君は、もうすでに死んでいる・・・それって、俺!?

神猫

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〈Chapter1〉邂逅(日常編)

〈1-4〉邂逅

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「おはよ~」
「お!おはよ~~久しぶりっ!」
クラス内では夏休みという長い休暇のために話せていなかったり、会えていなかったりした友達同士(ちなみに主に女子同士)が声を掛け合っている。
そんな中、俺は朝からの全力疾走によって窓側の自分の席である机に突っ伏していた。
「大丈夫か?はると、初日からどうしたっていうんだ?」
そう声をかけてきたのは、黒髪に眼鏡をかけた青年、もとい俺のもう一人の親友桐島きりじま 正彰まさあきだった。
「・・・俺との勝負に勝ったのに、なんで嬉しがらないんだよ」
そう心底悲しそうに話しかけてくるのは、さっきのゲームでの敗北者の誠二だった。

競争勝負に関しては、あんなに遠回りをしたはずなのになぜか俺が勝っていた。その理由はどうやら丁度、露店などが大量にある商店街を通っている時に露店の一つから飛び出してくる猫にぶつかりそうになったためによけたら、そのままバランスを崩して、近くの露店の一つにぶつかってしまったらしい。しかも、どうやらそこがお酒などを取り扱っている場所だったらしく、棚に展示されていたお酒のいくつかを割ってしまったらしい。それが、あまり高い値段はしなかったらしいから弁償までにはいかなかったが店主にこっ酷く怒られたらしい。それがあって、到着するのが俺の方が速くなったため、俺は記念すべき50勝目を飾った。

だが、そんなことはどうでもいいんだ。今、俺が気にしているのはさっきのぶつかった少女に関してだった。
「最後の曲がり角は、完全な行き止まりだったのに、どうやって逃げたんだ・・・あの塀を乗り越えたのか?」
しかし、実際はどんなに身体能力が高くても、あの塀をあの一瞬だけで乗り越えるだなんて不可能だ・・・だったらどうやって?
頭の中では疑問に疑問が永遠と続いていく。
「おーい、はるとー。聞こえて・・・ないようだな」
「・・・俺にまかせろ」
永遠と自問自答している時にいきなり頭にガツンッという衝撃と痛みが走る。
この痛みは、間違いなく誠二が殴ったのであろう。
よって・・・
「何するんだよ!?ってか加減をしろよ!?」
「よし。あの世から戻ったな」
「あの世に逝ってないし、戻ってもねぇよ!逆にあの世に行くところだったわ!」
本当に誠二は加減をしなかったらしく、その証拠に後頭部がジリジリと痛んでいた。
「おお、ツッコミのキレも完璧に戻ったな。で、何ぶつぶつ言ってたんだ?」
と、正彰が聞いてきた。
「・・・・・いや、なんでもない」
本当の事を言おうか若干迷ったが、あまりにも呑み込めない状況にあるためにとりあえず言わないことにした。



俺たちが暮らす日本では、人間の背中の方の両肩の間にある脊髄に、とあるチップを埋め込み、それを使って大脳からインターネットへと直接接続できるようになっていた。
そのチップの名前を「World Multidevice Chip」、略して「WMC」といい、どこにいてもネットに接続できるため、現代の日本では欠かせないものとなっている。これを開発したのは日本人であり、現在はちゃんとしたものではあるがテスト段階という事で日本だけで使用されている。
最初はインプラント型という事もあり、全く普及しなかったが、交通安全や、学問、経済、連絡方法としてもかなりの性能があり、それらを実証した人たちにつられ、だんだんと日本に普及していき、今では、日本人全員がつけているらしい。ちなみに日本でなくともネットワークに接続できるため、それを目当てにくる外国人もかなり増えている。
そうして、俺たちの暮らしに役立っているが何よりもそれによって進歩したのが「ゲーム」方面だった。
従来のゲームは人間とは別の機械を媒介にしてプレイすることが増えていたが、この「WMC」は人間自体を媒介にして接続するために最近は、ゲーム内部が現実そのもののように感じられるほどに進歩しているらしい。

