何で僕を?

大器晩成らしい

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水差しの水を交換するのに、ほんのちょっと部屋を出ている間に、お目覚めになられたようだ。

部屋に入り、目が開かれているのに気付き、お声がけをしたが呆然とされていて、もしかして、言葉が通じていない可能性もあるのかと、確認をしたら、声変わりをされていないのか、可愛らしい声を聴かせて貰え、一安心。

気絶していたのを運び込まれた事もあり、続けて、体調をお訊ねしたら、起き上がれないと言われ、直ぐに医者を呼んでくる必要を感じ、持っていた水差しを、サイドテーブルに置き、慌てて部屋を出た。

隣の部屋のソファーに座り、目覚めるのを待っていた魔術師長に、仔細を伝え、代わりに見ていて戴く様お願いし、部屋をでた。


シェル・ハク・ホワイト王室医薬師長、この国で一番、様々な病状に詳しく、巧みに回復魔法を操り、魔法で回復しない症状にも、薬草を煎じる事で対応、何十年もトップを独走している。

迎えに行ったはいいが、走るのがあまりにも遅いので、焦れてきて、手を引き無理やりペースを上げた。

部屋に着き、手を離した途端、足が止まったようだったから、振り向き見ると、王室医薬師長は、両膝に手を置き、ゼイハア呼吸を荒げていた。

年を取ったからといって、運動不足で、いざという時に動けないようではいけない。

水を飲むと、どうにか落ち着いたようで、無事、診察と治療がなされた。

ボタンを留める際、僅かに肌に触れてしまい、無心でいないといけないのに、ドキドキしてしまう。

滑らかで真っ白なきめ細かい肌の上に、ピンクの小さい二つの粒。

忘れられそうにない。

その後、トイレの介助や、お風呂でのマッサージもさせて戴いたが、いろんな意味で忘れられそうにない。

何処とは言わないが、小振りで可愛く、色も綺麗。

この仕事について初めて、役得だと感じた。

身体や髪を丁寧に拭き、ガウンを着せ、ベッドまで運び、食事を用意しますと伝えたら、眠いからと断わられた。

随分と細くていらっしゃるので、できればお食事を摂って戴きたかったのですが・・・

いろいろと世話をされるのに慣れていないのか、事ある毎にお礼を言われ、自分で出来る事は、自分でと言われる。

こうなったら、世話をされる事に、無理やりにでも慣れて戴き、便利さを、必要さを解かって戴かなくてはと、久々に、やる気が漲るのを感じた。




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