××男と異常女共

シイタ

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陰女の秘密のご趣味

3-17

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 騒ぎがあった一週間後。
 学校の屋上で二人の生徒が向かい合っていた。

「これで、約束通りあの写真と動画を消してくれるんだろうな?」

 Kくんは不安な顔を見せながらHさんに聞く。Hさんはその問いに笑顔で答えた。

「まだ終わっていません」

「なっ、ふざけるな! お前の言う通りにしたら消してくれるっていう約束だったじゃないか!」
 
 Kくんは声を荒げてHさんに言い放ったが、Hさんは意に返さず、落ち着いた様子でKくんの言葉を聞いていた。

「はい、確かにそう約束しました。そして私は『私の彼氏役となり私を守ってください』とあなたに言いました」

「そうだ。俺はお前を守った。お前はもう彼奴らにいじめられることもない。もう十分じゃないか」

「いえ、全然不十分ですよ。あのいじめっ子達は確かに私をいじめなくなりました。でも今後何もしてこないとは分からないじゃないですか?」

「それは……」

 Kくんは何も言い返せない。Hさんの言う通り、今後いじめっ子だった者達が絶対に仕返しにこないとは言えないから。だから、Kくんは論点をずらして言い返す。

「そ、そんなこと言ったら、お前が約束を守るかどうかも分からないじゃないか!?」

 HさんはKくんの返答に目をぱちくりとさせると、途端に顔を下に向けて、肩を震わせ始めた。
 Kくんが眉根を寄せてHさんに声をかけようとすると、Hさんがいきなり「あはははは」と声を出して笑い出す。
 Kくんはいきなりのことに困惑し、HさんはそんなKくんに構わず笑い続ける。

 いったい何がそんなに可笑しいのか?

 Hさんは笑いが収まると、顔を上げた。

「……あー、そうですね、確かにそうです。私が約束を守るなんてあなたには分かりませんね。この世に絶対なんていうものはないんですから」

「……」

「では約束を破られないよう、これからも私を守ってくださいね」

 Hさんは徐にKくんに近寄って行く、Kくんは後ずさろうとするが間に合わず、Hさんに接近を許してしまう。
 HさんはKくんの耳元で囁いた、「私の彼氏として」と。
 Hさんは喜色満面の顔で、Kくんを残し屋上を去っていった。
 裏腹に、残されたKくんの顔面は蒼白で、屋上に一人立ち尽くしていた。

 Hさんは屋上を出た後にスマホを取り出すと、連絡先が登録されている画面を開く。そして、『くろ神』という名前を探して、画面を上から下までスクロールしていく。しかし、『くろ神』という名前は見つからず、電話の履歴も写真と動画が送られてきたメッセージも消えていた。
 写真と動画はすでにパソコンに保存しているため問題ないが、いったい『くろ神』とは何者だったのか。Hさんは『くろ神』の正体に疑問を抱きながら、その正体を心の底からどうでもいいと思っていた。
 ただ、Hさんの心は『くろ神』さまへの感謝の念でいっぱいだった。

「ありがとう、くろ神さま」
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