午前十時を過ぎたなら ―義父との秘密が始まる―

山田さとし

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第一部 恵の選択

第十一章 とまどい

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【啓介と同居 三ヶ月目】 
【20●1年3月16日 PM8:00】

翌日、夫婦の寝室で。

※※※※※※※※※※※※※※※

「はぁっ・・はっ・・はぁっ・・・」
薄闇の中、曇った声が響いている。

恵は目を閉じ、眉をひそめて待っていた。
荒い息を吐く武が上に被さり、舟を漕いでいる。

さすがに今日は早く帰ってきた武だったが、昨日の結婚記念日をすっぽかした償いとして買ってきたネックレスは、義父の物とは比べ物にならない程の安価な品に見えた。

それでも恵は嬉しく思い、機嫌を伺う夫に最上級の笑顔をプレゼントした。

久しぶりにベッドインした二人は唇を重ね、武は遠慮勝ちに入ってきた。
だが、それは長年続いてきた二人の儀式と何ら変わる所無く、雑誌等で研究した恵の期待とは裏腹に味気ないものに感じた。

恵自身も殆ど濡れてなく、痛みを伴いながらも仕方なく夫の動きに身体を預けている。
いつもの如く、ひたすら終わりを待っていた恵であったが、不意に昼間の出来事が頭に蘇ってきた。

「あっ・・・」
義父の怒張したものが心のスクリーンに映し出されると、小さく声が出てしまった。

身体に静電気が起きたように感じた。
瞬く間に残像が広がっていく。

「あ・・あぁっ・・・」
続けて出された声に、武のものは急にすべるように恵の中で滑らかに動き出した。

「ああっ・・・あん・・・・」

(ああっ・・・いやっ・・な、何・・・?)

すると、恵の身体に今まで感じた事の無い程の大きな電流が流れていった。

「あんっ・・・あ・・あぁ・・うぅ・・んん」
急に声を上げて悩ましい顔になる妻に戸惑いながらも、武は今までに無い快感を覚えた。

「お・・あぁ・・・すごいぞ・・・これ?」

いつもより早く動いても妻は痛がらない。
それどころか、今まで見た事の無い位の反応を示している。

「あんっ・・・うんっ・・い、いやっ・・・
あ、あぁ・・んん・・・」

恵は懸命に闘っていた。

身体中から湧きあがる不条理な快感を打ち消そうと必死であった。
いくら義父の事を見直したとは言え、つい昨日まであれ程毛嫌いしていた男なのだ。

今まで味わった事の無い快感を、よりによって嫌いな男から受けるとは。
しかも夫の父なのだ。

しかし皮肉な事に恵が努力すればする程、より鮮明に義父の顔と例の残像が目蓋に映し出されるのだった。

「あーあっあっ・・い、いやぁ・・・」

そんな事情は知らない武は初めて自分にこれほど感じてくれる妻に感動して、ピッチを早めていった。

こんなに気持ち良いと感じたのは初めてであった。
どちらかと言うと恐妻家の武はセックスに対しても強く出れず、妻をいかせられない事にコンプレックスを感じていた。

それがどうした事か、大きな声を上げている。
興奮せずには、いられなかった。

「いや・・・何、これぇ・・・?
いやっ・・・いやよ。
あぁ・・は、うぅー・・・」

恵は必死に残像を振りほどこうと努力するのだが、まるで心を絡め取られるように快感のシャワーが全身を包んでいく。

「ああっ・・あ、はぁー・・・」

このまま目を閉じていると、イメージが益々膨らんでいってしまう。
恵は最後の力を振り絞って目を開けた。

薄闇の中、ようやく残像が消えたと思った恵は瞳に映る顔にショックを受けた。
目の前に義父の顔があったのだ。

「ああっ・・い、いやっー・・・」
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