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Ignorance is bliss.
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昼食を食べ終えて、昼休みが終わり五時間目の授業が始まるまでは、まだまだ時間が残っている。教室に戻ってもいいし、このまま屋上で昼寝でもして時間を潰してもいい。
どうするかと悩んだところで、暇つぶしにどうでもいいことをひとみに質問してみた。
「そういえば、お前が俺にストーキング初めてからもう一年ぐらい経つよな」
「正確には一年と二五日だけどね。なんで?」
「いや、特に深い理由はないけど、この一年間でお前のストーキング成果はどの程度なのかなぁて思って」
ストーキングされている自分が、ストーカーに自分のストーキング成果を聞くなんて、滑稽である。しかし、だからこそ、暇を潰すには一興と言えるだろう。
「興味あるの? 自分のことなのに」
「自分のことだから気になるんだよ。自分以外の相手がどのくらい自分のことを知ってるのかをな。ついでに、お前が俺をどの程度理解できてるかってのも分かる」
「……つまり、私のストーキング成果によって、私のキリヤくんに対する愛が試されるってことね!」
「……」
なんともイキイキとした目で、こちらを見てくるひとみ。
それを見て、俺は嫌な予感がしてたまらなかった。なぜなら、今のひとみと同じ目をした奴を一度見ているからだ。
俺はそいつに聞いたのだ、『女の良さとはなんなのか』を。その問いにそいつは答えた。今のひとみと同じようにイキイキとした目で、その話をすることが楽しくて楽しくて仕方がないといった感じに長々と。全く終わりが見えない一方的な話に、俺は途中から聞くことを放棄し、話が終わったのはそれから一時間ぐらい後だった。
今回もそうなるかもしれない可能性がある。そうなる予感がする。
だけど俺は望みを捨てず、五分~六分ぐらいの簡潔な話で終わって欲しいと願う。
最悪の予感が当たるか、最良の望みになるか。それは話しの出だしですぐに分かる。
ごほんと咳払いして、ひとみが口を開いた。
「私の好きな人、『八切キリヤ』くん。一六歳。血液型はB型。××高校の二年一組。誕生日は八月二五日。身長は一七二センチ。体重は六〇キロ前半で、標準体重より少し痩せ気味。朝食はいつもコンビニに売ってる飲料ゼリーの『バナナヨーグルト』。昼食は色々だけど、たまに外す時もあり。夜食は簡単な手料理かコンビニ弁当。お気に入りはねぎ塩豚カルビ弁当で、次はおかずがいっぱい入った幕の内弁当かな。これは買ってる頻度で私が勝手にそう決めつけてるだけだけど。趣味は昼寝と夜回り。夜回りをした日の昼寝は絶対。昼寝してるキリヤくんの顔も撮りたいけど、いつも顔隠して寝るから全然取れないんだよねぇ。近づいたら、キリヤくん起きちゃうし。夜回りの時の尾行もすぐにバレちゃって、たまに巻かれちゃう時もしばしば。キリヤくんがバイトに向かう時は特に! 未だにどんなバイトしてるかわかんないんだよねぇ。あぁ、悔し。それでアパートの住所は……」
「……」
いきなりのまくし立てるような喋りに、俺は若干呆気にとられる。
話しの出だしでどっちになるかを判断しようとしたのに、出だしというものが全然見つけられなかった。
ひとみは今も、まくし立てるような喋り方を変えず口を動かし続けてる。
しかし、そんな喋り方から十分判断できた。
やっぱり長そうだ。というかすでに長い。俺の僅かな望みは、見事叶わなかったようである。
もともと望み薄だったから、そこまでの落胆はない。それに今回は前と違って救いがある。
それは、制限時間があるということだ。
どんなにひとみの話が長くても、昼休みが終わる頃には話も終えなければならない。そうしなければ五時間目の授業に間に合わなくなってしまうから。
