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三章 少年共、夏を謳歌せよ
三十六話 恋をしている目
しおりを挟む売店でポップコーンのMサイズとコーラを頼む甘利の横で、俺はアイスティーを頼んだ。もちろん、ミルクも砂糖もなしだ。
スクリーンのランプが開き、早速アナウンスが鳴る。
俺たちはそれぞれチケットと買ったものを手にして、入場口を通った。チケットに書かれたスクリーン室に入れば、思ったよりも広い空間が広がっていた。
「さすが公開したばかりの映画ですね」
「だな。まあ、ホラーつっても結構人気があるやつだし、当然だろ」
「たしかゲームにもなってんだぜ」「へぇ。詳しいですね」と話しながら、階段を上がって行く。
(N列……N列……あった、ここだ)
俺は列の奥へと入っていく。該当する番号の前に立てば、甘利は「俺、そっち側ですね」と俺の奥に視線を向けた。すれ違い、荷物や飲み物を置いた俺たちは、座席に座った。ふぅ、と息を吐いて、スクリーンを見る。
「お前っていつもこの辺りの席取るのか?」
スクリーン全体が見えるこの席は、だいぶ後ろの方の席だった。
「え? ええ、まあ……あ、すみません。前の方が良かったですか?」
「いや。後ろの方とか逆に新鮮」
「そう、ですか?」
「良かった」と胸を撫で下ろす甘利。
「俺、身長高いので前の方だと頭が出ちゃって。後ろの人に迷惑をかけてしまうんです。なので出来るだけ後ろの席を取るようにしてるんですよ」
「なるほどなぁ。身長高いとそういう不便なこともあるのか」
身長が高いことは良いとされているし、俺もいいと思うけど、そういう弊害があるとは思わなかった。
(まあ、俺ももうちょっと前の方が没入できる感じで好きだけど)
でもやる内容は一緒だし、内容さえわかれば文句はない。もう一度見たいってなったらまた一人で来ればいいし。
不安そうにする甘利に「俺はマジで気にしてないから」と告げれば、「ありがとうございます」と礼を言われてしまった。
(そんなこと言わせる気はなかったんだけど)
まあいいや。
コーラを飲みながら、俺はスクリーンを見つめた。
照明が落とされる。暗くなる部屋に、スクリーンの光だけが広がっていく。
俺は高揚感に身を震わせながら、静かに始まりを待った。
『グワ゛ァアアア……』
「ッ、!!」
ガタンッ。
何度目になるかわからない、隣の席の揺れ。
俺はスクリーンに映るゾンビからチラリと目を離し、隣を見た。
(うっわ。顔真っ青じゃん)
俺は甘利の反応に眉を寄せた。
――開始早々、俺の手は甘利の手の中に握り込まれていた。
ぎゅうううっと強く握られた手は強すぎる手に血が通わなくなり、麻痺している。
(あー、手の感覚どっか行ったな)
そう思ったのがついさっき。
脅かされる度にガタガタと揺れる席に、俺は全く映画に集中できない時間を送っていた。
『キャーー!! 誰かぁ! 誰か助けてぇ!!』
轟く悲鳴に、甘利の体が再び揺れる。
ひたり、ひたりと聞こえる足音に合わせて、甘利の手が掴んでいる手を登って来た。
ドゥン!
