愛人のいる夫を捨てました。せいぜい性悪女と破滅してください。私は王太子妃になります。

Hibah

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私と夫は家同士の都合で結婚した。
いわゆる政略結婚である。
結婚当初まで夫の実家は有力貴族だったが、農作物の不作と疫病で一気に困窮して没落した。

夫は名ばかり貴族になってしまい、なんとか城で就職先を見つけた。その間も幾度となく私の実家から私たち夫婦は援助をもらい、なんとか体面を崩さず食いつないできた。夫婦揃って次から次に国の仕事をこなし、領地を取り戻した。

領地を回復するまで苦労をともにした夫婦はそういない。

それが、たった一つの夫の行動で変わってしまった。
今もリーゼは我が物顔で夫と家にいるのだろうか。
夫は私がいなくなってせいせいしているのだろうか。



私が家を出て行ったことは、すぐに城中に知れ渡ったみたい。
まず父が夫への支援をやめると公言した。そのとき、父は王家や貴族の人たちにも事情を説明した。夫は家庭思いの人物で通っていたせいか、信頼が一気に底まで落ちたとのこと。父は手早く離縁手続きを進め、夫を追い込みにかかった。


日々、父は私に報告してくる。
「また今日もフィリップのやつ、支援者を一人なくしてたぞ。平民の愛人もかなり評判が悪い。あいつはなんであんな馬鹿を囲ったんだ? 仕事は優秀でも人間的信用がどんどんなくなっているから、近いうちに他の優秀なやつに取って代わられるだろう」

夫の地位の転落はまるで坂から転げ落ちるようだった。
信頼を積み上げるのに時間はかかっても、失うのは一瞬。そのことがよくわかった。まあ、夫の場合自業自得なんだけどね。痛い目をみたらいいわ。

私はむしろ城の秩序を心配した。
「お父様、フィリップがそのように信用を失ってしまって、城の様々なお仕事は大丈夫なのでしょうか? 差し支えているのでは?」

父は笑いながら答えた。
「多少は影響が出ているが、問題ない。なぜなら国王陛下がお怒りなのだからな。国王陛下もお前たち夫婦の支え合いを美しいものとして捉えていた。それなのに、フィリップという男はそんなことも理解せずに愚行に走った」

「お父様は……なぜフィリップが愛人をつくったのだと思いますか? こっそり会っているならともかく、おおっぴらに家に住まわそうなどと……」



父は思うところがあるようで、少し悲しそうな顔をした。
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