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ストーカー女のストーカー
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◯私たちは、恋する乙女◯ Sight : ひとみ
「――ではまた」
三影ちゃんの別れの言葉を聞くと、途端に三影ちゃんからの視線がなくなった。
さっきまで三影ちゃんがいたところを見れば、もうそこには誰もいない。三影ちゃんが帰る後ろ姿でさえ、見当たらない。影も形も足音さえもなく、三影ちゃんは帰って行った。
もうこれで、私では三影ちゃんを見つけることは難しいだろう。後ろを尾行しようとも、監視カメラを確かめても、発信機を使っても、多分無理だ。
それだけ三影ちゃんの性質は、正直異常と言わざるを得ない。
たとえ大勢の人の前でステージの真ん中に立ったとしても気付かれず、たとえ一人で写真を撮ったとしても写真の中から見つからず、たとえ相手との距離をゼロにし密着したとしても認識されない。
あれはもう、影が薄いとかそういう問題じゃあない。
三影ちゃんは、どこか私たちとは違う、別世界で生きているのではなかろうか。
そんな彼女を私が見つけることができたのは、ずばり偶然だ。
私は他の一般人と一緒で、彼女を見つけることができない。
私が三影ちゃんを見つけるためには、彼女から私に見られるように立ち回るか、彼女が私に視線を飛ばさなければならない。でなければ、私からは三影ちゃんを認識することはできないのだ。
でもキリヤくんだけは、どうしてか三影ちゃんを認識できるんだよねぇ。
私はそのことに三影ちゃんに対して、ちょっと嫉妬を覚えていた。
私はもう一度、夜空を仰ぐ。
今日の夜空は、星が点々、月が一つに、雲がない。
こういう夜空の次の日は、決まって晴れ晴れとした日がやってくる。理由はよく知らないけれど、キリヤくんがそう言っていた。
あの日のことも、私は鮮明に覚えてる。
あの日のキリヤくんはいつもより少し、冗舌だったなぁ。
むふ、と思い出し笑いに、口角を抑えられない。
これを誰かに見られたら、急にニヤニヤしだして気味が悪い、と思われてしまうかもしれない。
だけど、好きな人のことを思い出してニヤニヤしてしまうのは、恋する人間として普通の反応だと思う。
きっと三影ちゃんも、そういう時があるだろう。
だって私たちは、キリヤくんに恋する異常者なのだから。
ストーカー女のストーカー (終わり)
「――ではまた」
三影ちゃんの別れの言葉を聞くと、途端に三影ちゃんからの視線がなくなった。
さっきまで三影ちゃんがいたところを見れば、もうそこには誰もいない。三影ちゃんが帰る後ろ姿でさえ、見当たらない。影も形も足音さえもなく、三影ちゃんは帰って行った。
もうこれで、私では三影ちゃんを見つけることは難しいだろう。後ろを尾行しようとも、監視カメラを確かめても、発信機を使っても、多分無理だ。
それだけ三影ちゃんの性質は、正直異常と言わざるを得ない。
たとえ大勢の人の前でステージの真ん中に立ったとしても気付かれず、たとえ一人で写真を撮ったとしても写真の中から見つからず、たとえ相手との距離をゼロにし密着したとしても認識されない。
あれはもう、影が薄いとかそういう問題じゃあない。
三影ちゃんは、どこか私たちとは違う、別世界で生きているのではなかろうか。
そんな彼女を私が見つけることができたのは、ずばり偶然だ。
私は他の一般人と一緒で、彼女を見つけることができない。
私が三影ちゃんを見つけるためには、彼女から私に見られるように立ち回るか、彼女が私に視線を飛ばさなければならない。でなければ、私からは三影ちゃんを認識することはできないのだ。
でもキリヤくんだけは、どうしてか三影ちゃんを認識できるんだよねぇ。
私はそのことに三影ちゃんに対して、ちょっと嫉妬を覚えていた。
私はもう一度、夜空を仰ぐ。
今日の夜空は、星が点々、月が一つに、雲がない。
こういう夜空の次の日は、決まって晴れ晴れとした日がやってくる。理由はよく知らないけれど、キリヤくんがそう言っていた。
あの日のことも、私は鮮明に覚えてる。
あの日のキリヤくんはいつもより少し、冗舌だったなぁ。
むふ、と思い出し笑いに、口角を抑えられない。
これを誰かに見られたら、急にニヤニヤしだして気味が悪い、と思われてしまうかもしれない。
だけど、好きな人のことを思い出してニヤニヤしてしまうのは、恋する人間として普通の反応だと思う。
きっと三影ちゃんも、そういう時があるだろう。
だって私たちは、キリヤくんに恋する異常者なのだから。
ストーカー女のストーカー (終わり)
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