『きゃあああああ!!』
「ヒッ……!」
小さな悲鳴。同時に、ギュウッと腕が掴まれる。
(見づらい。暑い)
しがみついてくる甘利の頭が肩に擦り付けられ、視界の下半分が見えなくなっている。
(こいつ、やっぱりそうか)
ホラー、苦手なんじゃねーか。
俺は小さく息を吐き出した。
(苦手なら苦手っていやぁいいのに)
見るものはメッセージでサラッと決めてしまったし、チケットもさっさと買いに行ってたから、全然気付かなかった。
(埋め合わせだからって俺に合わせてくれたんだろうけど)
こいつがこんなんじゃ、集中できるものも出来ないし――何より、隣がこの状況で楽しめって方が無理があると思う。
俺は再び甘利を盗み見る。
ゾンビのドアップや悲鳴が上がる度に震える甘利が何となく可哀想に見えて来て、俺は甘利の黒い頭に手を当てた。
ぎこちなく撫でてやれば、腕を掴む力が僅かに弱まる。……まあそれも、ゾンビの登場ですぐに戻っちまったけど。
映画が終わり、放心状態になった甘利を引き摺って部屋を出る。通路の端――人気のない場所で、甘利はずるずると座り込んだ。
「ったく、そんなに苦手ならホラーなんか選ばなきゃよかったのに」
「す、すみません……」
「まあ、俺に合せてくれたことは有難いけどさぁ」
落ち込む甘利の旋毛を見ながら、俺はため息を吐いた。
ほとんど手の付けられていないポップコーンを口元に運べば、パクリと甘利の口が食べる。もう一つ、と近づければ、またパクリ。
(ホラー見た後は食えないって人はよく見るけど)
コイツは大丈夫そうだな。
飲み物のストローを口元に寄せれば、「ありがとうございます」と言ってちゅうっと吸い上げる。
俺は甘利に餌付けしながら、口を零した。
「苦手なら苦手で、別のもの考えたのに」
「ぅ……で、でも、先輩はこれが見たかったんですよね?」
「え? ああ、まあ」
それはそうだけど。
「それじゃあやっぱり、見られてよかったです」
「はあ? お前がこんなことになってるのにか?」
「それはそうですけど……でも、先輩が好きなものを、俺も共有したかったから」
「だから、これで良いんです。迷惑は掛けちゃってますけど……」と言う甘利は、苦笑いを浮かべた。でもそれは、後悔しているとかそういうんじゃないんだろう。きっと。
(……意味わかんねぇ)
いくら好きだからって、そこまで寄せられるか? ――否。俺なら絶対に無理だ。
むず痒いような、どこか罪悪感にも似たような感情が込み上げる。
俺は甘利の目の前にしゃがみ込んだ。「先輩?」と甘利が顔を上げる。
「お、俺は、それでお前がつらそうなのは、よくない、と、思う……」
「先輩……」
「だ、だって二人で遊びに来てるんだから、二人で楽しんだ方がいいじゃん!? な!?」
「二人で……!」
「ああもう! だからさっさと復活しろって! この後もいろいろ回るんだろ!?」
目を輝かせる甘利に居た堪れなくなって、俺は甘利の口にポップコーンを詰め込んだ。驚いた甘利がもごもごと何かを言っているが、聞いてやる気はない。
(あー! クソッ! 恥ずかしい!!)
顔が熱い。赤くなってねーだろうな、と思いながら、俺は自身のコーラを啜った。少し炭酸の抜けた甘い飲み物が、なんでか余計に甘く感じる。
甘利が立ち上がる。口に詰めたポップコーンは既に飲み下されていた。
「ありがとうございます、先輩」
「お、おう」
俺たちは映画館を出ると、俺たちは街を散策した。
隣のビルのゲームセンターに入って対決したり、三階の本屋で俺が楽しみにしていた漫画の新刊を買ったり。
「春先輩、写真展ですって」
ふと聞こえた甘利の声に、俺は振り返る。
甘利の指を差す方向には、無機質な字で『写真展』と書かれていた。
「ああ、もうやってるのか」
「? 先輩、知ってたんですか?」
「知ってるも何も、俺等の夏休み中の成果だし」
「えっ?」
甘利の素っ頓狂な声が聞こえる。
(そう言えば、言ってなかったっけ)
「な、夏休み中って、夏期講習に来てたんじゃ……」
「夏期講習だけじゃねーよ。週に一回、写真部の部活があったんだよ」
「週に一回……」
「つっても、午後にちょこっとだけな」
顧問の西田先生が無類のカメラ好きなので、それに引っ張られるようにして活動していたのだ。
(まあ、ほとんど暇を持て余した生徒しか来てなかったけどな)
相変わらず部長は来ないし、来ても一年ばかりで三年の肩身が狭いといったら……。
「顧問の西田先生の伝手で、近くの大学が写真展やるって話があってさ。何枚か写真の協力したり、掲示の手助けしたり。ほら、ここ学校からも遠くないし? バイト代は出ねーけど、菓子はくれたし。結構楽しかったぜ」
「……つまり、先輩の写真が見られるってことですか?」
「んあ? ああ、まあ、そうなる、かな?」
(飾ってくれてればの話だけど)
写真を渡したはいいものの、本当に使ってくれるかは主催者次第だ。まあ、素人の撮った写真なんて飾らない一択だろうけど。
「入りましょう」
「何で!?」
「見たいです。先輩の撮った写真」
キリッと真顔で言う甘利に、俺は「待て待て待て!」と必死に引き留めた。
「何ですか?」
「“何ですか?” じゃねーよ! 何入ろうとしてんだ馬鹿!」
「だって見たいじゃないですか」
「なっ!? 飾られているかもわかんねーのに!?」
「先輩の写真が飾られないわけがありません」
「どういう自信!?」
「絶対にねーから!」「探します!」「探さなくていいから!」入り口の前で騒ぐ俺たちを、周囲の人たちが不思議そうに見ている。
(目立ってる! スッゲー目立ってる!!!)
