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三章 感情に蓋をして
17-1 暁月くんの、ばか
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清々しいほどの晴れ間が広がっている。
ぐっと伸びをし、僕は布団を出た。
時刻は朝五時半。
早い時間の起床に、知人たちにはよく「おじいちゃんじゃん!」と驚かれるが、もう何年もやっている事なので慣れた。
顔を洗い、髪を軽く整える。
暁月くんに羨ましがられるキューティクルストレートな黒髪だが、セットがしづらいので何がいいのか僕にはさっぱりわからない。
服を着替えて台所へと向かえば、香ばしいお米の香りがする。
ちょうどよくご飯が炊けたらしい。
家族全員分の朝食を作り終えた後、いつも通りおにぎりを握る。
握るおにぎりの個数は、四つ。
二か月前からずっと変わらない個数だ。変わるのは中身の具材だけ。
(今日はどうしようかな)
冷蔵庫を開ければ、大量の味噌が置かれていた。
そういえば、焼きおにぎりは持って行ったことなかったっけ。
「父さん、この味噌貰っていい?」
「ん? いいぞ」
「ありがとうー」
歯を磨いている父さんに許可をもらって、僕は味噌の蓋を開ける。
父さんが拘って買ってきているその味噌は、近くの店で普通に買えるものだ。
しかし、作り手が高齢だとかで生産数が少ない、貴重なお味噌らしい。
そのほとんどを、うちの旅館が買い付けているそうだ。
(美味しいから作り手がいれば、もっとたくさん売れると思うんだけど)
そんなことを思いながら、ご飯に味噌を塗っていく。
両面を満遍なく焼いて、片面に大葉を乗せて軽く焼けば、完成だ。
「んー、美味しそう」
香ばしい味噌の香りに息を思い切り吸い込む。
最近、家族のご飯より暁月くんに持っていくおにぎりの方が手間がかかっている気がする。
この前なんか暁月くんに『日々豪華になっていきますね』なんて言われてしまった。
(だって目の前で美味しく食べてくれるってわかってると、つい気合が入っちゃうんだもん)
そんな言い訳を胸に、おにぎりをタッパーに入れて、玄関へと向かう。
仕事用の草履を引っ掛ければ、母さんが顔を出した。
「あら。どこ行くの、蜜希」
「暁月くんのとこ」
「えっ」
母さんが少し驚いたように声を上げる。
毎朝行ってるのに、今更驚く?
(まあ、何でもいいけど)
早く朝食を一緒に食べて、焼きおにぎりの感想を聞きたい。
僕は行ってきますと告げて、玄関を出た。
離れに向かい、鍵を使って勝手に扉を開ける。「お邪魔しますー」と声をかけるが、返事は聞こえない。
(まだ寝てるのかな)
準備をしていれば、いつか起きるだろう。
僕は家の半分ほどの広さの台所に入ると、味噌汁を作り始めた。
ついでに卵焼きと、今日は魚がないから昨日の残りの副菜をいくつか持ってきた。
味噌汁の火を止めて、二人分よそう。
ふと、過去の事が頭を過った。
(アイツと一緒に暮らしていた時も、こんな感じだったな……)
あの日からすっかりしまい込んでいた食器がこうして再び使えるようになるとは、あの時は思いもしていなかった。
「これも暁月くんのお陰かな」
海で拾った、大きなワンちゃん。
僕の事なんかを『好きだ』って言ってくれる、アルファ。
その気持ちには応えられないけど、彼はいつだって一緒に居てくれた。
多少の情が沸くのも必然だろう。
「暁月くーん? そろそろ起きないと時間がなくなっちゃうよー」
僕は階段したから声を上げる。
細長く、狭い家だから声が簡単に届いてしまうのを僕は知っている。
しかし、シンと静まる家に、僕は首を傾げる。
いつもはドタバタと聞こえて来る頃なのに。
「暁月くんー?」
呼びながら、階段を上がっていく。
ここまでして起きないなんて、珍しい。
(どうしたんだろう)
そんなにぐっすり寝てるのかな。それとも、体調が悪いのかもしれない。
そんな予測を立てながら、僕は部屋の前に立った。
ノックをして、再び暁月くんの名前を呼ぶ。けれど、返事はなかった。
「開けるよー?」
扉の取っ手に手をかける。
初日に脱衣所で真っ裸の暁月くんと遭遇して悲鳴を上げられてから、扉を開けるときはちゃんと声をかけるようになった。
扉を引けば、がらんとしている――部屋。
そこに暁月くんの姿は見えなかった。
「えっ」
僕は声を上げた。
布団は畳まれたまま。
部屋は夏の暑い熱気が籠っていて、冷房は使われた形跡はない。
