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ストーカー女のストーカー
2-17
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◯約束のもの◯ Sight : ???
「ひゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁ」
男の人は絶叫しながら、走り去って行った。
「何あの人、いきなり大声で走り出して」
「幽霊でも見たんじゃないの?」
「ていうか、さっきから何かぶつぶつ言ってなかった? あそこのベンチに座って一人で」
「なにそれ怖っ」
近くでたむろっていた学生たちが、走って行った男について語り合う。
私はそんな学生たちを無視してそこから離れようとすると、私のスマホが震え出し、メッセージを受信したことを伝えてきた。私はメッセージを一読すると、そこに書かれた場所に向かって歩き出す。
向かった先はすぐ近くの裏道。人の気配はまったく感じられず、女の子が一人こんな時間に来るには、少しばかり危ない場所だ。
そんな場所に呼び出すとは本当に変な人だ、と私は思いながら呼び出した本人を探す。するとその人物は、すぐに見つかけることができた。
「終わりましたよ、空乃先輩」
空乃先輩は弄っていたスマホから顔上げると?私の方を見てニコッと笑った。
「お疲れさま、三影ちゃん。ごめんね、こんな面倒なことやらせちゃって」
空乃先輩が両手を合わせて申し訳なさそうに謝ってくるが、その顔は全然申し訳なさそうに見えずとても軽い感じだ。
全然悪いとは思っていなさそう。
「もっと誠意が見えるように謝ったらどうですか?」
「あれ見えなかった? 誠意?」
「全然。……いや、別にいいんですけど。それより、もうこういうのは勘弁して下さい。好きでもない人のもの盗んで、好きでもない人のために家事して、好きでもない人に愛してるとか口にするのは、流石に心身ともに疲れました」
「最後のは三影ちゃんが勝手にしたことだと思うんだけど?」
「むぅ、そうですけど。あの変態野郎にとどめを刺してあげたんですから、感謝してくださいよ」
「うんうん。三影ちゃん、えらいえらい」
空乃先輩がニコニコ顔で近づいてきて、私の頭をナデナデしてくる。家族以外の人に頭を撫でられるのは、これが初めてかもしれない。
「それよりも約束、守ってくれますよね?」
「もちろん、そんなに心配した顔しなくてもしっかりと守るよ。あのメガネも、これでもう私にも、キリヤくんにも、ちょっかい出してくることはないだろしね」
空乃先輩は肩に下げている鞄から、何かを取り出すとそれを私に差し出しきた。
「はい、これ。約束のもの♪」
「ありがとうございます」
私はお礼を言ってそれを受け取った。空乃先輩が私に渡してきたのは一つのUSBメモリー。私が空乃先輩のストーカーを撃退する手伝いを受けた理由が、これである。もちろん、USBメモリー本体が欲しかった訳ではない、その中に入っている写真が欲しかったのだ。
「それにしても、これぐらいのものなら三影ちゃんの方がうまく集められると思うんだけど、本当にこれでよかったの?」
「はい、これが良かったんです。私は空乃先輩みたいに、執拗に先輩に付き纏うことはできないので。それに、先輩に嫌われたくありませんし」
私は、大事にそのUSBメモリーをポケットに入れた。
早く帰って、中身を確かめたい。
「嫌われたくないのに、キリヤくんの写真集は欲しいんだね」
「好きな人の写真が欲しいと思うのは、恋する人には当然の欲だと思いますけど……」
私は見えない自分の顔が少し赤くなっていることを自覚し、恥ずかしげもなさそうに答えた。空乃先輩には私の見栄はバレバレだろうけど。
彼女には初めから知られていることだから、今更恥ずかしくなることもない、と頭で理解していても、心と体はどうしようもなく『好きな人』という単語に反応してしまう。
これが恋をする人間の自然な反応なのだろうと、私は密かに期待していた。
「それもそうだね。三影ちゃんは恋する乙女だもんねぇ~」
「むぅ、茶化さないでください。それに、それを言ったら空乃先輩だって恋する乙女じゃないですか」
「……それもそうだね」
空を見上げ、何故か声のトーンを下げて応える空乃先輩。
乙女と聞いて、乙女座でも探し始めたのだろうか?
