××男と異常女共

シイタ

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陰女の秘密のご趣味

3-9

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◯人間観察◯ Sight : キリヤ


「……お終い。どうでしたか先輩?今回のネタはおもしろかったですか?」

 語りを終えて、自分の話はどうだったのかを聞いてくる『陰女』こと折紙三影。加えて「私的には結構気に入ってますね、このネタは」と言ってくる。

「男の素っ裸でも見れて満足なのか?」

「そ、そんなわけないじゃないですか!?」

 顔を真っ赤に、焦ったように反論する三影。

「私はたんに人気者のKくんの趣味があんな意外なものだったことの驚きに、話のネタには素晴らしいと思っただけです」

「……でも見たんだろ?」

「その話は別にいいじゃないですか。それよりはやく私の質問に答えてください」

「うーん、まあ、今までの話の中じゃあ面白い部類に入るんじゃないの。たぶん。……そんで見た感想は?」

「……もう、いくら先輩でも怒りますよ。そんなに私を困らすのは楽しいですか?」

「いや全然」

「……」

「……」

 頬膨らませて静かにむくれ顔になる三影を、俺は何も言わずに見てるだけ。
 すると頭が冷えたのか、息を吐くとむくれ顔が少しずつ治っていき、元の平常心の顔になる。最後に恨むような目をこちらに向けて小声で「……もう」と呟いてきた。

「先輩は意地が悪いです」

「目つきが悪い所為かもなー」

「性格も態度も悪いです」

「へいへい」

「性根が腐っているのです」

「……」

「だから先輩の表情筋は機能しないのです」

「はいはい、悪かった悪かった。許してくんれ」

「許して欲しかったら、……そうですね、再来週の日曜日に遊園地にでも連れてって下さい」

「はい?」

「だめですか?」

「………………別に遊びに行くのはいいが、お前人から認識されないから、はたから見たら俺一人で遊んでるみたいじゃん。一人で遊園地ってどんだけ寂しいやつだよ」

「確かに。……なら水族館にしましょう。それなら一人でいても特に可哀想じゃないでしょう。場所は追ってLINKで知らせます」

「……まあ、いいけど。でもなんで再来週? 来週じゃあダメなのか?」

「来週は新しいネタのために忙しいのです」

「……秘密のご趣味、ね」

「はい」

 三影の秘密のご趣味とは、先ほど述べていたKくんという奴にも負けないくらい異常なもの。それは他者を遠くからも近くからも盗み見て、相手の生活や周りの関係、秘密などを観覧する、『人間観察』。

 三影は他者から認識されないという異常な体質を持っている。それを持っているからこそできるその異常なご趣味を、三影は中学生の時から始めたと言っていた。
 そんな異常な体質を持ちながら、ご趣味も異常というのは皮肉なものだ。いや、そんな体質を持ってしまったからこそ、趣味も歪んだものになってしまったのかもしれない。もしもそんな体質がなければ、三影の趣味はどんなものになっていたのか。

 考えはしない、考えても仕方がないこと、俺にはどうでもいいことだ。

「……日曜日、ね」

 俺の休日はまたもや異常な女に潰されるのか、と思いながら、俺は空白しかない脳内メモ帳に予定を記した。
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