君は、もうすでに死んでいる・・・それって、俺!?

神猫

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〈Chapter1〉邂逅(日常編)

〈1-2〉一人の変化

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時刻は7時40分、天気は雲一つない青空であり、時期は夏の真っただ中、それを肌身でわからさせようと言わんばかりに日光が燦々さんさんと降り注いでいる。
今はそんな暑さに耐えながら登校するための通学路である坂道を降りている。


「よっ、はると。元気だったか?」
後ろから肩を叩かれ、振り返ると親友の一人である榎本えのもと 誠二せいじが声をかけてきていた。
「ああ、まあ・・・それなりに」
「なんだよ、登校初日だっていうのに元気ないな。ノリ悪いぞ」
「登校初日だからこそだよ。俺はまだゆっくりしていたいんだ」
今日までの夏休みの間は当然友達と遊びはしたものの、大抵は、家でゆったり過ごしていた。ただ、ゆったり過ごしすぎたせいか、気分的にまだまだだらけていたいという思いの方が勝ってしまっているのだった。
「まあ、いいじゃないか。元気出していこうぜ!」
「お前がだけだ・・・」
「いやいや!何をおっしゃっているのですか、はるとさん・・・だって、今日は待ちに待った転校生がくる日じゃないか!!」
「・・・少なくとも俺は待ってないぞ」
「ふっふっふ、こちらには奥の手である情報があるんだ・・・これからいう事を聞いてもその余裕が続くかな・・・」
「どこから来るんだその自信は・・・」
「まあまあ、ツッコミはその辺にして一回聞けって。この情報はあの新聞部から来ているんだから間違いないぜ」
実際、うちの新聞部はかなり優秀らしく全国の大会か何かで賞をもらったらしい。その事実に甘んじて、暑っ苦しい誠二の熱演をとりあえず、聞いてやることにする。
「で、何なんだ?その奥の手って・・・」
「よくぞ聞いてくれました!!・・・実はな、その転校生・・・らしいんだ!しかも今までは外国に住んでいたらしい!その上、日本人とのハーフで超絶美少女らしい・・・」
「ふーん・・・」
「・・・って、反応それだけか!?女子ってだけで最高なのにハーフって時点でポテンシャル高すぎるだろ!」
確かにちょっとは気にはなるが、そうだったとしても俺の日常はそんなに変わらなさそうなので、反応しろと言われてもそのぐらいの反応になってしまう。
「・・・そんなに元気がないのなら、こっちだって無理やりにでもやる気をおこらせてやる・・・」
「・・・おい、まさかまたをするわけじゃないだろうな?」
「ふっ、そのまさかだ!」
誠二が「WMC」によって自分の視界に出ているウィンドウの一つを操作して、そのウィンドウから俺へ向けて一つの丸い光を飛ばしてくる。その光は俺の目の前で止まり、一つのウィンドウに変化した。そこには
「プレイヤーID〈せいじ〉が挑戦状を送ってきました。
            認証しますか?
       〈Yes〉               or                  〈No〉      」
という文字が書かれていた。これは「WMC」を使い、競争を主題としたARゲームの一種である。ゴールとして指定された場所は校門前であり、先にゴールした方が勝ちという実にシンプルなものだった。だが、ルートはプレイヤー本人が決めていいため、いかに地形を把握できているかの勝負であり、意外と知略的な面もある。
「さあ・・・受けろ!」
「・・・却下」
「させるかっ!」
俺が「No」のコマンドを押そうとした瞬間に、すかさず誠二が手を掴んで「Yes」のコマンドを押させてきた。すると、ARゲームが完全に起動され、右上には周りの地形、相手の位置、自転車や車の動きなどが繊細に表示されるレーダーが起動し、左上には目的地までの距離と過去の戦績が、目の前には「10」というカウントダウンの文字が浮かび上がる。
「よっしゃぁあ!さあ、勝負だ!」
「くっそ。ずるいぞ」
「へ、人間、ずる賢い方が強いんだよ!」
いつもの勉強などは点でダメなくせにこういうときだけ、誠二は無駄に頭が働くのでかなり困っている。
実際、ここでリタイアボタンを押して拒否してもいいのだが、今までの戦績では俺が49勝、誠二が47勝という事でかなりの僅差ではあるがなんとか俺に黒星がついていて、今回でちょうど50勝目となり、逆転もされたくないので仕方なく勝負を受けることにする。
手に持っている学校初日のため異常に軽いバックを肩に掛け直し、深くしっかりと持ってスタートを待つ。
「3」
「2」
「1」
「0」
「ゲームスタート!」
開始の合図と共に一斉に坂道を走り始める。

このゲームでは当然、足が速い方に分があがる。その点では誠二はバスケ部、俺は帰宅部という事で毎日の運動量が多い誠二に圧倒的に軍配が上がるため、少しづつ、誠二と俺の距離が離れていく。普通だったら余裕で俺が負けるのだが、学校までの道は一直線ではなくかなり曲がりくねって作られているため、横道を使った方が早く着くのである。
よって、今回も速攻俺は横道にそれた。
ただ、それだけでは本来はやはりまだ誠二に軍配が上がるのだが、俺は自分でも何故だかわからないのだが無駄に細道を通る時にスピードを落とさずに物をよけて走るのが得意なのである。その結果、今までは横道を大量に駆使しつつ何とか勝ってこれている。当然、誠二にルートを覚えられないようにするために毎回変えている。実際、変えなかったとしても記憶力のなさでいえば、誠二のあれは一級品なので、特に問題もないはずなのだが、一応、念のために変えている。
しかも、今回は、俺がにこの勝負での記念すべき50勝を勝ち取るために、夏休みの間に過去の経験を活かし考えに考えぬいた一切の無駄がない完璧なルートを使っている。当然、細い道でも走り抜けられる俺の特技がなければ使えないルートである。
置物などがそこら中に置いてある細道を抜け、車用のガードレールを飛び越え、飛び越えた先にある古い家の周りにある塀に飛び移り、また走り抜け、普通の道を行っている誠二の少し先までつきはなしていく。
そしてちょうど、ゴール地点の半分に差し掛かり、小さな十字路を抜けようとした時、走ることに夢中なりすぎて、横から来た人に思いっきりぶつかってしまった。
「うわっ!?」
相手は特に声はあげていなかったが、ぶつかる勢いが強すぎたために二人とも、尻もちをついてしまう。
「いって~・・・って、すいません!大丈夫ですか!?」
ぶつかった衝撃で尻が痛むが、それよりもぶつかってしまった相手が大丈夫だったか確認するために、顔をあげ、同じく尻もちをついているはずの相手を見ると、それはすごく綺麗な白髪で赤く透き通った目をした少女だった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ということで、第二話です。
とりあえず、はるとの親友のせいじはバカであり、暑苦しい残念なやつと思って接してあげてください。
ちなみにはると自体も足は普通に早い方なので、せいじに追いつくことが可能となっています。

本当にラブコメみたいな感じになっていますが、ここからどんどん変わるのでご期待をでは次話をお楽しみに~
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