もしもひとみがそれを無視して話し続けても、俺がそれを理由に終わらせる。俺から聞いておいて途中で話を終わらせるのは少し気が引けるところはあるが、ちゃんとした理由があるのなら構いやしない。
そうして、長々としたひとみの話が始まったのである。
――三〇分後。
「最後に今日の朝あらたに知れたことが、キリヤくんは『ハローキィちゃん』と呼ばれることを強く嫌い。その理由は『ハローキテ◯ちゃん』と呼ばれているように聞こえるからという、とても可愛らしい理由でした。お終い」
ひとみがパンと拍手して、話の終わりを告げた。
……あぁ、やっと終わった。
俺は話が終わったことに安堵し、心の中でそう呟く。
随分と長い話であった。掛かった時間以上にそう感じた。多分、ひとみの喋り方に問題があったのだと思う。
でも、前の時よりは聞いてて苦痛じゃなかった。話し自体が、全く興味のない話ではなかったからだ。
まあ、自分の話しなんだから興味ゼロとはいかないだろう。ストーカーから自分のことを詳細に聞くなんて、なんだか変な気分ではあったけど。
ひとみが「どうだった?」と話しの感想を求めてくる。
自分の話しを聞かされただけで、どんな感想を言えばいいのやら。
そう思いつつも、俺は素直に思ったことを口にした。
「……そうだな。お前が俺の立派なストーカーだったってことを改めて理解したよ。本当に」
俺がそう言うと、「きゃあああ」と嬉しそうに地団駄してパチパチパチと拍手し出すひとみ。こいつにとって、今の言葉は褒め言葉であったらしい。変な奴である。
「ちゃんと昼休みが終わる時間も考えて、割愛して話したんだよぉ。そこも褒めてくれたら嬉しいなぁ」
あれで割愛してたのか!?
衝撃の事実に驚きを隠せない。顔には出さないようにしているが、それでも限界が来てしまうぐらいの衝撃である。
「……ちなみに制限時間なしで喋り続けたら、どのくらい掛かるんだ?」
「そんなのキリヤくんの話なら、一日中だって喋り続けられるよぅ」
むふふ、という笑いと共にとんでもないことを言ってのけるひとみ。
俺はそれを聞いて、もう二度とこの話は振らないでおこうと心に決めた。本日二度目の決心である。
昼休み終わり五分前をスマホで確認すると、俺は昼食の後片付けをして立ち上がった。
ひとみも俺に合わせるように立ち上がってくる。
「先に行けよ」
「レディーファースト? 嬉しいけど、私はキリヤくんと一緒に行きたいなぁ」
「嫌に決まってんだろうが。なんでわざわざ面倒になることをしなくちゃいけないんだよ」
ひとみは俺と同じ二年一組の生徒であるために、戻る先は同じ二年一組の教室だ。
別にひとみとクラスメイトだからと言って何かがあるわけではないのだが、こいつは何かと周囲の目を引いてしまう。
女子の目を気にする思春期真っ盛りの男子達と色恋沙汰の噂が大好きな女子達がいる中を、片や平凡な男子生徒と片や男女共に人気のある女子生徒が二人で歩き教室に戻れば、面倒なことになること確定だ。男子達には嫉妬の目を向けられ、女子達には変な噂を流されるだろう。
そんな面倒は、御免被る。
ひとみもそれを分かっていて、茶化すようなことを言っている。いつものことだ。気にする必要はない。
俺は先に行かないひとみを置いて、屋上の出入り口に向かうことにする。
屋上を出るときも入る時と同じで、誰かに見られていないかを確認し、ドアの鍵をちゃんと締めなければならない。そうしないと、誰かが屋上に出入りしたとバレるかもしれないから。
そこでふと、俺はあることに気がついた。
「そういえば、お前どうやって屋上に入ってきたんだよ。鍵は俺がちゃんと締めたはずだけど」
俺は屋上に入った時、確かにドアの鍵を締めた。他の生徒が勝手に入ってこないようにと、しっかりとそのことを覚えてる。
なのに、ひとみは屋上にやって来た。どうやって?
