何で僕を?

大器晩成らしい

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「今やらなきゃいけない事。もう無いよな?・・・・・・うん、葵ちゃんの所に行こう。じゃあ、そろそろ全員、この部屋からも、出て行ってくれる?葵ちゃんと逢うのに、ここに居られると気が散るからね。二人だけの時間を、じゃましないようにね♪」

「つっ、月夜様!私は、この部屋付きの従者で、ラピス・シ・ディープブルと申します。仕事を放棄して、この部屋から立ち去ることはできません。それに、来客があった時等、私がいると便利ですよ。こちらの部屋で控えさせて頂きますので、何かありましたら遠慮なく、仰って下さい。食事の支度や着替えの準備、シーツの交換等も致します」

「・・・(確かに、居て貰った方が便利か?なるべく、葵ちゃんの傍を離れたくないからな)いいだろう。但し、呼ぶまでは、絶対に、寝室に入ってくるな。何があってもだ。いいな?」

「畏まりました」

その後すぐ、ラピスに急き立てられ、王太子らは、部屋を出て行った。

ちゃんと出て行くのを見届け、鍵をかけるよう伝えてから、葵ちゃんが寝ている寝室へと、静かに入っていった。


・・・

本物だ・・・

この8年の間、何度と無く、葵ちゃんの写真を眺めていた。

寂しい時、自分を奮い立たせないといけない時、そして、顔を忘れてしまわない為に。

何で、動画の一つや二つ撮っておかなかったのかって、とても悔やんだ。

頭の中の記憶している声で、合っているのだろうか?

声を、聴きたかった。

動いて、話している姿を、見たかった。


頬に触れれば温かく、心までじわじわと沁みこんで行くようだ。

人との接触も8年振り。

葵ちゃん以外の人に、触れられたくなくて、必死に避けていたからね。

まぁ、ここ何年かは、俺に触れようとしたら、問答無用で斬るって言って、実際に何人かは、斬ってやった。

腕を軽くだけど。

次やったら、切り落とすと脅された奴らは、二度と近寄っては来なかった。

日本でやったら、とっくに捕まってるな。

それでも、一定の距離を保って、声をかけてくる奴等がいたんだよな・・・気持ち悪い。

葵ちゃん以外、無理だっていうのも、言ってあるのに。

何なのだろう、自分より上がいるって、理解できないのかね?


葵ちゃんを、余す所なく感じたい。

上掛けをどかし、頬から、首筋、鎖骨を辿り、ガウンのあわせから、手を滑り込ませ、触れていく。

掌だけじゃ物足りないな。

着ている服を全部脱ぎ、イスの上へと放り投げる。

ベッドに乗り上げ、葵ちゃんのガウンをそっと、脱がし全身を眺めた。

こんなにも、小さくて、華奢だっただろうか・・・

周りにいた男達に比べれば、スリムで小さく感じたけど、俺からしたら、充分に大きかった。

いつか、葵ちゃんより大きくなって、抱き締めたいと思っていたが、いまや、年齢まで追い越してしまった。


今の俺を、月夜として、受け入れてくれるのだろうか。

今の俺を、弟としてではなく、同じ想いの愛で、満たしてくれるのだろうか・・・



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