でもここで引くわけにはいかない。
(だって、今回の写真は……――!)
「いらっしゃいませ。学生さんですか?」
「はい。学生二枚で」
「かしこまりましたー」
「ハッ! いつの間にか受付まで引っ張られてる!!」
甘利は俺の必死の制止なんてお構いなく、受け付けを通り過ぎていく。俺は引きずられるがまま、写真展の中に足を踏み入れてしまった。
「後輩がゴリラ過ぎる……」
「失礼ですね。一応人間ですよ。あと俺、A型ですし」
「ゴリラはB型だもんな! って、そうじゃなくて!」
「しっ。先輩、声が大きいです」
甘利の手が俺の口を塞ぐ。大きな手が顔に触れたことに、一瞬びっくりしてしまった。
(こ、こいつ……!)
ムカつく。先輩を先輩と思っていない態度も、手際よく俺のチケットまで買ってくれたのも、なんか無性に腹が立つ。
(こうなったら甘利より楽しんでやる)
写真については俺の方が上なのだ。入り込み、映り込み、手ブレ常習犯の甘利とは、比べ物にならないくらいの経験値はあるはず。
つまり、楽しんでしまえばこっちのものだ。
(俺の写真はどうせ端っこに置かれているだろうし、言わなきゃ気づかないだろうからな)
そう内心で画策して、俺は漸く自分の足で写真展の中を歩き出した。
「すっげぇ……」
俺は大きな額縁に入った写真を見上げ、感嘆を漏らす。
(これ、うちの校舎か?)
『青春』の題で飾られているのは、大学生一人一人の母校らしい。その中でも一番大きな額に飾られていたのは、自分達の通う学校の校舎だった。
人っ子一人いない校庭。陽が落ちる瞬間を捉えた写真は、まさに静寂。
(……こんなふうに映るのか)
すごいな。
見慣れた風景でも、見覚えのある場所でも、見方が違えばこんなに変わる。
(ここ、写真部の部室だ)
こっちは写真部から見たグラウンド。こっちは写真部を出た廊下。写真部からは一番遠い体育館なんてものもあった。
(青春、か)
まさにそうなのかもしれない。
(でも、もうそろそろ終わるんだよな……)
俺は三年で、あと半年もすれば卒業だ。この景色と、さよならしなくてはいけなくなってしまう。
「先輩」
「っ――!」
不意に耳元で聞こえた声に、俺は叫びそうになった。反射的に口を押え、甘利を見る。
「おまっ、びっくりするだろ……!」
「すみません。でも、これ見てください」
俺は甘利の指した写真を見た。
「あ」
「これ、先輩が撮ったものでしょう?」
そういう甘利は自信ありげに笑っていた。
(確かに、俺の写真だ)
『青春』なんて題材をもらってから数日後。期日が迫る中、百瀬と秋人に協力してもらって冗談半分で撮った一枚だった。
「よくわかったな……」
「だってこのパン、先輩のお気に入りですし」
「うっ……で、でも好みが一緒なだけかもしんねーだろっ」
映っているのは、俺たちの昼食を机の上に置いただけのものだ。
その日の朝、父さんが「昨日の飲み会での揚げ物がきつくてな……」という話から「大人になったら食べたいものも食べれなくなる」と言われたのだ。
正直その時はどうでもいい話だったけど、コンビニに寄ってふと『小学校の時、こんなもの食ったなー』とか、『前はこういうの好きだったな―』とかを思い出して、『これが大人になるということか』と閃いたのだ。
(今思えば単純な思考だったけど)
こうして飾られたということは、間違ってはいなかったらしい。
「たとえ映っている物が違っても、先輩だってわかりますよ」
「な、なんだそれ」
「先輩の写真はいつも素朴なので」
(素朴?)