そんな的外れな考えをしながら、私はどれが乙女座か分からないまま、空乃先輩につられるように空の星を眺めた。
空は暗いが雲はなく、星の煌めきと月の輝きが夜を照らしてくれている。
明日は晴れになるだろう、と私は予想した。
夜空を見上げて数分。
「それでは私は帰りますよ、空乃先輩」
「りょーかーい。またねぇ、三影ちゃん」
「はい、ではまた」
空乃先輩はまだ夜空を見たまま動く様子もなく、私はそんな先輩に背を向けて帰路に立つ。
その足取りはいつもより少し早い、私は先輩の写真集をすごく楽しみしていた。
「ひゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁ」
男の人は絶叫しながら、走り去って行った。
「何あの人、いきなり大声で走り出して」
「幽霊でも見たんじゃないの?」
「ていうか、さっきから何かぶつぶつ言ってなかった? あそこのベンチに座って一人で」
「なにそれ怖っ」
近くでたむろっていた学生たちが、走って行った男について語り合う。
私はそんな学生たちを無視してそこから離れようとすると、私のスマホが震え出し、メッセージを受信したことを伝えてきた。私はメッセージを一読すると、そこに書かれた場所に向かって歩き出す。
向かった先はすぐ近くの裏道。人の気配はまったく感じられず、女の子が一人こんな時間に来るには、少しばかり危ない場所だ。
そんな場所に呼び出すとは本当に変な人だ、と私は思いながら呼び出した本人を探す。するとその人物は、すぐに見つかけることができた。
「終わりましたよ、空乃先輩」
空乃先輩は弄っていたスマホから顔上げると?私の方を見てニコッと笑った。
「お疲れさま、三影ちゃん。ごめんね、こんな面倒なことやらせちゃって」
空乃先輩が両手を合わせて申し訳なさそうに謝ってくるが、その顔は全然申し訳なさそうに見えずとても軽い感じだ。
全然悪いとは思っていなさそう。
「もっと誠意が見えるように謝ったらどうですか?」
「あれ見えなかった? 誠意?」
「全然。……いや、別にいいんですけど。それより、もうこういうのは勘弁して下さい。好きでもない人のもの盗んで、好きでもない人のために家事して、好きでもない人に愛してるとか口にするのは、流石に心身ともに疲れました」
「最後のは三影ちゃんが勝手にしたことだと思うんだけど?」
「むぅ、そうですけど。あの変態野郎にとどめを刺してあげたんですから、感謝してくださいよ」
「うんうん。三影ちゃん、えらいえらい」
空乃先輩がニコニコ顔で近づいてきて、私の頭をナデナデしてくる。家族以外の人に頭を撫でられるのは、これが初めてかもしれない。
「それよりも約束、守ってくれますよね?」
「もちろん、そんなに心配した顔しなくてもしっかりと守るよ。あのメガネも、これでもう私にも、キリヤくんにも、ちょっかい出してくることはないだろしね」
空乃先輩は肩に下げている鞄から、何かを取り出すとそれを私に差し出しきた。
「はい、これ。約束のもの♪」
「ありがとうございます」
私はお礼を言ってそれを受け取った。空乃先輩が私に渡してきたのは一つのUSBメモリー。私が空乃先輩のストーカーを撃退する手伝いを受けた理由が、これである。もちろん、USBメモリー本体が欲しかった訳ではない、その中に入っている写真が欲しかったのだ。
「それにしても、これぐらいのものなら三影ちゃんの方がうまく集められると思うんだけど、本当にこれでよかったの?」
「はい、これが良かったんです。私は空乃先輩みたいに、執拗に先輩に付き纏うことはできないので。それに、先輩に嫌われたくありませんし」
私は、大事にそのUSBメモリーをポケットに入れた。
早く帰って、中身を確かめたい。
「嫌われたくないのに、キリヤくんの写真集は欲しいんだね」
「好きな人の写真が欲しいと思うのは、恋する人には当然の欲だと思いますけど……」
私は見えない自分の顔が少し赤くなっていることを自覚し、恥ずかしげもなさそうに答えた。空乃先輩には私の見栄はバレバレだろうけど。
彼女には初めから知られていることだから、今更恥ずかしくなることもない、と頭で理解していても、心と体はどうしようもなく『好きな人』という単語に反応してしまう。
これが恋をする人間の自然な反応なのだろうと、私は密かに期待していた。
「それもそうだね。三影ちゃんは恋する乙女だもんねぇ~」
「むぅ、茶化さないでください。それに、それを言ったら空乃先輩だって恋する乙女じゃないですか」
「……それもそうだね」
空を見上げ、何故か声のトーンを下げて応える空乃先輩。
乙女と聞いて、乙女座でも探し始めたのだろうか?
そんな的外れな考えをしながら、私はどれが乙女座か分からないまま、空乃先輩につられるように空の星を眺めた。
空は暗いが雲はなく、星の煌めきと月の輝きが夜を照らしてくれている。
明日は晴れになるだろう、と私は予想した。
夜空を見上げて数分。
「それでは私は帰りますよ、空乃先輩」
「りょーかーい。またねぇ、三影ちゃん」
「はい、ではまた」
空乃先輩はまだ夜空を見たまま動く様子もなく、私はそんな先輩に背を向けて帰路に立つ。
その足取りはいつもより少し早い、私は先輩の写真集をすごく楽しみしていた。
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