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浴室に入って思わず両手で顔を覆う。包帯が巻かれていない指先が頬に触れて、体温が上がっているのが分かる。きっと今の奈月は真っ赤だ。
「寒くない?」
「っはい」
背後から聞こえた声に肩がビクッと震える。胸元を隠すように当てていたタオルが音を立てて足元に落ちる。
浴室のドアを閉めた侑李が、タオルを拾って渡してくれる。その時チラリと彼の膝下が見えて、ズボンを脱いできたのだと分かった。
「あんまり、見ないで」
タオルを渡しながら言った彼の顔を思わず見上げる。目が合った瞬間、彼はフッと視線を逸らしたが、すぐに視線を戻すと奈月の唇に啄むようなキスをした。
「侑李さんも、恥ずかしい?」
「そりゃ、恥ずかしいですよ」
洗面器で汲んだお湯を床に流す彼の耳が、赤く染まっている。その様子に、自然と顔が綻んでしまった。
「はい、座って」
促されて素直に従う。彼に背を向けると、目の前には鏡。昨日はほぼずっと俯いていたから、全く気付かなかった。背後にいる彼には、昨日も鏡に映る奈月の姿はよく見えていただろう。そう考えるとまた恥ずかしさが込み上げてしまう。
「髪、洗うね」
一言声をかけて、髪を濡らした侑李の手は優しい。シャンプー液を泡立て、地肌をマッサージするように洗われると心地良くて、まるで美容室でやってもらっているかのようだ。違うのは、お互いに裸ということだけ。
「侑李さんは何でもできますよね」
「そんなことないよ」
気を紛らわせたくて話しかけると、お湯ですすいだ髪にリンスまでつけてくれた侑李が笑う。彼は次にボディーソープをスポンジに取り、作った泡を奈月の身体に滑らせ始めた。
「お部屋いつも綺麗だし、料理も美味しかった」
「そんなの、一人が長ければ誰でも」
「いえ、すごいですよ」
本当にすごいと思って意気込むと、背後で彼が小さく息を吐いた。
「普通の男だよ、俺は」
「ぁ……」
背中から回ってきた泡だらけの大きな手が、胸元を隠すタオルの中に入ってきた。脇腹を撫でながら上ってきた手のひらに、両方の乳房を包み込まれる。
「ん……」
下から持ち上げられた乳房は撫でられただけ。でも、ストンと落とされた拍子に尖り始めた蕾が彼の手のひらに擦れて、甘い吐息を吐いてしまう。
「寒くない?」
「っはい」
背後から聞こえた声に肩がビクッと震える。胸元を隠すように当てていたタオルが音を立てて足元に落ちる。
浴室のドアを閉めた侑李が、タオルを拾って渡してくれる。その時チラリと彼の膝下が見えて、ズボンを脱いできたのだと分かった。
「あんまり、見ないで」
タオルを渡しながら言った彼の顔を思わず見上げる。目が合った瞬間、彼はフッと視線を逸らしたが、すぐに視線を戻すと奈月の唇に啄むようなキスをした。
「侑李さんも、恥ずかしい?」
「そりゃ、恥ずかしいですよ」
洗面器で汲んだお湯を床に流す彼の耳が、赤く染まっている。その様子に、自然と顔が綻んでしまった。
「はい、座って」
促されて素直に従う。彼に背を向けると、目の前には鏡。昨日はほぼずっと俯いていたから、全く気付かなかった。背後にいる彼には、昨日も鏡に映る奈月の姿はよく見えていただろう。そう考えるとまた恥ずかしさが込み上げてしまう。
「髪、洗うね」
一言声をかけて、髪を濡らした侑李の手は優しい。シャンプー液を泡立て、地肌をマッサージするように洗われると心地良くて、まるで美容室でやってもらっているかのようだ。違うのは、お互いに裸ということだけ。
「侑李さんは何でもできますよね」
「そんなことないよ」
気を紛らわせたくて話しかけると、お湯ですすいだ髪にリンスまでつけてくれた侑李が笑う。彼は次にボディーソープをスポンジに取り、作った泡を奈月の身体に滑らせ始めた。
「お部屋いつも綺麗だし、料理も美味しかった」
「そんなの、一人が長ければ誰でも」
「いえ、すごいですよ」
本当にすごいと思って意気込むと、背後で彼が小さく息を吐いた。
「普通の男だよ、俺は」
「ぁ……」
背中から回ってきた泡だらけの大きな手が、胸元を隠すタオルの中に入ってきた。脇腹を撫でながら上ってきた手のひらに、両方の乳房を包み込まれる。
「ん……」
下から持ち上げられた乳房は撫でられただけ。でも、ストンと落とされた拍子に尖り始めた蕾が彼の手のひらに擦れて、甘い吐息を吐いてしまう。
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