「あ、かつきくん……?」
頭が真っ白になった。
急に消えた存在が思った以上に大きすぎて、僕は目の前に広がる光景が夢なんじゃないかと思ってしまう。
(どうして……)
「……帰った、の?」
零れた声が、静かに畳に落ちる。
熱気で暑いはずの部屋が、どこか冷めているように感じる。
「あ、あー……そっか。なんだ。いつの間に、帰ったんだ」
「一言くらい言って行けばいいのに。僕、結構と慕われてると思ってたんだけどな」と呟く。
声が若干震えているのに気づかないふりをして、部屋の中に入った。
どっと吹き出す汗。
綺麗に畳まれた作務衣服が、布団を挟んで反対側に置かれているのに気が付く。
その近くの壁には、暁月くんがこっちに来た時に持っていたトートバッグが置きっぱなしだった。
中を見れば、荷物も入ったままだ。
「え、えー? 全部忘れてってるじゃん」
馬鹿なの? と笑う。暁月くんの反撃が脳裏で聞こえた気がした。
しかし、気持ちは上がらない。
僕は蹲った。
頬を膨らませ、いつもそこにいるはずの人物に聞かせるように呟く。
「あーもう……ご飯どうするんだよ。作っちゃったよ、僕」
今日、焼きおにぎりだったんだよ。すごくおいしそうに出来たんだけど。
卵焼きも綺麗な色合いで。どうせなら見てから言って欲しかったな。
お味噌汁も、今日は豆腐を大きめに入れたんだよ。暁月くん、好きだったよね。
そんな言葉も、彼には届かない。
「……暁月くんの、ばか」
心の中に浮かぶ、喪失感。
それは友人が急にいなくなってしまった穴にしては、ちょっとだけ大きくて、深い気がする。
僕は大きく息を吸い込むと、階段を下りて行った。
ここで膝を抱えている場合じゃない。
早くしないと、仕事に間に合わなくなってしまう。
作ってしまったご飯の半分を冷蔵庫に押し込んで、自分の分を食べ始める。
味があんまりしなかったけど、美味しかったはずだ。
「ごちそうさまでした!」
両手を合わせて、半ば自棄に叫ぶ。正面から聞こえるいつもの声は、無い。
込み上げそうになる感情を振り切って、シンクへと食器を持っていく。
食器を手早く洗って、玄関に向かう。
扉を開け、振り返る。
焦って作務衣服に腕を突っ込んでいる暁月くんの姿を思い出しかけて、首を振る。
もう彼を待つ必要はないのだ。
(掃除、しにこないとな)
僕は玄関の戸を閉めた。鍵をかけ、日常へと戻った。
その日のミスは、過去最大数だっただろう。
ぐっと伸びをし、僕は布団を出た。
時刻は朝五時半。
早い時間の起床に、知人たちにはよく「おじいちゃんじゃん!」と驚かれるが、もう何年もやっている事なので慣れた。
顔を洗い、髪を軽く整える。
暁月くんに羨ましがられるキューティクルストレートな黒髪だが、セットがしづらいので何がいいのか僕にはさっぱりわからない。
服を着替えて台所へと向かえば、香ばしいお米の香りがする。
ちょうどよくご飯が炊けたらしい。
家族全員分の朝食を作り終えた後、いつも通りおにぎりを握る。
握るおにぎりの個数は、四つ。
二か月前からずっと変わらない個数だ。変わるのは中身の具材だけ。
(今日はどうしようかな)
冷蔵庫を開ければ、大量の味噌が置かれていた。
そういえば、焼きおにぎりは持って行ったことなかったっけ。
「父さん、この味噌貰っていい?」
「ん? いいぞ」
「ありがとうー」
歯を磨いている父さんに許可をもらって、僕は味噌の蓋を開ける。
父さんが拘って買ってきているその味噌は、近くの店で普通に買えるものだ。
しかし、作り手が高齢だとかで生産数が少ない、貴重なお味噌らしい。
そのほとんどを、うちの旅館が買い付けているそうだ。
(美味しいから作り手がいれば、もっとたくさん売れると思うんだけど)
そんなことを思いながら、ご飯に味噌を塗っていく。
両面を満遍なく焼いて、片面に大葉を乗せて軽く焼けば、完成だ。
「んー、美味しそう」
香ばしい味噌の香りに息を思い切り吸い込む。
最近、家族のご飯より暁月くんに持っていくおにぎりの方が手間がかかっている気がする。
この前なんか暁月くんに『日々豪華になっていきますね』なんて言われてしまった。
(だって目の前で美味しく食べてくれるってわかってると、つい気合が入っちゃうんだもん)
そんな言い訳を胸に、おにぎりをタッパーに入れて、玄関へと向かう。
仕事用の草履を引っ掛ければ、母さんが顔を出した。
「あら。どこ行くの、蜜希」
「暁月くんのとこ」
「えっ」
母さんが少し驚いたように声を上げる。
毎朝行ってるのに、今更驚く?