俺の写真が? ソボク?
「……褒められてる気がしねーんだけど」
「なんでですか。すごく褒めてますよ」
「本当かぁ?」
「本当です」
こくりと頷く甘利。その目はじっと俺の写真を見て、目を離さない。
「俺は先輩の写真が好きですから」
「っ、あ、そ」
俺は込み上げる羞恥に、視線を落とした。
……そんな顔で俺の撮った写真を見ないで欲しい。
そんな――――恋をしているような目で。
それから、俺たちは写真展をぐるりと回った。
題材は多様に渡り、甘利は俺の写真を見つける度、嬉しそうにしていた。
「この犬ってこの前公園で会った犬ですよね?」
「よく覚えてるな。って、あれだけ舐められれば、覚えるか」
「まあ……はい」
苦笑いをする甘利。
――甘利と出会ったばかりの頃。
課題の写真を撮るために向かった公園で甘利と鉢合わせたのだ。あの時は一瞬甘利のストーカー説を疑ったが、どうやら家の近くだったらしく。
駄々を捏ねた甘利と一緒に少しの間公園で写真を撮ったのだ。まあ、結局どれもピンと来なくて使わなかったんだけど。
その時に出会ったのが、写真に映っている犬だ。
黒くて毛がもこもこしている犬は、甘利を見つけた瞬間、飼い主を振り切って甘利に突撃したのだ。
べろべろと顔じゅうを舐められ、指から腕を舐められ、しまいには服まで舐められた甘利は、全身犬の唾液と毛まみれになったのだ。
(あの時は爆笑したなぁ)
あのデカい甘利がデカい犬に押し倒され、なす術もなく舐められているのだ。見ているだけで面白かった。ちなみにあの犬はただ腹が減っていて、甘利の食べた後のホットドックの匂いに釣られてきただけらしい。
「思い出したらっ……笑えて来た……っ、ふくくくっ」
「笑わないでくださいよ。あの後大変だったんですから」
「あの時の写真、まだ持ってるぞ。いるか?」
「いりません」
むすっと不貞腐れる甘利。
その顔が食べ物を持っていないと知ったあの時の犬と重なって、俺は遂に吹き出してしまった。
「それにしても、よく写真撮らせてもらえましたね」
「ああ。この時はご飯をたんまりもらった後だったみたいでな。上機嫌で可愛かったぞ」
「だから『可愛いもの』に飾られてるんですね」
甘利が題材の書かれた壁に目を向ける。
(まあ、本当はもっと小さい動物を撮ろうと思ったんだけど)
でもあの犬を思い出して、甘利の事を思い出したら、堪らない気持ちになったのだ。それで、つい飼い主に話しかけてしまった。
(向こうも覚えててくれたし、あの時のお詫びだって写真も使う許可くれたし)
ある意味よかったのかもしれない。
「まあな。可愛いといえば、動物だろ?」
「俺は可愛いって言ったら先輩を思い浮かべますけど」
「お前は一度可愛いの意味を辞書で引いてこい」
俺は呆れに息を吐いて、歩き出した。
それからもいくつか写真を見つけられ、俺は当初の誤魔化す方向性を完全に諦めていた。
そして、最後。甘利は足を止めた。俺は彼の視線の先を覗き込んで、「げっ」と声を零す。
(マズイ、見つかった)
「……先輩」
「な、なんだよ」
「これ、俺のシューズ、ですよね?」
甘利の確信に満ちた言葉に、俺は口を噤んだ。
――『夏の終わり』。
その題材として提出した写真は、甘利のシューズの写真だった。
じりじりと甘利に追い詰められる。俺はその度、後ろにさがった。
「どうしてこれを? いつ撮ったんですか? なんでこれを撮ろうと思ったんですか? 言ってくれれば俺だって――」
「あ、あーあー! うるさいうるさい!」
「ちょっ、先輩!?」
突然の大声に、甘利の肩がビクリと跳ねる。周囲を伺う甘利を余所に、俺はその場にしゃがみ込んだ。
(最悪だ最悪だ最悪だ!!)
