俺が好きなのはあなただけ〜恋愛初心者は極上男子の腕の中〜

鈴屋埜猫

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「少し足開いて」

「ぁ……」

 新たな泡を追加して、彼の手が内腿を撫でる。ゆっくりと上ってくる指先の動きに、堪らず仰け反ると、彼の胸に寄りかかる格好になった。

「洗ってるだけだよ、奈月さん」

 耳元にかかる彼の熱い吐息。指先が付け根をなぞるように動くと、腰が揺れてしまう。足先まで丁寧に指を滑らせた侑李は、自分の胸に寄りかからせた奈月の身体に湯をかける。そして、頬に優しくキスをした。

「終わったよ。ほら、ちゃんとあったまって」

 身体は熱を帯びている。身体の奥で燻るそれは、むしろもどかしいほどだ。
 侑李に立たされた奈月は、湯船に入り、少し乱れた息を整える。その間にさっと身体を洗った侑李は、縮こまる奈月の隣に入ってくると、浮力を利用して自分の足に座らせた。

「気持ちよかった?」

「は、い……」

 抱き寄せられるまま、彼の肩に頭を乗せる。

「包帯、濡らさないようにしないと」

「あっ……」

 腕を持たれて、引き上げられる。そうなると、腕は彼の首に回され、抱きつく形になってしまう。

「こ、れ……」

 カッと顔が熱くなったのは単にお風呂に浸かっているせいだけじゃない。向かい合わせになったことで、彼の胸板に奈月の胸が。そして、太腿に彼の雄々しいモノが当たっていた。

「ごめん、怖い?」

 聞いてくる侑李の眉間に皺が寄っている。奈月は首を横に振り、自分からさらに距離を詰めた。

「私と、いるから?」

「そう。奈月さんといるから」

 吐息が交わるほど顔を寄せると、彼の方からキスをされた。啄むようなキスに微笑むと、またキス。だんだん回数が増えて、舌が絡まり出した頃、侑李の手が腰のラインをなぞった。

「っ、は……」

 浴室に響いた自分の甘い声に、キスをやめた奈月は彼に抱きつく。

「のぼせてしまうね」

 恥ずかしくて顔が上げられなくなった奈月の背を撫で、ぎゅっと抱きしめた侑李はそのまま浴槽を出る。

「あ、歩けますから」

「いいから。しっかり掴まって」

 いわゆるお姫様抱っこで運ばれて、脱衣所で下されたのだが、問答無用で彼に身体を拭かれてしまう。
 彼は用意していた奈月のルームウェアではなく、自分のスウェットの上を取ると頭から被せてくる。そして椅子に座るよう促すと、ドライヤーを取り出し手際良く髪を乾かし始めた。

「なんか、お姫様気分です」

「それは良かった」

 鏡越しに微笑む彼はやってることは執事みたいだけど、見た目は完璧王子だ。しかも、彼はスウェットのズボンを履いただけ。とても目のやり場に困る。

「えっ、ちょ……歩けますからっ」

 ドライヤーを片付ける姿にまで見惚れてしまったせいで、反応が遅れた。慌てる奈月を軽々と抱き上げ、クスクス笑う彼は心底楽しそう。力強い腕に安心感はあるものの、地に足がついてないとやっぱり不安はあるもので、思わずしがみついてしまった。

「怖い?」

「ていうか、こんなことされたことないから……」

「大丈夫、落としたりしないから」

 笑いながら有無を言わさず寝室に連れて行かれ、正直困ってしまう。広いベッドの中程に奈月を下ろした侑李は、ベッドに腰掛けて肩に掛けていたタオルでガシガシと頭を拭いている。
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