「あ!そういえば、明日はあのオンラインゲームについての情報が更新されるらしいな」
運動系ではあるが、かなりのゲームマニアでもある誠二がいきなり、そんなことを言った。
「ん?・・・・お前が最近言ってるそれって何てやつだったけ?」
正直、今の俺の頭の中はあの少女でいっぱいなので思い出すために説明を促した。
「おい!もう忘れたのかよ!だよ!」
「あ~、それか。確かにそんなのがあるって言ってたな。・・・でもなんでそんなに楽しみにしているんだ?今時、VRゲームなんてめずらしくもないだろ」
「何言ってるんだよ!今回のゲームはただのVRゲームじゃないぜ。なんてったって寝ながらプレイできるらしいからな」
「寝ながら?でも、それだと脳に負担がかかるし、長い時間やれないんじゃないか?」
寝ながらできるゲームは聞いたことがないため、思ったことを聞いた。
「いや、本当に熟睡できたかのように疲れはないし、しかもそこでの24時間は現実時間でたったの3時間だぞ。充分な時間遊べるって」
「でも、それだと俺たちが寝ずにいる時間で一週間程度、たってしまうんじゃないか?」
「ちっちっち、それは違うんだなあ。運営はしっかりとゲームのワールドを何時から何時までという時間を定めるらしく、しかもその時間は真夜中であるため、全く問題はないらしい」
「とか言ってるけれど、実際、どうだったんだ、正彰?お前ら、確かこの夏にあった最終調整用テストに受かってプレイしてきたんだよな?」
俺が言った通り、二人ともそのゲームに応募して見事に当選し、プレイしてきたらしい。俺は、家事やれ、姉の面倒やれ、そのほかにもいろいろなことがあったために応募はしなかった。それに、俺は特別ゲームが好きであるわけでもないからだ
「いや、まあ、そうなんだが。プレイ中の記憶は全て次にゲームを始めるまで、戻ってこないらしい・・・だが、プレイした後は、確かに疲れたというわけでもなく、むしろ疲れが取れたようにも思えたな」
「へ~、そうなんだ」

そんな話をしていると俺の隣の席の住人である瀧本たきもと 友里恵ゆりえが長い茶色の髪を揺らしながら座ろうとしていたのでいつも通り、声をかけた。
「お、たきもと。おはよ」
「あ、ゆうくん。・・・お、おはよう」
大体は、俺は誠二と正彰の三人で話しているのだが、毎回の席替えで俺との席が妙に近くなる瀧本は、休み時間を本を読んだりして過ごしている。その時に、自然とその場のノリで「瀧本はどうなんだ?」
と話を振ると、話すのが苦手らしく、毎回おどおどしてしまうが、しっかりと答えてくれるため、なんだかんだで親しくなっていた。当然、俺の親友の二人もそんな瀧本と親しくなっていたため、挨拶をかわしていた。
そこまで、すんだところでホームルーム開始のチャイムが鳴り、クラスの女性担任である柳澤やなぎさわ 静代しずよ先生が入ってくる。
「はーい。みんな席に座ってくださ~い」
先生の合図とともに全員がすぐに席に座る。ちなみにこの先生は怒るとかなり怖いらしい。体験談として誠二からの報告が実際にある。
そこから、出席確認、今日の一日の内容説明などを行った後、一息ついてから、言った。
「今日、このクラスに転校してくる一人の生徒がいます」
「おぉ!!」「よっしゃあ!」
という主に男子からの声援が巻き上がる。
「静かに!では、入りなさい」
がらりとドアを開けて一人の生徒が入ってくる。
その生徒の白髪はとても綺麗だった。肌も白く、瞳は赤色、身長は150cm程度であり、どこか儚げでもあるその立ち姿は本当に綺麗の一言でしか表せず、そしてどこか懐かしいような気もした。
「今日から、転校してきた、ルーシェ・アニエスタさんです」
本来なら、そこでその綺麗さに見とれて、恋心を抱いてしまったかもしれない。
だが、そんな感情は全く湧かなかった。なぜならその生徒はさっきぶつかった少女と全く同じ人だったからだ。
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