴミ箱を、ゴミ箱の中身を指さした。
さっきから、ずっと気になっていたことだ。
あの箱の中身はなんなのかを。この子達は何を運んでいるのかを。それを何処に運んでいくのかを。誰の元に運んでいくのかを。
私はこの子達を見つけた時から、ずっと気になっていた。
「その箱の中、見せてくれないかい?」
私は意を決してお願いした。外見は自然を装って、内見は感情を高ぶらせて。
私は箱の中身を予想した、想像した、推理した。
わざわざこんなデカいゴミ箱に何を入れるのだろう。
わざわざこんな時間帯に何を運ぶというのだろう。
わざわざこんな子供達に何を運ばせているんだろう。
私は気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって……、仕方がなかった。
だから、もしも子供達が私の願いを拒むのならば、脅してでも見てやろう、力尽くでも見てやろう、無理矢理にでも見てやろう。
そういう気概で私は、私にとっては簡単な、彼らにとっては難しいかもしれない、お願いをした。
さて子供達の答えは如何に――
二人は私の声で足を止め、こちらに顔を向けてきた。二人の容姿が明らかになる。
高い方は中高生ぐらいの男の子、金髪で目つきが悪く、普通なら近寄りがたい感じがある。低い方は小中学生ぐらいの女の子、金髪で頭にリボンつけている、占い師と別れた後に私が河川敷で出会った子であった。
私は占い師と出会った後、午前中と同じで女の子の幽霊を撮るために町をぶらつき、ついでに町の不思議や噂について他にはないかの聞き込みをしていた。その時に、河川敷でゴミ拾いをしていた女の子が目に入って話を聞いたのだ。
なんでこの子がここに? という疑問がまず出たが、それが口に出る前に男の子の方から質問された。
「なんか用? おじさん」
「あ、ああ。私は『月刊オカル』という雑誌記者をやっている者なんだが、今この町の不思議や噂について調べているんだ」
私はいつもの癖でまず自分の素性を明かして、自分が何者なのか、何をしているのかを話した。自分が雑誌記者だという証明として、内ポケットから名刺を取り出し、男の子の方に渡す。
名刺を見て、「はあ」と気の無い返事を見せる男の子。女の子の方は、特に反応も見せずに立っている。
「……君達はこんな時間にこんな所で何をやってるんだい?」
「……あんたに関係ある?」
「いや、関係はないが……、こんな危ない時間に子供が出歩いていたら、気になるのは当たり前だろう」
「まあ、確かにね」
「それで、君達は一体何をしているんだい?」
「別に、ただこれを運んでいるだけだよ」
男の子は手を乗せて、私に運んでいた物を見せてくる。男の子にとっては腰上ぐらいまである高さなのに対し、小さい女の子にとっては肩下ぐらいまである高さのそれは、大人一人が入れそうなほどの幅があるデッカい物体。彼らが運んでいたそれは、大学生の男性が言っていた通りの『デッカいゴミ箱』だった。
それが男の子の方に一つ、女の子の方に一つ、計二つある。
「何故?」
「俺達の兄に頼まれたんだよ。自分じゃ暇がないからって。お小遣いくれるんで不承不承でやってんの。悪い?」
「悪くはないが、なんでまたこんな時間に。もっと明るい時間にやればいいじゃないか?」
「ごもっとも。俺も言ったけど、これを受け取る人が夜中じゃないと時間を取れないんだって。まったくどんだけ多忙な人達なんですかね。こんな学生に面倒ごとを頼みつけるなんて」
やれやれ、といった感じで肩を竦める男の子。私は男の子の気苦労を感じながら、男の子と女の子の二人を見比べるように見て、二人が兄妹という話に納得の顔を見せる。
同じ髪色であるということもあるが、二人の纏う独特の雰囲気が、彼らが兄妹という信憑性を高めているから。私は二人が兄妹ということに、毛ほども疑うことがなかった。
「それを運ぶのは、今日が初めてのことなのかい?」
「これで五、六回目だよ」
「いつも二人で?」
「いんや、たまぁにこいつが一人で運んだり、俺だけで運んだりした時もあったけど」
「女の子を一人でこんな時間に出歩かせたのかい? もっと危ないじゃないか」
「……そうすねぇ、危ないすねぇ」
男の子はまるで、自分には関係ない、どうでもいい、めんどくさい、といった感じで応えた。
私は男の子の態度に、なんて無責任な兄なのだろうと思い、彼のことを蔑む。
こんな甲斐性のない兄で可哀想にと思いながら女の子の方を見るが、彼女は自分の兄の態度に何も感じていないかのように変わらずに立っている。それを見て、変わった兄妹だなと私は思った。
「…………君達は何を運んでるんだい?」
二人の奥にあるゴミ箱を見て、私はおそるおそる聞いてみた。
「何って、ゴミ箱ですけど」
「それは分かっている、見れば分かる。……私が知りたいのは、その箱に何が入っているかなんだ」
「……」
私は指をさしてゴミ箱を、ゴミ箱の中身を指さした。
さっきから、ずっと気になっていたことだ。
あの箱の中身はなんなのかを。この子達は何を運んでいるのかを。それを何処に運んでいくのかを。誰の元に運んでいくのかを。
私はこの子達を見つけた時から、ずっと気になっていた。
「その箱の中、見せてくれないかい?」
私は意を決してお願いした。外見は自然を装って、内見は感情を高ぶらせて。
私は箱の中身を予想した、想像した、推理した。
わざわざこんなデカいゴミ箱に何を入れるのだろう。
わざわざこんな時間帯に何を運ぶというのだろう。
わざわざこんな子供達に何を運ばせているんだろう。
私は気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって……、仕方がなかった。
だから、もしも子供達が私の願いを拒むのならば、脅してでも見てやろう、力尽くでも見てやろう、無理矢理にでも見てやろう。
そういう気概で私は、私にとっては簡単な、彼らにとっては難しいかもしれない、お願いをした。
さて子供達の答えは如何に――
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