××男と異常女共

シイタ

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幽霊女と駄菓子屋ばあちゃん

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 俺がひとみに電話を掛けようと思ったのは、ひとみならあのヤンキー共がゲーセンを出た後に何をしていたのか、知っていると思ったからだ。
 ひとみなら、俺のストーキングを邪魔したやつらを許してはおかない。今までの経験から、ひとみならそうであろうと容易く想像できた。
 案の定、ひとみはヤンキー共を許しておかず。偶然とは言え、ヤンキー共が公園でしていたことを見て撮っていた。
 ひとみから送られてきた写真に写っているのは、ヤンキー共が一匹の犬を取り囲んで暴行を加えているシーン。暴行を加えられている犬は、まごうことなき婆さんの犬であるマーブルだ。
 
 マーブルを集団リンチで殺したのは、ゲーセンで見かけたヤンキー共。俺がそう考えたのは、砂場に残っていた足跡を見たからである。
 あの時、マーブルが倒れていた傍にあった砂場にはいくつかの足跡があった。別に砂場なのだから、子供が遊んでいた跡や足跡があっても何もおかしくないことなのだが、俺はその砂場にあった足跡に注目した。そこにあった、足跡の大きさと足跡の数に。
 そのいくつかあった足跡はどれも子供とは思えない大きさに、その数は足跡の形を見るに四~五人のものだった。四~五人といえば、ゲーセンにいたヤンキー共の数もそのぐらいだったと記憶している。
 そして、俺はそのヤンキー共が婆さんの犬を殺したのではないかと予想したのだ。

 間違っていたのならそれでいい、ひとみがヤンキー共について何も知らなかったとしても別によかった。そうであったなら、他の方法でマーブルを殺したやつを探すつもりだったから。しかし、幸いなことに俺の予想は当たっていて、全く手間をかけることなくマーブルを殺したやつらを知ることができた。
 無事にユウノも家に帰らせることができ、あとは始末をつけるだけ。ヤンキー共が溜まり場として使っている場所も、ひとみからの話で聞くことができている。
 日曜日、俺はユウノを連れてその場所に向かった。

「――てことで、あんたらだよな? 公園で犬を集団リンチしたの?」

 マスクを付けフードを深く被りながら、相手に顔を覚えられないようにしている俺は、スマホの写真を目の前のヤンキー共に見せながら話しかける。
 ヤンキー共の溜まり場はもうずいぶんと使われていない工場の倉庫で、中にはドラム缶やタイヤ、鉄棚に木の机など、様々なものが置かれている。

「まぁ聞かなくても、この写真からあんたらがやったって明らかだけど」

 その写真にはヤンキー共の顔がバッチリ写っているわけで、改めて確かめる必要はなかった。
 だが、こうすればヤンキー共も自分たちがヤラレル理由を分かってくれるだろうという俺からの計らいだ。理由も分からずにヤラレルというのは、可哀想だと思って。
 ……嘘だ、全然可哀想だとは思わない。
 ただ、ユウノにお願いされたからこうしてるだけ。こうすればヤンキー共は、次からもう動物をいじめるようなことはしなくなるだろうというユウノの考えである。
 
「だったらどうするっていうんだ? ああん!」

 ヤンキーの一人が俺に近づいて、吠えてくる。それに続いて、そのヤンキーの後ろにいる残りも、重そうな腰を持ち上げてこちらに近づいてきた。その手には、鉄パイプのようなものを握って。

「別に、一応確認したかっただけだから。俺の用はそんだけ。そんじゃ」

 俺は回れ右をして、来た道をゆっくり歩き出す。

「おいっ! 待てやビビリが!!」

 後ろでヤンキー共がなにやら叫んでいるが、俺はそれを無視して小さく呟いた。

「……もういいぞ」

「無視すんじゃね……っ!?」

 ユウノと決めた合図を俺が口にすると、後ろでヤンキーの声が突然途切れ、ガシャンと何かが衝突する鈍い音が聞こえてきた。
 そして、倉庫の中にヤンキー共の悲鳴が木霊こだまし始める。
 出口の近くまでたどり着くと、先ほどまで騒がしかった倉庫の中が静かになった。
 後ろを振り向くと、そこには散乱するガラクタと、ボロボロになって倒れるヤンキー共。
 
「うっ……くそ」

「いってぇ……」

「……ふっ、ふざけんじゃねぇ……ぞっ」

 ヤンキー共は全員ボロボロな身体をしているが、痛みに悶え苦しんでいるだけで意識はしっかりあるようだ。
 そんなボロ雑巾のようになってしまったヤンキー共に俺は言う。

「ご愁傷さま」

「ま、待ちやが……っ」

 初めに俺に吠えてきたヤンキーが、何やら言おうとしていた。しかし、その言葉は飛んできたドラム缶の所為で遮られる。
 そしてボロボロのヤンキー共に向かって、倉庫の中にあった様々なガラクタが飛来した。再び倉庫の中はガシャンやガンと言った衝撃音が響き渡り、騒がしくなる。

 ……まだまだ続きそうだな。

 俺はマスクとフードを外して、倉庫を出た。
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