(まあ、何でもいいけど)
早く朝食を一緒に食べて、焼きおにぎりの感想を聞きたい。
僕は行ってきますと告げて、玄関を出た。
離れに向かい、鍵を使って勝手に扉を開ける。「お邪魔しますー」と声をかけるが、返事は聞こえない。
(まだ寝てるのかな)
準備をしていれば、いつか起きるだろう。
僕は家の半分ほどの広さの台所に入ると、味噌汁を作り始めた。
ついでに卵焼きと、今日は魚がないから昨日の残りの副菜をいくつか持ってきた。
味噌汁の火を止めて、二人分よそう。
ふと、過去の事が頭を過った。
(アイツと一緒に暮らしていた時も、こんな感じだったな……)
あの日からすっかりしまい込んでいた食器がこうして再び使えるようになるとは、あの時は思いもしていなかった。
「これも暁月くんのお陰かな」
海で拾った、大きなワンちゃん。
僕の事なんかを『好きだ』って言ってくれる、アルファ。
その気持ちには応えられないけど、彼はいつだって一緒に居てくれた。
多少の情が沸くのも必然だろう。
「暁月くーん? そろそろ起きないと時間がなくなっちゃうよー」
僕は階段したから声を上げる。
細長く、狭い家だから声が簡単に届いてしまうのを僕は知っている。
しかし、シンと静まる家に、僕は首を傾げる。
いつもはドタバタと聞こえて来る頃なのに。
「暁月くんー?」
呼びながら、階段を上がっていく。
ここまでして起きないなんて、珍しい。
(どうしたんだろう)
そんなにぐっすり寝てるのかな。それとも、体調が悪いのかもしれない。
そんな予測を立てながら、僕は部屋の前に立った。
ノックをして、再び暁月くんの名前を呼ぶ。けれど、返事はなかった。
「開けるよー?」
扉の取っ手に手をかける。
初日に脱衣所で真っ裸の暁月くんと遭遇して悲鳴を上げられてから、扉を開けるときはちゃんと声をかけるようになった。
扉を引けば、がらんとしている――部屋。
そこに暁月くんの姿は見えなかった。
「えっ」
僕は声を上げた。
布団は畳まれたまま。
部屋は夏の暑い熱気が籠っていて、冷房は使われた形跡はない。
「あ、かつきくん……?」
頭が真っ白になった。
急に消えた存在が思った以上に大きすぎて、僕は目の前に広がる光景が夢なんじゃないかと思ってしまう。
(どうして……)
「……帰った、の?」
零れた声が、静かに畳に落ちる。
熱気で暑いはずの部屋が、どこか冷めているように感じる。
「あ、あー……そっか。なんだ。いつの間に、帰ったんだ」
「一言くらい言って行けばいいのに。僕、結構と慕われてると思ってたんだけどな」と呟く。
声が若干震えているのに気づかないふりをして、部屋の中に入った。
どっと吹き出す汗。
綺麗に畳まれた作務衣服が、布団を挟んで反対側に置かれているのに気が付く。
その近くの壁には、暁月くんがこっちに来た時に持っていたトートバッグが置きっぱなしだった。
中を見れば、荷物も入ったままだ。
「え、えー? 全部忘れてってるじゃん」
馬鹿なの? と笑う。暁月くんの反撃が脳裏で聞こえた気がした。
しかし、気持ちは上がらない。
僕は蹲った。
頬を膨らませ、いつもそこにいるはずの人物に聞かせるように呟く。
「あーもう……ご飯どうするんだよ。作っちゃったよ、僕」
今日、焼きおにぎりだったんだよ。すごくおいしそうに出来たんだけど。
卵焼きも綺麗な色合いで。どうせなら見てから言って欲しかったな。
お味噌汁も、今日は豆腐を大きめに入れたんだよ。暁月くん、好きだったよね。
そんな言葉も、彼には届かない。
「……暁月くんの、ばか」
心の中に浮かぶ、喪失感。
それは友人が急にいなくなってしまった穴にしては、ちょっとだけ大きくて、深い気がする。
僕は大きく息を吸い込むと、階段を下りて行った。
ここで膝を抱えている場合じゃない。
早くしないと、仕事に間に合わなくなってしまう。
作ってしまったご飯の半分を冷蔵庫に押し込んで、自分の分を食べ始める。
味があんまりしなかったけど、美味しかったはずだ。
「ごちそうさまでした!」
両手を合わせて、半ば自棄に叫ぶ。正面から聞こえるいつもの声は、無い。
込み上げそうになる感情を振り切って、シンクへと食器を持っていく。
食器を手早く洗って、玄関に向かう。
扉を開け、振り返る。
焦って作務衣服に腕を突っ込んでいる暁月くんの姿を思い出しかけて、首を振る。
もう彼を待つ必要はないのだ。
(掃除、しにこないとな)
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その日のミスは、過去最大数だっただろう。
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