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今のじゃ足りない
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今僕は、作業場でメヌさんのアクセサリー作りを見ている。
テーブルの上には細長い棒がある。厚さと幅は数ミリぐらい。ミスリル銀という素材で、魔道具を作成には欠かせないものと言っていた。
まずは鉄ヤスリで削っていき、表面の凹凸をなくす作業に入ったみたいだ。
何種類もの道具を使って丁寧に磨き上げていく。
いつもは僕のお尻や腹筋を触ってくるメヌさんだけど、作業中は真剣な目つきだ。表面が綺麗になると、僕の腕ほどの太さがある木を取り出して、鉄の棒をあててハンマーで叩いていく。
丸くなっていきバングルの形になってきた。
何度もハンマーで叩いて形を作っていく。時間にして数十分ぐらいだろうか、ようやくバングルの形になった。完全にくっついた輪ではなく、上部に空きがあって腕が通せるようになっている。
「イオちゃん。腕を貸して」
言われたとおり腕を出すと、形作ったバングルをはめられた。ちょっと大きいかも。
「もう少し短くしようか」
メヌさんも同じことを思ったみたいだ。バングルの端を切って輪を小さくしていく。慣れた手つきであっという間に調整が終わってしまった。
また腕に付けてもらうとサイズはピッタリだ。少し隙間があるけどバングルって密着させるようなものじゃないから、このぐらいがベストなんだろう。
「良い感じ」
いつもとは違って邪な感情が含まれていない、純粋な笑顔だった。
「この後はどうするんですか?」
「アグラエルのスキルをバングルに入れる作業だね。力を貸して」
「任せろ。イオちゃんの為なら何度で私のスキルを貸してやる」
最初にメヌさんの瞳が光った。スキルを発動させたのだ。先ほどのキスによって僕のスキルブースターがかかっていて、スキルは進化している。これでスキル効果を付与した魔道具が作れるようになったのだ。
続いてアグラエルさんの瞳も光ると周囲に氷が浮かんだ。
黙ったまま彫刻刀みたいなものを持ったメヌさんは、バングルに模様を刻んでいく。すると、周囲に浮かんでいる氷が光の粒子になって彫刻刀へ吸い込まれていった。
幻想的な光景に見とれてしまい、言葉を失う。
何時間でも見ていられそうだ。
近くにある椅子へ座ると、邪魔にならないよう黙って二人の共同作業を眺めることにした。
「もっと魔力を込めた氷を出して。今のじゃ足りない」
「わかった。全力を出そう」
強大な氷が出現して、部屋の気温が数度下がった。
「いい感じ」
すぐに光の粒子になって彫刻刀へ吸い込まれ、バングルに移っていく。
複雑な模様は隙間なく彫られていて、もうすぐ作業は完了しそうだ。額から汗が浮かび、落ちているけど、メヌさんは気にせず進めていく。
数分後、メヌさんが彫刻を置いて「ふぅ」と息を吐いた。
「終わったんですか?」
「山場はね。後は研磨して光沢を付けていく仕上げが残っている」
席から立ち上がったメヌさんは、棚から複数枚の紙やすりと小さな箱、布を持ってきた。
アグラエルさんはスキルを使って疲れたのか、床に座って休んでいる。
作業を見学したい気持ちはあるけど、僕は部屋を出て寝室にあったコップを持つと井戸から水をくむ。作業場に戻るとアグラエルさんに差し出した。
「お疲れ様です。これ飲みます?」
バングルを磨き上げているメヌさんの邪魔にならないよう小声で言った。
「ありがとう」
コップを受け取ると水を一気に飲む。
ふぅと一息ついた彼女を見ると相当疲れていることがわかった。先ほどの作業は普通にスキルを使うよりも体力を使うのだろうか。
「ありがとう」
ドラゴンの尻尾が伸びて僕の体に絡みつくと、アグラエルさんの隣に座らされた。指輪の魔道具で女性の姿になっているから、緊張はしてなさそうだ。
二人でバングルを磨く姿を見る。
最後の仕上げをしているみたいで、布にクリームを付けて丁寧にこすっている。表面はツルツルとしてて光沢があるのに手は止まらない。遠目からじゃ分からないぐらいの小さな傷が残っているのだろう。
「物作りをしている姿を見て、どう思った?」
「かっこいいです」
ただの金属棒が美しいバングルに生まれ変わったのだ。すごいとか、美しいとか、そういった言葉しか出てこない。
「アグラエルさんはどう思うんですか?」
「私か? そうだなぁ……普段から男へのセクハラは控えて、あのぐらい真面目に生きてくれ、と思うな」
「ははは」
思わず笑ってしまった。
メヌさんは空気なんて読まずに、僕のお尻やお腹を触ってくる。普段なら何とも思わないんだけど、僕だって男の子だ。ムラムラしてしまうことはある。
そんな状態だって周囲にばれたら、大変なことになるのは分かりきっているので隠しているんだけど……たまにメヌさんには見抜かれている気がしていた。そういうときに限って、手つきが怪しくなるからだ。
具体的には僕の股間回りを攻めてこようとするのだ。
きっと彼女は他の人にはない嗅覚を持っていて、嗅ぎ分けているんだろう。本当に困る。
「二人で楽しそうにしているのはズルいよ」