ひとみと密談密会を行う時は、いつも俺がドアの鍵を締めないでおくから、彼女は屋上に入って来られるのだ。だけど、今回は違う。
「職員室から鍵を借りたのか?」
「ううん、借りてないよ。お昼ご飯食べるだけで貸してもらえる訳ないじゃん」
「ならどうやって入って来たんだよ」
「知りたい? 教えて欲しい? どうしよっかなぁ~」
何故か急に変な態度で答えを渋ってくるひとみ。その顔は言葉とは裏腹に、聞いて欲しいというオーラを漂わせている。
正直イラっとくる。言いたいのならば素直に言えばいいものを。
いっそこのまま無視して屋上を出て行きたいところだが、ひとみがどうやって屋上に入って来たのかも気になるところである。
……しょうがない。ここは我慢して聞くことにしよう。
まあ、どうせしょうもない答えに決まっている。職員室から借りたんじゃなくて盗んだとか、小山内が屋上の鍵をもう一つ作っていたとか、そんな感じだろう。
「早く教えろよ」と俺が急かすと、ひとみは「実はぁ……」と答えを溜めてくる。早く言え。
「ピッキングで開いちゃいましたぁ!」
「……」
俺はまさかの事実に、心の中で「マジか」と呟いた。
別に何処かの誰かがピッキングスキルを身に付けようとどうでもいい話なのだが、ひとみに関してはその意見も変わってくる。
なぜならこいつは、俺のストーカーなのだから。
ピッキング道具を見せながら、「これでキリヤくんの家に侵入し放題だなぁ♪」と本人がいる目の前で平然と言ってのけるひとみ。
言うと思った。考えると思った。ひとみは絶対、そのためだけにピッキングスキルを身に付けたのだろう。
ここでやるなよと念押ししても、ひとみがそれを素直に聞くかは分からない。俺が気づかないことをいいことに、こっそりと侵入する可能性もある。
なんてスキルを身に付けてしまったんだこのストーカーは。
悩みの種が増えたことに、ウンザリしながら家のストーカー対策について考える。
最悪、最終兵器とも言えるうちの幽霊女を使うことにしよう。
俺は三度目の決心をここにした。
どうするかと悩んだところで、暇つぶしにどうでもいいことをひとみに質問してみた。
「そういえば、お前が俺にストーキング初めてからもう一年ぐらい経つよな」
「正確には一年と二五日だけどね。なんで?」
「いや、特に深い理由はないけど、この一年間でお前のストーキング成果はどの程度なのかなぁて思って」
ストーキングされている自分が、ストーカーに自分のストーキング成果を聞くなんて、滑稽である。しかし、だからこそ、暇を潰すには一興と言えるだろう。
「興味あるの? 自分のことなのに」
「自分のことだから気になるんだよ。自分以外の相手がどのくらい自分のことを知ってるのかをな。ついでに、お前が俺をどの程度理解できてるかってのも分かる」
「……つまり、私のストーキング成果によって、私のキリヤくんに対する愛が試されるってことね!」
「……」
なんともイキイキとした目で、こちらを見てくるひとみ。
それを見て、俺は嫌な予感がしてたまらなかった。なぜなら、今のひとみと同じ目をした奴を一度見ているからだ。
俺はそいつに聞いたのだ、『女の良さとはなんなのか』を。その問いにそいつは答えた。今のひとみと同じようにイキイキとした目で、その話をすることが楽しくて楽しくて仕方がないといった感じに長々と。全く終わりが見えない一方的な話に、俺は途中から聞くことを放棄し、話が終わったのはそれから一時間ぐらい後だった。
今回もそうなるかもしれない可能性がある。そうなる予感がする。
だけど俺は望みを捨てず、五分~六分ぐらいの簡潔な話で終わって欲しいと願う。