なんか一番恥ずかしいバレ方した気がする!! だーから見たくなかったんだ! 入りたくなかったんだ!!
(ていうか何ご丁寧に飾っちゃってるんですか! 先輩方!!)
しかもこれだけ他のより大きく! お陰で本人に見つかっちまったじゃねーかッ!!
「せんぱ――」
「うるさいだまれいましゃべりかけるな」
「え、は、はい」
しゃがみ込む俺に、甘利が戸惑う。
――それもそうだろう。
俺は以前、甘利の被写体になる申し出を全力で拒否したのだから。
(拒否した癖に、勝手に撮って勝手に出してるのを見たら、そりゃあ怒るだろ……っ)
でも、他に適切なものが浮かばなかったのだ。それに、目の前にあったからつい手が伸びてしまって――。
(っ、“つい”で勝手に撮るとかストーカーかよ!!)
俺は腕の中に頭を突っ伏した。蹲り、膝に頭を押し当てる。「うぅぅ……」と唸っていれば、甘利の指先がトントンと肘を叩いた。
「は、春先輩。一旦移動しましょう? ここだとその……目立ちますし、人の邪魔に……」
「……ヤダ」
「えっ」
困惑した甘利の声に、俺はふいっと視線を背ける。
(俺がこれだけ恥ずかしい思いをしてんだから、こいつももっと困ればいい)
そんな子供みたいな気持ちで、俺は甘利の手を弾く。
ふんと鼻を鳴らして視線を背け――――瞬間、甘利の腕に抱きしめられた。
(!!?)
甘利のデカい身体に包み込まれ、俺は咄嗟に顔を上げる。
「春先輩、すみません。いろいろ一気に聞いてびっくりさせてしまいましたね」
「っ、ちょ、甘利――」
「大丈夫です。怒ってませんし、むしろ嬉しいくらいで。でも俺、先輩がなんで俺のシューズを撮ってくれたのかとか、いつどうやって撮ったのかとか、言ってくれれば俺も一緒に映ったのにとか、いろいろ考えてしまって……でも、先輩が撮りたかったものが撮れたなら、よかったです。シューズ、家宝にしますね」
「家宝!? し、しなくていい! しなくていいから!」
「先輩好きです」
ぎゅううっと抱きしめられ、俺は苦しさに甘利の肩を叩く。
(いやそんなことより、目立ってる! 目立ってるから!!)
とりあえず離してくれ。写真展で急に抱き締め合う男たちとか、不審過ぎる!!
抗議するようにバシバシと何度も甘利の肩を叩く。しかし、その間も周囲の人の視線は突き刺さって来る。「どうしたんだろ……」「具合悪いのかな?」「係員さん呼んだ方がいい?」と純粋な心配まで来聞こえて来た。
(少し困らせようとしただけなのに……!)
特大の仕返しをされている気分だ。
「だから、先輩。ゆっくり話せる場所に移動しましょう? 俺、写真の感想も伝えたいですし」
「っ~~~! わ、わか、った、わかったから!」
「いい子ですね、先輩」
甘利の手が俺の頭を撫でる。羞恥でいっぱいいっぱいになった俺の頭は、もう爆発寸前だった。
甘利に手を引かれ、俺は写真展を後にする。
写真展を出るまで、俺は羞恥で顔を上げられなかった。
熱い顔を自身の手のひらで押し上げ、ぐぬぬぬ、と眉を寄せる。
(もう二度と甘利と写真は見に行かない)
絶対に……絶対にだ!
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とても嬉しいです。
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