愛人のいる夫を捨てました。せいぜい性悪女と破滅してください。私は王太子妃になります。

Hibah

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私カリーナは夫フィリップを献身的に支えてきた。ごく普通の貴族にすぎなかった夫を大貴族へ押し上げたのは、私のおかげと言ってよい。

夫は国の重要な会議にすべて出席していて、外交に大きな貢献をしている。各国の重鎮を屋敷に招くこともたびたびあり、私が中心になってもてなした。使用人の教育はもちろん、家具調度品もこだわり抜いた物にしていた。夫の力になれることが嬉しかったし、夫の立場が上がっていくことを自分のことのように喜んだ。


明日は夫の誕生日。
毎年盛大に祝っているけど、去年は他国での懇親会があったようで祝えなかった。今年こそ、日頃の苦労に感謝して、思い出に残る誕生日会にしてあげたい。

「あなた、明日は誕生日ですね。準備しておりますので、早く帰ってきてくださいね」

私が夫にこう言うと、夫はわずらわしそうに答えた。
「いや、明日は仕事で帰れないから、準備もいらない。誕生日だからといって特別なことをする必要はない」

「そうですか……お仕事ならしかたないですね……」

ここ数年、夫は仕事ばかりしている。
偉くなっていくのは嬉しいけど、私と過ごす時間はどんどん減っていく。身体の調子は大丈夫だろうかとか、栄養は足りているだろうかとか、いろんなことが気になってしまう。私は妻としてこの家を守り、いざというときにはお客様だってお迎えするし、自ら出向くことだって厭わない。妻の役割は果たせていると思うけど、心のつながりが薄くなっているような気がして、寂しかった。



結局、誕生日に夫は帰らなかった。
私は去年に絵描きの人に描いてもらった夫の肖像画を眺めながら、少し贅沢なワインを開けた。初めての国際会議への出席、夫婦揃っての外遊、隣国の宰相を招いた晩餐会、すべてが思い出の中でキラキラしていた。



誕生日から一週間経った日のこと。
仕事から帰ってきた夫は、後ろに若い女性を連れていた。

「あなた、おかえりなさい。今日はお客様がいらしているのね。ご案内しましょう」

「いや、客人としての扱いをする必要はない。彼女の名前はリーゼ。今日からこの家で一緒に暮らす」

「え……それはどういう意味ですか?」

「どうもこうも、一緒に暮らす。リーゼは王都のカフェで働いていたのだが、生活に困っているようでな。俺が面倒をみる」

リーゼという女性が私に可愛らしくぺこりと頭を下げた。髪も肌もツヤツヤで、大人しい雰囲気。もしかして……愛人として暮らすの……? 夫婦二人三脚でやってきたのにいまさら?



この日から、私たち夫婦の関係は大きく変わるのだった……
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