最後に布で丁寧にクリームを拭き取ると、バングルを持ってメヌさんが来た。
頬を膨らませている。
ちょっとだけ拗ねているみたいだった。
テーブルの上には細長い棒がある。厚さと幅は数ミリぐらい。ミスリル銀という素材で、魔道具を作成には欠かせないものと言っていた。
まずは鉄ヤスリで削っていき、表面の凹凸をなくす作業に入ったみたいだ。
何種類もの道具を使って丁寧に磨き上げていく。
いつもは僕のお尻や腹筋を触ってくるメヌさんだけど、作業中は真剣な目つきだ。表面が綺麗になると、僕の腕ほどの太さがある木を取り出して、鉄の棒をあててハンマーで叩いていく。
丸くなっていきバングルの形になってきた。
何度もハンマーで叩いて形を作っていく。時間にして数十分ぐらいだろうか、ようやくバングルの形になった。完全にくっついた輪ではなく、上部に空きがあって腕が通せるようになっている。
「イオちゃん。腕を貸して」
言われたとおり腕を出すと、形作ったバングルをはめられた。ちょっと大きいかも。
「もう少し短くしようか」
メヌさんも同じことを思ったみたいだ。バングルの端を切って輪を小さくしていく。慣れた手つきであっという間に調整が終わってしまった。
また腕に付けてもらうとサイズはピッタリだ。少し隙間があるけどバングルって密着させるようなものじゃないから、このぐらいがベストなんだろう。
「良い感じ」
いつもとは違って邪な感情が含まれていない、純粋な笑顔だった。
「この後はどうするんですか?」
「アグラエルのスキルをバングルに入れる作業だね。力を貸して」
「任せろ。イオちゃんの為なら何度で私のスキルを貸してやる」
最初にメヌさんの瞳が光った。スキルを発動させたのだ。先ほどのキスによって僕のスキルブースターがかかっていて、スキルは進化している。これでスキル効果を付与した魔道具が作れるようになったのだ。
続いてアグラエルさんの瞳も光ると周囲に氷が浮かんだ。
黙ったまま彫刻刀みたいなものを持ったメヌさんは、バングルに模様を刻んでいく。すると、周囲に浮かんでいる氷が光の粒子になって彫刻刀へ吸い込まれていった。
幻想的な光景に見とれてしまい、言葉を失う。
何時間でも見ていられそうだ。
近くにある椅子へ座ると、邪魔にならないよう黙って二人の共同作業を眺めることにした。
「もっと魔力を込めた氷を出して。今のじゃ足りない」
「わかった。全力を出そう」
強大な氷が出現して、部屋の気温が数度下がった。
「いい感じ」
すぐに光の粒子になって彫刻刀へ吸い込まれ、バングルに移っていく。
複雑な模様は隙間なく彫られていて、もうすぐ作業は完了しそうだ。額から汗が浮かび、落ちているけど、メヌさんは気にせず進めていく。
数分後、メヌさんが彫刻を置いて「ふぅ」と息を吐いた。
「終わったんですか?」
「山場はね。後は研磨して光沢を付けていく仕上げが残っている」
席から立ち上がったメヌさんは、棚から複数枚の紙やすりと小さな箱、布を持ってきた。
アグラエルさんはスキルを使って疲れたのか、床に座って休んでいる。
作業を見学したい気持ちはあるけど、僕は部屋を出て寝室にあったコップを持つと井戸から水をくむ。作業場に戻るとアグラエルさんに差し出した。
「お疲れ様です。これ飲みます?」
バングルを磨き上げているメヌさんの邪魔にならないよう小声で言った。
「ありがとう」
コップを受け取ると水を一気に飲む。
ふぅと一息ついた彼女を見ると相当疲れていることがわかった。先ほどの作業は普通にスキルを使うよりも体力を使うのだろうか。
「ありがとう」
ドラゴンの尻尾が伸びて僕の体に絡みつくと、アグラエルさんの隣に座らされた。指輪の魔道具で女性の姿になっているから、緊張はしてなさそうだ。
二人でバングルを磨く姿を見る。
最後の仕上げをしているみたいで、布にクリームを付けて丁寧にこすっている。表面はツルツルとしてて光沢があるのに手は止まらない。遠目からじゃ分からないぐらいの小さな傷が残っているのだろう。
「物作りをしている姿を見て、どう思った?」
「かっこいいです」
ただの金属棒が美しいバングルに生まれ変わったのだ。すごいとか、美しいとか、そういった言葉しか出てこない。
「アグラエルさんはどう思うんですか?」
「私か? そうだなぁ……普段から男へのセクハラは控えて、あのぐらい真面目に生きてくれ、と思うな」
「ははは」
思わず笑ってしまった。
メヌさんは空気なんて読まずに、僕のお尻やお腹を触ってくる。普段なら何とも思わないんだけど、僕だって男の子だ。ムラムラしてしまうことはある。
そんな状態だって周囲にばれたら、大変なことになるのは分かりきっているので隠しているんだけど……たまにメヌさんには見抜かれている気がしていた。そういうときに限って、手つきが怪しくなるからだ。
具体的には僕の股間回りを攻めてこようとするのだ。
きっと彼女は他の人にはない嗅覚を持っていて、嗅ぎ分けているんだろう。本当に困る。
「二人で楽しそうにしているのはズルいよ」
最後に布で丁寧にクリームを拭き取ると、バングルを持ってメヌさんが来た。
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