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クリフォード様は小屋から出てきた女性の手を引いて、私の前に来た。
「エリザベス。紹介するよ。彼女はモニカ。僕が心から愛する人さ」
モニカは不機嫌そうな顔をして、クリフォード様の隣に立っていた。(なんであんたがここにいるの?)みたいな威圧を感じた。正直、私が嫌な顔をされるいわれはないのだけど……。
私はモニカに挨拶した。
「はじめまして。クリフォード様の妻、エリザベスと申します。以後お見知りおきを」
モニカは腕を組んで、顔をぷいっとそらした。
「……文句があるなら早く言えば? 何しに来たのよ」
思ったより子どもっぽいようだ。
「何しにって……。良くないことをしているという認識はあるようね」
「バカにしないで。お飾りの王太子妃はさっさと城に帰ってお菓子でも食べていたらいいのよ。平民には一生食べられないような、贅沢なお菓子をね」
ここまでモニカが言ったタイミングで、クリフォード様が割って入った。
「まあまあ二人とも。エリザベスは、僕とモニカがこれからも愛し合えるようにするために来たんだ」
モニカは私に疑いの眼差しを向けながらきく。
「クリフォード、どういうこと? お飾りさんはあたしたちの邪魔をしに来たんじゃないの?」
私を「お飾りさん」と呼ぶのはまだ許せるとして、クリフォード様を呼び捨てにしているのは許せなかった。
私はモニカに言った。
「クリフォード様と呼びなさい。呼び捨てはいけません」
モニカは嘲笑うようにして言った。
「あたしとクリフォードは長い仲なのよ。初めての出会いはまだ小さい頃。あんたとは違うの。大人しくその辺でお花でも摘んでなさい、お飾りさん」
平民という立場うんぬんではなく、不愉快な女だった。こんな女と一緒にいるクリフォード様を守らねばならないと考えると、めまいがしてきた。
「エリザベス~! 小屋の中や周りの説明をしてあげるよ~」
ライナス様が小屋の扉の前から私に手を振りながらこう言った。おそらくこちら三人の険悪な雰囲気を感じ取ってくれたのだろう。
私はライナス様のもとへ行った。
「あのモニカっていう人……すごく失礼だし、変な女ですね」
ライナスは(でしょ?)というリアクションをした。
「やっぱりエリザベスもそう思う? よかった~、共感してくれる人がいて。やばいでしょ? 俺はあのカップルを見たら目が腐るから見ないようにしてる」
私はライナス様の言葉を聞いて笑ってしまった。目が腐る、は言い過ぎだよ。
「ふふふ、ライナス様はご冗談がお上手ですね」
「思ったことを言っただけだよ。笑ってくれてよかった!」
ライナス様はとても話しやすい。表情も豊かで、人懐っこいところがかわいい。
クリフォード様とモニカがこちらへ来て言った。
「じゃあ僕たちは小屋の中にいるから、君たち二人は狩りに行っておいで」
ライナス様は「オッケー」と即答すると、私を森へ先導した。
私はライナス様に尋ねた。
「クリフォード様は……午前中は狩りをするのではないのですか?」
「そういう日もあるけど、今日はそういう気分じゃないんだろうね」
「ライナス様は……慣れていらっしゃいますね」
「俺は第二王子だし、第一王子と仲良くしておくのは大切なことなんだ。将来兄上が国王になったときに、冷遇されてはたまらないからね。俺はもともと狩りが好きだから、それにかこつけて兄孝行ができるなら、一石二鳥ってわけよ」
それぞれに、それぞれの思惑があるようだった。
私としては、あのモニカという女がどこか嫌な感じがしてならなかった。嫉妬している……とかではなくて……。
「ライナス様。ご存知であれば教えてください。クリフォード様とモニカはどのようにして知り合ったのですか?」
「エリザベス。紹介するよ。彼女はモニカ。僕が心から愛する人さ」
モニカは不機嫌そうな顔をして、クリフォード様の隣に立っていた。(なんであんたがここにいるの?)みたいな威圧を感じた。正直、私が嫌な顔をされるいわれはないのだけど……。
私はモニカに挨拶した。
「はじめまして。クリフォード様の妻、エリザベスと申します。以後お見知りおきを」
モニカは腕を組んで、顔をぷいっとそらした。
「……文句があるなら早く言えば? 何しに来たのよ」
思ったより子どもっぽいようだ。
「何しにって……。良くないことをしているという認識はあるようね」
「バカにしないで。お飾りの王太子妃はさっさと城に帰ってお菓子でも食べていたらいいのよ。平民には一生食べられないような、贅沢なお菓子をね」
ここまでモニカが言ったタイミングで、クリフォード様が割って入った。
「まあまあ二人とも。エリザベスは、僕とモニカがこれからも愛し合えるようにするために来たんだ」
モニカは私に疑いの眼差しを向けながらきく。
「クリフォード、どういうこと? お飾りさんはあたしたちの邪魔をしに来たんじゃないの?」
私を「お飾りさん」と呼ぶのはまだ許せるとして、クリフォード様を呼び捨てにしているのは許せなかった。
私はモニカに言った。
「クリフォード様と呼びなさい。呼び捨てはいけません」
モニカは嘲笑うようにして言った。
「あたしとクリフォードは長い仲なのよ。初めての出会いはまだ小さい頃。あんたとは違うの。大人しくその辺でお花でも摘んでなさい、お飾りさん」
平民という立場うんぬんではなく、不愉快な女だった。こんな女と一緒にいるクリフォード様を守らねばならないと考えると、めまいがしてきた。
「エリザベス~! 小屋の中や周りの説明をしてあげるよ~」
ライナス様が小屋の扉の前から私に手を振りながらこう言った。おそらくこちら三人の険悪な雰囲気を感じ取ってくれたのだろう。
私はライナス様のもとへ行った。
「あのモニカっていう人……すごく失礼だし、変な女ですね」
ライナスは(でしょ?)というリアクションをした。
「やっぱりエリザベスもそう思う? よかった~、共感してくれる人がいて。やばいでしょ? 俺はあのカップルを見たら目が腐るから見ないようにしてる」
私はライナス様の言葉を聞いて笑ってしまった。目が腐る、は言い過ぎだよ。
「ふふふ、ライナス様はご冗談がお上手ですね」
「思ったことを言っただけだよ。笑ってくれてよかった!」
ライナス様はとても話しやすい。表情も豊かで、人懐っこいところがかわいい。
クリフォード様とモニカがこちらへ来て言った。
「じゃあ僕たちは小屋の中にいるから、君たち二人は狩りに行っておいで」
ライナス様は「オッケー」と即答すると、私を森へ先導した。
私はライナス様に尋ねた。
「クリフォード様は……午前中は狩りをするのではないのですか?」
「そういう日もあるけど、今日はそういう気分じゃないんだろうね」
「ライナス様は……慣れていらっしゃいますね」
「俺は第二王子だし、第一王子と仲良くしておくのは大切なことなんだ。将来兄上が国王になったときに、冷遇されてはたまらないからね。俺はもともと狩りが好きだから、それにかこつけて兄孝行ができるなら、一石二鳥ってわけよ」
それぞれに、それぞれの思惑があるようだった。
私としては、あのモニカという女がどこか嫌な感じがしてならなかった。嫉妬している……とかではなくて……。
「ライナス様。ご存知であれば教えてください。クリフォード様とモニカはどのようにして知り合ったのですか?」
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