最悪の予感が当たるか、最良の望みになるか。それは話しの出だしですぐに分かる。
ごほんと咳払いして、ひとみが口を開いた。
「私の好きな人、『八切キリヤ』くん。一六歳。血液型はB型。××高校の二年一組。誕生日は八月二五日。身長は一七二センチ。体重は六〇キロ前半で、標準体重より少し痩せ気味。朝食はいつもコンビニに売ってる飲料ゼリーの『バナナヨーグルト』。昼食は色々だけど、たまに外す時もあり。夜食は簡単な手料理かコンビニ弁当。お気に入りはねぎ塩豚カルビ弁当で、次はおかずがいっぱい入った幕の内弁当かな。これは買ってる頻度で私が勝手にそう決めつけてるだけだけど。趣味は昼寝と夜回り。夜回りをした日の昼寝は絶対。昼寝してるキリヤくんの顔も撮りたいけど、いつも顔隠して寝るから全然取れないんだよねぇ。近づいたら、キリヤくん起きちゃうし。夜回りの時の尾行もすぐにバレちゃって、たまに巻かれちゃう時もしばしば。キリヤくんがバイトに向かう時は特に! 未だにどんなバイトしてるかわかんないんだよねぇ。あぁ、悔し。それでアパートの住所は……」
「……」
いきなりのまくし立てるような喋りに、俺は若干呆気にとられる。
話しの出だしでどっちになるかを判断しようとしたのに、出だしというものが全然見つけられなかった。
ひとみは今も、まくし立てるような喋り方を変えず口を動かし続けてる。
しかし、そんな喋り方から十分判断できた。
やっぱり長そうだ。というかすでに長い。俺の僅かな望みは、見事叶わなかったようである。
もともと望み薄だったから、そこまでの落胆はない。それに今回は前と違って救いがある。
それは、制限時間があるということだ。
どんなにひとみの話が長くても、昼休みが終わる頃には話も終えなければならない。そうしなければ五時間目の授業に間に合わなくなってしまうから。
もしもひとみがそれを無視して話し続けても、俺がそれを理由に終わらせる。俺から聞いておいて途中で話を終わらせるのは少し気が引けるところはあるが、ちゃんとした理由があるのなら構いやしない。
そうして、長々としたひとみの話が始まったのである。
――三〇分後。
「最後に今日の朝あらたに知れたことが、キリヤくんは『ハローキィちゃん』と呼ばれることを強く嫌い。その理由は『ハローキテ◯ちゃん』と呼ばれているように聞こえるからという、とても可愛らしい理由でした。お終い」
ひとみがパンと拍手して、話の終わりを告げた。
……あぁ、やっと終わった。
俺は話が終わったことに安堵し、心の中でそう呟く。
随分と長い話であった。掛かった時間以上にそう感じた。多分、ひとみの喋り方に問題があったのだと思う。
でも、前の時よりは聞いてて苦痛じゃなかった。話し自体が、全く興味のない話ではなかったからだ。
まあ、自分の話しなんだから興味ゼロとはいかないだろう。ストーカーから自分のことを詳細に聞くなんて、なんだか変な気分ではあったけど。
ひとみが「どうだった?」と話しの感想を求めてくる。
自分の話しを聞かされただけで、どんな感想を言えばいいのやら。
そう思いつつも、俺は素直に思ったことを口にした。
「……そうだな。お前が俺の立派なストーカーだったってことを改めて理解したよ。本当に」
俺がそう言うと、「きゃあああ」と嬉しそうに地団駄してパチパチパチと拍手し出すひとみ。こいつにとって、今の言葉は褒め言葉であったらしい。変な奴である。
「ちゃんと昼休みが終わる時間も考えて、割愛して話したんだよぉ。そこも褒めてくれたら嬉しいなぁ」
あれで割愛してたのか!?
衝撃の事実に驚きを隠せない。顔には出さないようにしているが、それでも限界が来てしまうぐらいの衝撃である。
「……ちなみに制限時間なしで喋り続けたら、どのくらい掛かるんだ?」
「そんなのキリヤくんの話なら、一日中だって喋り続けられるよぅ」
むふふ、という笑いと共にとんでもないことを言ってのけるひとみ。
俺はそれを聞いて、もう二度とこの話は振らないでおこうと心に決めた。本日二度目の決心である。
昼休み終わり五分前をスマホで確認すると、俺は昼食の後片付けをして立ち上がった。
ひとみも俺に合わせるように立ち上がってくる。
「先に行けよ」
「レディーファースト? 嬉しいけど、私はキリヤくんと一緒に行きたいなぁ」
「嫌に決まってんだろうが。なんでわざわざ面倒になることをしなくちゃいけないんだよ」
ひとみは俺と同じ二年一組の生徒であるために、戻る先は同じ二年一組の教室だ。
別にひとみとクラスメイトだからと言って何かがあるわけではないのだが、こいつは何かと周囲の目を引いてしまう。
女子の目を気にする思春期真っ盛りの男子達と色恋沙汰の噂が大好きな女子達がいる中を、片や平凡な男子生徒と片や男女共に人気のある女子生徒が二人で歩き教室に戻れば、面倒なことになること確定だ。男子達には嫉妬の目を向けられ、女子達には変な噂を流されるだろう。
そんな面倒は、御免被る。
ひとみもそれを分かっていて、茶化すようなことを言っている。いつものことだ。気にする必要はない。
俺は先に行かないひとみを置いて、屋上の出入り口に向かうことにする。
屋上を出るときも入る時と同じで、誰かに見られていないかを確認し、ドアの鍵をちゃんと締めなければならない。そうしないと、誰かが屋上に出入りしたとバレるかもしれないから。
そこでふと、俺はあることに気がついた。
「そういえば、お前どうやって屋上に入ってきたんだよ。鍵は俺がちゃんと締めたはずだけど」
俺は屋上に入った時、確かにドアの鍵を締めた。他の生徒が勝手に入ってこないようにと、しっかりとそのことを覚えてる。
なのに、ひとみは屋上にやって来た。どうやって?
ひとみと密談密会を行う時は、いつも俺がドアの鍵を締めないでおくから、彼女は屋上に入って来られるのだ。だけど、今回は違う。
「職員室から鍵を借りたのか?」
「ううん、借りてないよ。お昼ご飯食べるだけで貸してもらえる訳ないじゃん」
「ならどうやって入って来たんだよ」
「知りたい? 教えて欲しい? どうしよっかなぁ~」
何故か急に変な態度で答えを渋ってくるひとみ。その顔は言葉とは裏腹に、聞いて欲しいというオーラを漂わせている。
正直イラっとくる。言いたいのならば素直に言えばいいものを。
いっそこのまま無視して屋上を出て行きたいところだが、ひとみがどうやって屋上に入って来たのかも気になるところである。
……しょうがない。ここは我慢して聞くことにしよう。
まあ、どうせしょうもない答えに決まっている。職員室から借りたんじゃなくて盗んだとか、小山内が屋上の鍵をもう一つ作っていたとか、そんな感じだろう。
「早く教えろよ」と俺が急かすと、ひとみは「実はぁ……」と答えを溜めてくる。早く言え。
「ピッキングで開いちゃいましたぁ!」
「……」
俺はまさかの事実に、心の中で「マジか」と呟いた。
別に何処かの誰かがピッキングスキルを身に付けようとどうでもいい話なのだが、ひとみに関してはその意見も変わってくる。
なぜならこいつは、俺のストーカーなのだから。
ピッキング道具を見せながら、「これでキリヤくんの家に侵入し放題だなぁ♪」と本人がいる目の前で平然と言ってのけるひとみ。
言うと思った。考えると思った。ひとみは絶対、そのためだけにピッキングスキルを身に付けたのだろう。
ここでやるなよと念押ししても、ひとみがそれを素直に聞くかは分からない。俺が気づかないことをいいことに、こっそりと侵入する可能性もある。
なんてスキルを身に付けてしまったんだこのストーカーは。
悩みの種が増えたことに、ウンザリしながら家のストーカー対策について考える。
最悪、最終兵器とも言えるうちの幽霊女を使うことにしよう。
俺は三度目の決心をここにした。
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